新しい家族
脚本:佐藤寿昭 演出:中村明博
作画監督:北村友幸/宇代祐規/洪範錫/小松こずえ/近藤瑠衣
総作画監督:金久保典江
★あらすじ
暴走のあげく、幼年期ケコモンに戻ってしまったゲッコーモン。
トモロウを庇って負傷したキョウを見たカイトは、失望して去ってゆきます。
こんなことになったのは何もかも自分のせいだと、自己嫌悪に襲われるトモロウ。
飛び出して行ったケコモンの後を追うこともできず、兄のいる病院で
ひとり自問自答を繰り返していました。
そんな折も折、グローイングドーンの直近に巨大なマリンブルモンが現れます。
狙いはまさに、グローイングドーンのホーム。
何者かにe-パルスを大量に注がれ、ホームの破壊を目的にしているようでした。
いったい誰が。考える間もなく迎撃するレーナ達ですが、歯が立ちません。
キョウとクーガモンも手負いでは力を発揮できず、大ピンチが訪れます。
成長期に戻ったゲッコーモンが加勢に来たものの、彼もe-パルス切れ。
これを救ったのは、やや遅れて駆けつけたトモロウでした。
彼はゲッコーモンに素直な気持ちと、悪いことばかりではなかったことを打ち明け
出会えてよかったと思っていることを告白します。
高みへと昇った二人の絆が新たなビートを刻み、成熟期アルマリザモンが爆誕。
その強大な攻撃力は完全体であるマリンブルモンをも穿ち、危機は去ります。
今を受け入れたトモロウは、兄にゲッコーモンを新しい家族として紹介するのでした。
しかし、カイトら五行星には不穏な動きが。
彼らの背後にある「ワールドユニオン」の狙いとは果たして……?
★全体印象
12話です。年内最後のエピソード。
トモロウとゲッコーモンの進化をここに持ってくるという、狙いすました盛り上げです。
間髪入れず新展開へのプロモーションと新キャラアピールもやり、抜かりがありません。
今期ホントにどうしちゃったの? なんで急にいろいろ上手になったの??
って驚いてしまうぐらいですよ。企画のコンセンサスがうまくいってるんでしょうか?
まあ良い方向に変わったのならなんも問題はないですけどね。
結果的にゲッコーモンの成熟期進化はシリーズでも最遅となったわけですが、
これについてはかなり納得しています。
元からトモロウには生きづらさから気難しいところがあったし、巻き込まれだったし、
ゲッコーモンとの出会いも突然すぎましたから。言わばマイナスからのスタートですよ。
しかも同時期に兄貴があんな風になってるのですから情緒グチャグチャなままだし。
思えば過去作の主役は、みんな当初からパートナーと良好な関係を築いていました。
例外はゼロスタートだったタカトとギルモンぐらいですが、完全体進化は早かったし。
その意味でも、トモロウとゲッコーモンは異端なんですよね。
それが今回でやっとプラスになった、という象徴があの成熟期進化なんでしょう。
しかも、待たせただけあって凄まじいまでの強さ。
やはりトモロウとゲッコーモンは「イリーガル」ってやつなのかもしれませんね。
なぜイリーガルなのか明かされるとは限らないけど。
世界観の上側で蟠る闇、ワールドユニオンの存在も明かされています。
おまけにその下部組織的な「タクティクス」の存在も明らかになっています。
2クール目はこのタクティクスが主なライバル役になるみたいですね。
五行星とやる前に楽しみが増えた、ってところでしょうか。
脚本は佐藤寿昭さん。7話に続いての登板ですね。
「ゴーストゲーム」では10本、「デジアド:」では8本を担当してましたが
「逃走中」ではなぜか1本しか書いていなかったようです。
今期はすでに2本目ですが、果たして何本ぐらいの参加になりますかね。
演出の中村明博さんはこの枠だと「ゴーストゲーム」をよく担当していた方。
こちらも「逃走中」での登板は少なかったみたいですが……
制作体制とかいろいろ事情があるんですかね。
★キャラなど個別印象
・トモロウ
一度淀みを吐き出したからこそ見えてくるものがある、ってところでしょうか。
彼がゲッコーモンへの暴言をすぐに後悔したことは、描写から明らかです。
なぜならば兄・アスカの回想での言葉通り、それだけが彼の想いのすべてではないから。
前回口にしたような苛立ちは確かにあったはずです。
でもそれと同じぐらい、出会って得られたものも大きかったのだと気づけた。
失くしかけて改めてこの絆は失いたくない、もう一度繋ぎ直したいと思えるようになったのです。
あの一度千切れて、ラストシーンで縫い直されたマフラーはわかりやすいメタファーですね。
結果だけ見れば、今回ぐらいの段階で一度おたがい腹を割っておいて良かったかもしれません。
今後ますます状況は厳しくなるでしょうし、今までの彼らではついて行けなかったでしょうから。
そのときになって後悔しても、状況が詰んでしまった後では遅いかもしれないし。
もちろん結果だけの話であって、もっとうまくやる方法もあったでしょうが……
それを望むのはさすがに酷ってものでしょう。
彼らが力を証明したからこそ周囲の状況が厳しくなってゆくのでは、という見方もできますけど
それこそ酷ってやつでしょうね。強くならなければ守れないものがあったのですから。
・ケコモン → ゲッコーモン
幼年期になっても記憶はしっかり保っていることがハッキリしました。
ということは、ニリンソウにいる幼年期たちも自分のやらかしたことは覚えてるのかもしれません。
まあメンタルの変化などはあるかもしれないけど、ゲッコーモンに関しては変わってませんね。
前回あんなことを言われたうえトモロウのe-パルスに振り回されるなど散々な目に遭いましたが、
自分も悪いという自覚があったのでしょう、そこまで臍を曲げてはいませんでした。
それどころか気まずさを超えてトモロウの許に駆けつけ、急を知らせることまでやっています。
ある意味、彼の方が一歩先に進んでいたかもしれません。
何も言えずにいるトモロウに投げたのは、かつてのトモロウ自身と同じ言葉でした。
それが絆を取り戻す大きなキッカケになる流れは、空とピヨモンを思い出させます。
名編「輝く翼! ガルダモン」での出来事ですね。
あの回で空はピヨモンの言葉から母の愛情を本当の意味で悟り、完全体進化へと繋がりました。
状況は違いますが、家族との思い出が力になる点は近しいものがありますね。
まさにパートナーが鏡写しであるという典型だし、トモロウの場合はその実感もあって
ゲッコーモンを「新しい家族」として受け入れる決意ができたのでしょう。
病院にてアスカに「家族」と呼ばれたときのゲッコーモンは、本当に嬉しそうでした。
彼らの新たな歩みは、ここからやっと始まるのかもしれません。
・アルマリザモン
ゲッコーモンが満を持しての進化を遂げた爬虫類型の成熟期デジモンです。
一番最初の印象が「グラードンかな??」だったのは秘密。
どんな姿になるかと思われましたが、グレイモンのような正当進化でも人型に近づくでもなく
まさかのゴツゴツ系で個人的には完全に意表をつかれました。緑成分も減ってるし。
それでいてゲッコーモンの得意とする回転ムーブもより強力に受け継いでいることが
すぐに理解できるコンセプトだったし、成程となりましたが。
戦闘力も格上食いの多かったゲッコーモンの進化体らしく、成熟期レベルを超えたもの。
得意技「デスロールプレス」はマリンブルモンの「トキシックスプレッド」をものともせず弾き、
必殺技「ニュートロンレイザー」は一撃でこれを倒すほどの威力があります。
デリートされてはいないから手加減してたんでしょうが、それでもこのパワー。
これで、グローイングドーンの戦力は一気にアップしたといえるでしょう。
もはや、そこらの野良賞金首では相手にならないでしょうね。
だからこそ、ライバル役として五行星やタクティクスが出張ってくる必要があるわけですが。
・レーナ
普段トモロウにあれこれ抗議する彼女も、今回ばかりは接し方がわからない様子でした。
ただ彼女やマコトはトモロウとゲッコーモンの間に何かあったことは勘づいていても、
現場を直接見たわけじゃないので物申しようがないところもありそうです。
アレを見てたらもう少し何か言ったかもしれません。話がややこしくなりそうだけど。
後半では、マリンブルモンの暴挙を制止しようと懇願に似た声を上げる場面が印象的。
彼女らにとっても、あのホームは守るべき帰る場所なのですから。
ましてレーナは一番の古株だし、思い入れも一入でしょう。
・プリスティモン→ ウルヴァモン
ホームを守ろうと奮闘、最大出力での必殺技まで出しましたが効果なしでした。
レーナ組は2話でキノコ団を脅したぐらいで、直接的な決め手は一度も貰ってません。
ちょっと不遇かもしれない。「セイバーズ」の淑乃を思い出す待遇です。
でも淑乃と同じってことなら、後で猛烈な巻き返しもあるはず。期待しときましょう。
・マコト組
こっちもあんまり目立ててない状態。
せっかく進化を遂げましたが、強敵続きで結果をなかなか出せてません。
この2回はトモロウ組メインだから仕方ないですが、初登場補正が切れるの早いスね……
・キョウ
前回トモロウを庇った関係で負傷したため、今回は彼らも半分と力を発揮できない状態。
取りも直さず、トモロウとゲッコーモンが頑張るしかない状況ができています。
彼らが弱ってるイコール大ピンチ、という図式が今回ほど顕在化したのは初めてでしょう。
トモロウに対してはあの暴言について一切咎めませんでしたが、
それは相手が自分でとっくに理解していることを解っていたからなのでしょう。
その上で「アスカとケコモンのことはこっちで引き受けてもいい」と言っています。
見方を変えれば、言葉を選んでいるだけでかなり厳しい突き放し方かもですが。
でも無論、トモロウが立ち直ってくれることは期待していたはずですから
二人が見事に成熟期進化を成し遂げてピンチを救った時は晴れやかな表情でした。
トモロウのどんな決断も受け入れるつもりではいたでしょうけど、できることならば
この光景を見たかったというのが本音でしょうから。アスカにもいい報告ができるし。
過去については、まだわからないことが多いですね。
同期だったというカイトと共に五行星としてブイブイ言わせていた頃があったことを思うと、
なぜ今の道を選んだのかはやはり気になります。よほどのことがあったのでしょう……
ワールドユニオンのやり方が気に食わなかった、という言葉だけでは足りない気がしてなりません。
・ムラサメモン → クーガモン
前回ラストでギリギリ完全体を保ってましたが、やはりダメージは大きかったか退化しちゃいました。
一連の流れはカイトに深い失望を与えたようです。
キョウが負傷しているためe-パルスの発揮自体がままならず、後半も進化はできてません。
「ラースロア」でマリンブルモンの「トキシックスプレッド」を食い止めようとしましたが
途中でキョウがe-パルスを供給し切れなくなり、押し切られてしまいました。
あの程度で済んだのは奇跡かも。ゲッコーモンとトモロウが来なかったらどのみちアウトでしたが。
キョウが常にデバフ状態な以上、今以上の進化は難しいかもしれませんね。
とはいえ今後の勇躍も十分考えらられるし、まだまだこれからかも。
・少年キョウ
回想に登場。11年前、ガムシャラにクリーナーとしての仕事をこなしていた頃のキョウです。
クーガモンが進化できるようになったのもこの頃なので、それ以前からの付き合いとなると
だいぶ古い仲ですね。10年以上もそのままなら、究極体への進化はやはり難しいのかな。
まあカイトら現五行星が究極進化できない、なんて言及はないわけですが。
当時のキョウは相当に荒れていたらしく、カイトを連想させるような尖りっぷりでした。
それが一体何をどうしたらあんな菩薩属性になるんでしょうか???
どこまで美味しくなれば気が済むんですかこの男????
中の人はおそらく田村睦美さんと思われます。ある種の前作主人公ボイス。
田村さんはこういう役も大得意なので適任といえそう。
でも今22だから当時は11歳、トモロウよりもずっと年下なのか……
こりゃ、クリーナーになった経緯も気になっちゃいますね。
・マキ
マリンブルモンの進行ルートをトレースしていました。吉村に連絡を頼んだのも彼女。
セリフは無いですが、中の人の園崎さんはマリンブルモンの方で出演しています。
・吉村
ホームに急を知らせに来ました。珍しく車を使わず走ってきてます。
この場合、車での移動はかえって身動きがとれなくなりそうだし賢明かも。
さっさと逃げちゃいましたけど、留まって足手纏いになるよりは100倍マシですね。
・アスカ
主に回想で登場。その頃の表情と、今の虚無状態のギャップが改めて痛々しいです。
彼の前向きな言葉とゲッコーモンに重なる己の言葉が、トモロウに決意をもたらしました。
・カイト
上に書いた通り、キョウとは同期だった模様。
共に切磋琢磨しながらもっと上を目指していた時期があると、これで半ばハッキリしました。
当時は本当によきライバル関係にあったのかもしれません。
カイト自身はもちろん当時のキョウもああいう性格だし、肩肘を張り合ってたでしょうけど。
彼の立場からすれば、今のキョウは失望の対象でしかないということですね。
まあ「倒す価値もねえ」と吐き捨ててはいたものの以後は特に何もせずトモロウ達も見逃したし、
仕掛けたのはゲッコーモンの方なので言動ほど悪党っぽいことはしてないのですが。
単にモチベーションの浮き沈みが激しいタイプとも言えるけど。
しかしやはり気になるのか、マリンブルモン出現の際には近くに来ていた模様。
または、ゲンジョウの動きが妙だったので探りを入れていたのかもしれません。
何かの勘働きか、キョウの後釜たるゲンジョウのことはかなり警戒してるみたいですね。
仕事以外での妙な動きが多すぎるからとか、そういう理由でしょうか。
いずれにせよ、彼と本格的に事を構えるときはもう少し先かもしれません。
一応は同業者でもあるから、仕事の邪魔をしない限りは喧嘩を売る理由もないはず。
好戦的であっても、キョウに失望している今となっては気も乗らないでしょう。
グローイングドーンの排除命令でも出たら話は別でしょうけど……
・フレアモン
ゲンジョウの背後に忍び寄って爪を突きつけていました。相変わらず寡黙です。
ゲンジョウの方はそれ以上何もしない、または出来ないと見切ってたのか落ち着き払ってましたが。
そういうところも、カイトがゲンジョウを気に入らない理由のひとつかもですね。
・金田ゲンジョウ
五行星のうち「金」の称号を戴く男。「金剛のゲンジョウ」とも呼ばれているそうです。
その名は玄奘三蔵、服装はパートナー由来の中国モチーフですね。
そういえば彼らの上にいるっぽい王会長も中国系だし、直接の子飼いかもしれません。
その性格は、慇懃無礼な策略系が服を着て歩いているような感じ。
ゴクウモンを使ってアスカのサポタマを強奪したのは、まず間違いなく彼の指示でしょう。
なんなら王会長の指示である可能性さえあります。というかアレ、タイミング良すぎますよね。
一体いつからアスカを張ってたんでしょうか……何を掴んでたんだ兄貴。
いずれにせよ、五行星の中でもひときわ曲者なのは間違いありますまい。
当面の黒幕である王会長に最も近い男でもありそうだし、今後の動向にも注目ですね。
中の人は神谷浩史さん。人気声優の一角であり、独特の演技ですぐにそれとわかる方です。
シリーズではもちろん「フロンティア」の輝ニ役としてもっとも知られているわけですが、
「セイバーズ」にもクレニアムモンとして出演してますね。
今回の出演がその際の縁によるものなのかどうかはわかりませんが。
直近では「デジアド:」でのストラビモン役がありますが、これは輝ニ繋がりですね。
人間役としてはその輝ニ以来になりますか。
・ゴクウモン
ゲンジョウのすぐ近くでじっと伏せてました。ここで初めて名前が出たことになります。
万が一の際には、真っ先にカイトを攻撃する用意があったのかもしれません。
カイトも気配を察知し、かなり緊張を走らせていました。
これだけで両組の仲が犬猿のものとわかりますね。フレアモンは犬じゃないけど。
そういえば、キョウはこのデジモンのことを知りませんでした。
つまり、このゴクウモンとゲンジョウが自分の後釜と把握はしてないことになります。
これまでの流れを見る限り、ある程度の目星はついてるんじゃないかと思えてきましたが。
・マリンブルモン
突如として現れ、グローイングドーンのホームを直接狙ってきた水棲型デジモン。
マコト組の分析では、何者かにe-パルスを注がれてオーバーロードしてたそうです。
と同時に、ホームの破壊を命令として叩き込まれていたのでしょう。
やったのは間違いなくゲンジョウでしょうね。
e-パルスの影響もあって防御力が上がっているようで、ウルヴァモンとナイトキロプモンでは
全力攻撃をもってしてもダメージを与えることができませんでした。
逆に「トキシックスプレッド」でその場の全員を麻痺させてしまっています。
必殺技の「ハイドロデモリッシャー」は水流とは思えないほどのエフェクトと威力。
ゲッコーモンとトモロウが間に合わなかったら本当に詰んでたでしょう。
しかしアルマリザモン登場のあとはあんまり良いところがなく、技のことごとくを弾かれ
逆に「ニュートロンレイザー」の一撃を喰らってKOという憂き目に遭いました。
幼年期の姿はピチモンです。カイトたちは帰っちゃったし、ニリンソウ行きになりそうですね。
本来はどんな性格だったんでしょうか。
それに、サポ主は誰だったのでしょう?
ひょっとしたらゲンジョウが誰かからデジモンを奪い、e-パルスを注入したのかもですが……
あの策略ロン毛ならそれぐらいのことはやりそうだし。
・アンドロモン
11年前の回想に登場。完全体とあって、まだ完全体進化を会得してないキョウ組を苦戦させてました。
これまでのシリーズでもたびたび強さをアピールしてきた種別だし、強敵という括りにしたいことは
シリーズを見こなしている人ほど実感できるかも。ゴモラみたいなもんですね。
★名(迷)セリフ
「無様だな……」
「自分のデジモンも制御できねぇ甘ちゃんと、家族ごっこかよ。
今のテメェは、倒す価値もねぇ」(カイト)
失望しきったような冷めたセリフ。いろいろと鎮火したようです。
もしキョウが今の境地のまま前より強くなったらめっちゃ燃えそうですけど。
「ふざけんな……オレは…誰にも負けねぇ!」(少年キョウ)
アンドロモンに押されて。
いったいこの頃の彼がどんなふうだったのかもっと知りたいですね。
スピンオフ漫画がないのが残念。
「金はいい……
その五行星ってのになれば、もっと暴れられるのか?」(少年キョウ)
十一歳にして触るものみな傷つけそうなセリフです。
子供の頃は相当にひどい環境の中にいたのかもしれません。
「お前がどうしようと、アスカのことは見捨てない。
ケコモンは、オレが引き取ってもいい。
だから…… 自分で決めろ」(キョウ)
キョウから三連発。
責任を全部オレに押し付けて逃げてもいい、と言ってます。
ガムシャラさの代わりに、大人の重厚さを宿しているセリフ。
きっと彼も、かつて同じように悩んだことがあるのでしょう。足抜けの時とか。
「兄さん…… オレのビートって……なんだっけ……」(トモロウ)
物言わぬ兄のそばでドラムスティックを握りながら。
この時はまだ、ビートを刻むことがまったくできていません。
「とりあえず、ここ片付けるわよ。ね?」(プリスティモン)
そこらじゅうを散らかしたケコモンに。なんだかんだお姉さんしてます。
「なんで何も話してくれないんだよ! 兄さんなんて嫌いだ!」(トモロウ)
回想にて、あくまで前向きに元気づけようとするアスカに。
本当はわかっていたはずです。兄が自分のためにいろいろ背負ってくれていることを。
でもだからこそ、今兄貴の力になりたかったのでしょう。
無力のくせに普通じゃない自分のせいで、家族が重荷を背負うのが耐えられなかったのです。
「なんでなんにも話してくれないんだってナ!」(ゲッコーモン)
こちらはゲッコーモンのセリフ。
彼の歯痒さと苛立ちは、そのままあの頃のトモロウと重なるものでした。
でも、アスカはトモロウの気持ちを受け止め、冷静に諭してくれた。
自分と同じ無力感をずっと抱えていたかもしれないのに。
トモロウはこのとき、兄の強さを心で理解したのかもしれません。
「やめてッ……!」(レーナ)
ホームに標的を向けるマリンブルモンに。
彼女らにとっても、あそこはやっと見つけた居場所なのです。
それを傷つけられるのは、心の拠り所を揺さぶられるのと同じはずです。
なのに動けないというのは、さぞ悔しかったでしょう。
「お前といると……自分の、イヤなところばかり思い出す……!
でも……」(トモロウ)
キョウやアスカ、ヒトミと、自分に関わった人はみんな傷つく。
自由すぎてトラブルを起こしがちなゲッコーモンは彼にとり、自分を見てるようで
時折本当に辛かったのでしょう。無力さと未熟さを突きつけられるようで。
ですが。
「そりゃ俺もつらい。でも今は、悪いことばかりじゃないんだ。
前より、お前と一緒にいられるようになったしな」(アスカ)
ですが、アスカの言葉が今になってトモロウを動かしていました。
もしかしたら当時には、あまりピンときていなかったかもしれない言葉です。
でも今の彼になら、より肌で実感できたのでしょう。
「悪いことばかりじゃない……
お前のおかげで、あいつらに会えた。それに……
お前といると、前より自分に素直になれる気がする。
ごめん、ゲッコーモン。オレ……
お前と会えて良かった……!」(トモロウ)
ゲッコーモンへの詫びと、本当はお前のこと嫌いじゃないんだよ、という告白。
文字に起こすと短めですが、たっぷり情感のこもったセリフです。
思えば、こういうふうに面と向かって腹を割ったのは初めてですね。
きっとそれは、アスカのおかげでもあって。
やはりトモロウにとって、兄貴の存在はとても大きいのですね。
「守るぞ……ゲッコーモン! オレたちの、帰る場所を!」(トモロウ)
「当然だってナ!」(ゲッコーモン)
「戦うぞ……」「おう」「戦うぞ!」「おう!」「戦うぞっ!!」「おうっ!!」
そんなやりとりを思い出したセリフ。こうなった主役は強いですぞ。
「それが、お前の答えか…… トモロウ!」(キョウ)
ゲッコーモンの進化を目の当たりとして。雲が晴れたような表情と口調です。
上に書いた通り、トモロウのどんな選択にも責任を持つつもりではいたでしょうけど
トモロウなら乗り越えてくれるのではないかと、期待はもちろんしていたはずで
だから凄く嬉しかったんだろうな、と思わせてくれます。
「暴れろ、アルマリザモン…! 自由に、思うままに! オレたちのビートを、刻めッ!」(トモロウ)
自分がどうしたいか、どうすべきか本当はわかっていたはずで。
極論すれば、あとは彼ら自身が心のままに突っ走れるかどうかだったのでしょう。
言葉にすればシンプルですが、実際にそれができるかどうかというと難しいと思います。
でも彼らは、それをやってのけたのですね。
「ゲッコーモン。今、どんな気分だ?」
「ケケケ! 最高だってナ!」
「ヘヘ……オレもだ!」(トモロウ&ゲッコーモン)
やりたいこと、やるべきことを綺麗に片付けて。
二人とも最高の笑顔です。
「失礼。ミラーワールドで少々事故が起きまして。ですが……
おかげで面白いものが見られたのでは?」(ゲンジョウ)
食ってかかるカイトに。実に白々しい、見透かしたようなセリフです。
いかにも相性が悪そうな二人ですね。
この男がキョウの後釜というのだから、カイトにはそれが余計気に入らないのかも。
「兄さん。まだちゃんと紹介してなかったな。
ゲッコーモン。オレたちの……新しい家族だ!」(トモロウ)
病院で無表情に佇むアスカに。マフラーの縫い跡がわかりやすく象徴的でした。
紹介を受けたゲッコーモンの表情とあいまって、ホッとするラストシーンです。
あとはこれで、アスカのサポタマを取り戻せれば万々歳なのですが……
★次回予告
五行星会議というなかなかにワクワクするサブタイです。
ここで一気に残り五行星やタクティクスの面々が顔出しってことになりそうですね。
王会長の言葉も気になります。彼らは今以上の何に対抗しようとしているんでしょう?
やはりDWに類するものがあって、そこからの脅威が迫っているのでしょうか?
オリンポス十二神やビッグゲテスターみたいな連中がウヨウヨいるなら確かに怖いけど……