本当の友達

脚本:會川昇 演出:嶋谷将
作画監督:洪範錫/中野彰子/川村敦子/近藤瑠衣
総作画監督:小島隆寛

★あらすじ

シェイドモンによって操られ、連れ去られてしまったキロプモン。
ショックを受けたマコトは自身の弱さを嘆き、一人街を彷徨うことに。
一方、キョウは火野を締め上げてキロプモンが売り飛ばされようとしていると知り、
取引現場へと急行していました。

現地では仮面をつけた謎の女と、マフィアらしき複数の人物の影が。
そこへキョウが割って入り、さらに連絡を受けたトモロウ達も乱入してきます。
が、キロプモンに情が移っていたハルコは返還も売買も拒否。
ゲッコーモンやウルヴァモンをシェイドモンに操らせ、混乱に乗じて逃走を試みます。

遅れて駆けつけたマコトはハルコと遭遇、キロプモンを返してほしいと説得します。
ところが追ってきたサニーが放ったのは、ハルコへの裏切りの言葉でした。
彼は取引でサポタマフェイクを手にいれ、新しい身分でやり直す気だったのです。
「化け物」を連れた娘を捨て、たった一人だけで。

自暴自棄になったハルコは、なんとシェイドモンと融合。
なにもかもを滅茶苦茶にしようとしますが、それは自分自身を傷つける行為でした。
そんな中キロプモンはハルコの命令を拒否、マコトの元に戻ります。
絆を高めた二人は成熟期進化を発動、ナイトキロプモンが誕生しました。

シェイドモンの懇願を受けたナイトキロプモンの活躍で、ハルコの暴走は食い止められます。
サニーはボコられて国民保護省送り。ハルコはシェイドモンが自身の一部と認め、
今も自分を愛してくれている母親のもとを尋ねる決意を固めるのでした。

かくて、無事に取り戻したキロプモンと笑いあうマコト。
今の彼の居場所は、かけがえのない友といられるグローイングドーンなのです。
 
 
 
 
★全体印象
 
10話です。
前回はシャングリラエッグの紹介も兼ねていたのでユルいシーンも結構ありましたが、
今回は徹頭徹尾シリアスで場面移動も多くありません。
その分、ラスト手前では一気に緊張が緩みホッとする流れになっています。

しっかり者のマコトですが、キロプモンが拐われたことに大きなショックを受けてました。
一時はなかば自失に陥って目的もなく歩き回っており、初めて脆さを晒した形。
それだけキロプモンが大切だったってことですし、まだ十歳だから仕方ありません。
むしろ人間味が強まって感情移入しやすくなったと思います。
割とすぐ立ち直ったのでやはり大したものですが。

この事件のメインゲストにあたるハルコも、今回で一気に良キャラとして完成しました。
シェイドモンがやっぱり根は良いヤツだったのは、そもそもの彼女の感情が
愛情を求めるあまりのことだったからなんですね。
今後の再登場にもちょっと期待したいと思います。親父の方はどうでもいいけど。

それにしても、あの仮面の女は何者なんでしょう。
非合法をやってるってことは、政府側の人間じゃないのかもですが……
次回もえらいことになる予感だし、さっそく報復を仕掛けてくるんですかね。

脚本は前回に続いて會川昇さん。氏らしい、ところどころ容赦のないお話運びです。
演出の嶋谷将さんは、調べたところ「One Piece」に多く参加してたみたいですね。
作監に名を連ねている川村敦子さんはどっかで見た名前だと思ったら、
無印にも参加しておられた方でした。シリーズへの参加でいえば古株ですね。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・トモロウ

 前回以上にマコトへ譲っており、バトルでも特に見せ場はありません。
 まあ次回メチャクチャ出番があるでしょうから、ここは待ちですね。
 
 
 
・ゲッコーモン

 取引現場への乱入ではなかなかキマってましたが、その後はいいところなし。
 シェイドモンの能力の厄介さがよく分かります。
 
 
 
・レーナ&プリスティモン → ウルヴァモン

 サブ組その2。今回はこっちも割と散々でした。
 レーナについてはリアクションで印象を稼いでましたけど。
 
 
 
・マコト

 上で書いた通り、一時は奪還に行くことも考えられず街をフラフラしていました。
 キョウやトモロウ、レーナ達はすぐ動いていたので彼だけ何もしてなかった形ですが、
 マコトの年齢を考えればこれはマジで仕方ないことだと思います。
 それにキロプモンがいないと、できることが大きく減ってしまうのは事実ですし。

 それでもキロプモンの危機を感じてからは気を取り直して現場に駆けつけるわけですから、
 やはり相当にしっかりした子だと言うしかないでしょう。
 もともと厳しく躾けられてきたうえに、クリーナーとしての生活で鍛えられたのかも。
 無論、キロプモンを助けたいという気持ちが一番強かったはずですが。

 その後は体格にずっと勝るサニー相手にも一歩も退かず、キロプモンだけでなく
 ハルコをも助けようと奮闘し、その決意がナイトキロプモン誕生を導き出してゆきます。
 e-パルスによる進化は単純な量じゃなくて、こうした堅い意志などによる
 文字通りの「強さ」によってもたらされるのかもしれませんね。

 かくて友との絆を確かめ直した彼はひとまわり強くなり、堂々と帰ってゆきました。
 ラストシーンの笑顔は、ここが自分の居場所だという確かな手応えに満ちたものです。

 で、結局のところどんな経緯で王子様とまで言われた彼がクリーナーとなったのかは
 明かされないままでした。相当のことがあったと思うのですけれど。
 でも彼に関わるイベントはこれで終わりじゃないはずだし、さらなる展開を見据えるなら
 今回でそこまで明かすべきではなかったのかもしれませんね。今後に期待です。
 
 
 
・キロプモン

 期待通り、今回で進化を遂げてくれました。
 予想したことがその予想通り、いや僅かでも上回る形でハマると嬉しいですね。
 外れたからってブーブー言う筋合いでもないけど。

 後半までずっとシェイドモンによって意志を奪われていたのですが、それでも最初以外は
 ハルコのe-パルスを受け付けようとしませんでした。
 操られていても彼女のそれを「マコトのじゃない」と認識し、拒むようになったのでしょう。
 これはもはや本能的な反応と言うべきですね。

 しかも最終的にはハルコの命令を拒否し、マコトのもとへ戻っています。
 この時点でハルコはシェイドモンと融合しており、その普通じゃない状態では通常ほど
 支配力が保てなかったのかもですが、それでも自力で破るというのは半端じゃありません。
 二人の絆あってこその結果と言うしかないでしょう。

 今回、コンデンスドエコーは禁じ手と明かされました。e-パルスの消耗が大きいからです。
 でも進化するほどの強いe-パルスを手に入れたからには、今後必要に応じて
 この技も使ってゆくことになるかもしれませんね。乱発はできないにしても。
 
 
 
・ナイトキロプモン

 キロプモンが進化した姿。いきなり超スマートかつメカメカしくなりました。
 ただし、サイボーグ型やマシーン型じゃなくてスーツを着た獣人型なのだそうです。

 キロプモンの高い感知分析能力を受け継ぎ、直接干渉力も高くなりました。
 出ていきなり「メズマバースト」でゲッコーモンとウルヴァモンを正気に戻したあたりは、
 その能力の強化をハッキリと見せつける場面といえるでしょう。

 メズマバーストは対象を麻痺させる技ですが、今回の場合はシェイドモンの影響だけを
 強制停止させた形ですかね。直前のスキャン行動は力の作用箇所を探るためでしょう。
 他の状態異常にもいろいろと使えそうです。

 巨大ブーメラン「ジャイアントラング」によってシェイドモンの力を大幅に削ぎ
 ハルコを助ける場面は、初めてマコトと彼が決め手を取った記念すべき瞬間。
 シェイドモンそのものは退化することさえなかったので、アレでも手加減していたか
 ハルコの暴走による拡張が大きかったことが逆に幸いしたのかもしれません。

 いずれにせよ、頼もしい新戦力といえます。
 e-パルス次第では、その能力は同じ成熟期はもちろん完全体にも通用するかもしれません。
 
 
 
・キョウ

 珍しく最初っからラスト手前まで怒りっぱなしでした。
 ファミリーに手を出されたこともですが、自分の判断ミスにも怒ってたんでしょう。
 火野を締め上げるシーンも普段とだいぶ違う顔だったし。
 こういうギャップが好きな人にはたまらないところがありそう。

 しかし、よりによってシャングリラエッグへ強引に入りこむとは……
 ファミリーが関わると本当に無茶をしますねこの人。
 無茶な行動が原因で後からどうにかなるとしても、今動いておかないと後悔する……
 そんな強烈な経験が過去にあるのかもしれません。

 彼の逆鱗が逆立ちっぱなしだったことは、サニーへの制裁からも明らかです。
 彼が手を上げるというのはよっぽどの事態じゃないですかね。
 まあ、あの場面では100%あのクソ親父が悪いから仕方ないんですけれども。
 
 
 
・クーガモン → ムラサメモン

 キョウの側に護衛のように立ってました。
 普段穏やかな彼ですが、その気になれば進化せずとも銃など物の数じゃないようです。
 まあ、それぐらいでなきゃモンスターの肩書きは背負えませんが。

 その後いつの間にか完全体へ進化しており、操られたゲッコーモン達を引き受けてました。
 二体の攻撃を斃してしまわないよう牽制しながら引き受けるなどという離れ業は、
 あの場じゃ彼しかできないことだったでしょう。ナイトキロプモンがいて良かった。
 
 
 
・マキ

 伽藍堂で山田親子のことを教えてくれました。
 どうやらあの親子、というかサニーの悪評は界隈でも結構有名だったみたいですね。
 迷惑を被ったのはマコト達や火野だけじゃないんでしょう。
 
 
 
・吉村

 シャングリラエッグに向かうキョウの足として、何も言わずに協力してました。
 セリフは無いけど頼もしい爺さんです。
 
 
 
・ハルコ

 私が思ってるよりだいぶマコトへの感情が好意寄りで重かったです。

 愛情というものを幼児の時点で失った彼女にとり、分け隔てなく優しくしてくれたマコトは
 憧れの対象であって、彼にはいつでも輝いていてほしかったのでしょうか。
 そうでなかったら、彼まで自分に優しくしてくれなくなってしまいそうだったから。
 だからキロプモンを取り上げようとしたんでしょうか。まだ考察の余地はありそうですが。

 でも彼女が一番欲しかったのは、親からの愛。
 あのようなクズでも親は親、愛が欲しいから言うことを聞いて必死で頑張ってきたのです。
 なのに最後に与えられたものは「サポタマフェイクを手に入れるまでの捨て駒」
 という、他ならぬ親からの冷酷な言葉。

 そればかりではありません。
 曲がりなりにも彼女を愛そうとし、今でも気にかけていてくれるる母をも愚弄されたのです。
 父と母の間には最初から愛などなかったと、心で悟ってしまったのです。
 では、その結果産まれた自分は? 愛のない親から生まれた自分はいったい何なのか?

 さらに、お前はそのバケモノと同じだとまで言われたのです。
 そら自暴自棄にもなりますよ。

 その彼女を救ったのはマコト達と、ずっと側にいたシェイドモンでした。
 本当はハルコ自身、とっくに気づいていたのかもしれません。
 シェイドモンを生んだものは、愛する人を失いたくないという願いにも似た感情。
 そして無力だった彼女には、他に誰かを引き留めるすべを見出せなかった。
 その人の意志を奪ってでも、たとえ偽りの愛情であっても欲しいと思ってしまった。

 認めたくはなかったのでしょう。シェイドモンの恐ろしい姿や対象を操る力が
 自分の秘めた側面であることを。そんな醜さが自分にあるということを。
 理想的でなきゃここにいられない、と聞かされて育った身では尚更に。

 でもシェイドモンはまさにハルコ自身と同じく、ハルコの愛が欲しくて側にいたはず。
 そしてこの忠実なパートナーは、本当にハルコがダメになってしまいそうなとき
 これを止めてくれました。ハルコの命令ではなく、ハルコ自身が大切だから。
 あるいは一体になったことにより、肌でその想いを感じ取れたのかもしれません。

 自分をこんなにも愛してくれている者が、本当はずっと側にいてくれた。
 ならば今度こそ、その愛に応えなければならない。
 その勇気を得て朝焼けに歩き出す彼女は、まさにこの前後編のヒロインでした。
 母親とはうまくやってゆけることを、今は願うばかりです。
 
 
 
・シェイドモン

 そんなわけで、やっぱり心根は良いヤツでした。
 まさに影のように寡黙で、ずっと必要以上に近寄らなかったのはハルコがそう望むからで、
 それができるのはハルコが本当はどんな子か、親以上によく知っていたからなのですね。

 ゆえにハルコ自身より、よほど確信を持っていられたかもしれません。
 いつかは自分を取り戻してくれるはずと、希望を持つことができたから。
 だからハルコが自分を投げ出しそうになったときは、意志に逆らってでも止めることができる。
 たとえ世界が敵に回っても自分がいると、身をもって示すことができるんでしょう。

 そんな健気ともいえるあり方を実感した以上、ハルコは認めるしかなかったのです。
 これはまさに自分自身だと。それだけは裏切るわけにいかないと。
 他ならぬハルコ自身が、捧げた愛情をドブに捨てられてしまったからこそ。

 思えば一体化したときでさえ、ハルコの意志そのものを乗っ取ろうとはしていませんでした。
 やろうと思えばできたかもしれませんが、それじゃ意味がないんでしょう。
 ハルコがシェイドモンの能力を嫌うなら、彼自身も自分の力を好んではいないはずだから。
 そんなものがなくても通じ合うものがあると、本当は信じていたから。

 戦いの後、シェイドモンはハルコの陰に静かに佇んでいました。
 彼がいてくれれば、多少のトラブルはうまく切り抜けられるに違いありません。
 愛してくれないどころか害を加えてくる相手なら、彼女たちに躊躇いはないでしょうけど。
 
 
 
・ハルコの母

 回想に登場。そこではシェイドモンに操られていましたが、あれはハルコの恐怖で
 実際には結局離れ離れになってしまったことが明かされています。
 あるいは本当にやっちゃったけど、怖くなってやめさせたのかもしれません。

 その回想だけでも明白な通りこの奥さん、サニーには日頃からDVを受けていた模様。
 いなくなったのは要するに、身の危険から逃れるためだったのでしょう。
 本当はハルコを連れて行きたかっただろうことも後でわかります。
 その時点ではもう「利用価値」がサニーにバレていたからできなかったのかもですが。

 なんであんな男に捕まったのかといえば端的に「騙された」からなのかもしれません。
 ハイエンドブロックを目指すには都合のいい「踏み台」だったとか。
 そんな中、ハルコの存在だけは紛れもない「本物」だったはずです。
 それすらも、サニーにとっては利用価値だけの対象だったのですけどね。

 総じて気の強いタイプではなさそうですけれど、娘への愛情は父より余程あるはずです。
 幾度となく連絡を取ってきたことからも、それはある程度以上担保されてる。
 せめてハルコの側にいる「三人目」になってほしいですね。
 
 
 
・サニー

 改めてびっくりするほどのクズでした。
 娘のことを愛するどころか、好きでもない女を思い出すと憎んでさえいたのですね。
 わずか2週で、デジモンシリーズでも三本の指に入るクズに上り詰めたと思います。
 親としてはぶっちぎりのキングオブクズ。100%資格なし。

 今回で奥さんへのDV、ハルコへの精神的DV、まだ10歳のマコトへの容赦ない暴力と
 さらに罪状が積み重なっています。本当に愛情ってものを持ち合わせてないんでしょう。
 子供へは無意識に手加減するような大人らしさなど、当然カケラも持ち合わせてません。

 加えて彼の罪は全部自分の意志であり、デジモン事件その他のせいじゃありません。
 つまり徹頭徹尾、他の何かのせいにはできないんです。徹底してますね。
 こんな数え役満で「昔は優しかった」「本当は娘を愛したいと思っていた」などと
 生温い理由が付いたらかえって興醒めだったんで、クズでよかったです(よくはない)。

 最後は同じく大人の立場であるキョウに制裁され、国民保護省送りとなりました。
 その際、ゴールドヌメモンと同じくケージに入れられていたのは嗤うしかありますまい。
 実に皮肉がきいています。ここは存分に笑ってあげようではありませんか。
 それが悪役冥利ってもんでしょう。

 子供を愛さない親なんていない、って言葉は「理想的」です。
 誰だってそうあって欲しいでしょう。けれど、残念ながらそうじゃない時もあります。
 そんなとき「それでも親は親だから」とズルズル関係を続ける必要はないんですよね。
 愛しているのなら、これ以上その愛を失う前に離れる選択肢だってあるんですから。
 
 
 
・イズミ

 仮面をつけた謎の女。キロプモンの買い手として現れました。
 大勢のマフィアをアゴで使う立場からみて、ただ者じゃないことは語るまでもないところです。
 その強気な振る舞いからも、相当の立場を窺い知ることができます。

 そんでもって仮面をつけているということは、面が割れると困る立場の人物ということ。
 つまり、表ではそれなりに顔の知れた人物と推測することができます。
 サポタマフェイクなんてものを調達できるのも、その立場あってこそでしょう。 
 なんなら声もAIで作ったフェイクかもしれません。

 もっと言えば、足がつかないためだろうとはいえ躊躇いなくフェイクを破壊できる立場。
 「代わりなんていくらでも作れる」ってことです。
 やっぱり政府に相当近い立場の人なんじゃないですかね……
 デジモンを連れてはいなかったから、クリーナー筋ではないのかもですが。

 まさかマコトの関係者じゃないでしょうね……久遠寺「工業」だし……
 いや正直、それも予想してたんです。
 でもマコトが居合わせる場面もあるし、彼が何か気づく描写もないから違うかもですね。
 次回以降で描写が追加されたりする可能性もあるから油断はできませんが。

 中の人は松嶌杏実(まつしま あみ)さん。
 活動時期は2010年代後半からですから、比較的若手の部類に入るでしょうか。
 サポタマと兼役なのは果たして偶然でしょうか……
 
 
 
・火野

 いつの間にかキョウにとっ捕まって尋問されてました。
 キロプモンの所属を知らなかったと他責に走ってましたが、無論そんな言い分は通用しません。
 あの後、もっと酷い目に遭わされてた可能性もあります。画面に映ってないだけで。
 
 
 
・ゴールドヌメモン

 そういえばこの三体はどこに行ったんでしょう???
 
 
 
・サポタマフェイク

 緑色をしたサポタマの偽物。
 これを使えば登録情報を乗り換え、別人として生きてゆくことができるそうです。
 サニーのような犯罪者にとっては喉から手が出るほど欲しい代物でしょう。

 問題は、こんなものを誰がどのようにして作り、マフィアの手に渡しているかです。
 正直、ただのマフィアがこんなものを作れるとは思えません。
 実は裏で「上」が協力しているか、またはマフィアと思われていたもの自体が「フェイク」か。
 まあ、いずれ答えは出ることでしょうが……

 こんなものが出回ってる時点で、シャングリラエッグとやらも穴だらけだとわかりますね。
 もっとも、その「穴」が意図的に作られた可能性もあるのですけど。
 なんなら、サポタマをばら撒いてること自体に別の意図があっても不思議じゃないし……
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「だってこんな弱くてダサいやつ、マコト君にまるで似てない!」(ハルコ)
 
 最初にん? と思った一言。
 彼女のマコトへの感情は、思ってたよりも一筋縄のものじゃありませんでした。
 
 
「デジモンを売り飛ばすだと……! 急いでくれ、ヨッシー!」(キョウ)
 
 シャングリラエッグに向かう車中で。出てからずっと怒りっぱなしです。
 無言で車を飛ばす吉村が、二人の信頼関係を如実に示していました。
 
 
「時間もない……少々無理をする!」(キョウ)
 
 次に出てきた際のセリフ。明らかに強行突入です。
 キロプモンがいないから仕方ないとはいえ、時々ムチャクチャしますねこの人。
 上にも書きましたが、そうしないと守れないものがあると肌で知っているのかもしれません。
 
 
「お前は好き……マコト君の匂いがする……」(ハルコ)
 
 夢見の悪さでシェイドモンを下がらせた直後、キロプモンを抱きしめて。
 なんか生々しいセリフですが、彼女自身は大真面目と捉えるべきでしょう。
 自分に優しくしてくれた人のことはよく覚えているんでしょうね。きっと数少なかったから……
 
 
「どちらのものでもない!
 キロプモンは……うちのファミリーだ! 返してもらう……!」(キョウ)

 
 山田親子が揉めている最中に。後から動いたけど真っ先に現場へ殴り込みました。
 これが彼という人間なんでしょうね。
 
 
「オモチャじゃない……! ぼくのパートナーだっ!」(マコト)
 
 サニーからキロプモンを取り返そうと。ほぼ同時に、サニーの足へ蹴りを入れてます。
 穏やかな普段からは信じられぬバイオレンスぶりですが、こればっかりは相手が悪い。
 しかし非力な十歳児ではこれが精一杯、直後に張り飛ばされてしまいました。
 サニーの大人気なさが存分に発揮された場面でもありますね。
 
 
「ああ、そうだな。お前はその醜いバケモノと同じだ。
 そいつはお前の合わせ鏡。お前がどれだけひどく扱っても、お前のために戦ってくれる。
 けどどんなに尽くしてくれても、どぉ〜しても生理的に受け付けないだろ?
 オレも同じだ。
 取り憑かれてる娘は気味悪いし、何より半分あの女の血が流れてるもんなぁ……」(サニー)

 
 自分はもういらないのか、それではまるでデジモンと同じではないかと問い詰めるハルコに。
 クズもここに極まれり、といった感じのセリフです。
 つまり好きでもないどころか、生理的に受け付けない女性と結婚していたってことなんですね。
 ただただ金を持っていて、騙しやすそうだから結婚しただけだったんでしょう。

 そもそも、コイツがこんな人間じゃなければハルコがこんな目に遭うこともなかったのです。
 それでもハルコは愛されたい一心で、どんなことだろうとやってきたでしょうに。

 直後、彼は怒ったシェイドモンに「フリーデスフォール」を受けてぶっ倒れてしまいます。
 これは、はるか上空から地面に叩き落とされる幻覚を10000回も見せ続けるという地獄のような技。
 「化け物」を連れている相手にこんな口を叩いたらどうなるか、想像できなかったんでしょうか?
 そういえば、思いやりって想像力から始まるって聞いたことがありますね。
 
 
「これが……あたしの心…? ハルコの合わせ鏡……?
 なら……もう……
 シェイドモン……わたしの影に入れ……
 忘れさせて…! 全部…イヤなこと全部……! 醜いわたしの全部…… 消し去って!」(ハルコ)

 
 他ならぬ自分自身が、あれほど嫌っていたシェイドモンと同じだと言われ、
 さらにそのシェイドモンの恐ろしい力を目の当たりにして。
 必死に愛し、愛されようとした対象から裏切られた彼女の心が、とうとう悲鳴を上げました。
 
 
「そんなことない!
 醜くたって……! 弱くたっていいんだ!」
「ぼくは!
 ぼくは……いつも一歩引いたところから人を観察している……
 言いたいこともちゃんと言えないし、みんなみたいに前に出て戦う強さもない……
 キロプモンと同じだ。
 キロプモンはぼくの合わせ鏡…… ぼくの弱さも醜さも映してしまう……でも!
 ぼくは、そんなキロプモンが大好きなんだ!」(マコト)

 
 自分自身を否定しようとするハルコに。
 いやいやご冗談を、と個人的には言いたいです。キミは強い。
 少なくとも、すでに自分の弱さや醜さと向き合っているのですから。
 
 
「ううん。
 君が弱いとしたら、それはぼくが弱いからだよ。
 君はぼくの一部だ。かけがえのない友達だ!」(マコト)


 自力でシェイドモンの能力を破って復帰し、詫びるキロプモンに。
 どちらか片方ではなく、それは二人の責任。そして二人で背負い立ち向かえば。
 
 
「キロプモン……ぼくも君を守るよ。二人なら、もっと強くなれる!」(マコト)

 次は、必ずもっと強くなれる。
 その決意と覚悟が、これまでにない激しさでe-パルスを刻み出します。
 
 
「ハルコ……ダメだよ……!
 大事な思い出を、消すなんて!」
「二人とも…! お願い! ハルコを……ハルコを助けて!」(シェイドモン)


 ナイトキロプモンを前に、なおも自滅同然の攻撃を仕掛けようとするハルコを止めて。
 マトモにセリフを喋ったのはほぼここだけです。
 どんなに邪険にされても、ハルコが本当はどんな子が誰よりよく知っているからこそ、
 自分から滅びようとすることだけは看過できなかったのですね。

 ここでハルコが思い出したのは、他ならぬマコトの笑顔でした。
 愛情に飢える彼女にとって、マコトの優しさはマジメな話、本当に救いだったのですね。
 家があんな有様だったのだから、考えてみれば当然かもしれない。
 
 
「シェイドモン…… ごめん……
 認めるわ…… お前はわたしの心の一部…… わたしの合わせ鏡……
 どんなに醜くても……ずっと一緒……!」(ハルコ)


 シェイドモンとの融合を解除されながら。
 たとえ心を縛り付けてでも、誰かに愛してもらいたい。
 自分にそんな一面があること、彼女はずっと嫌だったのでしょう。
 そんなことをしても虚しいだけだと、本当は悟っていたから。

 でも彼女は自分にそういう醜さがあると、シェイドモンを通じて認めました。
 その意味を知るのは、彼女たち自身だけなのかもしれません。
 
 
「沢城キョウ…… きっと後悔するぞ」(イズミ)

 去り際に。何を仕掛けてくる気でしょうね。
 ろくなことじゃないと思うけど。
 
 
「オ、オレは知らない……! 全部、アイツのバケモノが……!」(サニー)

 キョウに詰められて。いっそ清々しいほどの他責ぶりです。
 作品によっては鳩の紋章が入った短剣でブッ刺されても文句は言えないウジ虫っぷりですよ。
 見つめるハルコの目は、もはや憐れみに満ちてさえいますね。
 
 
「今のはあの子の分…… そしてこれが、俺のファミリーの分だッ!」(キョウ)

 サニーの胸ぐらを掴んでの制裁。口笛を吹いたレーナの顔も面白い場面です。
 ハルコではなく、同じ大人の立場にいるキョウがやるからこそ活きる状況ですね。
 腹の底から『ザマミロ&スカッとサワヤカ』の笑いが出てしょうがねーぜッ!
 とでも言っておきましょう。
 
 
「うん、大丈夫! 今は……二人だから!」(ハルコ)

 ひとりで大丈夫か、と訊くマコトに。
 影の際立つ朝焼けに映える「二人」の姿は、とても象徴的でした。
 これからの彼女たちは、良い意味でずっとしたたかに生きてゆくのかもしれません。
 愛をただ待つのではなく、自分から探しにゆくために。
 
 
「確かにあそこには何でもあるけど、デジモンだけはいない……
 だからぼくは、ここが好きです!」(マコト)


 ラストシーンのセリフ。
 理想郷と呼ばれる場所であっても、手に入らないものはある。
 なぜなら、理想とは与えられるものじゃないから。
 この作品は当初から割にずっと、そんなことを訴えてるように感じます。
 
 
 
 
★次回予告

 ムラサメモンと戦ってるのはレアモンみたいですが、炎の中のデジモンは一体……?
 有識者ならわかるでしょうか。それとも新デジモン?
 いずれにせよ、早くも五行星の一角が出張ってくるのかもしれません。
 これはヤバいですよ。今のグローイングドーンではたぶん手に余る。

 そして泣きながら黒いオーラを発するゲッコーモン。その行く末は?
 年末へ向け、最初の山場が目の前ですぞ。