五分と五分
脚本:赤星政尚 演出:石田暢
作画監督:北野幸広/佐藤敏明/細川修平/柳瀬譲二 総作画監督:諸葛子敬
★あらすじ
買い出しに出たトモロウは、光が浜という昔ながらの商店街に行き着きます。
そこに住む人々はサポタマも持たず、社会の変化を受け入れずに暮らしていました。
来る者拒まずなそのあり方に、トモロウは大きな衝撃を受けます。
ですが、光が浜は孤荒会というヤクザな連中に地上げを仕掛けられていました。
連中は毎日のように現れ、住民に威圧と嫌がらせを続けていたのです。
一帯を再開発してカジノ併設のリゾート施設にしようというのがその狙いで、
実際に光が浜以外はすでに住民が逃げ出して更地になってしまっていました。
そんな光が浜の用心棒的な存在として住んでいたのは、なんとデジモンでした。
パンダモンというそのデジモンは行き倒れていたところを地元の「熊猫組」に拾われ、
その親分と親子の盃を交わして町を守り続け恩義に報いていたのです。
親分は自分のe-パルスを差し出してパンダモンを養っていましたが、充分ではなく
現在のパンダモンは本調子とは言えませんでしたが、人柄の良さで慕われていました。
パンダモンを気に入ったゲッコーモンは、彼から提案を受けたこともあって
五分と五分の兄弟になろうとしますがその矢先、孤荒会が強硬手段に出ました。
重機型デジモンのケンキモンで、町そのものを叩き潰そうというのです。
パンダモンは被害を抑えるため、ミラーワールドへの入り口を作って
ケンキモンをそこに追い込みます。トモロウ達もあとを追って加勢、
パンダモンとの連携で見事ケンキモンを無力化することに成功しました。
しかし喜ぶ間もなく、突然の猛撃が襲いかかります。
孤荒会のボス、ユーカリのデジモンであるアスタモンの一撃でした。
ゲッコーモンを庇ったパンダモンは攻撃をまともに受け大ダメージ。
愕然とするトモロウの前で、アスタモンの銃が再びゲッコーモンたちを狙い……
★全体印象
5話です。
前回がレーナだったので次はマコトの掘り下げか、と思ったのですが
予告でなんとなく察してはいましたがゲストキャラ主体のお話になっています。
そのため、従来のレギュラーは前半にちょっと出ただけでした。
でもその分、光が浜とパンダモンの描写は今までのシリーズに無かった類で
なかなか新鮮に楽しむことができています。
メイン以外のデジモンは凶暴だったり犯罪の片棒を担いでいたりと
悪党ばかりだったので、パンダモンの存在がバランサーにもなってくれています。
このノリでとりあえず小さな解決を迎える人情話かな、と思っていたら
ラスト1分でまさかの急展開。ここで相手側にも完全体が出てくるとは!
ってことはこの世界観、完全体持ちが結構ウヨウヨいるってことですか?
怖っ! ビートブレイク世界怖っ!
ともあれ、解決は次回へ持ち越しです。
さすがにかなりの苦戦を強いられそうですが、その前に一時撤退と
パンダモンの過去について語るパートが必要そうですね。
こんな時こそ、ゲッコーモンにもさらなるテコ入れが必要なはずですが……
脚本は赤星政尚さん。シリーズ初参加です。
かつては特撮系の謎本を数多く手がけ、アニメ脚本も数多くこなしている
筋金入りのマニアでもあります。
あの「ウルトラマンメビウス」ではシリーズ構成もつとめていました。
こんな人まで来るとは、今期はいったいどーなってるんだ……
演出は石田暢さん。様々なアニメに関わってらっしゃるようです。
詳しくはありませんが「逃走中」からこの枠に参加してるみたいですね。
総作画監督の諸葛子敬さんも「逃走中」からの参加っぽいですね。
★キャラなど個別印象
・トモロウ
不案内な土地で意外な出逢いを果たすことになりました。
あって当たり前な世界に生きてきた彼にとり、サポタマというものは
イマイチ馴染めないけどそれが社会というものであったはずで、
自分のような人間のほうが社会にとっては異常と思っていたでしょう。
だから、サポタマさえ持ってない光が浜の人々には相当驚いたに違いありません。
サポタマにだって恩恵はあるでしょうに、その恩恵を受けることさえ良しとせず
古いままの暮らしを保っている人々がこんなにいるとは予想外だったでしょうから。
光が浜は極端な例にしても、本作の制度に馴染めない人々は想像以上に多いのかも。
今回はゲストの紹介が主であるため、どちらかというとサブに回ってます。
前回まででひと段落がついてる分、ゲッコーモンの方が目立っていた形。
・ゲッコーモン
メンチカツに釣られて地域の問題に首を突っ込みました。
突っ込んだというか頭っからぶつかってったわけですが……
人懐っこい性格をフルに発揮しており、パンダモンにもさっそく馴染んでいました。
そのパンダモンからの提案も素直に受け入れ、兄弟と慕うようになってます。
単に良くわかってない可能性もあるけど。
彼の性格、本来のトモロウの心根もあらわしている気がしますね。
社会での生きづらさが屈折を生んでしまったのかもしれません。
ゲッコーモン自身が備える負けん気は、その屈折に培われたものかもしれんので
生きづらさの全てが心の邪魔になるとばかりも言えないのですが。
バトルでは持ち前の長い舌を活かし、ケンキモンを撹乱しています。
これで相手の自爆を誘い、パンダモンのトドメへと繋げました。
・レーナ/マコト/キョウ
伽藍堂で前回の件について話していました。
上に書いた通りゲストの面々が主体なんで、出番はごく限定的です。
次回に期待しましょう。
・マキ
子供の頃に闇バイトが流行っていた、と言ってます。
でも吉村にツッコミ入れられて睨んでたんで十歳はサバ読んでそう。
・吉村
迂闊なことを言ってマキに絶対零度の視線を向けられていました。
でもここから、二人が相当の昔馴染みだということが何となく見て取れます。
彼、マキとは彼女が学生服を着てた頃からよく知り合ってる間柄なのかも。
・パンダモン
今回のゲストデジモン。ファンには周知の通り、これでも完全体です。
初登場は「フロンティア」と結構な古株ですが、印象はだいぶ異なりますね。
光が浜に居着いた経緯はあらすじで書いた通り。
この際サポ主らしき人間がそばにいましたが、そちらに関しては語られてません。
次回で語られる可能性があるので、そこんとこは期待しときましょう。
性格は実直で、義理と人情を重んじるというもの。
本来の設定だと無感情で無関心ということですが、寡黙なところはあるものの
義理人情うんぬんは元と真逆と言ってよい性格です。
このへんはサポ主の影響かもしれず、イコールサポ主も善人だった可能性が大。
e-パルスがないと生きていけないのは他と同じなので、熊猫組の親分から
少しずつこれを貰って生きています。
でも完全体なためか親分が老齢なためか、または両方が理由なのか
それだけでは全然足りず、すぐガス欠に陥ってしまいます。
つまり親分が言っていた通り、彼は実力の半分も出せてない可能性があります。
後半のバトルではそれが顕著で、ケンキモンを町から離したものの
その経緯で消耗してしまい、格下相手に攻めあぐねる状況へ陥っていました。
トモロウ達の救援がなかったら危なかったでしょう。
でも、当たりさえすれば一撃なあたりはさすが完全体ですね。
ラスト近くではアスタモンの急襲からゲッコーモンを庇い、重傷を受けてます。
その場では退場しませんでしたが、下手すっと次回でそうなる可能性も……
たとえ生き残っても今後が心配ですし、どんな顛末になるのでしょうね。
中の人は杉田智和さん。無印の頃は新人でしたが、今や押しも押されぬ人気声優です。
でもデジモンへの出演は「ゴーストゲーム」終盤のクラヴィスエンジェモンからと
実はかなり最近になってから。これからにも期待したいですね。
・笹竹親分
光が浜を長年守ってきたという「熊猫組」の親分。
70代半ばというところですから、当時の豊かな文化を享受してきた世代ですね。
熊猫組というものの実態は良くわかりませんし、合法的組織じゃないのかもしれません。
しかし彼らが町を守ってきたことは住民みんなが知っている事実なようで、
人々からはことのほか慕われている模様。パンダモンが受け入れられているのも、
あの親分が受け入れたなら……という安心から心を許しているところがありそう。
パンダモンを拾い、自らのe-パルスを差し出して助けたのは他ならぬ彼です。
その後親子の盃を交わした心理まではハッキリしませんが、すでに老齢であり
子供もいなそうな彼にとって、たとえパンダモンのような人間じゃない存在であっても
我が子同然に可愛がることは何かしらの意味があるのではないかと愚考してます。
いかんせん、上の通り充分なe-パルスをあげられているとは言えないのですが。
おかげでパンダモンの活躍に制限がかかり、ゲッコーモン達の出番が増えるのですけど。
中の人は沢木郁也さん。1970年代後半から活躍されてる大ベテランです。
「伝説の勇者ダ・ガーン」のレッドロンのような気性の激しい役もやってましたが、
最近は年齢の関係か穏やかな役が多いように思います。
「One Piece」の藤虎ことイッショウも寡黙でやたらと激しないキャラだし。
・光が浜の人々
昔ながらの街並みで暮らす人々。かなり昭和の匂いがする場所です。
建物は築100年がザラだったりしそう。
サポタマは持っておらず、昔のまま生活を送っている人々です。
社会の変化に取り残された人々、というと聞こえは悪いのですけれど
聞く限りサポタマ中心の社会のあり方や、シャングリラエッグのような存在には
かなり批判的なため、言葉通りあえてここに残った手合いが少なくないんでしょう。
彼らの存在は、本作の世界観の縮図のひとつでもあります。
「理想的な自分」を目指すのは結構なことですが、それを多くの人々に強制し
賛同しなかったりついて行けなかった者は明確に切り捨てるという構造は
やはり歪んでいると言わざるを得ないでしょう。
独裁さえも簡単に誘発しかねない考えです。いえ、もうそうなっているのかも。
整備されている地区とされていない地区の格差からも、そこは見て取れます。
あれは明らかに分断ですよ。ほとんど廃墟みたいな場所も多い。
シャングリラエッグ周辺はきっとしっかり整備されているだろうし、
そこに住む人々は外のことなど知ろうともしないのでしょうね。
だんだん笑えなくなってきたな……
・孤荒会の皆さん
前回の野木の裏にいたと推測されている方々。
地区再開発のため、光が浜の人々を追い出そうと色々悪どいことをやってました。
直接工事に関わるわけじゃないけど、大きなキックバックが見込めるのでしょう。
(キックバックって一回言ってみたかった)
その行動パターンは熊猫組と違って完全な反社のもので、暴力や恫喝は当たり前。
光が浜以外の地域の人々は彼らの暴挙に怯え、みんな他所へ引っ越してしまいました。
ケンキモンの参加でこの状況が加速したのでしょう。
・ケンキモン
孤荒会のバイト、待田の相方デジモン。建設会社関係かもしれません。
もっとも、やってることは建築じゃなくてただの危険解体でしたが。
このデジモンなら、他にもっと「建設的」なことができるでしょうに……
バトルでは不調のパンダモンを押していましたが、ゲッコーモンに視界を塞がれ
自分のクレーンを自分で食らって大ダメージを受けてしまいます。
そこへパンダモン渾身の「アニマルネイル」を受け、幼年期ボムモンへ退化。
直後にアスタモンの流れ弾を受け、哀れデリートされてしまいました。
本作におけるデジモンの末路のひとつを見た思いです。
・遊狩ケイスケ
孤荒会のボスか若頭に相当する人物。苗字はコアラの好物「ユーカリ」と思われます。
メガネといいその奥の険しい細めといい、いかにもという外見。
仮にも雇い主でありながらボムモンの巻き添えも厭わないなど、冷酷さも見えます。
パンダモンとも大きな因縁があり「パンダ野郎」と蔑称してました。
キョウ達は彼ら孤荒会に保護庁の情報が漏れている可能性を想像していましたし、
そうであれば野木がいち早く雇われたのも納得なんですが
本当にただの漏洩なのかどうかは大いに疑うべきところかもしれません。
なんせ国民保護庁は真っ黒クロスケなんで、わざと漏洩させて彼らのような反社を利用、
古いコミュニティを片っ端から破壊させているとしてもおかしくないからです。
人々に右ならえをさせるなら、馴染もうとしない者を切除するのが早道ですからね。
やはりディストピアまっしぐらの最中なのかもしれません。
中の人は真殿光昭さん。声優さんの中ではかなり特徴のわかりやすい方ですね。
デビュー周辺はイケメン役が多かったですが、近年は怪演も目立っています。
「ガオガイガー」のソルダートJみたいな浮世離れした役も得意ですね。
「クロスウォーズ」のネプトゥーンモンも近い系列でした。
今回の役はイケメンと怪演の間に位置するスタンスでしょうか。
真価を発揮するのは次回かもしれないけど。
・アスタモン
完全体の魔人型デジモン。遊狩のパートナーです。
「クロスウォーズ」では最上リョウマのパートナーとして登場しましたけれど、
その実態は恐るべきラスボスだったという曰くつきのデジモンです。
今回は最初から明確な適役であるぶん、遥かにわかりやすい立ち位置ですね。
そのマフィアめいた装いも立ち位置にハマってます。
その攻撃力は高く、パンダモンを一撃で戦闘不能に追いやるほど。
もし庇われていなかったら、ゲッコーモンはもっと深刻な目に遭ったでしょう。
そしてパンダモンがいち早く攻撃を察知したこと自体が、浅からぬ因縁の証。
パンダモンのかつてのサポ主は、コイツと遊狩にやられた可能性が高いですね。
あげくサポ主はe-パルスを奪われてコールドハートにされてしまい、
たぶんもう元には戻りません。回想シーンでのパンダモンの涙は、
まさにその時の経験によるものなんでしょう。細かい点では違うにしても。
ここは何としても、パンダモンに仇を討たせてやりたいところ。
引き換えにパンダモンが退場するとしても、それだけは遂げさせてやりたいですね。
・謎の男
冒頭、遊狩の連想に出てきた人物。
ケンキモンとそのサポ主を孤荒会に紹介したのは、どうやらこの人物みたいです。
紹介料をせしめているあたり、こっちも真っ当とはいえないですが。
一応、政府にはバレないよう動いてるみたいだし。泳がされてる可能性もあるけど。
★名(迷)セリフ
「ご苦労さま、ケンキモン」(待田)
まずはゲストから一献。相方の労をねぎらっています。
数少ない人間性が見て取れるセリフ。
「ヨッシー? 何か言った?」(マキ)
闇バイトが流行っていた頃は子供だった、という発言を吉村にツッコまれての一言。
視線がとても痛いです。やはり怒らせると怖いタイプだったか……
でも吉村の発言通りなら、現在のねんれ
……やめておきましょう。
「わっかんねぇよ! こんなテキトーな地図じゃ!」(トモロウ)
地図を見ながらの渾身のひと言。確かにこれではちょっとわかりません。
参照しようにもランドマークが無いし。最近になって無くなったってことですが。
これ書いたの、まず間違いなくレーナでしょうね……
「誰かに見られたらどうすんだよ…!
とりあえずこの舌は不用意に使うんじゃねぇ!」(トモロウ)
舌を伸ばして勝手に離れたゲッコーモンに。
でも、後半ではこの舌が大活躍することになるので一種の布石にもなってます。
「客人。少し下がっていておくんなさい」(パンダモン)
第一声。すぐに杉田さんとわかりました。
戸惑うトモロウとたじろぐ孤荒会の三下、湧く住民の温度差が面白い場面です。
「よくも… よくも…! よくも、俺っちのメンチカツを!」(ゲッコーモン)
おばさんが思わず落としたメンチカツを拾い損ねて。
まだ君のじゃない、とあらゆる人からツッコまれるであろうセリフです。
「何言ってんだい、変わっちまったのは社会の方だろうが。
お上の言う”理想的な自分”なんてクソ喰らえさ」(メンチカツ屋のおばさん)
トモロウをして「あんたら変わってるな」と言わしめたことへの反応。
焼き鶏屋のおじさんは自分たちのことを「はぐれ者」と称しているし、
「理想的な自分」と言うスローガンには相当に嫌な思いをさせられてそうです。
なんなら元いた場所を追い出された可能性だってあるでしょう。
「パンダモンには、今どきの若いもんが失っちまった任侠心があります。
あいつぁ、立派な任侠モンだ」(笹竹親分)
パンダモンの人格を評して。
案外、それはこの人のe-パルスの影響かもしれませんが……
まあこの際、野暮は言いますまい。
「一宿一飯の……ゾンビ?」(ゲッコーモン)
「恩義です」(パンダモン)
上の直後。思わず笑ってしまいました。
冷静に言い直すパンダモンがまた可笑しい。
「客人……いや、ゲッコーの。
あっしと五分と五分のきょうだいにならないか?」(パンダモン)
一緒に町を守ろう、という申し出に賛同したゲッコーモンへの誘い。
この場は有耶無耶のまま状況が変わりましたがゲッコーモン自身も乗り気で、
後のシーンでは早くもパンダモンを「キョーダイ」と呼んでいます。
でも若干フラグに見える場面ですね……
パンダモンの傷といい、あまり良い結果にならない気がしますよ。
「あいつ、ミラーワールドの入り口…開けるのか!?」(トモロウ)
町の被害を防ごうと、自らミラーワールドの入り口を作ったパンダモンに。
ただ3話の状況証拠的にハイエモンが同じことをした可能性があるんで、
開けること自体がレアスキルとはまだ断言できなかったりします。
4話のマッハモンと野木も明らかにミラーワールドを利用していたし。
ただ、自力で開いた場面があるのはパンダモンはじめ完全体だけなんですよね。
だから少なくとも、ある程度以上の力があれば開けるんでしょう。
少なくない消耗があるためか、パンダモンは弱体化してしまってましたが。
「キョーダイが言ったとおりだ!
半分こすると、嬉しいのが倍になるってナ!」(ゲッコーモン)
パンダモンとの連携でケンキモンを無力化できたのを受けて。
この時、彼は本当の意味で「キョーダイ」を理解したのかもしれません。
知らない同士が知り合ってキョーダイってぇのの、どこが古いんだ。
しかし直後、そんな義理と人情を嘲笑うように猛撃の雨が襲うのです……
★次回予告
レーナとマコトも参戦するものの、アスタモン相手に大苦戦するようです。
なぜかキョウの姿はありません。何か事情があるんでしょうか。
どうやら、早くも第一の正念場がやってきたみたいですね。