グローイングドーン

脚本:山口亮太 演出:小松由依 作画監督:近藤瑠衣/諸葛子敬/酒井夏海/洪範錫

総作画監督:小島隆寛

★あらすじ

トモロウの怒りのe-パルスを注がれ、猛撃をかけるゲッコーモン。

しかし不慣れな戦いからの消耗と、ヒトミを襲ったハイエモンが
自分の「ニオイ」を追っていたことを知ったトモロウは、彼女の窮地を招いたのが
やはり自分自身ではないかと悩み、一転大ピンチへ陥ってしまいます。

レーナとマコトが助けへ入るものの、事態は好転しません。
そのとき突如として現れ、ハイエモンスカーをデリートした謎のデジモン。
キョウとムラサメモンが割って入るも、相手は空間を割って逃げてしまいます。

気を失ったトモロウが次に気づいたとき、見知らぬ場所に寝かされていました。
そこは賞金稼ぎ「クリーナー」の一角「グローイングドーン」の宿舎。
キョウは、トモロウの兄アスカから弟を預かるよう頼まれていたのです。

そのアスカはe-パルスを奪い尽くされ、病院で廃人同様になっていました。
彼を元に戻すには、謎のデジモンが奪っていったハイエモンのサポタマを
どうにかして取り戻す以外に希望はありません。

キョウにグローイングドーンへの参加を勧められるトモロウでしたが、
まだ気持ちの整理がまったくついていない彼はこれを拒否。
一度自宅へ戻るものの、ゲッコーモンが追いかけてきました。

そのうえ、クリーナーチームの「キノコ団」が襲ってきます。
トモロウはデジモンが出たことを報告してサポタマを提出しておらず、
少額ながらも「賞金首」にされていたのでした。

危ういところを、再びレーナ達に助けられたトモロウ達。
賞金首扱いの免除を受けるため、何よりいつか兄の心を取り戻すため、
彼はクリーナーとして働く決意をするのでした。

 
 
★全体印象
 
2話です。
e-パルスをゲッコーモンに注いでトモロウ大反撃、な流れかと予想してしまってましたが
彼本人がまだ右も左もわかっていないのと、ヒトミが襲われた原因が
やはり自分にあるらしいと知ったことで意気消沈してしまってます。
スパロボで言えば気力-50状態。

が、ここで謎のデジモンの介入によってトモロウに強力な動機を作り、
さらに自身の立場を守るためにもグローイングドーン入りを決意させるなど
スムーズに状況が固められており、次の展開を期待させる流れになってます。

グローイングドーンの面々もトモロウへの接し方などで割と自然に
それぞれのキャラを立てており、ソツがありません。
本格的な掘り下げはこれからでしょうし、期待させてもらいます。

一方でデジモンの隠蔽など、世界観の闇もジワジワ広がっていますね。
トモロウが物凄い勢いで犯罪者扱いになってるし、その彼を狙って
キノコ団のような面白チンピラ集団まで寄ってくるし。
だいたい賞金首って時点で穏やかじゃありません。

どうも息苦しさを感じる世界です。現代よりもっと酷い。
誰がこんな世の中にしたのでしょう。やっぱりOPにいる連中?
一番怪しいのはあの老人ですが……

作画は前回に続いてよく動きます。
予告でなんとなく予想してましたが、やっぱり志田直俊さんもいましたね。
演出の小松由依さんはサブSD。以前は「デリシャスパーティプリキュア!」
などに参加していたようです。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・トモロウ

 今回はそのナイーブな性格から、反撃のチャンスをみすみす失ってしまいました。
 本作のデジモンはフツーに人間を餌として狙ってくるというのもあって、
 まだスタートラインにも立っていない立場ではやむを得ないところでしょう。

 それに、彼は以前から「自分はマトモではない」と思い込んでいます。
 ご両親は健在らしいのですが、離れ離れに暮らしているのだとか。
 彼は、そのことも自分が原因だと思い込んでいる節があるんですよね。
 今回のことで、それを確信したような気持ちになってしまったのでしょう。

 キョウに誘われた際、拒絶の態度を取ったのも無理からぬことです。
 アテがあるわけでも、本当に兄を元に戻せるかもわからないのですから。
 無力感が募っている状態では「そんなことをしてどうなる」にもなりましょう。

 最終的にはクリーナーとして働く肚を決めるものの、今のところはまだ
 状況に振り回されている状態です。これからに期待ですね。
 
 
 
・ゲッコーモン

 成熟期になるのかと思ったら別にならなかった主役デジモン。
 一気呵成に進化してウオオすげえe-パルスだ! とはいきませんでしたね。
 個人的には納得できたけど。

 トモロウのメンタルが不安定なので、前半はすぐ息切れしてしまいました。
 でもポジティブで好奇心旺盛な性格からあまり細かいことは気にせず、
 ひたすらトモロウに纏わりついていました。
 そのうちセイバーズみたいにでかい喧嘩をやらかすかもしれません。

 後半のキノコ団との戦いでは胞子によって体全体にキノコが生えてしまい、
 弱体化の憂き目に遭っていました。ゴーストゲームの悪夢再びです。
 まあこのキノコ、今回は簡単に取れるし痛みもないみたいですが。

 そういえば、人間と同じものを食べるデジモンは珍しいのだそうです。
 このあたりも彼のイレギュラーさの証なのでしょうか。
 
 
 
・レーナ

 トモロウへの接し方が大分ざっくばらんな人。
 マコトへの丸投げっぷりから、私生活もガサツであることが見て取れます。
 今後も共同生活にあたって色々トラブルがありそうな予感しかしません。

 彼女やマコトはどんな経緯でグローイングドーンに入ったのでしょうね。
 トモロウ同様、その強いe-パルスが原因だったとか?
 所謂「サポ主」はみんな、大なり小なりe-パルスが規格外なのかも。
 もしや、サポタマはそういった人間を選別するためのものでもある……?

 バトルでは、ウルヴァモンと共にトモロウを良くサポートしていました。
 前半ではうまくいってませんでしたが、後半では大きな一助を担っています。
 
 
 
・プリスティモン → ウルヴァモン

 トモロウへ凄むなど、成長期の時点から割と強気なお方。
 実際、この姿でも設定上はかなり凶暴な性格ってことみたいですからね。

 強気っぷりはバトルでも遺憾なく発揮されており、最たるものはやっぱり
 キノコ団に壮絶な笑顔で凄んでみせるあたりですかね。
 彼女とレーナなら、あのような小物は相手にならんのでしょう。
 逆に言うと、一話の峰崎とワスプモンはやはり結構手練だったんでしょうね。

 バトルにおいては得意技のひとつ「トムボーイブレイズ」を披露しています。
 ただでさえ実力が上なのに、炎とあってはキノコ団にとって脅威でしょう。
 こうかはばつぐんだ。
 
 
 
・マコト

 トモロウへの対応で、年齢の割に丁寧でしっかりした人物像があらためて浮き彫りに。
 情報分析のみならず、普段は細かい家事も担当していることがわかります。
 洗濯物の出し方についてレーナに文句をつける場面からもその几帳面な性格と、
 レーナとの普段の様子が容易に想像できますね。

 これだけちゃんとした子なのに、なぜ賞金稼ぎに加わっているのでしょう。
 やはり気になりますね。明らかに育ちがいい雰囲気なのに。
 いや、「だからこそ」ってことなのかな……嫌な想像が頭をもたげますね。

 彼によると、ゲッコーモンはデータに無い新種のデジモンなのだそう。
 もっとも、人間の感情からサポタマを介してデジモンがボコボコ生まれてる以上、
 新種が現れたとしても決して不思議ではないのかもしれません。
 
 
 
・キロプモン

 目を介して自分で映像記録できることが判明しました。便利ですね。
 ってことは、コウモリモチーフだけど視力はそれなりにあるってことですね。
 様々なものを知りたがるぶん、視覚も発達させてるってことなのかな。

 活躍は主に後半のバトル。
 「パラライズエコー」は対人において絶大な効果がありますね。
 サポ主にとっては、強いデジモンとの正面対峙より怖い存在かもしれません。

 そういう意味じゃ、進化せずともサポート役として有能といえます。
 いずれ成熟期以降も見せてくれるんでしょうけど。
 
 
 
・沢城キョウ

 ムラサメモン共々、今回も馬鹿みたいにカッコいい登場。
 相方に対応をさせるのみならず、自身もゲッコーモンの無謀を止めています。
 弱っているとはいえ片手で止めるとは、かなりの腕力。
 その後トモロウの保護を優先しましたが、これはたぶん賢明な判断ですね。

 実はトモロウの兄アスカの古い友人であり、そのアスカから
 弟であるトモロウを預かってくれと頼まれていました。
 どう転がり込むのかと思ったら、そういう流れでしたか。それなら話が早い。

 トモロウに対してはあくまでも冷静に、大人の立場から意見しています。
 選択肢がないことを強調するあたりは若干イジワルでもありましたけれど、
 トモロウには他に道がないことを最初から悟っていたのでしょう。
 それはどうしようもないほど事実だったし。

 料理が得意なようで、今回は二度もメインディッシュを拵えていました。
 ひょっとすると、元々はシェフ志望だったのかもしれませんね。
 彼の料理には専門の作画担当まで付いてるので、毎度の定番になりそうです。
 
 
 
・クーガモン → ムラサメモン

 謎のデジモンを相手にさっそく実力を見せつけています。
 決着がつかないまま逃亡を許すことにはなりましたが、ダメージも一切負ってません。
 しばらくは頼れる切り札として活躍してくれそうです。

 中盤からは成熟期クーガモンとしての姿がメイン。
 キョウに頭を撫でられていたり、猛獣というよりも大型の猫といった風情です。
 そして動かない。やはり普段は力を抑えているのかも。
 完全体進化ともなれば、相方の負担も半端じゃないでしょうし……
 
 
 
・アスカ

 コールドハート状態へ陥り、病院で見る影もない姿を晒していました。
 その有様は、事態の深刻さを悟ったトモロウが思わず号泣するほどです。
 元に戻そうにも、ハイエモンスカーのサポタマは持ち去られてしまった後。

 でも、彼を救うことがトモロウにとって強いモチベーションになるのは間違いありません。
 残酷ですが、逆境がなければ牽引も生まれないものです。
 
 
 
・ヒトミ

 今回でハイエモンピアスにe-パルスを食われたことが判明しました。
 見たところ、帰宅間際かどこかへ出かけようとしたところを襲われたのでしょう。
 タイミング的に、サポタマ交換サービスへ行こうとしていた時かな。

 とりあえず、彼女を元に戻すことがトモロウの第一目標になりそう。
 彼女とはほぼ初対面の間柄でしたが、自分の蒔いた種を刈り取るために
 どうしても越えなければならない第一の壁でしょうから。
 
 
 
・ハイエモン

 前回にも増して悪辣さを発揮しており、トモロウを激怒させています。
 二体揃って見た目そのまんまのゲスですが、結構しぶとかったりもします。
 後ろに回り込んでトモロウを襲うスカーの行動は、ハンターらしさも窺える面。

 気になるのは彼ら、サポ主らしき人物がいないんですよね。
 これは想像なんですが、ひょっとすると最初に食ったのがそのサポ主なのかも。
 サポ主が碌な人間じゃなかったとしたら、そこから生まれたコイツらもまた
 ゲスな性格になるかもだし「主人」を立てるようなタマでもなさそう。

 が、アスカのe-パルスを食ったスカーは進化を試みる直前、謎のデジモンによって
 一撃のもとにデリートされてしまいました。ワスプモンと違って二段階差はあるし、
 あまりにもダメージが大きすぎると退化するだけじゃ済まないんでしょうね。

 この光景を見て恐れをなしたピアスは、慌てて逃げ出しています。
 でもトモロウのことを諦め切れないのか、次回で再登場するっぽいですね。
 トモロウにとっては向こうから来てくれるのだから、かえって重畳でしょうか。
 
 
 
・キノコ団の皆さん

 トモロウとゲッコーモンを襲った賞金稼ぎ集団。
 賞金首になる過程を丁寧に説明してくれる役割でもあります。

 チームとしては強い方じゃなさそうな上、かなりセコい性格で
 賞金首になったばかりで額の低いトモロウを狙って現れました。
 要するに弱いものイジメをして小遣いを稼いでるということですが、
 自分の実力を知っているという意味では馬鹿ではないのかもしれません。

 連れているデジモンはマッシュモン二体とシャンブルモン。
 出るなり、シビレ毒でゲッコーモンを一時的麻痺に陥れていました。
 これに関しては吸い込みさえしなければ危険は少ないようなのですが、
 彼らの危険性はこの状態異常にあると言っていいです。

 正面切っての実力は大したことがなく、マッシュモン達はゲッコーモンの反撃で
 あっという間にKOされるのですが、問題はシャンブルモン。
 一体だけ成熟期だし、このデジモンがエースなのは間違いありません。

 このシャンブルモンの胞子が付着すると、体にキノコが生えてしまうのです。
 この影響でゲッコーモンはおろか、トモロウの手にまでキノコが生えてしまいました。
 こうなるとe-パルスを吸われ放題なので、かなり厄介な手合いです。
 そのヤバさは「ゴーストゲーム」でも証明済み。

 でも炎には弱く、キノコは全てウルヴァモンに焼き払われてしまいました。
 直後にそのウルヴァモンの脅しを受け、団ごと戦闘を放棄して退散しています。
 危険をできるだけ冒さないという意味では、やはりある意味賢明です。
 成長はしないでしょうけど長生きはしそう。

 声の出演は沼田祐介さんに高戸靖広さんなどと、シリーズお馴染みの顔ぶれ。
 もっと言えば、ここの東映枠における定番ってやつですね。
 
 
 
・謎のデジモン

 突然現れ、ハイエモンスカーを瞬殺してサポタマを奪い去った存在。
 姿には影がかかりっぱなしでしたが、その異様な迫力から
 ウルヴァモンは完全体かそれ以上と見立てていました。ムラサメモンとも互角。
 なぜかデータがロックされているのも気にかかるポイントです。

 たぶん、その実態はゴクウモンでしょう。
 デザインと携える棍から、ほぼ確定といって良いかもしれません。
 これまでの出演は「クロスウォーズ」三期の過去エピぐらいだったはずですが
 実直そうだったあちらに比べてだいぶ悪役っぽい雰囲気を醸し出してます。
 元々の設定にはこっちの方が近そうにも見えますけど。

 声の出演は山路和弘さん。渋い。
 「ゴーストゲーム」ではピエモンを担当されてた大御所の一人です。
 「サヴァイブ」の教授みたいな役も良いですが、敵役もやはりハマる。

 山路さんといえば「ドキドキ!プリキュア」のベール役でもありました。
 シリーズ構成がドキドキと同じ山口さんだし、その縁で呼ばれた可能性も?
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「でも、あんなe-パルスの使い方をしていたら……すぐに限界が来てしまいます!」(マコト)
 
 ハイエモンを圧倒しているゲッコーモンを観察しながらの冷静な分析。
 離れていても、トモロウのe-パルスは消耗し続けているのでしょう。
 どうやら本作は人間の側の負担も思ってた以上にデカそうです。
 
 
「だが期待はずれもいいところだ。味はイマイチだったぜぇ!」(ハイエモンピアス)
 
 ヒトミのe-パルスをトモロウのものと誤認して食ってしまったことへのコメント。
 猛獣としては本能の一環ですが、意志と知能をもってやっているのだから
 これは悪辣というしかないでしょう。
 トモロウの方は直後に明かされた事実でそれどころじゃなくなるのですが。
 
 
「リンクが切れそう」(キロプモン)
 
 トモロウの意気が下がったことで、ゲッコーモンとの繋がりが希薄になっているのを
 いち早く察してのセリフ。本作のデジモンはe-パルスで強化してもらえるものの、
 パートナーのメンタル次第で供給が滞ってしまうのでしょう。
 
 
「そのサポタマ、返してくれないか」
「あいにくこっちは君の名前は知らん。悪いが、サポ主を呼んできてくれないか」
「──なら仕方ない」(キョウ)

 
 謎のデジモンに。直前ではゲッコーモンの突進を止めています。
 まずは交渉を持ちかけていますが、表情は全く持って冷徹です。

 相手の返答は「断る」と取り付く島もないものでしたが、逆にいうなら
 向こうにもサポ主が厳然と存在してるってことですね。
 データがロックされてるってことは、だいぶ闇に近いところにいそう。
 
 
「面白い、記録しなくては」(キロプモン)
 
 キョウの料理をうまそうに食べるゲッコーモンを見て。口癖になりそうな一言。
 目を記録モードにするためには、一度瞼を閉じる必要があるみたいですね。

 ということはこのキロプモンとプリスティモンは人間の食事を食べず、
 e-パルスだけで賄っていることになりますね。ちょっとしんどそう。
 そもそも「食べない」のでしょうか、それとも「食べられない」のでしょうか。
 
 
「お前のことなんかどうでもいいけど…ここで見捨てたら、後味悪いだろ!」(トモロウ)
 
 ゲッコーモンを連れて逃げる最中、助けてくれるのかと訊かれて。
 隠し切れない主人公の善性が滲み出ています。
 
 
「さて……次、誰焼く?」(ウルヴァモン)
 
 開幕でキノコを焼き払い、キノコ団の前に立ちはだかって。
 すでに相手が悪いとわかってビビってた向こうさんにとってはダメ押しです。
 謎のデジモンにもすぐ素性が割れたし、キョウって相当の有名人なんですね。
 
 
「食べるってことは、生きるってことだ。
 お前の兄さん──アスカを救うためにも、今は食え」(キョウ)

 
 トモロウ達をキノコのバター醤油パスタで出迎えて。
 トモロウはこれを聞き入れ、ぎこちないながらも手を合わせて端を伸ばしました。
 本来育ちのしっかりした子だということがよくわかります。

 これは、彼がグローイングドーンの一員となった瞬間でもありました。
 主人公としてようやくスタートラインに立ったわけですね。
 
 
 
★次回予告

 新キャラ登場のようです。そしてハイエモンピアスとのリベンジマッチですね。
 まずはヒトミの心を取り戻してあげないといけません。
 トモロウが歩いているのはデジタルワールドの一角でしょうか。
 敵のファングモンは、普通に考えればハイエモンからの進化ですが……

 いずれにせよ、簡単にはやれそうにないですね。