さよならアストラ!? ドリーモンの悪夢!

★あらすじ

父・龍太郎が過労から倒れ、茶道の家元という家業の重さを改めて実感した虎次郎。
直前にその父から京都の寺で修行してみないかと持ちかけられていたこともあり、悩むようになります。
そこで安眠のために「夢アプリ」なるものを使ってみたのですが、逆に悪夢を見てしまう有様。
夢アプリに潜んでいた超アプモン、ドリーモンは虎次郎の心が悪夢そのものだと、謎めいた発言を残します。

そんな折、メディカルアプリの超アプモン・メディックモンがLウィルスで暴走して事件を起こしていました。
巻き込まれた父を探す虎次郎の前にまたもドリーモンが現れ、いきなり彼を眠らせます。
夢の中で待っていたのは家業とアプチューバーの夢、どちらを選ぶかという人生の選択でした。

しかし、虎次郎の答えはどちらも選ばない、というもの、
両方の道をあわせた新しい道を掴む、という彼の言葉に感銘を受けたドリーモンは自らチップ化を遂げます。
その力はミュージモンを超アプモンのさらに先、極アプモンのエンタモンへと進化させました。
浄化されたメディックモンがセブンコードアプモンであることもわかり、いよいよ残りは一体となります。

事件の後、虎次郎は父に選択を伝えます。それは東京に残る、というもの。
茶道とアプチューブの両立。将来へ向け、またひとつ彼らに目標ができたのでした。
 
 
 
★全体印象

20話です。
今回は全面的に虎次郎とミュージモンが主役。ハル組とエリ組は聞き役に徹している感じです。

内容的には、6話のそれをさらに一歩進めたものです。
このままアプチューバーとしての活動を続けるのか、家業を継いでこれに専念するのか。
まだ中学生にもなっていない彼へ突きつけるには、いささか重すぎる選択肢が示されていました。
どちらも捨てない、という強気の選択はしかし、まさに虎次郎の若さゆえなせることでしょう。
たとえ将来的にどうであろうと、今の彼らにとってはそれが最良の道なのかもしれません。

このあたりの詳細は個別へ譲るとして、今回はエンタモンが初登場するお話でもあります。
ドリーモンとの組み合わせであの姿へ至ることはわかっていたのですが、まさかいきなり登場するとは。
それ以前にドリーモンはスリープモンからの進化体でもあるので、そっちが関係するのかと思ってました。
フタ開けてみたら全然関係ない人でした、というのはまあタイムモンもそうなのですけど。

しかしこのドリーモンの登場があまりに唐突なのもあって、虎次郎側が完全に棚ボタ状態。
前回と違って通常のアプモン事件と大差ない状況でもあるので、エンタモン登場のお膳立てが不足しています。
ぶっちゃけメディアモンのままでも何とかなったんじゃね? と思わされてしまっては……
せっかく敵方ゲストにも超アプモンが出てくるようになったのですが、そちらの強敵感も足りませんでした。

よくよく考えてみれば、主役側のパワーアップが連続して起こる自体は別に珍しいことじゃありません。
本作の場合はそこへの仕込みが弱いので、唐突に感じてしまうのかもしれません。印象って大事。
せめて残りのアイツはともかく、ドリーモンだけでもタイムモンの知己みたいな扱いで先に出しておいて
虎次郎に興味を抱くような描写でも入れておけば違ったのかもしれませんけど。
…ドリーモンのCGモデルが間に合ってなかった? そう言われても視聴者には関係ないことですし……

脚本は山田由香さん。虎次郎の初登場回を書いた人でもあります。事実上のアストラ担当かも。
作監は冨田佳亨さんと山村俊了さん。どちらも幅広くやってるようですが、後者は東映作品の仕事が多めな模様。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・ハル組とエリ組
 
 上に書いた通り、ほぼ完全に脇へ回っています。虎次郎ママであるジェニーについては、今回で初めて知った様子。
 エリの両親に至ってはいまだ詳細がわからないままなので今さらですけど。

 そんな中、なにげにハルが大の注射ギライであるというそれだけで1本作れそうな設定が明かされています。
 対メディックモン戦においては、そのせいでまともに戦うことすらできずにいた模様。
 いったい過去にどんなトラウマが…と思うまでもなく、注射は誰だって好きじゃありませんけどね。
 私だって刺される瞬間は今でもちょっと嫌だし。
 
 
 
・虎次郎
 
 選択肢を突きつけるドリーモンに対し「アプチューブ茶道」を目指すという3つめの選択をぶち上げてみせました。
 それはドリーモンのコメント通り、いまだ何なのか全くわからないものです。
 というかぶっちゃけ、虎次郎がその場のノリで両方を併せると言っただけで構想も何もないのですけれど。
 伝統を守ると同時に新時代の要素をも貪欲に取り入れてゆく、そんなイメージも抱かせてはくれますが。

 ただ無論、彼の選んだ道はたいへん険しいものです。
 ヘタをすれば単なるどっち付かずとなり、両方の夢を失ってしまいかねません。
 そのことは、彼が大人になってゆけばゆくほどに現実の壁として実感できてくるはずです。
 例えば父親である龍太郎ぐらいの年なら心得があっても体力的に両立は無理だし、やろうとさえ思わないでしょう。
 自分のキャパシティというものを思い知ってしまっているからです。

 だからその範囲で折り合いをつけ、諦めねばならないものを選び取ってゆかねばなりません。
 いつしか諦めることが当たり前になると、そこから老いが始まるのだといえます。
 虎次郎の宣言は、まさしく彼が己の限界を知らぬ子供だから言えることなのでしょう。
 夢のラストが暗闇への落下という縁起でもない状況なことが、今後の苦難を予兆しているように感じます。

 けれど時代はいつだって、彼のような若い活力を求めているのです。
 新しい道を切り開くのは老人ではなく、常に彼らのような若者たちなのですから。
 
 
 
・ミュージモン→メディアモン
 
 あんた元から髪ないだろ、とも言い切れない今日この頃。後頭部のアレは突起? 地毛?

 閑話休題。
 今回はエンタモンのお披露目とあってメディアモンとしての出番はほとんどなく、並状態での出番がメイン。
 また8話あたりと違ってあくまでも虎次郎の描写が主体なので、彼のほうはあまり目立ちません。
 エンタモンとしての活躍については次に譲ります。
  
 
 
・エンタモン
 
 メディアモンとドリーモンがアプ合体することによって誕生する超アプモン。
 偏見になりますけど、何かロックマン系のデザインと感じました。
 私事ですが、3DSのゲームで最初に手に入れた極アプモンもこのエンタモンだったりします。
 しかし単体でいきなり入手したので、しばらくの間メディアモンと誰の組み合わせで出てくるのかわかりませんでした。

 さて、その能力はメディアモン同様冷静に見るとなんだかよくわからないものです。
 突然ステージのようなものを作って敵を指名し、そこ目がけて必殺のポルテメロスを放っていました。
 しかも、ああした演出はメディアモンの時もやっていたのであんまり差があるように見えなかったりします。
 前回のグローブモンがえらくハードルを上げてしまっていたので余計、出た状況も能力もグレードダウンな印象を拭えません。
 え、こんなんでいいの? というのが偽らざる心境です。

 おまけに虎次郎の描写へ大きく重きを置いているため、敵側の強さがほとんど描写されないまま。
 明らかに段違いで手強くなった暴走アプモンを、負けじとさらに一段強くなった虎次郎組が下したぜ! な手応えはありません。
 超アプモンが常態化してほしいとは言いましたが、出せばいいってもんでもないですね。

 そして、どうやら次回にはエリも極アプモンへ到達するようです。
 このぶんだと春までにはダンテモンとリバイブモンが出て、さらにディープウェブへ殴り込みリヴァイアサンと戦いそうですね。
 さすがにそこで決着はつかないでしょうけど……
 
 
 
・ドリーモン

 まるで悪役みたいなサブタイで登場するも、割と出た瞬間に味方だと判明した超アプモン。
 喋り方は老人のそれなので、働いたら負けなスリープモン系なゲーム版のセリフ回しといささかギャップがあります。

 なんでも極アプモンとなるためアプ合体相手を捜していたそうで、その相手が虎次郎組でした。
 悪夢を見せたりその中で選択を強いたりしたのは、あくまでも彼らの資質を試すためであって悪意はありません。
 結果として予想を超える反応を見られたことに満足し、自らの力を託しました。
 かなりツッコミどころのある行動です。まずアプ合体相手っちゅーのは自分で決められるもんではないですし、
 仮にわかっていたとしても一体それをどうやって知ったのでしょう。ゲーム版の攻略wikiを見たわけでもありますまいに。
 後者についてはタイムモンにも言えることなのですが。

 タイムモンと言えば、なぜドリーモンをタイムモンの関係者にしなかったんですかね。
 「タイムモンから聞いた」とか「タイムモンが極になったと噂で知った」とでも言わせておけばまだ良かったものを。
 それはそれで御都合ではあるのですけど、いきなり何のフォローも無いよりかはマシだったでしょう。
 いやそもそも、タイムモンと電衛門の関係自体も謎だらけなんですが。

 または現状伏せておいて、後から「実は知り合いでした」「知り合いだったんかい!」な展開にする気とか?
 …あり得るな。

 中の人は宮澤正さん。すでに還暦を迎えていますが、声優としての活動は40代の頃から始めているようです。
 個人的には「第3次スーパーロボット大戦α」のバラン・ドバンが印象的。
 
 
 
・飛鳥龍太郎

 ぶっ倒れかけたまま夕方まで放置されてた人。

 やはり息子と似たもの同士、血は争えないのかなと今回で感じました。というか子供の頃はそっくりだったようだし。
 それを存在自体で証明しているのが妻のジェニー。
 イギリス人である上に恐らくかなり年の離れた彼女を妻に迎えるとは、実に思い切った決断をしたものです。
 ああ見えて、結構ノリだけで決めて突っ走るところがあるのかもしれません。

 また同時に相当の努力家、頑張り屋であることも示されています。
 そのせいで無理をしてぶっ倒れたり、狂ったアプリの支持に従って延々とウォーキングしてしまったりするのでしょうけど。
 一度決めたら譲らなそうなところも、どこか息子へ受け継がれているように感じます。

 たとえ勢いであっても、心の底から出た意志であるならそれは真実であり、生きる力となる。
 それを本人が一番よくわかっているのでしょうか、虎次郎の答えにも全く驚いた様子がありませんでした。
 まあ予測はしていたけど持ちかけてみた、ってところでしょう。「行く」って答えた方が驚いたかもしれません。
 喜びはするでしょうけれど。
 
 
 
・飛鳥ジェニー
 
 ミュージモンに口癖を移したのかもしれないイギリス人女性。龍太郎の妻、すなわち虎次郎の母にあたる人物です。

 イギリスにいた頃、紅茶店で偶然龍太郎と手が触れ合ったのが馴れ初めだったそうです。誇張入ってるっぽいけど。
 そこからどーゆー経緯をたどって今に至ったのかは不明ですが、彼女のほうからグイグイ迫ったんですかね。
 ある程度からは逆に、龍太郎の方から寡黙に引っ張って行った可能性もありますけれど。

 いずれにせよ、健康を気にする年齢な龍太郎の妻としてはかなり若いです。30代にしか見えない。
 ゴールインしたのが10数年前と過程すると、出逢った頃はヘタすっと10代だった可能性すらあります。
 虎次郎の夢では亭主と同じように年を食っていたので、ああ見えても50近いのかもですけど若く見えるのは確か。

 普段からかなりのハイテンションで、コミュニケーションの間合が近いため子供っぽくも見えます。
 そのためか、虎次郎には「母さん」でも「お母様」でもなく単に「ジェニー」と呼ばれていますね。
 たぶん虎次郎の性格と、あとは年頃の少年にありがちな心理から来る呼び方でしょうけれど。

 とはいえ、虎次郎がなぜあーゆー風に育ったか妙に納得がいきました。この母にしてこの息子あり。
 ハーフ設定だったってことは、あの金髪と青い目は単なる色指定じゃなかったわけですね。
 それ言われたらエリなんてどこの人種だって話になりますが。

 中の人は中尾衣里さん。名前を覚えたのは「ワールドトリガー」の宇佐美栞さんからです。
 「ゼノブレイド」のヒロイン、フィオルン役としても記憶に新しいところ。
 レコモンといいコーチモンといい、本作はやけにゼノブレイド率が高いです。
 
 
 
・メディックモン

 今回の暴走アプモン。メディカルアプリのアプモンです。当該アプリの詳細は不明。
 前回でバイラモンは全滅しましたが、Lウィルス自体はまだ根絶されてはいないようですね。
 やはり、リヴァイアサンを倒さない限りはLウィルスが無くなることはないということなのでしょう。
 バイラモンはつまり、このLウィルスを自由に媒介できるアプモンだったというわけだ。

 劇中では健康管理アプリを狂わせ、医療現場にまで深刻な影響を与えていましたが描写はほぼギャグ一色。
 というか、やってること自体は並アプモンと大差ありません。
 ではバトルで強さを示すのかと言えばそれもなく、虎次郎組が来るまでの戦い自体がほぼ省略されてます。

 これでは、極アプモンの強さを示す噛ませとしては役者不足としか言いようがないでしょう。
 目立った功績(?)といえば、ハルの弱点(?)をひとつ暴き立てたことでしょうか。忘れ去られそうだけど。

 でありつつ、実はセブンコードアプモンであることが発覚しています。
 しかも、ダンテモンの胴体にあたるという重要な部位。だから超アプモンだったんですね。
 この調子ですと、なんかもう次くらいには頭部担当も判明しそうですな。
 
 
 
・巻き込まれおじさん

 毎回アプモン事件に巻き込まれる人。
 今回はオペ中にライトがディスコ風になってしまい、サタデーナイトフィーバーを決めながら絶叫していました。
 繰り返しますが、オペ中です。手術せい。無理だけど。
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「オレはどっちも選ばない!
 アプチューブも、跡継ぎも、両方できる道を探す! 飛鳥流アプチューブ茶道を、なんとかして切り開いてみせる!
 ミュージモンと一緒なら、絶対できる!!」(虎次郎)


 悪夢の中、選択肢を突きつけてくるドリーモンに。
 ほとんど思いつきみたいな発言で、合間にドリーモンも「何じゃそりゃ」と言ってましたが本人はマジです。
 上に書いたとおり自分の限界を知らないからこその発言ですが、実現不可能とも言い切れません。
 すべては己次第。自分らしくあるためにあえて困難な道を選ぶことはアプチューバーになったときからの彼の宿命であり、
 今の彼が見出している道でもあるのでしょう。
 
 
 
★次回予告

 コーチモンがようやく動くようですが、この感触だと「実は味方でした」コースでしょうか。
 ガチ敵だったけど、あっさり味方側に感化されて寝返るコースもあり得ますが。
 どちらにせよ、ミエーヌモンが地団駄を踏むのは確かなようですね。