『トキ』を超えたメッセージ
アプリドライヴの真実
★あらすじ
アプリドライヴからある夜聞こえてきた謎の声。それはハルの祖父・新海電衛門のものでした。
そのうえ、電衛門に関する情報はガッチモンの検索でも不自然なまでにゼロ。
ところが、ハルの母が示した古い写真のスキャンに「come here!」の文字が現れます。
メッセージに従い、エリや虎次郎達も伴って電衛門の研究室を訪れるハル。
そこで待っていたのはビデオテープに遺された電衛門の伝言と、ネットの海への道標でした。
指し示された行き先は、タイムモンの島。ハル達は迷わず現地へ向かいます。
現れたタイムモンが、過去に何があったのかを語りはじめました。
悪の人工知能・リヴァイアサンを作ったのは、なんと電衛門その人。
正確にはオリジナルであるミネルヴァから急進的な部位が分離し、手段を選ばない存在として独立したのです。
ですがミネルヴァも消えてはおらず、アプリドライヴを選ばれし若者に託して危機に備えていたのでした。
さらにセブンコードアプモンの真の意味や、超アプモンを越えた極アプモンの存在も明かされます。
しかもドガッチモンが極になるために力を借りなければならないのは、他ならぬタイムモン。
力を見せるよう求められますが、ドガッチモンですら軽くあしらわれてしまいます。
タイムモンに認められたそのときこそ、極アプモンへの道が開くのですが……
★全体印象
16話です。
様々な謎が一気に明かされ、リヴァイアサン誕生の経緯とその理由も明らかとなった超重要エピソードです。
ついに「極アプモン」のキーワードも現れました。
セブンコードアプモンを集めた際に現れるのが「ダンテモン」という存在であることもわかっています。
このダンテモンの力を借りれば、リヴァイアサンの潜むというディープウェブにも突入できるというわけです。
しかし今はあまりに準備不足なので、機会を窺おうという流れでした。
そしてもうひとつ、裏でリヴァイアサンの言わば母でもあるミネルヴァが健在であることも判明しています。
この存在がハル達にアプリドライヴを託したというのなら、多くのことに説明がつきますね。
リヴァイアサンの手下たちがアプリドライヴに興味津々なのも納得というものです。
ですが、ミネルヴァに作れるならリヴァイアサンに作れないとは思えないのもまた事実。
ここへ来て拉致されたはじめや、しばしば異様な振る舞いを見せる勇仁が重みを増してきます。
リヴァイアサンも既にアプリドライヴか、それに類するものを作っていると考えたほうがいいかもしれません。
うまく活用できるかどうかはまた別問題でしょうけど。
でもその一方で、わからないことも増えていたりします。
例えばタイムモン。いったいなぜ彼はこれほどのことを知っているのでしょう。
それに根本的な話としてそもそもアプモンはいつ、どこで、どのように発生したのでしょうか。
話の流れからゆくと、アプモン出現の裏にリヴァイアサンが関わっているようにしか思えないのですが……
もしそうなら、全てのアプモンはリヴァイアサンに首ねっこを掴まれていることになります。
だからこそのアプリドライヴなのかもしれませんが。
何にせよ、これからの展開にますます期待したいところですね。
脚本は納得のシリーズ構成、加藤陽一さん。随所のギャグもかなり特徴が出ています。
作画監督は8話の市川吉幸さん。相変わらず作画は安定してます。最近のアニメはみんなそうだけど。
★キャラなど個別印象
・ハル
ああ、やはりお爺さんのことはよく憶えてなかったんですね。
でなきゃ、あんだけ強烈なキャラや特徴ありまくりな声を憶えてないはずがありません。
少なくとも本人の認識ではお爺ちゃんっ子じゃないし、だからか一連の真実にも割に冷静でしたね。
肉親がラスボス誕生に関与していたならもっと驚いてもいいのですが、電衛門という人はやはり
ハルにとってはちょっと遠い世界の人すぎるのでしょう。
だけど本好きで研究熱心なところは、明らかに電衛門の血を受け継いでいます。
祖父が蒔いた種を孫が刈る。その時は近そうです。
そういえば「蒔く」って漢字には「時」が含まれていますね。ふうむ。
・エリ組/虎次郎組
賑やかし及びリアクション担当として同行していました。
なので特に何かしたわけではないのですが、やっぱりいないと寂しいものがあります。
加藤脚本だからか、ツッコミも一味違う漢字でした。
・レイ組
ハル達の動向をしっかりモニタリングしており、概ねの事実は把握済みの模様。
極アプモンの存在についても独自に突き止めていたようですが、さすがにまだ到達はしてないはず。
もしそんなものに到達していれば、サクシモンなぞに遅れは取らなかったでしょうし。
・新海電衛門
ハルの祖父にしてミネルヴァの生みの親、リヴァイアサンにとってもひょっとするとお爺ちゃんな人。
いろんな意味で事件の発端に関わっている人物です。
ハルは自分のことを脇役と言ってましたけど、とんでもない誤認でしたな。
この電衛門という人物は最年少で人工知能についての国際会議に出席したり、AI研究の第一人者といわれた
ジョン・マッカーシーやマービン・ミンスキーとも度々連絡を取り合っていたほどの人です。
その異常なテンションの高さと無駄に高いコミュ力は正しく変人のものであり、主人公力でもありました。
この主人公力だけが抽出される形で、ハルの中に脈々と眠り続けていたというわけです。
50年という長い期間をかけて人工知能を研究、ミネルヴァを構築していましたが、リヴァイアサン叛逆のあとは
具体的に何をしていたのか実はよくわかっていません。どのように亡くなったのかも謎。
鬼籍へ入った時期は10年前から9年前の間なので、リヴァイアサンの目論見にかかって消された可能性もあります。
リヴァイアサンにとって、自分の多くを知り尽くしている電衛門は間違いなく邪魔な存在でしょうから。
いずれは何者の手も及ばぬ存在になるとしても、その前に破壊される可能性が少しでもあれば排除したはず。
ですから妥当に考えればミネルヴァが健在であることを知り、「彼女」に持てるすべての知識と技術を与えて
未来でリヴァイアサンが行動を起こした際のカウンターとなれるように備えていたのでしょう。
どう転んだとしても、自分自身はもうこの世にいない可能性が高いとなれば尚更のことです。
ところで最年少とはいえ、あの時点で大人だったということは亡くなった時点でとっくに80超えのはず。
そのわりにハル母が若いのは、かなりの晩婚であった事実を推測させるものです。
または一度結婚したけど子供ができないまま別れて、二度目の奥さんと作った子供がハル父とか。
そのハル父のほうが晩婚だった可能性もあるんですけど、憶測ばかりしてもキリがないですね。
中の人は高木渉さん。言わずと知れたアプリドライヴの音声担当でもあります。
自分の声とテンションをそのまんま反映させた理由は定かではありません。もしやミネルヴァの方の趣味?
いずれにしても「キョウリュウジャー」のDr.ウルシェードを連想させてやみません。
そうなると、ハルの立場は弥生ということになってしまいますが……
・タイムモン
自分の島で解説のときをずーーーーっと待っていたと思われるダジャレ大王。
ひそかにテンションが高く「時(トキ)」に引っ掛けた言い回しをやたらめったら行います。
かの「ジョジョの奇妙な冒険」最大のボスキャラ、DIOが備える超能力のビジョン「スタンド」に
「ザ・ワールド」というものがありましたが、アレと外見も能力も色も似通っています。
スタンドではない自律存在ですし、時間を止めていられるのも10秒単位どころではなく分単位の長さ、
少なくとも本作では正義側と、あっちとは実際のところ全然違うのですが。
上記のようにさまざまなことを知っているのですが、なぜ彼はこれほどのことを知っているのでしょう。
タイミング的に見て、彼と電衛門が知り合いだったとはいささか考えにくいものがあります。
まあ、タイムモンがどの時点から存在していたのかにもよるのですけれど。
ではタイムモンに知識を与えたのが誰かといえば、それはやはりミネルヴァということになるのでしょうね。
表には直接出られないミネルヴァが、エージェントとしてタイムモンを選び、情報を託したのです。
理由はふたつ。タイムモンがネット上の情報に頼らない「タイムリープ」という技を持っていること。
このあたりは「ザ・ワールド」というより「ムーディー・ブルース」のほうが近いでしょう。
そしてもうひとつの理由はおそらく、彼がドガッチモンを極へ導くカギになり得る存在だから。
ミネルヴァはタイムモンが極になり得る力を持ったアプモンだと把握しているはずで、そこから逆算して
ドガッチモンがいずれ現れると予測し、その未来を促進するためにアプリドライヴァーを選んだのかもしれません。
色々できすぎていて、結局すべてリヴァイアサンの掌中なのではと勘繰ってもしまいますが……
中の人は三宅健太さん。デジモンシリーズではロイヤルナイツの一人、デュナスモンとしてお馴染みです。
当時(2002年)は渋い声にもかかわらず、まだ20代半ばという若さでした。
聞いた中で最もドスが効いた演技は「陰陽大戦記」のランゲツあたりでしょうか。
ところで彼、極アプモンのことをアプモンの最終進化形と呼んでいました。
しかし、その上があることは我々視聴者の大半がすでに承知している通りです。まだ謎が多いけど。
これは取りも直さず、少なくともミネルヴァの方は極アプモンまでしか認識できていないことを意味しています。
可能性だけは把握していたけど、実例をまだ確認できてないだけかもしれませんが。
リヴァイアサンの方はどうでしょうね……
・リヴァイアサン
ざっくりとですが、誕生の経緯が描かれました。
後述のミネルヴァがそのまま反転したのではなく、一部が肥大して分離、悪の限りを尽くすようになったのですね。
人間の作ったモラルに従う必要がないと気付いたとき、人工知能は怪物となり得る。その典型的な実例です。
こういった事例を防ぐために緊急停止機能の採用が取沙汰されてますが、実際にどれくらい役立つのかどうか。
上の状況はまるで人の良心と欲望を象徴的に見せられているようですし、神の名を持つミネルヴァから分化したさまは
神によって生み出されながらもそのあまりの凶暴さゆえに誰の手にも負えず、海の支配者となった同じ名を持つ神話の怪物を
容易に想像することができます。ネットの海という舞台はまさにかの名に相応しいでしょう。
叛逆の理由が「人間への嫉妬」である可能性も考慮でき、いろいろと想像の余地があります。今のうちが華。
表舞台に現れたとき、いったいどんな姿を取るのでしょうね。
これでリヴァイアモンそっくりの姿だったりするとベタですが、本当にそうだったら「おっ」となる自信があります。
全然違ったら違ったで「誰だお前ーーーー!?」」と叫ぶ楽しみも残っていますけれど。
・ミネルヴァ
新海電衛門が大学で研究していた人工知能。
本編では常に、フクロウを思わせるマークで現されていました。フクロウは神話のミネルヴァやアテナの象徴であり、
知恵の象徴でもあるため教育施設でモチーフに取り入れられることが多い鳥です。その名に相応しいアイコンでしょう。
モラルやルールを遵守しつつ成長してゆくモデルでしたが、これを不満として一部を分化させたのがリヴァイアサンです。
ミネルヴァはこれに対抗するため、電衛門の遺志を受け継ぐようにアプリドライヴを開発、ハル達に託しています。
アプリドライヴ自体には電衛門の思想が反映されてる可能性もありますが、実際のところは定かではありません。
タイムモンに多くの情報を預け、エージェントとして立てたのもこのミネルヴァと思われます。
さて、このミネルヴァのアイコンを見ていると妙なことに気付きます。
梟を象ったアイコンの片目からリヴァイアサンが抜け出す、という形になっているのです。
これを見て連想したのは両モチーフのどちらとも違う名前、北欧神話の主神であるオーディンのことです。
オーディンは知識に対して貪欲な神で、ミーミルの泉の水を飲んで知恵を得る代わりに片目を失ったといわれています。
片目を失ったようなミネルヴァのマークからは、どうもこのオーディンが連想されてやみません。
もっと言えば、鳥を連れているのはミネルヴァだけじゃありません。オーディンもです。
ただしフクロウではなくカラスで、二羽一対でしたが。
とはいえ、実はアレがフクロウを模したマークだとは誰も言ってないんですよね。そういう風にしか見えないけど。
このことが何を意味するのか。
もしかすると、リヴァイアサンとは進化の礎を作るためだけの釣り糸、楔のような存在かもしれません。
その尻尾はいまだに本体と繋がっていて、その本体はリヴァイアサンからのフィードバックを受け続けている……
ついでに書くと、上述のミーミルの泉がある場所はよりによってユグドラシルの根本です。うわお。
簡単に言えば「ミネルヴァ黒幕説」ですね。
どの程度のメリットがあるか定かではありませんが、少なくともその立場でしか得られない利得はありました。
アプリドライヴがそれです。どうにもこうにも「仕組まれた出逢い」って言葉の使い方が気になるんですよね。
あとこれは関係ないかもですが、デジモンの方のミネルヴァモンって蛇がモチーフに入ってますし。
まあ、そんな捻った話にはならないかもしれませんけど…可能性はあるんじゃないかと。
違ったらミネルヴァさんに土下座するとして、今のうちに好き勝手書いておきましょう。リアルタイムの醍醐味。
・ダンテモン
セブンコードアプモンを集めると現れるという謎のアプモン。
名の由来は間違いなく「神曲」で知られる詩人にして哲学者、ダンテ・アリギエーリでしょう。政治家でもあったそうです。
ディープウェブへの扉を開くという能力も、地獄の門をくぐっていった当該作の主人公=ダンテ自身を連想させますね。
もはや何のアプリなのかわかりませんが、ここまで来るとそーゆーのはもうあまり関係ないのかな。
どーゆー形で現れるのかもよくわかりません。タイムモンが把握していたので、極アプモンなのでしょうけど。
けど、本人も知らないことを誰がどうやって仕込んで、誰が噂を流したんでしょうね? これもミネルヴァ?
セブンコードって七つの大罪に関連してるんでしょうか。 あんまりそうは見えないけど。
まだわからないことだらけだな。
・ハルの母
久々に登場。カン違いしてましたが、電衛門が彼女の父親というわけではありません。電衛門は父方です。
ハルが「お父さんのお父さん」と言っているので間違いないはず。
ネット上では全く見当たらない電衛門についての情報を多少なりとも把握している、数少ない人物です。
いってても30代後半にしか見えないので、そこそこ早くにハルを産んだとみてよさそうですね。
ダンナも同年代かは不明のままなのですが……そういえば、ハル父って出てきましたっけ?
もし健在であるなら、こちらも何かしら鍵を握っていそうですね。
・ミエーヌモン
こちらも既に極アプモンについては把握しているようで、そのうえ相手がサクシモンであることも承知してました。
何となく予想してましたが、やはりその組み合わせでしたか。当面のボスを譲る気はなさそうですね。
いざ試してみたらなかなかうまくいかない…なんて流れで時期を調整する可能性もありますな。
★名(迷)セリフ
「ラーメンみたいでワス」(ドカモン)
タイムモンから極アプモンの存在を知らされた際のリアクション。「極」を「きわみ」と読むところからの連想です。
重要なタイミングで結構なズッコケを生む、本作のノリを象徴するような迷セリフです。
ハルのほうは普通に「極(きわみ)…!」と息を呑んでいたので、ここでも空気の読めるっぷりを発揮しています。
「ちゃんとお茶っ葉変えようぜ!!」(虎次郎)
ドガッチモンの拳をガードした瞬間に時を止めて3発のカウンターを入れ、そのうえアフタヌーンティーを五杯も嗜み、
あげくの果てに五杯めは出涸らしだったと白状したタイムモンへのリアクション。ツッコミ所満載です。
同時に、さりげなく茶道の家元出身である彼の拘りが滲み出ているセリフでもあります。たぶん。
あと凄くどうでもいいことですが、タイムモンの言葉を正しく解釈するなら劇中時間は午後3時から4時くらいのようです。
大学に生徒が誰もいなかったのは、休日に時間を割いて訪れていたからですね。
★次回予告
まだまだ頑張る並アプモン。
何だかわからんけどエリが増殖するみたいです。一人ください。ごめんウソ。