帰りたい場所へ
脚本:佐藤寿昭 絵コンテ / 演出:セトウケンジ
作画監督:Noh Gil-bo / 原憲一 総作画監督:仲條久美
★あらすじ
デジヴァイスの導きに従って太一がやってきたのは、クラウド大陸のすぐ下。
そこでは、あのエルドラディモンが大陸に昇ろうと登攀を繰り返していました。
故郷であるクラウド大陸に還りたがっているのです。
そんなエルドラディモンには、タケルとパタモンが手を貸していました。
何度失敗しても諦めないその姿勢に太一が加わり、レオモンが加わり、
帰ることを諦めていたり還る場所のないデジモンたちも次々と手を貸しはじめます。
甲斐あって一度は登攀に成功するのですが、大陸の端が重みに耐えられず崩落。
そのとき、ずっと沈黙を守っていたグラビモンが動きました。
故郷が滅んでしまった彼にとって、タケルの行動は帰る所がない者の虚しさを
突きつけてくるものでもあったのですが、希望を失わないタケルに心を打たれたのです。
グラビモンの協力とホーリーエンジェモンの新たな進化の兆しで、登攀は今度こそ成功。
喜ぶタケルのデジヴァイスにもまた、紋章の輝きが宿ります。
太一はこれを見て、デジヴァイスの導きは場所を示しているわけではないのではと考えはじめます。
★全体印象
61話です。ほぼ全面的なタケル回であり、太一は本筋にあまり絡んでません。
そんなんばっかですけど、とりあえずそれは置いときます。
基本的にはほぼエルドラディモンを引っ張り上げるだけの話で、あんまり語る箇所はないですね。
タケル組の行動が一同を動かすという意味では「希望」の描き方もわかりやすい方です。
極論引っ張り上げるだけなんで、兆しに留まりセラフィモンが出なかったのも正解といえば正解。
ゴッドドラモンの力を試そうとしなかったのはマイナスと言えますが。
超久しぶりにレオモンとの直接再会も叶ってますが、スパーダモン達やロップモンは残念ながら別行動。
あとは大半モブですが、バラエティ豊かな顔ぶれでチェックのし甲斐はあります。
悪役ではないクールでツンデレなグラビモンも新鮮味がありました。
まあ、どう考えてもこの回が過ぎたら残り5話しかない状態でやるお話ではないのですが。
4クール目以降特に、連続性は最小限にして一話完結主体にする方向に変わったとしか思えません。
別にそういう作風がナシってわけじゃないのですが、途中からそうなると戸惑ってしまいますね。
このぶんだと、まともに話が動くのは64話ぐらいになりそうです。
脚本は佐藤寿昭さん。確か、エルドラディモン初登場回を担当した方です。
作監のひとりである原憲一さんも、確かその回で作監をやっていたはず。
★キャラなど個別印象
・タケル
知らず知らずのうちに「希望の象徴」して振る舞っていた、という感じみたいです。
誰に言われたわけでもない、というのもポイントではあるのかな。
その一方で「家族が元通りになること」はとっくに諦めているっぽい表明をしており、
椅子から転げ落ちそうになりました。えっ諦めちゃってるの?????
いや諦めんなよ!!! 諦めんなよ!!!!
そこ諦めちゃダメだろ!!!! 物語の中とはいえ無茶振りかもしれないけど!!
諦めてたけどやっぱり諦めないことにした、って話でもないし!!!
えぇぇえ……ラスト数話の時点で衝撃の事実発覚……どうすんスかこれ。
それともヤマトと再会した際に「やっぱり諦めないことにした」と伝えるための布石…とか?
だったらまだわかるんですけど……どうなるかなあ。
・パタモン → エンジェモン → ホーリーエンジェモン
基本的にタケルの側に張り付いてるのみで、あまり気の利いたことは言いません。
ホーリーエンジェモン状態からセラフィモンの兆しを出すに留まったのは、ある意味予想通り。
こりゃミレニアモン篇と同じく、最終決戦で進化するパターンかな。
まあ実際、無印でもホーリーエンジェモンの登場は52話と極端に遅かったわけですが。
あと上にも書きましたが、結局ゴッドドラモンには進化できるんでしょうか、できないんでしょうか。
消耗したとは言ってましたけど、もう進化できないとは言ってなかったような……
そこらへんがハッキリしないままなのも少々モヤモヤしますね。
・太一組
導入役気味の位置で当たり前のように登場し、エルドラディモン登攀を手伝いました。
希望の象徴としてのポジションであるタケルと異なり、出なくても話は回りそうな扱いです。
どんな形でもいいから出す、という取り決めになってるんかなあ、やっぱり。
・コモンドモン
タケルと共に行動していたようで、ペックモンと共にどこからかロープを調達してきました。
ペックモンに関しては、おそらくレオモンが乗っていた個体でしょう。
・レオモン
50話以来の再登場。
その間の経緯は不明ですが、エルドラディモンと共にクラウド大陸方面まで戻ってきてたようです。
上記の通り、一派のスパーダモン達やロップモンは別行動でワンカットのみの登場。
エルドラディモン登攀には早い段階で協力し、成就へ向けて尽力しました。
いまや、数ある一般デジモンの中では馴染み深い顔としての立ち位置になっています。
ここまで来たらさすがに死ぬことはないと思うので、変なジンクスぐらいは打ち破ってほしいところ。
最終決戦を盛り上げるためとかなんとかで軽率に退場させられないことを祈るばかりです。
・エルドラディモン
もともとはクラウド大陸が故郷ということで、なんとか還ろうと挑戦し続けていました。
そのあまりの巨体と重量から彼だけの力では無理であり、周囲のデジモンたちも諦め顔でしたが
どうしても還りたいのでしょう、何度失敗してもやめようとはしていませんでした。
その行動がタケルの心を動かし、しまいには周囲みんなを巻き込んでの大仕事に発展してゆきます。
結果的には失敗しかけるものの、一度は大陸に到達しているのが大きなポイントです。
ここまで結果を出したからこそ、グラビモンも動く気になったのでしょうから。
以後の去就がどの程度描かれるかはわかりませんが、無事に最終話を迎えられますように。
決戦が始まると大抵どこもえらいことになるし、そこが心配です。
・エレキモン
モブの中では真っ先にタケル達を手伝ったデジモン。
中の人が高戸靖広さんなのは明らかに無印オマージュですが、なぜここでブッこんだのかは不明。
こういう事をするなら、高戸さんにベーダモンをやらせるのは考えものだったと思うのですが……
高戸さんでなければ、あの独特の不気味さは出せなかったとは思いますけど。
・その他のみなさん
ミレニアモンの暴威で故郷を失くしたということで、他にも様々なデジモン達が登場します。
順に見てゆくとデラモン、トーカンモン、コクワモン、フローラモン、シャーマモン、カメモン、
ギザモン、ドクネモン、ヌメモン、カラツキヌメモン、ペンモン、ザッソーモン、サンフラウモン、
インセキモン、スカモン、プロロモン、ピピスモン、フリモン、シャオモン、ナニモン、
もんざえモン(本物)、ニセドリモゲモン、スターモン、スワンモン、ハーピモン、ツチダルモン、
ドラコモン、トリケラモン、ユニモンと実に多彩。
何体かにはセリフもありますが、ワンカット程度しか登場しない個体もいます。
シャーマモンに関しては、なぜかゴブリモンとしてクレジットされていたようですが……
最終的にはほぼ全員がエルドラディモン登攀に協力し、一度は成し遂げています。
・グラビモン
前回のオレーグモンと同じく「クロスウォーズ」で初登場したデジモンです。
当時は最強クラスのデスジェネラルとして猛威を振るい、ジークグレイモンを秒殺し
デッカードラモンを死に追いやる(後に復活しますが)など大暴れをしたばかりか
その不死身性でシャウトモンX7をも手こずらせた大変な強敵として描かれていたのですが、
世代的には完全体として扱われることになりました。あんなに強かったのに……
他にもザミエールモンやスプラッシュモンが完全体扱いと、デスジェネラルの世代設定には
かなりの疑問が残ります。なぜ全員究極体じゃないのでしょう……
アポロモンと同格の扱いだったってことなら、それが自然だと思うのですけれど。
閑話休題。
ハイテンションで嘲弄的な性格だった「クロスウォーズ」版に比べ、本作はクールで寡黙と
真逆と言ってもいい性格設定になっています。また、バックボーンは不明ですが
故郷をミレニアモンに滅ぼされた被害者としての立ち位置であり、悪役性は皆無。
少々気難しいところがあるようですが、それぐらいです。
本来はどこかの地域で腕を振るう軍師だったのかもしれませんが、故郷が滅び
目標を失ったことであんなに虚無感を漂わせていたんじゃないかという気はします。
または、それだけ故郷を愛し守ろうとしていたけど叶わなかった、とか。
そのため、エルドラディモンを還そうとするタケルに疑問をぶつけたりもしていました。
その後タケル達が諦めずに挑戦を続け、ついに一度は登攀を成功させるも
崩落で元の木阿弥へ陥りかけたところで初めて動き、エルドラディモンの巨体を
丸ごと浮遊させるという物凄いことをやってのけます。
彼に激励を受けたことでタケルは再び奮起し、その重力を操る力に
新たな究極進化の兆しを上乗せする形でエルドラディモンを故郷へ導いています。
その後、協力に無言の感謝をするレオモンに素っ気ない態度を取ってる場面で出番を終えました。
今後の動向は未定ですが、過去のゲストたち同様に登場だけならするかもしれません。
中の人は「クロスウォーズ」と同じく中原茂さんです。
氏が得意とするクール寄りのキャラになってるため、ある意味あっちより自然に聞けますね。
★名(迷)セリフ
「お前ら見てたら、オレもこいつを還してやりたくなってきた!」(エレキモン)
タケル達の挑戦を見るうちに、じっとしていられなくなって。
彼を皮切りに、モブ達も一人、また一人と登攀への協力に動きはじめることになります。
喋ってるのはもちろん高戸靖広さん。
「還りたい場所がない者はどうすればいい…?
私の故郷は滅んだ……他の連中もそうだ…還りたい…だが、決して還れない…叶わぬ望み……
それを忘れさせないことが、いかに残酷なことか……」(グラビモン)
タケルを重力操作で目の前に連れてきての問いかけ。
故郷を失ったことで生き甲斐をも失ったかのように、その言葉と表情には虚しさが満ちていました。
「ボクは忘れたくない……ボクにもある、還りたい場所……ううん。
還りたいあの頃、かな……でもそれは…もう……
だからこそ、エルドラディモンは還してあげたいんだ!
還れる場所が、あるんだから!」(タケル)
グラビモンの問いかけに対するアンサー。あ、諦めるなっ!
とはいえ、この言葉は確かにグラビモンの心を動かしたようです。
「エルドラディモン! 還ろう! 君のおうちに!」(タケル)
皆で登攀を成し遂げんと、最後の気魄を振り絞ろうという場面で。
「おうち」という言い方がなんか可愛らしいです。
「諦めないんじゃなかったのかぁっ!」(グラビモン)
崩落でエルドラディモン共々落下しかけたタケルを救って。激しい口調です。
必死になっているのは、彼にとってもエルドラディモンの重量を支えるのは
相当に大変だからなんでしょう。数少ない、感情を表に出した発言です。
「そうだ… まだだっ!」(タケル)
グラビモンの激励を受け、気合を入れ直すタケル。
その心がホーリーエンジェモンへの進化と、さらなる兆しを導き出してゆきます。
★次回予告
52話以来久しぶりに空が登場。10話ぶりってなんなの……
えっシャッコウモン敵役なの!? と思いきや、どうもウラがあるようですね。
完全体とはいえかなりの強者ですから、ホウオウモンの出番もあるかも…?