ヒカリ 新たな命
脚本:十川誠志 絵コンテ:貝澤幸男 演出:ひろしまひでき
作画監督:直井正博 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
デジヴァイスの導きでヒカリとタケルがたどり着いたのは、ペタルドラモンの森。
かつてエントモンと相討って果てたペタルドラモンの亡骸から森が広がり、
いくつものデジタマが現れムーチョモンたちに世話されていました。
それは大きな闇が去り、デジタルワールドの営みが正常に戻りつつある証。
しかし生を憎むソウルモンが群れをなして集まり、森を脅かしていたことも判明。
ヒカリとテイルモンはデジタマ集めとその保護をタケルや合流してきた太一達に託し、
森を傷つけないため二人だけでソウルモン退治に奔走することになります。
が、事はソウルモンだけではありませんでした。
より濃い死の冷気を漂わすスカルバルキモンこそが、一連の元凶だったのです。
その恐るべき力は、エンジェウーモンの聖なる力も跳ね返すほどでした。
窮地に陥ったヒカリの腕の中で、あるデジタマが孵化を遂げます。
それはソウルモンの邪気にあてられ、なかなか還らずにいたものでした。
懸命な生命の輝きにヒカリは力を振り絞り、デジヴァイスに紋章が現れます。
これを受けエンジェウーモンはより強い天使の聖光を纏い、死のデジモン達を浄化。
後にはデジタマが残されていました。新たな生命を得て生まれ変わったのです。
こうして、ペタルドラモンの残した森を守り抜いたヒカリとテイルモン。
憔悴しながらも、その表情は喜びに満ちたものでした。
★全体印象
58話です。44話以来のヒカリ組主体。
しかも二人だけでの戦いが主体になるという、割に前代未聞な形式。
もっと言えば結果的に二人になったわけではなく、志願してこうなったのですから。
ホントは「二人とも本当に強くなったね」って褒めてあげたいところなんですが、
途中参加の上にタケル組よりマシってだけで他と大差ない描写しかされてない状態で
急にそんなことやられても、見てる方としては困惑してしまいます。
ペタルドラモンの森への思い入れはわかるけど、限度を超えてる気がします。
無印でこうだったから云々、とはまた別の話。
そこを補強するのが今回も出てきた太一の役割だと思うんですけど、この兄貴
わかったよーな顔で快諾して妹にぶん投げるだけでなんもしてくれません。
この状況を作ったのはそもそも他メンバーを参加させないためだったんですが、
じゃあ別に太一組出さんでも良かったろ。
無駄に強いスカルバルキモン(ヘタすっとエントモンより強い)もアレですけど、
何より驚いたのはこんだけやっといてオファニモンが出なかったことでしょうか。
兆しと思しきオーラは出たけどいやそこは普通に出しましょうよ。
残り10話もないっていうのに何焦らしプレイしてんですか。
出そうで出なかったりあっさり出たりもう出てんのにわざわざもう一回出したり、
究極進化の基準がさっぱりわかりません。なんなの一体……
脚本は十川さんですが、ここ最近の単発話の中ではハズレ感が強いです。
54話が全編でもトップクラスの出来だっただけに余計その印象が強い。
前日譚にあたる44話がかなりイマイチな出来だった影響もあるのかもしれませんが。
作画は一目でわかる直井作監。
この方の絵は好きな方ですけど、バリバリのアクションとなるとやや苦しい模様。
★キャラなど個別印象
・ヒカリ
紋章と一緒になぜか目が光った人。やめてください怖いです。
ペタルドラモンと一番仲が良かった?ために森を守ろうというモチベーションが高く、
これまでに比べ走ったり跳んだりといった体を張ってのアクションが目立ちました。
時には体ごとソウルモンに蹴りを入れ、テイルモンの反撃の隙を作ったりしています。
相方の小柄さを活かし、組体操のようなコンビネーションも披露しました。
しかし見てる側としては「君らそんなにアクロバティックだっけ???」と困惑を隠せません。
これぐらいのことはできるぐらい息ぴったり、だというアピールなのかもしれませんが
テイルモンだけならともかくヒカリまでこんなに動くイメージが全然なかったので
ただただ「????」ってなってました。
後半、気持ちが通じたのかデジタマが孵ったことと「生命を守るのが光」という
これまた急に出てきた話に繋げ、なぜか二人シンクロしたように喋ってピカーと光ったら
なんかスカルバルキモンを浄化できてます。一種のディスペルでしょうか。
問題は紋章が「光の紋章」だとは一言も言及されてないことですが。
結局、今回もなんだかよくわからない感じにまとめてます。
元から、ヒカリがらみはちょっとフワッとした話が多いんですけどね……
さらに言えば、ヒカリ個人のエピソードが増えるのは02からなんですが。
・テイルモン → エンジェウーモン
ヒカリが大人しくしてるぶん現場指揮官みたいなことをしてた御仁。
太一がいるのにこの状態ですが、そういえば:ではちゃんとリーダーを決めてなかったな。
おかげで丈先輩がいまだにリーダーと呼ばれる有様だし。
温泉のおかげですっかり回復を遂げており、同じ成熟期のソウルモンが相手でも
進化するまでもなく次々となぎ斃しています。尻尾の一撃だけで打ち滅ぼす場面も。
体の調子を整えたぶん、動きが良くなっているのかもしれませんね。
余裕出しすぎてサムズアップしてる間に不意打ち食らったりしてますが。
いつも思うけど、この手のちょいピンチ演出って不意打ち食らう方が間抜けに見えます。
後半は事がソウルモンどころじゃなくなったことや、森を傷つけないという当初の方針が
もはや意味をなさないということで完全体進化してましたが、見れば見るほど
いやもう無理しないで太一組かタケル組のどっちか合流させなさいよってなります。
離れてすぎてて合流は無理だったんでしょうけど。
結果的になんとかなったから良かったものの、非常に危険な作戦だったと言わざるを得ません。
まして、アルゴモンみたいな連中がどこに潜んでいるかわからないと判明してる後なのに。
本来ならバラバラに行動すること自体が危険なはずなのに、この二人だけで行動させるなんて……
おまけにここまでやっといて、オファニモンは兆しだけで出てくれてません。困ったものです。
そりゃ相手が完全体じゃ役者不足かもしれないけど……
・その他のメンバー
コモンドモンの出番が久々に多め。その鼻でデジタマを探し当ててくれてます。
いつの間にか、テイルモンの指笛ひとつですっ飛んでくるようになっていました。
本当にいつの間にやらです。
また太一が合流してきてますが、この男今回も本当に出てきただけです。
一応「デジタマを守る」という役目はもらってますが、ヒカリの兄貴でありながら
彼女とテイルモンを二人だけで行動させるというだいぶアレな判断をしています。
そりゃ単独行動を提案したのはヒカリ達の方ですけども……
いや:の太一はこういうヤツといえばこういうヤツなんでブレてはないのかもですが、
「ちょっと前までオレの後をついてくるだけだったのにな……」とか
「あいつ、いつの間にか逞しくなったなあ」であるとか、
妹の成長を喜ぶ感じでイメージの補強をする役割すらやってくれません。お前兄貴だルォ!?
タケル組に至ってはもっと目立っておらず、もはや一緒に行動してた意味がありません。
よく見ると後半のバトルではエンジェモンさえ出てない有様。仕事しろ。
合流してきてホーリーエンジェモンとエンジェウーモンの二体でケリをつけるのなら
「まだその時ではなかったのだな……」と少しは納得もいくんですけど。
他は出番なし。小林さんは図鑑解説で毎度毎度出てるんですが。
・森の皆さん
44話にも出てきたムーチョモンたちが再登場。ヒカリ達にデジタマを見せてくれました。
なぜかタケルとパタモンが「誰?」みたいな顔をしてましたが彼らとも面識はあります。
そーゆー意図の演出じゃないのかもですけど。
基本的に非戦闘員なので、途中からずっとコモンドモンに乗って安全を確保してました。
賢明な判断だと思います。
・ソウルモン
魔力がより高まったバケモンの亜種。
本来は目が隠れるぐらい深く帽子をかぶってるんですけど、本話では目を出す場面が多いです。
メインエネミーとしてはセイバーズの個体が著名ですね。
ペタルドラモンの森に現れては、デジタマを呪うかのように活動力を奪っていました。
生命を憎み、その力を奪うことで昏い愉しみを得ているのかもしれません。
一体一体はテイルモンに軽くしばき倒されただけで消滅するほど弱く、成熟期とも思えませんが
その呪いの力だけは侮れず、集団でデスハンドを伸ばしセイントエアーをかき消す実績を挙げています。
しかし基本的に聖なる力には弱く、ホーリーリングを見ただけで怯む場面もありました。
最後はスカルバルキモン共々浄化され、デジタマとして生まれ変わっています。
その際に帽子だけが残った状態だったので笑ってしまいました。そっちが本体なの!?
・スカルバルキモン
今回のメインエネミー。ペタルドラモンの森を襲っていた脅威の元凶です。アニメ初登場。
ソウルモン達の事実上の親玉であり、連携を取るような場面もありました。
生命を憎み、死をばらまいて回る集団というわけです。
完全体ですがその域を超えた力を備え、大地を踏み鳴らすと吹き荒ぶ冷気が生命活動を鈍らせ
森を枯れさせてしまいます。ボディも恐ろしく頑強で、ホーリーアローがまるで通じません。
全身を「死」という名の負の力で覆っているのかもしれません。
ヘブンズチャームも押し切り、ヒカリとエンジェウーモンを窮地に追い込みました。
野良の割にメチャメチャ強いです。下手すっとエントモンより強いかも。
が、孵化したデジタマを見て奮起し光の紋章を発動させたヒカリとエンジェウーモンが
究極体の兆しを垣間見せ、その圧倒的光輝に呑まれて手下共々浄化されました。
その際、元の姿だったと思しきバルキモンの姿がチラリと出てきます。
思えば、彼らも世界の均衡が狂ったことで生まれた悲しき徘徊霊なのかもしれませんね。
こうして死の蔓延は退けられたものの、森には彼らの爪痕がありありと残されました。
しかし生命の萌芽に溢れる地ですから、またすぐに元に戻ることでしょう。
ロクなのが寄ってこないところを見ると場所が悪いんじゃねーかという気もしますが。
スカルバルキモンといえば「デジモンストーリー サンバースト/ムーンライト」にて
登場組織のひとつ「クーロン商会」のメンバーとして登場していた個体が印象的です。
アンデッド感がほとんど無い感情豊かな性格をしていましたっけ。
★名(迷)セリフ
「……ただいま」(ヒカリ)
ペタルドラモンの森に帰ってきたときの呟き。
そのセリフは家に帰った時に取っておいた方がいいのではと思った次の瞬間、
そもそも実家の描写が薄すぎるんだよな、となんとも微妙な気持ちに襲われました。
裕子ママはあんなんだし。
「そう、戦いは避けられない……
だからこそ、この森を傷つけるような戦いはしたくない。
私なら、このホーリーリングでヤツらを探知できる。
そして、この小さな体でヤツらと渡り合える。私こそ適任!」(テイルモン)
ヒカリとテイルモンだけで行くことに異議(ってほどじゃないけど)をとなえたアグモンに。
理由づけというヤツですが、これは相手がソウルモンだけだった場合の話。
スカルバルキモンが現れた時点で、テイルモンの狙いは瓦解したというしかないでしょう。
そんな時のために保険をかけておかなかったというのは、結構な問題だったと思います。
もちろん最終的にはなんとかなるんですけど…気分の問題ですよ、気分の。
「わかったよ。でも、無理はするなよ」(太一)
ヒカリの志願を受けて。
無難なコメントです。もう少しこう、何か言うことないんですか???
「命は」
「光によって護られ」
「生まれる……」
「命は、現在のみならず、未来をも照らす。それが光…」
「光は…命を、守る……!」(ヒカリとエンジェウーモン)
なんか始まったぞ、と思ったらオファニモンのオーラが出てスカルバルキモンを浄化しました。
慈愛と慈悲の聖母の力は、スカルバルキモンほどの死の化身をも打ち祓うほど強いのですね。
しかしこれまた突然生えてきた話ですな。ペタルドラモン回を踏まえてもよくわかりません。
「眠れ…安らかに」(エンジェウーモン)
凄まじい聖光を浴びたスカルバルキモンは以前の姿だったバルキモンの面影を垣間見せ、
このセリフに応えるように目を閉じて消滅しました。
闇に抱かれて眠れ、永遠に。(突然の魔弾戦士リュウケンドー)
「わたしたち…守ったんだね、この森を…!」(ヒカリ)
やり遂げた感じのセリフ。
二人だけでこの大仕事をやてのけた事実は、彼女たちにとって大きな自信にはなるでしょう。
というか他のメンバーがあんまり仕事してなかったんだけど。
★次回予告
ようやくヘラクルカブテリモンが登場。兆しが出たのは36話なんで2クール近くかかってます。
まさかここまで待たされるとは思わなかったぜ……
アトラー回はそこそこの出来でしたけど、今回はどうかな?
メインエネミーがグランクワガーモンというのは相手にとって不足なしですが。