バードラモン飛翔

脚本:山下憲一 絵コンテ:八島善孝 演出:佐々木憲世

作画監督:直井正博 総作画監督:浅沼明弘

★あらすじ

思いがけずデジモン達の故郷、デジタルワールドにやってきた太一。
しかも一緒に来たはずの光子郎の姿はなく、代わりにどういうわけか空の姿がありました。
訝しむ間にも、奇妙な石碑が見つかります。デジヴァイスが輝き、太一に刻まれた文字を理解させました。
光の示す地へ来たれ。他にあてもなく、太一たちはデジヴァイスから伸びた光の方角へ向かいます。

その道すがら、スナイモンに襲われていたピヨモンを救助する一行。
ピヨモンは何かと心を配る空へすぐに懐き、教わる前からその名を呼びました。アグモンの時と同じです。

スナイモンから逃れ、筏で川を下って道中のショートカットを図る太一たち。
どうにか急流を乗り切ったと安堵したのもつかの間、水中からシーラモンが襲いかかってきました。
太一はアグモンを進化させて迎え撃ちますが、その間にスナイモンが再度襲ってきます。

連れ去られそうになったピヨモンを助けるため、空はスナイモンに取り付いて奮闘します。
これを見て、ピヨモンは勇気を振り絞り反撃。落下する二人の手が触れ合った瞬間、
新たなデジヴァイスとともに進化が起こり、バードラモンが現れました。
激しい空中戦を制し、スナイモンを打ち倒すバードラモン。シーラモンもグレイモンに撃退され、
空路を得た一行は光の先の虹色をした山の手前、奇妙な神殿へと急行するのでした。

一方、太一たちと連絡を取りながらテントモンと共にデジタルワールドを目指していた光子郎。
ところが、突然現れた巨大なホエーモンに呑み込まれてしまい……

 
 
★全体印象

4話です。
およそ二ヶ月強の休止を経て、ようやくデジタルワールド編のスタートとなりました。
立ち上げ時期がこんなことになったのは非常に痛いところですが、どうやって帳尻を合わせるのでしょう。

タイトルとあらすじ通り、今回から空とピヨモンが正式に仲間入りです。
旧作はまず七人を一気に出し、デジタルワールドでどう苦境を乗り切ってゆくかというやり取りの中で
それぞれの人物を立ててゆくやり方でしたが、今回は一人ずつ順番に紹介してゆくようですね。
見る側としては混乱が少ないかもしれませんが、関係性描写が薄めなのはちょっと残念かも。

戦闘ではグレイモンの進化バンクと思われるものが初披露され、さらにバードラモン登場へ合わせて
挿入歌「Be The Winners」も初披露。なにやら一気に伝統へ準じてきました。
逆に言えば、3話までは特別編みたいなもんだったってことになるでしょうか。

全体として、太一や空のあまりの肝の座りっぷりにビビっている自分を感じています。
詳しくは後に譲りますが、特に空がやばい。貴女ここまで肝っ玉でしたっけ??
微妙に変えてるのは意図してのことみたいですけど、いやはや……

脚本は山下慶一とありましたが、どうやらクレジットミスで正しくは山下憲一さんだそうです。
山下憲一さんといえば「シンカリオン」や「ゾイドワイルドZERO」などのほか
プリキュアシリーズにも多数参加しており「魔法つかいプリキュア!」でも書いているので
SDがまほプリの人だし、そのあたりの縁で声がかかったのかもしれません。

演出の佐々木憲世さんは80年代から活躍しているベテランの方で「ダイの大冒険(旧)」や
「セーラームーン」シリーズだけでなく「02」や「テイマーズ」「セイバーズ」にも参加しているため、
そこらの雰囲気づくりはお手の物ってところでしょう。
この方も「まほプリ」に参加してらしたんで、そのへんの縁もあるでしょうか。

作画監督の直井正博さんはもはや説明不要ですね。
しかも今回は一人原画です。一話にも参加してたというのに、つくづくバケモンですな。
それは絵コンテやってる八島さんもですけど。一体どういう効率で仕事してるんだろう……

 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一

 3話までもそうでしたが、冷静な判断力を誇る反面で良くも悪くも子供っぽいセリフを吐いたり
 危なっかしいことをして周囲をハラハラさせることもあった旧作の彼と異なり、
 ひたすらその器のでかさを推しまくる造形になっているように見えます。

 頼もしさの反面で目に見える欠点が減ったというか、ノイズが薄れたというか……
 ちょっとよろしくない意味で「子供っぽさ」が失せてる気がしないでもないんですね。
 それとも旧作当時とはキャラの立て方の潮流というか、傾向が違うってことなのかな……
 こう考えるようになったのは、休止の間に少々気持ちが落ち着いたせいもあるのかもしれません。

 ところがVテイマー01掲載記念のやぶのてんや先生と冨岡淳広さんのスペシャル対談によれば、
 :版太一のベースになったのは「Vテイマー」版なのだそうです。
 あの「風は オレたちの味方についた」バン! とかやっちゃうVテイマー版だそうです。

 この事実を知ってなんか妙に納得したと同時に「それ早く言ってよ…」状態になったりしました。
 「違う」のは「意図してやってること」だとわかって、少し安心したりもしましたっけ。
 その是非はともかくとして。
 
 
 
・アグモン→グレイモン

 太一とは安定のコンビプレイを発揮。
 前半でメイン火力としてスナイモンを牽制し、後半ではグレイモンに進化してシーラモンを撃退してます。
 太一と一緒に水中に潜ったりしてましたが、苦しくないのかな。
 今作ではデジヴァイスがえらい多機能になっててデジ文字の翻訳までしてくれてるし、アルゴモン戦も考え併せれば
 多少の環境変化には余裕で耐えられるのかもしれませんが。B’TXかな?

 進化バンクは事実上今回が初出。旧作を意識しつつ、全体にわたってゴージャスな仕上がりです。
 3話まではパイロット版というか、先行劇場版のつもりで製作されたのかもしれませんね。
 
 
 
・空

 なぜかそこにいた人物。
 3話ラスト前の場面で太一を追いかけるカットがあったので、彼に巻き込まれる形で来たと考えるのが
 一番妥当でしょう。デジヴァイスを得たのはピヨモンが進化した瞬間です。

 3話の時点でオカンというよりもはやオットコ前なオーラをバリバリ漂わせていたばかりでなく
 そもそも女子に人気という新設定まで付与されてましたが、今回でそのリニューアルっぷりが爆発しており
 明らかな異常事態にもかかわらず「ここ海外? スマホ使えなくって」とか
 「よくわかんないけど他にアテがないんなら行くしかないんじゃない?」などと余裕たっぷりに構え、
 襲われていたピヨモンを優しく気遣いつつ崖から思い切りよく飛び降りたり、挙げ句の果てには
 ピヨモンを助けるためとはいえスナイモンの体に取り付いてよじ登ろうとしたりと、情報量が多すぎます。
 こんな無茶、プリキュアだって変身無しにはそうそうしないと思うのですよ?

 もともと空は全員が一斉に登場する都合上、メンバーのお袋さん兼調整役としての役割がありました。
 しかしそのぶん今一歩地味というか、単体としてはどうしても押しが弱いキャラ立てになってしまっていたのは事実です。
 もちろんそれこそが空の魅力だし、だからこその愛情の紋章だったのですが。

 今回の新作においてボーイッシュな面が強化され、太一に劣らぬほどの行動派として描写されるようになった感があるのは
 そこを補うというか、彼女がもともと持っていた個性をより現代向けにチューンした結果なのかもしれません。
 こうなってくると、メンバー全員が揃った際にどういう立ち位置になってゆくのかが気になります。
 もはやおとなしく宥め役に収まってる気がしないんですが、さてどうなるやら。

 ところでトレードマークの帽子は、持っていた買い物袋の中に含まれていました。
 防災グッズのつもりがいろいろ買いすぎたそうですが、この帽子も防災グッズ、ってわけじゃないよね…?
 旧作ではたまに木魚の代わりになったりしてたけど。
 
 
 
・ピヨモン

 スナイモン相手に逃げ惑っていたのが初登場。
 最初のうちは怯えきっており、空の名を呼んだのはしばらく経った後のことです。
 アグモンは最初から太一の名を呼んでましたから、パートナーといっても認識に個体差があるのかもしれません。
 アグモンはなんかしらの記憶を持ってそうに見えますけど、ピヨモンはそうでもない感じがするし。

 いずれにせよ空が巻き込まれたこと、そこから間もなくピヨモンと巡り合ったのはひとつの運命でしょう。
 光子郎だって、逸れた先でテントモンと会えたわけですしね。

 中の人は旧作同様、重松花鳥さんです。
 テレビアニメにおいてはほとんどピヨモンとその派生役しかやってないという珍しい経歴の持ち主ですが、
 活動の幅自体は非常に広いのでこっちがあれこれ推測することはないのでしょう。
 
 
 
・バードラモン

 自分を救おうとした空を守るため、ピヨモンが進化した姿。地上波に登場するのは久々です。
 旧作の初陣相手はメラモンでしたが、今回の相手は同じ飛行可能なスナイモンなので特性を十分に活かし、
 派手な空中戦を披露してくれました。背後を取ってのメテオウイングは新鮮な演出です。

 持ち味を最大に発揮するという意味では、今回のほうが初バトルとしては見応えがあるかもしれません。
 旧作4話は全体的な演出が素晴らしいので、なかなか甲乙つけがたいものがあるのですが。
 
 
 
・光子郎

 彼だけデジタルワールドではなく、それよりも少し浅層に降り立っていました。
 そのおかげでテントモンと会えたわけですから、これは偶然じゃないのでしょうけれど。
 パートナーとの初対面がカットされたのは意外でしたが、これはヤマトもそうでしたね。
 まあ次回で描かれるかもしれないし、しばし様子を見ましょう。
 
 
 
・テントモン

 光子郎とネットワーク空間で出会い、いろいろとアドバイスを与えていた様子。
 ラスト手前では彼を抱えて飛行していたし、単なる親切なデジモンの域を超えた扱いです。
 もちろんこれは彼らが運命のパートナーだからだし、それは次回でハッキリするのですが。

 中の人はもちろん櫻井孝宏さん。
 櫻井さんを初めて知ったのはこのテントモンからですが、当時に比べるとすっかり人気声優ですね。
 アバン先生をやるって知った時は驚きましたが、旧作当時の田中秀幸さんより年上だという……
 
 
 
・ヤマト/ミミ/丈/タケル/ヒカリ
 
 今回は出番なし。特にミミは1話でワンカット出たっきりです。
 6話以降に期待ですね。
 
 
 
・スナイモン

 旧作からお馴染みの昆虫型成熟期デジモン。
 その旧作では36話が初登場なので、かなり早い登板ということになります。
 まあ02はもっと早くて2話に出てくるのですけど。

 ピヨモンを餌にしようと襲っていたところを太一達に乱入されて取り逃がす形になったのですが、
 そこで諦めず執拗に捜し続けていたあたり、ハンターとしての執念深さが窺えます。
 単純にものすごく飢えていて、どうあっても獲物を逃したくなかっただけとも取れますが。

 後半においては、太一組がシーラモンに気を取られている間に空とピヨモンが残された筏を急襲。
 空には目もくれずピヨモンを連れてゆこうとしたので、最優先目標はやはり彼女だったようです。
 まあ、空が足を伝ってこようとした時にはさすがに排除しようとしてましたが。

 しかしピヨモンの思わぬ反撃を受け、怯んでいる間に進化が発動してバードラモンが登場。
 壮絶なドッグファイトを繰り広げましたが、背後を取られたのが運の尽き。
 メテオウィングの直撃を背中に受け、森の中へと落下してゆきました。
 生きていたとしても、しばらくは活動不能に陥っているでしょう。
 
 
 
・シーラモン

 スナイモンに続く脅威として登場した古代魚型成熟期。
 川の下流、流れの緩やかで幅の広い流域を根城にしていたと思われます。

 アグモンに攻撃をヒットさせてそのまま呑み込もうとしましたが、直前でグレイモンが登場。
 そのまま主に水上で力くらべに移りました。
 水中でなら有利に戦えたかもしれませんが、こうなってしまうとグレイモンが有利。
 近距離からメガフレイムをくらい、滝の下へと落下してゆきました。
 結果的には、グレイモンにも見せ場をあげるために出てきたようなものです。

 生死は不明ですが、生きてても太一たちを相手に喧嘩を売るようなことは二度とないでしょうね。
 
 
 
・オーガモン

 神殿へ飛んでゆくバードラモンwith太一達を、監視するように森の中から見つめていました。
 意図や立ち位置は不明ですが、どう見てもお友達になろうという雰囲気ではありません。
 乗ってるのはコアドラモン青でしょうか?
 
 
 
・ホエーモン

 ラストシーンでいきなり現れ、光子郎とテントモンを呑み込んでしまいました。
 旧作ではたのもしい味方でしたが、今回は敵ゲストで終わりになるのでしょうか。
 実はまだハッキリしないので、5話までは答えを保留したいと思います。
 
 
 
・その他のデジモンたち

 ブラキモン、ステゴモン、サンダーバーモン、あとププモンが見受けられます。
 ステゴモンとサンダーバーモンはセイバーズに「バイオデジモン」として登場したことがありますが、
 「バイオ」が付かない原型の姿でちゃんと出るのは今回が初めてです。
 まあ、クロスウォーズあたりにモブで出てたかもしれませんけど……

 ププモンは確か映像作品初登場のはず。ブラキモンはどうだったかな。
 
 
 
・謎の神殿

 デジヴァイスが示す先にある、明らかに天使系と思われる意匠があしらわれた神殿の遺跡。
 なんのために作られたものかはまだ不明ですが、重要スポットであることだけは確実。
 そういえば旧作でも遺跡が出てきたし、そこの碑文が最後の敵の謎にもつながっていましたっけ。

 なかでもひときわ目立つ鳥型の彫像は…ヴァロドゥルモンかな?
 天空の守護者とも呼ばれるこのデジモンですが、過去においてどんな役割を果たしたのか気になりますね。
 
 
 
・挿入歌

 バードラモン進化からグレイモン対シーラモンの決着にかけて初披露されました。
 タイトルは「Be The Winners」。歌い手は主題歌同様、谷本貴義さんです。

 オーソドックスに纏まったアップテンポですが、さすがにBrave Heartのハードルは高かった。
 とは言っても、挿入歌が流れると嫌でもテンションが上がるってもんです。デジモンなら尚更ね。
 ちょっと切なげな音が混じってるのは、やはりリスペクトってやつでしょうか。
 
 
 
★名(迷)セリフ

「オレがこの世界に来た理由… 東京で起きている異変の原因…
あの先に、答えがあるんだろうか…?」(太一)


 デジヴァイスの影響もあるんでしょうが、本作の太一は割に電波体質ですね。
 あの妹にしてこの兄ありと表現されればなんか納得しちゃいますけど。
 
 
「よくわかんないけど… 他にアテがないんなら、行くしかないんじゃない?」(空)

 上記セリフの直後。
 正論ではありますがそれ以前に貴女なんでそんなに落ち着いてるんですか…?
 
 
「…飛び降りる! 空、いいか?」(太一)
「ええ! …あなたも、いいわね?」(空)


 崖に追い詰められて。下が川とはいえ、大変な勇気が必要な場面です。
 だというのに空さん貴女なんでそんなに落ち着いてるんですか…? しかもピヨモンを気遣う余裕まで……
 なんなんすか? 人生二周目なんすか??
 
 
「あきらめないで! 言ったでしょ、一緒に頑張ろうって!
私はあきらめない! だから、あなたも!」(空)
「空…!」(ピヨモン)


 途中から空は笑顔になってます。念のため言っときますが、そこスナイモンの足ですよ。
 この状況で笑顔になれるって、貴女もはやプリキュアか何かですか?
 
 
「バードラモン! かっこよかった!」(空)

 旧作のオマージュっぽいセリフ。
 あんたも大概でしたよ、というのが偽らざる感想です。
 
 
 
★次回予告

 光子郎組の初進化が描かれそうですが、タイトルには反映されないようですね。
 大量のドクグモンに加えてティロモンが大挙出現。目が赤いのは何か理由があるんでしょうか?
 過去のデジタルワールドに何が起こったのかも含め、情報量の多い回になるかも。