聖なるデジモン

脚本:冨岡淳広 絵コンテ:セトウケンジ 演出:武藤公春

作画監督:荏原裕子 総作画監督:浅沼明弘

★あらすじ

障害を退け、遺跡にたどり着いた太一たち。
巨像の台座に記されている文字に触れると、太古の幻影が現れて世界のあらましを語りはじめました。

かつて闇の光の勢力がぶつかり合い、相打ってともに消えるほどの大きな戦いがあったことを。
光の勢力について戦った戦士たちがいつの日か蘇り、人間の子供とともに戦うであろうことを予見し
ふたたび闇の勢力が蠢動しはじめた時に備え、この地にメッセージを残したことを。
そして災いの根源を断つためには海を越えてクラウド大陸に渡り、戦士たちとともに戦ってくれる
「聖なるデジモン」を探さねばならないということを。

大きすぎる事態に驚く太一たちを、突如としてドクグモン達が襲います。
その動きは組織だったものでした。「闇の勢力」が「選ばれし子供たち」の出現を察知し、
これを排除するために早くも動きはじめたのです。

太一たちはバードラモンとグレイモンと力を合わせて強行突破し、追っ手を振り切りました。
光子郎もサウンドバードモンに操られたティロモンに襲撃を受けましたが、テントモンが進化を遂げ
カブテリモンとなり、サウンドバードモンを撃破。太一たちとの合流へ急ぎます。

しかし闇の勢力はすでに次なる手を打ち、子供たちを追撃しはじめていました……
 
 
 
★全体印象

5話です。
遺跡に残されたメッセージとともに、デジタルワールドの現状が明かされました。

かつての大きな戦いで、光の勢力はまだ力を十分に取り戻せていないのですね。
あるいは闇の勢力の力が対抗するかのように大きくなり、より早く動き出したのかも。
ネットワークを通しての現実世界への介入が、これを助長したのかもしれませんね。
すると、アルゴモン達の動きは選ばれし子供たちが現れる前に始末するために……?

今回でテントモンも進化を遂げるのですが、光子郎との出会いがゴッソリ省かれてるので
けっこうな唐突感があります。私のような無印も見ている口はまだ補完できますけど、
:が初見の人はどうなのでしょう。戸惑いがありはしないでしょうか。
そして光子郎が逞しすぎる。前回の空ほどじゃないですけど。

しかし「光の勢力」「闇の勢力」とはまた、妙にふんわりとした区分になりましたね。
どっちかというとプリキュアっぽいような……
ただ無印には「味方勢力」ってほどの存在がなかったので(太刀川遊撃隊はちょっと違うし)、
そういう意味では逆に区分けがハッキリしたと言えなくもないですが。
まあどっちみち既にいない方々なんで、情報を残すぐらいしかできてないのですけどね。

脚本はふたたび富岡さんの担当。設定回収回だから当然かもしれません。
絵コンテのセトウケンジさんは「爆釣バーハンター」でSDを勤めていたほか、
複数の監督経験を持つ実力派ですがどうやらデジモンシリーズには初参加のようですね。
演出の武藤公春さんは「遊戯王」シリーズでの登板が多い方で、こちらもたぶん初参加。

で、作監の荏原裕子さんも「遊戯王」関連の仕事が多い模様。
「VRAINS」までアニメ製作をつとめていたぎゃろっぷが製作協力に入ってるので、
その関係で調達された人材なのかもしれません。定かではありませんが。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一

 描写的に今回はやや抑えめでした。
 重要なポイントでは喋ってるけど、光子郎へ譲ってるような形です。
 そんな中「明確に」など、なんか年相応っぽくない言い回しも見受けられましたが、
 まあこれは揚げ足取りみたいなものですね。
 状況理解がめっさ早いのはさすがと言うべきか、説明口調というべきか……
 
 
 
・アグモン→グレイモン

 太古の映像とメッセージを見て涙する場面が印象に残りました。
 「光の勢力とともに戦った戦士たち」が転生前の彼らであることは疑いないわけですけど、
 記憶はなくても魂の奥底に何かが残っていて、それが訴えかけたのでしょう。
 かつての戦いで彼らは戦友たちとどんなやり取りを交わし、絆を育んだのでしょうか。

 ってか、記憶はないのに太一のことは知ってるんですね。
 無印同様、転生した瞬間からパートナーを求めるようになっていたのでしょうか。
 だから、デジタルワールドを離れてまで会いに行ったと…?
 その際にガブモンとはぐれて、アグモンの方が遅れて太一に巡り会った…ってとこかな?

 バトルではバードラモンに続いて進化を遂げ、メガフレイムでドクグモン達を薙ぎ払ってます。
 描写はされませんでしたが、包囲に穴が開いた隙を狙って脱出したのでしょう。

 あ、そーいえばオメガモンになったことは覚えてないんですね。
 潜在的には可能だけど、よほど追い込まれなきゃ発動できないのかもしれません。
 
 
 
・空

 前回はうっかりプリキュアにでもなりそうなほどの弩級メンタルを発揮しましたが、
 今回はなんか普通です。どっちかと言えばピヨモンの方が目立ってたかも。
 
 
 
・ピヨモン→バードラモン

 アグモン同様、太古の映像とメッセージを見て涙を流していました。
 闇の勢力を見ての敵愾心表出も、転生前の記憶の影響であることは火を見るより明らか。

 ただ前回を見る限り、アグモンほど明確にはパートナーを意識してなかったようにも感じます。
 選ばれし子供のパートナーといっても、やはり個体差があるのかもしれません。
 果たしてテイルモンはどういう扱いになるんでしょう。
 
 
 
・光子郎

 めっさ冷静です。ものすごく冷静です。
 ホエーモンに呑み込まれても一切動じずに調査を続けたり、
 ティロモンに襲われてる最中だというのにホエーモンを気遣ったりするばかりか
 ティロモンの動きを解析しようと試み、あげくの果てにはその最中に
 めっさ小さく写ってるサウンドバードモンを見つけて狙うべき標的を絞るなどなど、
 もはや人間離れした頭脳派っぷりを発揮していました。

 ただテントモンとの初進化は力技というか、割に熱さを押し出したものになっています。
 無印では工場を調べた上で情報が力を持つと突き止め、プログラムを編み出してテントモンに与え
 そこから進化へたどり着くという、メインどころでは最も特異なプロセスを経ているのですけど
 今度のはむしろなんかフツーですね。新鮮と言えばまあ新鮮ではありますが。

 まだしばらくはテントモンとの二人旅が続くようです。
 丈との合流は彼のパート担当だったりするのかな。
 
 
 
・テントモン→カブテリモン

 なんと光子郎との出会いが省略されたまま進化しました。
 おかげで、彼がなんでそこまで必死に光子郎を助けようとするのかが宙ぶらりん気味になってます。
 演出と作画には力が入っていただけに、なんとも勿体ないところ。
 繰り返しになりますが私みたいに旧作も見てる口ならまだしも、初見の人はどう感じるでしょうか。

 櫻井さんの声質の変化からか、カブテリモンになるとかなり野太い声になります。
 というかテントモン鬨の声も今さらながらちょっと変わってるような……
 あれから21年も経ってるんだから仕方ないんですけどね。

 あと、今作では時折光子郎にも強い言葉を放ったり、ちょっと揶揄ったりする一面があるようですね。
 後者はまあそうでもないけど、前者はちょっと驚きました。

 進化過程の頭だけテントモン状態には笑ってしまいました。八頭身のなんたらはキモいというやつです。
 
 
 
・ミミ&パルモン

 ラストシーンでちょろっと登場。
 メインメンバーでは唯一まだ喋ってないんで、次回は見逃せませんね。
 デジヴァイスがすでにありますけど、太一のケースもあるし進化できるとは限りませんね。
 
 
 
・ヤマト/丈/タケル/ヒカリ
 
 今回は出番なし。ヤマトのみ回想でちょっと出ます。
 タケヒカは当分出てこないかも。
 まあ1クール目終わりには早くも、ってことになる気もしますが。
 
 
 
・ドクグモン

 旧作28話にも登場している成熟期デジモンです。
 その個体は並みいる成熟期たちをまとめて縛り上げ、ワーガルルモンの手を煩わせるなど
 かなりの強キャラでしたが、今回は十把一絡げの扱い。
 手数で攻めてましたけど、一体一体の破壊力はグレイモンに遠く及びませんでした。

 その代わり、大量の糸で遺跡の天井を塞ぐという明らかに狙いを絞った行動をしています。
 ピヨモンによれば「群れでこのような狩りをするケースは見たことがない」とのこと。
 当面の行動隊長であろうオーガモンの命を受け、組織だった動きをしていたのでしょう。

 場にサウンドバードモンもいたのでややこしいですが、「音」の影響は受けていない模様。
 少なくとも「音」を受けて目が赤くなる描写はありません。
 
 
 
・ホエーモン

 前回ラストで光子郎たちを呑み込んでましたが、どうやら闇の勢力とは関係がないようです。
 単純に、エサと間違えたかエサと一緒に呑んでしまったのかもしれません。
 実際、胃袋の中にはデータの屑と思われる物体ばかりで、生き物の存在や痕跡はなかったし。

 結果、光子郎とテントモンを狙った攻撃に巻き込まれてしまいます。
 ただし大きなダメージを受けた様子はなく、光子郎たちが離れた後はどこかへ泳ぎ去りました。
 喋れるかどうかは不明のままになってますが、再登場したりするのかな。

 そーいえば、サウンドバードモンからの「音」には影響を受けていませんでした。
 大きすぎて「音」が効かないのか、ホエーモン自身の発するエコー音にかき消されてしまうのか、
 単純にティロモンだけを操るのが精一杯なのか。理由はどれでしょうね。
 
 
 
・ティロモン

 海竜型のアーマー体デジモン。アーマー体はすっかり成熟期に同化したようですね。
 映像作品にハッキリ出たのはテイマーズの映画以来でしょうか。

 こちらも闇の勢力との関係はないようですが、サウンドバードモンの「音」にけしかけられ、
 光子郎たちを狙って執拗なまでにさかんに動いていました。
 ホエーモンへの体当たりは「トーピードアタック」なのでしょうが、自爆攻撃にしか見えません。
 光子郎たちが出てくるまでの段階で、実際に相当数のティロモンが爆死した可能性があります。

 光子郎とテントモンが出てきた後はホエーモンに目もくれず、そちらへ攻撃を集中。
 しかしカブテリモンに蹴散らされ、さらにサウンドバードモンが斃されたことによって
 「音」が途絶え、逃げてゆきました。
 
 
 
・サウンドバードモン

 アニメ初登場。3話あたりにもちょろっと出てた気がします。
 クロスウォーズ展開中に設定されたので進化レベルは不明ですが、まあ成熟期相当でしょう。
 太一たちを監視するように複数が確認されており、「音」を使っての戦術を仕掛けてきます。

 その能力は多彩で、ドクグモンの糸に「音」で細かな振動を与え、たとえ炎であったとしても
 成長期レベルのエネルギーならかき消してしまったり、ティロモンに「音」で指令を発して
 特定の標的──つまり光子郎とテントモンを狙わせたりと、戦闘力はないですが非常に厄介な相手。
 生半可な完全体よりも厄介さでは上な気がしますね。

 闇の勢力においては、連絡員のような役割も果たしていそうです。
 見かけたらできるだけ倒しておかないと、不利になるばかりかもしれませんね。
 
 
 
・オーガモン

 無印では8話が初登場でしたが、今回は4話から出てるのでかなり早い登板と言えます。
 ただ、喋り方がなんかぎこちないのが気になりますね。
 無印と同じような立ち位置なら、何者かに洗脳されてる可能性もあると思います。
 いっさい関係なくてただのやられ役になった可能性もあるんでちょっと怖いですが。

 中の人は旧作と同じ江川央生さんです。
 最終的にはその声質もあって気のいい暴れん坊ってイメージに落ち着きましたが、さて今回は…?
 
 
 
・コアドラモン青/緑

 いわゆる純血系ドラモン種ですが、今回は敵としての登場。
 または、オーガモン同様に洗脳されてるのかもしれません。乗り物に甘んじてるのもその一環かも。

 ちなみにオーガモンが乗ってる個体だけが青で、残りが緑という取り合わせになっています。
 青の方が飛行能力に優れる(から他のデジモンを乗せていても問題なく飛べる)ってのもあるでしょうけど、
 むしろ専用機イメージが先に立ちますね。オーガモン専用コアドラモンというやつです。
 
 
 
・光の勢力

 かつて闇の勢力と相打った方々。
 シルエットでわかる通り、天使系のオールスターキャストで構成されています。
 さらにヴァロドゥルモンもいるとなると、むしろこれでどうやって相打ちにされたんだろうってなります。
 闇の勢力もまた、それほどまでに強大だったってことなのかもしれませんが。

 遺跡で語り手の主体として現れたのはヴァロドゥルモンですが、声は風間勇刀さんと前田愛さんの二人。
 二人ぶんの声で喋るのか、実はセラフィモンとオファニモンあたりが喋ってるのか、どちらなんでしょう。
 どちらにせよ、このデジモンがここまで大きく取り扱われるのは初めてのことです。
 いつかは元気に飛び回る姿を映像で見てみたいものですね。

 彼ら光の勢力に加担して戦った戦士たちがアグモンたちの前世なのは、すでに疑う余地がありません。
 今回は全員が究極進化するとなると、これは忙しくなりそうですね。
 ドラマをじっくり描いてる暇はあまりないのかも。
 
 
 
・闇の勢力

 かつて光の勢力と相打つも、先手を打つ形で勢力を復活させつつある方々。
 ネットワークの発達につけこみ、さかんに介入することで力を増していたのかもしれません。
 光の勢力のやり方からすれば、そんな裏技は効果が分かっていてもできないことでしょうし……

 太古の戦いにおいては、その筆頭としてデスモンの姿が見えます。
 背後で大量に飛んでいるのはデビドラモンあたりでしょうか? 武器を持ってるヤツもいますが……
 しかし、彼ら以外の暗黒系が見当たらないのは気になりますね。この頃はまだいなかったのか、
 それとも実はまだ力を温存していたのか…… なかなかに底が知れませんね。

 翻って現在、やはり出てきました。デビモンです。
 こいつが当面のボスになるのはまず間違い無いでしょう。
 先にアルゴモンがあれだけやったせいで、いかんせん格落ちの感は否めませんが……

 声は誰になるのかな。PSP版と同じ置鮎龍太郎さんとか?
 
 
 
★名(迷)セリフ

「アホ言うな! そんなことできるわけない…」(テントモン)

 一度自分を放して、その間にサウンドバードモンを狙うように頼む光子郎へ。
 途切れ気味になってるのは、途中でティロモンの体当たりを食らったせいです。
 よく見りゃヒレじゃねえか… よくぶった斬られなかったもんです。

 しかしまあ、ここまで強い語気で光子郎に当たるテントモンって見たことないですね。
 やっぱり皆、意識して少しずつ性格を変えてるんでしょうか。
 
 
「ワイは… ワイは光子郎はんのこと…」(テントモン)

 上記セリフの直後、ティロモンから光子郎を救って。
 字面だけだと告白タイムのようです。
 あと彼、一人称はワテじゃなかったでしたっけ。必死になると崩れる設定になったのかな。
 まあ無印でもモチモンの時はウチって言ってたし、ブレはあるでしょうけど。
 
 
「僕だけがここに跳ばされたのは… 君に会うためだったのかな…?」(光子郎)

 カブテリモンの頭の上で、呟くような述懐。
 相方にはよく聞こえなかったみたいですが、だいたい察されたのか揶揄われてました。
 もしかしたら揶揄ってるんじゃなくて天然でやってるだけかもしれませんけど。
 
 
 
 
★次回予告

 ようやくミミが本格登場です。
 光子郎との絡みが多かった彼女ですが、今回はどういう感じになるのでしょう。
 ドリモゲモンの目が赤いということは、こいつもサウンドバードモン案件ですかね。厄介な…
 デビモンに大量に率いられてたようにも見えるし、黒い歯車ポジションですね。
 ロングバージョンにはタスクモンの姿が見えます。これまた久しぶりの顔ですな。