そしてデジタルワールドへ

脚本:冨岡淳広 絵コンテ:三塚雅人 演出:ひろしまひでき

作画監督:北野幸広 総作画監督:浅沼明弘

★あらすじ

白き聖騎士の圧倒的な力により、アルゴモンを撃滅せしめる太一とヤマト。
しかし、このままではミサイルの爆発を止められません。
ならばと太一たちは奪われたコントロールを聖騎士に奪取し直させ、ミサイルを反転させました。
ミサイルは遥か上空で大爆発を起こし、最悪の事態は回避されたのです。

光子郎によれば、爆発の影響で強烈な電磁パルスが降り注ぎ、電子機器が駄目になるはずでした。
が、それも僅かな間だけの異常にとどまり、実質的被害はほとんど出なかったのです。
けれど太一はネットワークから戻ってくる直前、確かに見ていました。
聖騎士が黒い巨大な何かを抑え込み、視界が真っ白になってゆくさまを。

サマーキャンプの間も、太一と光子郎の疑念と懸念は消えないままでした。
なぜ東京が狙われたのか。他に目的があり、それを邪魔されたから東京ごと破壊しようとしたのか。
であるなら、本来の目的は何だったのか──そもそも、デジモンとは何か。全てが謎でした。
確実だったのは、あれが最後の脅威とは思えないということだけだったのです。

その懸念が的中するかのように、突如として東京の一部が停電。しかも、エリアを着実に増やしています。
同時に輝きはじめるデジヴァイス。一度は別れたアグモンが呼んでいるのか。
すぐに飛び出してゆく太一の目の前に広がっていたのは、予想を全く覆す光景でした。
漂うノイズ、海のようなデータの流れ、闊歩する巨体。どこか自然のフィールドを連想させる世界に、
太一はいきなり放り出されていたのです。現れたアグモンは、こう言いました。

「ここは、ぼくたちデジモンの故郷──デジタルワールド」
 
 
 
★全体印象

3話です。
前半は作画リソースを存分に使ってオメガモンVSアルゴモンを描き、究極体バトルを魅せています。
思ったほど一方的な展開にはなりませんでしたが、これは敵が頑張ったと言うべきかも。

後半は余韻の中、あっさりとサマーキャンプが終わりました。
とりあえず「無印と違うことをやる」という点にかけては一貫しているようですね。
それが奏功するかどうかはともかくとして、姿勢がハッキリしているのは悪いことじゃないと思います。

過程で空、タケル、丈が喋りましたが、太一たちと会話したのは空のみ、ミミの出番はまだと
なかなか焦らしてきます。あまりメインキャラの登場が遅いとそのぶん見せ場が減ってしまうんで、
ちょっとやきもきしますね。次回はいきなり空にお鉢が回ってくるみたいですが、大丈夫かな。

演出には新たにひろしまひできさんの名前が見えます。
補佐役として数々の仕事をこなしてきたフリーランスとのこと。クロスウォーズにも参加経験あり。
絵コンテを三塚さんがやっているので、その補佐をこなしたという感じでしょうか。

作画監督には北野幸広さんが登板。こちらも20年以上のキャリアがあるようです。
東映に限らず、いろいろな作品のいろんなところに参加しているみたいですね。
日九だとドラゴンボール超に作監として多数参加しており、実力のほどがうかがえます。
そのほか、1話に続いて八島善孝さんの名前がありました。ほんとバケモンだなこの人。

脚本はここまで全てを冨岡淳広さんが担当していますが、そろそろ次の誰かが来そうですね。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一

 オメガモンの肩の上でヤマトと共に、やけに落ち着いた戦いぶりを発揮していました。
 それぞれの紋章のオーラに包まれている間、ある種の忘我状態に半ば陥っていたのかもしれません。
 意識がオメガモンと直結しているのか、視線をやっただけでグレイソードが振るわれたりしています。

 全体にびっくりするほど冷静で、光子郎に礼を言う余裕までありました。大人物ぶりが強調されてます。
 ヒカリに対しても良い兄貴っぷりを発揮してましたね。まさかこの時期の二人をまた見られるとは……

 空とは初対面どころか、幼馴染設定が強化されているようにも見えます。
 タケルのことは知らないとして、丈やミミとはどんな関係性になっているのでしょう。
 
 
 
・ヤマト

 EDから「もしかして」と連想していた人はいましたが、やはり東京在住じゃなかったか……
 ひょっとして島根でしょうか。どういった事情でそっちにいるのでしょう。
 ヘタすっと、今回は一緒に暮らしてる親が逆になってたりして…… ありえないとは言えないな。

 タケルとのやり取りでは、普段よりもさすがに饒舌ですが堅さが取れてません。
 いつかはもっと自然に会話できるようになるのでしょうけど……
 それでも、語尾には優しさが滲んでいました。あれが今の彼に出せる精一杯なのかも。
 
 
 
・光子郎

 あれだけバックアップに貢献していながら「僕は何も…」とか言っちゃうタイプ。
 君、ホントそういうとこだぞ。嫌いじゃないけどそういうとこ。

 もちろん最後はオメガモンに任せっきりで、アルゴモン退治にも「ウォーゲーム」みたく
 アシストができたわけじゃないんですが、なにしろまだパートナーも得てませんからね。
 彼の本格的活躍はこれからってことでしょう。

 後半で彼が述べていた疑問は、多くが我々視聴者の疑問でもあります。
 かつ「あ、そこに触れてくるんだ」な部分もあり。
 「東京が狙われた」という事実はこれ、私が考えている以上に重要ファクターですね。

 ラスト近くでは知識の紋章の輝きとともに、DWヘ引っ張り込まれたと思しき描写があります。
 しばし離散展開になるとして、再登場は5話ぐらいでしょうか。
 
 
 
・空

 1話にワンカット出た以来の登場。
 キャラとしての出番は、光子郎が落としかけたタブレットをナイスキャッチしたのが最初です。

 光子郎によればクラスの女子から慕われているらしく、ボーイッシュ側面が強化されてる印象。
 これ、やっぱり後のためのフリみたいなもんなんですかね。
 太一との幼馴染設定も残っており、こちらも強化されてる感じです。
 光子郎とは太一同様に面識が少なく、彼を通して無理なくプロフィールが説明されました。

 中の人は白石涼子さんにバトンタッチ。
 デジモンファンなら言わずもがな、「デジモンクロスウォーズ」の陽ノ本アカリ役だった方です。
 そのアカリよりちょっと低音演技で、受けるイメージはむしろ旦那ポジのタイキに近いかも。
 あっちこっちで助っ人をやってそうだと勝手に思ってしまいました。

 白石さんといえば、ごく最近の「騎士竜戦隊リュウソウジャー」におけるクレオン役が印象的です。
 割と悪いこともするけど悪党になりきれぬ憎めない役柄を、確かな技量で演じきってました。
 
 
 
・丈

 どうやらサマーキャンプでは太一たちと違う班だったようで、モブと何やら話していました。
 太一も光子郎も何のリアクションも取らなかったところをみると、まだ互いに面識は少ない様子。
 ちょっと珍しいシチュエーションかもしれません。

 中の人は草尾毅さんにチェンジ。この時間帯ではお馴染みの方ですね。
 でもってこれまたファンならお馴染み、「クロスウォーズ」において蒼沼キリハ役だった人です。
 キリハみたいな声質と人物は、氏にとって最も得意とするところでしょう。

 丈役としては、いささか神経質な面が目立つ演技になっていました。
 いいカッコしようとして自滅する運の悪さは相変わらずですけど、初期のキャラだなあという印象。
 
 
 
・タケル

 声のみの出演。こっちはやはり東京暮らしのようです。
 近くに東京タワーと森が見えるところからすると、麻布十番あたりの在住でしょうか?
 どうも今回は居住地がバラけてる感じです。ミミも全然違うところに住んでそう。

 中の人は潘めぐみさんにバトンタッチ。PSP版と同じ人ですが、引き続いての採用になったのは
 この人以上に2年生タケルを演じられる人がいなかったってことでしょう。
 それほどまでの完璧に近いタケルっぷりです。何の心配もしてませんでしたがやはりバッチリでした。

 潘さんは若手声優には珍しくウルトラマン好きを公言しており、系列にも出演経験があります。
 特に長いのは「ウルトラマンジード」のペガでしょう。ゼットにも出るかな。
 
 
 
・ヒカリ

 やっと喋りました。そして相変わらず受信しています。
 誰が混乱を収めたのかまで承知していた節もあるんで、もしかするともうテイルモンに会ってたり?
 となると、何から何まで無印とは逆パターンってことになりますねえ。

 中の人である和多田美咲さんの演技は予想どおり、tri版よりさらに荒木香衣さんへ寄せた声質。
 かつ、もう少し丸みがある幼い感じに仕上がってますね。かわいい。
 
 
 
・アルゴモン(究極体)

 あの巨体からは想像もつかぬ猛烈な挙動へ至るあたり、オメガモンへの警戒がありありと窺える戦端です。
 嘗めてかかればやられると肌で感じたからこその、究極体としての本気の機動でしょう。
 ここからも知能の高さがわかるし、なればこそ悪意をもって東京を狙ったことも類推できるわけです。

 しかし単体ではオメガモンに全くダメージを与えられず、逆にグレイソードとガルルキャノンによって
 大ダメージを受け、まるで怒りを爆発させたかのように周囲のフィールドを制圧。
 そこから攻撃端末でもある「目」を生成させ、一斉攻撃をかけてきました。
 こんなこともできるとは… まるでシフトエレメントです。デジタルワールドでもできるのかな。

 が、反撃もここまで。
 本気のオメガモンには攻撃の全てを回避され、一点突破気味にグレイソードの一撃を受けて消滅しました。
 ミサイルの軌道も変えられて爆発も押さえ込まれたので、完全敗北を喫したといえます。
 序盤登場としては最強の敵といっていいレベルの存在でしたが、いかんせん相手が悪すぎました。

 ですが結局光子郎の言う通り、ヤツらが何を狙ってこんなことをしたのかはわからないままでした。
 何者かの指示でやっていたのか、それとも本能のまま暴れていただけで、解き放った者がいるのか……

 思い返せばこいつが最強の敵だったな、なんてことにならないのを祈るばかりです。
 
 
 
・オメガモン

 2話ラストで早くも登場した最後の聖騎士。本格活躍はこの3話からになります。
 その強さはやはり圧倒的でしたが、「ウォーゲーム」の時ほどの凄まじさではありません。
 グレイソードとガルルキャノンを一発ずつ食らわせてますが、それは決め手になってないし。
 度合い的にはディア逆ぐらいでしょうか?
 今となっては「ウォゲ」の演出がいろいろと最初にやりすぎたとさえ言えそうです。

 一方で、スピードと反応速度が非常に高くなっている印象。
 アルゴモンがフィールドを制圧して繰り出した技のことごとくを躱し、そのど真ん中を突っ切って
 とどめの一撃を与えています。その動作はまさに雷光のごとくでした。
 今回のこのスピードであれば、あのディアボロモンにも素で追いつけるやもしれません。

 他に差異を見出すなら、紋章とデジヴァイスによるブーストが窺えるあたりでしょうか。
 成熟期の時からですが、デジヴァイスが輝きを増すとパートナーの能力も明らかに増幅されます。
 例えば1話だと、跳躍力を増したグレイモンが空中から一撃を落とす場面がありました。

 また、各々の紋章を思わせる色のオーラが太一とヤマトを守っているようですね。
 その防御力は至近からアルゴモンの光弾をまともに受けても難なく防ぎきるほどのもので、
 当然オメガモン自身は全くダメージを受けておらず、後退したのも間合いを開くためにすぎません。

 最終的にはアルゴモンに乗っ取られたミサイルのコントロールを奪取し、大気圏外に放り出しました。
 まさしくウルトラマン的な活躍をやってのけたわけですが、それだけに出番は限られるでしょう。
 1クールに1回ぐらいに抑えないとそもそもシナリオが崩壊すると思います。
 まあ、そもそも太一たち自身がどうやったらなれるかハッキリとはわかってないと思いますし……
 
 
 
★名(迷)セリフ

「ありがとな、光子郎。
 いろんなことを調べてくれて、教えてくれた。力になってくれた。ホントに助かった。
 やっぱお前はすごいよ、光子郎」(太一)

「…はい! 役に立てて、僕も嬉しかったです!」(光子郎)

 名コンビが再び確定した瞬間、かもしれません。
 前後の緊張感の抜けるやり取りを含め、よく計算された場面です。
 しかし今期の太一はホント、光子郎のことべた褒めしすぎでしょう。もっとやれ。
 
 
「お兄ちゃん… ありがとう」(ヒカリ)

 自宅での太一とのやり取りから。
 意味深すぎる一言です。この子、やっぱりもうテイルモンと会ってるんじゃ…?
 
 
「ねぇ… 夏休みだし… 会える、かな……」(タケル)
「…ああ。今度行くよ。東京に」(ヤマト)


 こちらは、やり取りだけで互いの境遇がなんとなくわかる場面。
 「東京に」の最後の方に、ヤマトの精一杯の優しさが溢れてる感じです。
 
 
「だから面白いんですよ! ニュースの裏の裏を調べるのって」(光子郎)

 弱冠10歳にしてすでに抜群のネットリテラシーです。しかも彼は消費するばかりじゃない。
 この発言に、太一は「お前、やっぱすげえな」とコメントを送っています。
 あとこの一連の会話、出だしが男塾みたいでちょっと笑っちゃいました。
 はええもんだぜ、あの海の要塞竜宮城、魚も泳ぐ千石風呂大決戦からもう1ヶ月……
  
 
「お前なのか…? 呼んでるのか、オレを…!
 オレたちだけなんだ、止められるのは…! もう一度、お前と… アグモン!」(太一)


 何かを守るため、誰かを助けるために戦うことへつくづく躊躇いがありません。
 なさすぎてちょっと怖くなるレベルです。元から、一度落ち込むと重症になるタイプだし……
 まあ、とりあえずメンバーが揃うまでその手のイベントはないでしょうけど。

 そういえばこの場面、太一たちと思われる3つに加えてさらに3つの光が飛んでいます。
 おそらく空、丈、ミミでしょう。しばらくは彼女たちのターンかも。
 
 
 
★次回予告

 太一組と空組だけの行動になる感じでしょうか?
 敵はスナイモン。ヤマトもいないし、飛べないグレイモンにとっては相性の悪そうな相手です。
 バードラモン活躍の条件は揃っていると言えそうですね。