荒野の悪党たち

脚本:佐藤寿昭 絵コンテ:八島善孝 演出:内山まな

作画監督:八島善孝 総作画監督:仲條久美

★あらすじ

深夜、姿を消した丈とゴマモンを探す太一とアグモン。
アグモンの鼻を頼りに見つけたのは奇妙な水場。その番人・ノヘモンによれば、
丈とゴマモンは二組の悪党一派に捕まり、別々に連れ去られたというのです。

二人を救出するため、太一とアグモンは二手に分かれて行動することに。
見かねたノヘモンが太一に同行し、二人で悪党のアジトに潜入する形となります。
悪党にやられて腕を負傷しているノヘモンの代わりに、太一が弓矢で水甕を狙撃。
大水で悪党どもが浮き足立っている間に、丈を救出することに成功します。

一方、殴り込む形になったアグモンはゴマモンと合流し脱出。
太一たちは悪党二組をカチ合わせる形に持ってゆき、同時に成熟期へ進化。
ノヘモンの加勢もあって、悪党二派を懲らしめることができました。

それは来たるべき嵐の前に訪れた、静けさにも似る小さな冒険……
 
 
 
★全体印象
 
47話です。
太一組と丈組で進行しますが太一回ってわけじゃなく、丈回ではあろうはずもない中身。
どっちかというと、ノヘモンらゲストが主体のギャグ寄り回と言えるかもしれません。

そこまで悪くはないんですが、ここ最近じゃ一番の「この話要る?」な内容でした。
バトルも成熟期までしか出ないので今となっては地味だし、そもそも結構まずい状況なのに
太一組だけで解決しようとし、そのうえ二手に分かれるという普通に考えれば大変な悪手を
平気で打つなど、ツッコミどころ満載です。

離散してて頼れないならともかく、皆いるんだし事情を話して協力してもらってもいいのに。
引っ返した上で誰かを起こして戻ってくる時間がない、ってことなら確かにそうではあるし、
「いや、そんな時間はない」って一言あるだけで違うと思うのですけれど……
でもノヘモンの少し斜に構えたキャラ付けは好み。

脚本は38話以来となる佐藤寿昭さん。
画に関しては、コンテから原画まで八島喜孝さんの一人舞台です。まさにザ・八島回。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一組

 一時別行動し、太一についてはゲストであるノヘモンと行動を共にする珍しい状況に。
 ただしノヘモンの方から同行を申し出た形なので、それが無かったら太一だけで
 丈を救出しなければならなかったことになります。

 その場合、どうやって丈を助け出すつもりだったのでしょう。見当もつきません。
 行ってみてから考えるってことかもしれないけど、いくらなんでも無謀な気がします。
 まあギャグ寄りの内容なんでそれでもなんとかなった気はしますが…緊迫感無いなあ。
 アグモンの方はあまりに堂々とした行動で混乱を招くなど、笑わせてもらいましたが。

 戦闘面のハイライトはノヘモンに譲ってるため、これというほどのものは少ないです。
 太一が矢を射るという珍しい絵面と、バトル終盤でノヘモンを支える場面ぐらいかな。
 
 
 
・丈組

 途中まで捕まってた方々。
 それに加えバトルでも見せ場というほどのものはないし、ノヘモンは地味に丈をディスるし
 扱いとしてはかなり悪いです。ゴマモンのふてぶてしさが少し印象に残ったぐらい。
 
 
 
・他メンバー

 ヒカリ組と空組しか登場しません。出番も最初と最後だけ。
 また、テイルモンは出てますがセリフが無いので担当声優はいない扱いです。
 一番喋ってるのが本編の外で図鑑担当をしてる光子郎という状態です。
 
 
 
・ノヘモン

 今回のメインゲスト。忘れがちですがアーマー体に相当します。
 もともとは井戸の番人だったのですが、黒い稲妻の影響で井戸が水道に変わったことから
 物珍しさもあって悪党二派が独占に乗り出したため、これを止めようとして敗退。
 左腕が折れてしまい、得意の矢も射てなくなってしまいました。

 このため丈とゴマモンが連れ去られた際も座視していることしかできなかったのですが、
 一人でも救出に向かおうとする太一を見かねて同行、適切なアドバイスで混乱を誘発させ
 うまく丈を救出する流れへ繋げました。太一もですが、丈にとって命の恩人といえます。

 また後半のバトルでは吹っ飛ばされた太一を拾い、そのフォローを受けて矢を放ち
 ティラノモンと両ボスのノックアウトに貢献するという大活躍を遂げています。
 字面だけで言えば、今回は事実上ノヘモン回と表現してもいいぐらいでしょう。

 落書きみたいな顔ですが、「フロンティア」にモブ出演した際には普通に喋ってました。
 が、今回は設定通りにカラスと繋がっておりそのカラスが喋る形になってます。
 ただし矢を射る際には人形の方の目が光ってたりするので、ダミーというわけでもない様子。
 喋るのはカラスでも、狙撃の際には人形の方の目を使うのかもしれませんね。

 性格としては少しばかり斜に構えており口も悪いですが、太一を道案内したり助けに入るなど
 根は情に篤い性格です。こっちはあまり本来の設定に沿ったものではありませんが、
 まあ今さらなことなんでとやかく言うほどでもないでしょう。

 中の人はなんと田中秀幸さん。前番組ではボスキャラの一人を演っていた大御所声優です。
 デジモンシリーズでは「クロスウォーズ」でのアポロモンとその裏人格・ウィスパードが印象的。
 この方の声のおかげで熟練スナイパーな古参兵の雰囲気が付与されてくれたわけなんですが、
 一回限りかもしれないゲストに使っちゃったのはもったいない気もしますね。
 
 
 
・ガオスモン + ティラノモン

 悪党二派のうち、丈を連れ去った方の頭目。二人の処遇に揉めて別々に連れ去った形です。

 巨体にマントを纏った姿で現れましたが、これは見せかけで頭に見えたのはガオスモンであり、
 マントの下に弟分であるティラノモンが隠れている形になっていました。一種の二人羽織。
 わざわざこんな形態を採っているのは、ボスとしての威厳を出すためでしょう。たぶん。

 ノヘモンの話では、弟分の方が先に進化してティラノモンになったのだそうです。
 ということは、前は兄貴分と同じガオスモンだったのかもしれません。
 進化したあとも兄貴分の言うことはよく聞くため、一派に逆らえるものはいないわけです。
 別にガオスモンは正体を隠してないし、ボスとしての統率力はあるのかもしれませんが。

 バトルではグレイモンを相手になかなか粘りましたが、ノヘモンの矢が炸裂。
 ガオスモンがなおも襲いかかりますが吹っ飛ばされてミニデカチモンに激突し、その勢いで
 アタマデカチモンが二人を飲み込んでしまいダウンという、締まらない形で敗北を喫します。
 これでも太一たちが手加減してくれたようなものなんで、ノックアウトに止まってますが。

 戦いの後、ガオスモンはミニデカチモン共々引っ張り出してもらっています。
 自分を負かしたと見做したかティラノモンがノヘモンに懐いたので、一団は事実上の空中分解。
 言及はないですが、これに懲りて水場の独占をしようとはもう考えないでしょう。

 ガオスモンの中の人は松山鷹志さん。「フロンティア」のスナイモン工場長ですね。
 
 
 
・ミニデカチモン + アタマデカチモン

 ゴマモンを連れ去った方の頭目。
 巨大なアタマデカチモンの口の中にミニデカチモンがおり、そいつが指揮をしてます。
 ミニデカチモンはなにげに新デジモンってことになるのでしょうか。

 ガオス + ティラノに比べて明らかに影が薄く、良い扱いとは言えません。
 バトルではイッカクモンと戦ったものの、これも上記の通り決着がつかないまま終わっています。
 丈組ともどもワリを食った側と言えそう。

 ところで彼ら悪党は両方とも大勢のゴブリモンを引き連れてるんですが、乱戦になった場合
 どっちがどっちだかわからなくなっちゃいそうです。丈先輩も他人事ながら心配してました。
 まあゴブリモン同士なら識別できるのかもしれないけど。

 ミニデカチモンの声は水田わさびさんが担当しています。一瞬杉山佳寿子さんかと思った。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
「自分のものだというのなら、ちゃんと自分の名前を書いておきたまえ!
 いや、そもそも君たちのものというところからして怪しい!
 公共物の、不正な、独占ではないのかね?
 あ、これ丈のマネね。似てる?」(ゴマモン)

 
 アタマデカチモンwithミニデカチモン組に凄まれての返し。
 :のゴマモンはセリフ自体が少ないので貴重です。状況の割に危機感なさすぎだけど。
 このセリフに対しての返しは「知るか〜!!」でした。まあ、そりゃそうだ。
 
 
「どうも〜! 潜入だよ〜!」(アグモン)
 
 入り口からの堂々すぎる踏み込み。それ潜入やない、突入や。
 
 
「弓矢の腕一本でやってきた水の番人も、このざまだ。
 だがな、人間の小僧ごときが無茶やらかそうってのをほっとけるほど、俺ぁ落ちぶれちゃいねえ。
 付き合うぜ」(ノヘモン)

 
 一人で丈を救助しに向かおうとする太一を助け、悪党がのさばった経緯を語って。
 厭世的な物言いですが、根っこのところでの情の篤さが見て取れるセリフです。
 ラストシーン手前のティラノモンへの言い種もいい感じでした。
 
 
「ヤツだけは俺がやる。頼む、やらせてくれ」(ノヘモン)
 
 迫るガオスモン + ティラノモンを前に。
 ほとんど主役みたいなセリフですが、事実上今回のMVPと主役は彼でしょう。
 本人は「俺も少しは役に立ったな」と控えめでしたが。
 
 
「へへっ、ちょっと朝の散歩にな!」(太一)
 
 ラストシーン、迎えにきた空組とヒカリ組に。
 実際、これまでの戦いを思えばなんてことのない一件だったのかもしれません。
 そんな彼とアグモンは元気ですが、全然寝てなかった丈とゴマモンは歩きながら寝てます。
 
 
 
★次回予告

 いきなりムゲンドラモンが襲来。今回との落差がえらいことになっています。
 なんか衝撃の結末を煽ってますけど、何が起こるんでしょう。
 いきなりの急展開で、正直少し戸惑ってます。