希望の聖剣
脚本:山口宏 絵コンテ:志田直俊 演出:西健太
作画監督:小沢和則 / 吉田肇 / 向山祐治 / 森悦史 / 桜井正明 / 山崎展義 /
竹内昭 / 浪上悠里 / 永田正美 / 斉藤香織 / 小松大樹
総作画監督:浅沼昭弘/仲條久美
★あらすじ
突如、選ばれし子供たちを襲った謎の球体。
それはセフィロトモンと呼ばれるデジモンの一部であり、獲物を捕らえて
その戦いの記憶からコピーを作り出し、死ぬまで戦わせてデータを収集する存在でした。
このセフィロトモンの内部に太一、ヤマト、光子郎、そしてタケルと
そのパートナーらが吸い込まれてしまいます。外に残されたメンバーが救助を試みますが、
敵はメタルグレイモン達の技を学習しており、簡単にはいきそうにありません。
そして激戦が続くセフィロトモンの内部空間において、エンジェモンの影から
なんとデビモンが出現。しかも、他のコピーとは様子が違います。
エンジェモンの力の高まりが、新たな実体化を齎したというのです。
しかもその姿は無数となり、エンジェモンをも闇に取り込もうとしてきました。
苦しむエンジェモンを支えたのは、彼を信じ抜くタケルの希望の心。
闇を振り払ったエンジェモンは完全体・ホーリーエンジェモンに進化を遂げます。
その聖剣の一撃は空間ごとセフィロトモンを十字に斬り捨て、窮地を切り開きました。
希望を胸に抱き、タケルとともに歩む。
夕映えに紅く染まる空の下、ホーリーエンジェモンは自らの影でもあるデビモンに
自らの道を貫き通す決意を新たとするのでした。
★全体印象
46話です。「聖剣」は「つるぎ」と読みます。
タケル組回であり、タイトル通りホーリーエンジェモンへの進化がなされるお話。
またセフィロトモン登場に加え、デビモンが再登場を遂げています。
サブ要素として過去の敵が大挙して現れたりもするので、なかなか賑やかな回。
で、エンジェモンとデビモンの関係もより詳らかとなっているわけなのですが、
両者は別個の存在ではなく表裏一体の存在であると示されています。
神様とピッコロ大魔王みたいな関係とでもいうのでしょうか?
……それならばなぜ「旧き友」という誤解を招きやすい表現を使ったのでしょう。
ミスリード、といえば聞こえはいいですが別にミスリードするほどのことでもなし、
今になって「実はこうでした」と言われても「そうだったのか!」とはなりません。
むしろ「設定変わってない!?」という印象の方が遥かに強いです。
もっと言えば、テイルモンとダークナイトモンとですでに似たようなことをやってます。
同じ天使系とはいえ、展開の繰り返しになってしまっている印象は否めません。
闇に取り込まれかけて別の姿が顕れかけるあたりは「またか……」となってしまう。
それでいて、ホーリーエンジェモンが出る前にデビモンが消えちゃうのも勿体ない。
そもそも、デビモン周りはフワフワしすぎてて個人的に全くノれなかった要素です。
そのフワフワが解消されないまんま「本当はこうなんです」とやられても
「いや…その、なんだ…… そんなこと今になって言われても困る……」
とよけいに混乱してしまう感じなんですわ。
補完しようとして、よけいややこしいことになってるようにしか見えませんぞ……
だいたい、デビモンと直接やりあってたのは太一組とヤマト組なのに
同じ場所に置いといて何のイベントも無いというのは一体どういうことなのでしょう。
だいぶ久しぶりにミレニアモンが直接絡んでるんで、本筋感はあるんですけどね……
脚本は山口さん。なぜか作画監督が置かれず、総作監が二人がかりで回してます。
演出の西健太さんという方の詳細はいまのところ不明。
追記:よく見ると作監クレジットありました。また10人以上も入ってる……
★キャラなど個別印象
・タケル
最近になってやっと少しずつパーソナルが掘られはじめてるわけなんですが、デビモン戦においては
いかんせんほぼ見てるだけだった立場上、あんまり気の利いたことをさせてもらえてません。
上にも書きましたが、デビモンとやりあったのって太ヤマ組なんですわ……
「逃げずに最後まで信じ抜く」という姿勢を示してエンジェモンを解き放ったのは
パートナーとして正しくはあるんですが、それしか動かしようがなかったようにも見えます。
もっとデビモン戦に絡んでれば、やりようは他にもあったんじゃないかと思うんですけどもね……
おまけに「あのブツブツ言ってたヤバいのが相方の影でした」とか言われても
そりゃ反応させようがないよなと思うわけです。やるべきことを果たすには果たしたとしても
敵と主張をぶつけ合うような、言い方を変えれば存在として認めた上で対決する域に至りようがない。
そのうえ直接戦った太ヤマ組はおろか、同じ苦しみを抱くも克服したテイルモンという先達までも
全く絡まないとあっちゃ、そりゃ盛り上がりませんよ……
エンジェモンとデビモン周りはもともと擁護のしようもなかった要素なんですが、ここへ来て
さらに評価不能に陥ってしまった印象です。完全にわけのわからないことになっちゃった。
・パタモン → エンジェモン
エンジェモンとしての出番が大半です。
パタモンとしてあんまり深刻なことを言わせても、いまいち雰囲気が出ないからでしょうか。
上記の通り、デビモンとは表裏一体の間柄であることが判明しました。
かつて闇に囚われていた際、影に沈んだ自らの一部から生まれたのがデビモンなんだそうです。
てっきり以前は親友同士かなんかで、デビモンの方から「闇はいいぞ」と爆推ししてるような
そんな間柄だと思ってたんですが、別にそういうわけではなかったようで。
「逆だったかもしれねェ…」的な、友に自分の別の可能性を見てる構図でもないわけです。
というかこれも上に書いたことなんですが、テイルモンの状況と同じなんですよね。
せっかく「逆の属性を持つ因縁の別個体」という差別化ができてたのに、同じにしてしまってる。
これでは繰り返しの印象になってしまうのも当然です。なぜわざわざ同じにしちゃったのか……
おまけにそれだと、ダンデビモンを見て悲しんでいたのは何なのってことになってしまう。
そこへ持ってきてさらに「選ばれし子供という呪い」なんて話を突然ブッ込んでくるので
もう脳が理解を拒んでくるレベルです。だからなんで要らん要素ばかり増やすんですか。
なんだかよくわかりませんがネオデビモンみたいになりかけるし、危なっかしさばかりが増す。
ダメ押し気味に、ホーリーエンジェモンとしてデビモンに向かうことはありませんでした。
せめてエクスキャリバーでデビモンを断ち斬るとか、ヘブンズゲートで全員消し去るとか
そういうことをしてくれれば良かったものを……
・ホーリーエンジェモン
ご存知、エンジェモンが完全体進化を遂げた姿。メンバー最後の完全体進化でもあります。
50話近くなってからの登場は非常に遅く感じますが、これでも無印(52話)よりは早期。
ただし無印の場合はラストバトル手前なんで、受ける印象は全く異なりますが。
遺憾ながら本作の初陣はデビモンとは全く戦わず、セフィロトモンをぶった斬って終わり
…という、派手なようで地味な実に評価の難しいものです。
すごいといえばすごいんだけど、これって「ついで」レベルの仕事じゃありません…?
本当に、なぜデビモンと戦わせなかったのでしょう。
デビモンという影を振り払ったことが完全体進化のキッカケになるというのなら、
別にそのまんま二枚におろす流れでも良かった気がしてならんのですが……
・他メンバー
半数がセフィロトモンに取り込まれました。
丈先輩と女子組は全員が文字通り蚊帳の外で、ちょくちょく描写がある程度。
ホーリーエンジェモンの活躍によって、なにげにエンジェウーモンの格が下がった感も……
まあ内側からあんなことされてはたまらんでしょうが。
・デビモン
一応、今回のメインエネミー。
以前はネオデビモン、ダンデビモンと進化しましたが今回は成熟期としてのみの登場です。
その代わり多数の分身が登場、寄ってたかってエンジェモンを闇に染めようとしていました。
その本当の出自については上記の通り。
このため「我が旧き友」というセリフが完全に宙ぶらりんになった感があります。
今回はさらに「選ばれし子供という呪い」などという主張を突如として生やし、
エンジェモンにタケルを始末させようと試みています。
そこには光り輝く友への羨望とか、その輝きを確かめるかのような挑戦心であるとか
ウルトラマンタロウに対するウルトラマントレギアのような拗らせまくった莫大感情が
あったりなかったりするんだろうかとボンヤリ思ってたんですけれど。
今になって「実は表裏一体の影の方でした」って言われてしまうとこう
「あっ、ハイ」としか返しようがないんですわ。
じゃあ「友」って表現はいったいなんだったんじゃい!!(まだ言ってる)
せめてホーリーエンジェモンにぶった斬られるぐらいの見せ場があればと思うんですが、
それも無しですものね…悪役にとってはそーゆーのだって見せ場だと思うのに。
コイツとコイツ周りの要素はなんで、こうもグダグダなのか……
一言であらわすなら「結局なんだったの、コイツ」になります。
因縁を深めようとしすぎて、完全におかしなことになってしまった典型かも。
・セフィロトモン
いきなり子供たちを襲い、半数を内部に閉じ込めたハイブリッド体。
本来は名の通り「生命の樹」を象った姿で、今回現れた球体はその一部にすぎません。
「ファーガ」と思しき場所でベーダモンらが呼称していたところでは「No.6」だそうです。
テイルモンによれば、相手の記憶からコピーを生んで獲物と戦わせるのは
「食事」の一環だそうです。力尽きるまで戦わせることに成功したなら、その際には
獲物自体のデータを直接取り込むのでしょう。
ただ自分を大きく超える力は再現不可なのか、究極体は現れていません。
それまでは観察するだけということなのですが、獲物が使った技を学習して
それを使って反撃するという芸当をやってのけます。これは「フロンティア」を思わせる設定。
ただし反撃は外部からの干渉に対してのみで、内部へは具体的行動を起こしていません。
その一方で内部からの攻撃は受け付けない──のかと思いきや普通に通るようで、
最後はホーリーエンジェモンのエクスキャリバーによって十文字に斬り裂かれました。
しかしそのデータは「No.1」と思われる球体に回収されています。
今後の布石…なのでしょうか?
・モブの方々
これまでの敵のうち、取り込まれたメンバーの記憶を基にした連中がコピーとして登場しています。
ヤマト曰く粗悪な紛い物なので本物よりは弱いように見えますが、そのぶん数が多いです。
太一組、ヤマト組、光子郎組はこいつらの対処に手一杯となり、タケル組を救援できませんでした。
その中にはオーガモンの姿もあり、太一組に複雑な表情を強いていました。
直後にメタルティラノモンが現れるのは一種の連想ゲームという感じ。
どうでもいいけどこのメタルティラノ無駄にでかいな。
★名(迷)セリフ
「セフィロトモン。
10個の球体で構成された体を持っていて、あれはその一部…!」(テイルモン)
知っているのかテイルモン。
まあ、このへんはダークナイトモンにされていた頃の記憶だと思いますけど。
「お前は呪われている。呪いの名は、選ばれし子供たち!」(デビモン?)
急に出てきて何言ってるんですかアナタ。
「いにしえの戦の果て……
深く傷つき、再び目覚めたとき…私は黒い瘴気の沼に呑み込まれていた。
闇に蝕まれ、失われてゆく力。永遠とも思える苦しみの中……私の目の前で、生まれたんだ。
黒き翼の悪魔が!」
「お前は私の影! 闇に映し出された影だ!」(エンジェモン)
エンジェモンが記憶から呼び起こしたデビモンの正体。
…どっからどう見ても「友」という表現は適切じゃないように思えるんですが……
デビモンからすれば、あるいはそうなのかもしれないのですけども。うーむ。
「エンジェモンは、君なんかに負けない!
だから、ボクも負けないんだ! ボクは信じてる! エンジェモン!」(タケル)
デビモンに操られかけるエンジェモンを前に。
正しい姿勢といえば正しい姿勢なんですが、他に感想が出てこない流れです。
タケルとパタモンの間柄もまただいぶフワッとしたまま時折なんかやるだけなんで
個人的にはなんでここまでできるのかむしろ恐ろしいままなのです。
「私も同じだ… どんなに暗い闇の中であろうと、タケルがいるから!
私は、羽ばたける!」(エンジェモン)
闇を振り払っての一言。
「立ち直るの早っ!」って思うのは、演出があっさりしてるせいだけじゃないと思います。
「影よ、教えてやろう。お前が不滅であるように……
希望の輝きも、決して消えはしないことを!」(エンジェモン)
デビモンへ投げた反駁。あんたはキュアフローラか。
「私とタケルの進む道の先に答えはある。見届けるがいい、古き友よ」(ホーリーエンジェモン)
ラストシーン、自分と同じく希望も不滅という言葉が真実か否かをデビモンの残留思念?に問われてのセリフ。
「古き友」という表現を彼自身も使ったのは、一応己の中の闇を認め、克服した証…なのかな??
「るろうに剣心」における緋村剣心と鵜堂刃衛のやり取りを思い出します。
★次回予告
状況がよくわかりませんが、いちおう太一組回ってことになるのかな?
ウォーグレイモンの出番はまた無さそうです。ここまでくると出し渋りすぎな気が……