ムゲンドラモンの襲撃
脚本:十川誠志 絵コンテ:貝澤幸男 演出:ひろしまひでき
作画監督:直井正博 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
ついに封印の地「ファーガ」へ辿り着いた選ばれし子供とそのパートナーデジモンたち。
エルドラディモンやレオモン、ロップモンら協力者の健在も明らかとなり、
一同は決意も新たに決戦の場へと足を踏み入れました。
そこに突如あのクラウド大陸と、さらにムゲンドラモンが現れます。
セフィロトモンから受け取ったデータを基に、かつて自分を倒した者たちのそれを核として
構築されたという恐るべき究極体、それがムゲンドラモンの正体でした。
この強敵の前に完全体では歯が立たず、次々と倒れてゆくパートナーデジモンたち。
しかも、ムゲンドラモンは背中のムゲンキャノンで大陸を破壊しようとします。
相手の目的を量りかねぬまま、状況は悪化の一途をたどっていました。
太一は意を決し、仲間を先に行かせてウォーグレイモンと共にこの敵を引き受けます。
傷つきながらもムゲンドラモンの武器をことごとく破壊、首を落とすのですが
ベーダモンの指令でムゲンドラモンは最後の行動に打って出てきました。
それは、クラウド大陸自体を巻き込んでの壮絶な自爆だったのです。
大爆発に巻き込まれた太一とウォーグレイモン。果たして彼らの命運は!?
★全体印象
48話です。
ようやくファーガへの到達が果たされ、ムゲンドラモンとの対決になだれ込むバトル回。
結果として中核メンバーを欠いたままミレニアモンとぶつかる破目になりそうだという、
前回までからするとかなりの急展開が打たれました。やっと多少本筋が進んだ感じです。
いちおう、46話がこの回の前フリみたいなものなんだと思います。
しかしながら別に「いよいよファーガが近い」というアピールは全然されてなかったので、
とうとう決戦だという地固めがされてないままいきなりこの展開を迎えた印象は否めません。
例えるなら最終話直前まで通常運転してる昔の特撮番組のような。
また、今回でウォーグレイモンとメタルガルルモンが揃い踏みすることになるんですが
二大究極体でガンガン連携して攻める様子は特になく、ウォーグレイモンだけ戦って
その間メタルガルルモンは映りもしないという場面までありました。
シナリオの都合か何かはわかりませんが、非常にもったいないと言わざるを得ませぬ。
だってこの二体が本作で初めて揃って戦うんですよ? なんでそこを押さないんです??
あげくの果てにまた太一組のひとり舞台となり、相手の自爆で行方不明になるという
triの悪いところをなぞったような展開になってしまい、頭を抱えている次第です。
いやこれ、どっかに飛ばされるなりなんなりの描写を間髪入れずに出してくるならともかく
単に行方不明にするだけでは別に盛り上がりには繋がらないと思うんですけど……
だって戻ってくることは決まっているのですから、こういうのは過程を踏まないと
「えっ、ここで太一組を欠くのは痛い! これ、どうやって乗り切るんだ!?」という
そのレベルの気持ちにも至ることができないと思うのです。
しかも、太一が生死不明になるってだけなら24話ですでに一回やっちゃってるという。
46話を見た時から、嫌な予感はしていたのです。
本筋が動いたらまた、この回みたいに微妙な感じになるのではないか、と。
別にそんな予感、当たってくれなくても良かったんですが。参ったなあ……
こうなると「この回へ向けての下積みをしてこなかった」という点において
他の回への評価も下がってしまいます。誰も得しない流れだ……
次回がいろんな意味で気にはなりますが。
脚本は十川さん。絵コンテと作画面は見慣れたメンツです。
しかし、バトル回でありながら戦闘面の見所は少ないですね。これまた厳しい。
★キャラなど個別印象
・太一
49話からしばらく出なくなるから47話に単独で目立つ回を突っ込んだのかな、
などと勘繰りをしてしまっている今日この頃。
もっとも、アレは太一回でも丈回でもなくてノヘモン回だったんですが……
もともと彼とアグモンは最大戦力の一角を張ってるだけあり、二人だけで頑張ることも
無印の頃から時折ありました。しかし本作はそうせざるを得ないか否かに関わらず、
ハッキリ言って彼ら単独で戦わせすぎだと思います。
10話あたりからもう、数えるのも面倒なぐらい乱発してるじゃないですか。
こういうのって、仲間の意義が薄くなるから本来あまりやるべきじゃないことだと思うのですが。
そのうえ24話みたいな状況を作っておいてまた行方不明にするもんですから、まあ茶番感が酷い。
ヤマトや仲間たちがエモーショナルに盛り上げてくれるんならともかく、別にそんなこともないし。
そもそも本作の子供たちは個別にスポットは当たっててもあんまり関係性を温めてきてないので、
突然そんなことやられても戸惑ってしまいそうですが。
行方不明にするなどという展開は、「これどうせ戻ってくるんでしょう?」と頭では思ってても
感情が揺さぶられるよう仕掛けるか、または早々に帰還の布石を打っておかないと
簡単にただの茶番へ成り果ててしまう諸刃の剣だと思います。
triがいい例。……いや、あれは悪い例かな?
いずれにせよ、彼らがいずれ帰還するのは間違いないと思います。
その間に各人がリーダー不在を凌ぎ切って究極体に覚醒してゆく流れかもしれません。
本作のことだから別にそんなことにはならない可能性も高いのですが。
そもそも上述のような予想は、無印の完全体進化に似通った流れになるので、
無印と同じことをやりたがらないスタッフとしてはそういう展開にはしない気がします。
・アグモン → メタルグレイモン → ウォーグレイモン
ウォーグレイモンさん、なんと33話以来の登場。
36話でも究極進化はしていますが、その時はブリッツグレイモンでしたので
ウォーグレイモンとしての進化はずいぶん久方ぶりということになります。
…やっぱり、ブリッツグレイモンって局所的進化であって恒常じゃなかったのかな。
とか言って後からフツーに進化したら笑えませんけど。
しかしながらムゲンドラモン相手には苦戦が目立ち、ドラモンキラー片方と
ブレイブシールドを失った挙句、トライデントアームに胸部をブチ抜かれるという
普通なら死んでてもおかしくない大ダメージを受けてしまってます。
ひょっとして太一は助かっても、彼はデジタマに戻るなりしてしまうのでしょうか。
こんなにやられてしまったのは、やっぱり単独で頑張りすぎたからなような……
メタルガルルモンと二体がかりなら何とかなりそうだったんですけどね。
あっちはなぜか途中から攻撃に参加すらしてないんだけど。
あとラスト手前、太一ともども怪訝そうにしてましたけど早く飛ぶなりして逃げなさいよ。
ブレイブシールド失ったから飛べないってわけじゃないでしょうに。
・ヤマト組
メタルガルルモンが二度目の登場。
途中までウォーグレイモンと戦ってたんですが、ムゲンキャノンとガイアフォースが
押し合いしてるあたりから全然戦闘に絡まなくなりました。意味がわかりません。
だってよぉ…二大究極体なんだぜ?
まるで審判にストップをかけられたかのようです。ちょっと露骨すぎる。
あの押し合いの時なんて特にそうで、なんで横から手を出して助けないの?
としか思えませんでしたもの。いやホント、なんで助太刀しないの??
ムゲンドラモンさん、背中と脇がガラ空きでしたよね??
タイマンとかそんなの関係ないはずだし、そんな余裕もないはずなのに。
ようやくの揃い踏みってことで、ちょっとは期待してたんですけどね……
コキュートスブレスさえ使ってないってどういうことですか。
太一ばかりにやらせたって、太一ファンですら喜ぶとは思えないというのに……
・他メンバー
ヤマト組でさえこれなんで、他メンバーはだいぶ悲惨です。
空、光子郎、ミミ、丈の組は早々に脱落しヒカリ組もウォーグレイモンにバフを与えて
戦闘不能へ陥り、タケル組はそのガードに回らざるを得なくなっています。
かろうじてホーリーエンジェモンが多少頑張ったぐらいでしょうか。
すでに彼らの戦力は無印におけるマックスレベルに達してるんですが、
究極体になるのが当たり前みたいな昨今ではそれでも通用しないようですね。
太一組が不在となるであろう今、切り札となり得るのはヤマト組だけ。
そう判断したからこそ、太一はヤマトを残して殿(しんがり)になったのかもですが……
・レオモン / ロップモン / エルドラディモン
健在をアピールしてきました。ファルコモンやスパーダモン、ペックモンらも健在です。
エルドラディモンは眠ってる感じでしたが、まだ傷を癒している最中なのかな。
背中からいきなり城が生えてきたというのも、どうやらその一環のようですし。
もちろん、これで子供達と連絡を取るといいよという好意も兼ねてるんでしょうが。
現場からは離れてて通信も途絶えたんで、戦闘には参加してません。
まあ、ムゲンドラモン相手では死にに来るようなもんなのでかえって安心はしましたけど。
絶好調時のエルドラディモンならそれなりに戦えそうなぐらいでしょうか。
・モブの方々
ゲストの多くがエルドラディモンの城に避難してきているようです。
確認したところプスリモン、バーガモン、カメモン、フローラモン、ムーチョモンがいました。
以前に登場した個体と同一かどうかは不明です。
なお、ウッドモンたちも登場はしませんがロップモンと共に城へ逃げ込んでいる模様。
でも、クラウド大陸が吹っ飛んだということはネーモン達が……
もちろん他にも大勢いるはずだし、安否が気遣われるところです。
・ムゲンドラモン
今回のメインエネミー。というか、尺の大半はこいつとの戦いです。
セフィロトモンによって提供された無数のデータの中からミレニアモンがかつて自分を倒した者、
つまり転生前のアグモン達やパタモンら聖なるデジモンのそれに着目し、構築された存在という設定。
体のうち左腕と胸部のメタルグレイモンはもちろんですが、他にもメタルティラノモンにアンドロモン、
メガドラモンとこれまでに登場したマシーン乃至サイボーグ型デジモンのパーツが使われています。
またヤマトの連想で描写されましたが、24話でメタルグレイモンが暴走しかかった際に
このムゲンドラモンに極めて近いシルエットが出現しており、特にこれを参考にした感じです。
もっとも、最重要パーツのムゲンキャノンにあたるメタルマメモンは登場していないのですが。
マメモンとビッグマメモンは出てるんですけど。
元々の設定通り自分の意思を持たず、監督者でもあるベーダモンらの指示に従って動くだけですが
さすがにその能力は攻防ともに絶大で、完全体レベルの攻撃はまったくと言っていいほど効きません。
逆に尻尾からのレーザーは一発が掠っただけでアトラーカブテリモン、リリモン、ズドモンを
戦闘不能に追い込み、さらに打撃でガルダモンも一撃KOと凄まじいものがあります。
データを食っているような描写もあるので、ダメージを受けたところをデータごと食われて
進化を維持できなくなってしまった可能性もありますが。
ホーリーエンジェモンの一撃で攻勢は多少緩和されましたが、その時点ではほとんど焼け石にでした。
目的は選ばれし子供たちの撃破だけでなく、突如現れたクラウド大陸の破壊にあるようです。
このために、大陸めがけて幾度となくムゲンキャノンを撃ち込み続けていました。
その発射は、ガルルトマホークの凍結効果でも食い止めることができません。
最終的にはウォーグレイモンとの一騎打ちにもつれ込み、満身創痍へと追い込みますが
自身もまた両腕を破壊されたうえに発射途上のムゲンキャノンを破壊され、
さらに至近距離からのガイアフォースで首を落とされます。
それでもベーダモンらによって強制実行された最終フェーズにより、ウォーグレイモンを乗せたまま
クラウド大陸めがけ自爆突撃を敢行、大爆発とともに閃光へ消えました。
相打ちになった形ですが、目的は達したように見えるので戦略的には子供たちの敗けかもしれません……
なんか10話代後半~24話ぐらいまでの徒労感を思い出しますね。
ここまでやっても太一組を仕留めきれなかったのであれば、長期的には敗けじゃないかもですけどね。
★名(迷)セリフ
「数多ノでじもんヨリ集積サレタでーたノ結実。
最強ノでじもんトハ……コレハ、我ラガ示スヒトツノ答エ──『ムゲンドラモン』」(ベーダモン)
ムゲンドラモンというデジモンは元々の設定だと、多数の機械系デジモンをテストベッドにする形で
完成された存在であり、最強のデジモンの一角であるとも言われています。
しかしその根幹がメタルグレイモンの暴走、つまり怒りや憎しみといった負の側面から顕れた
あの姿を基にしているというのなら、それはすなわち彼ら自身の影でもあると言えるわけです。
この戦いは太一とアグモンにとり、自らの蒔いた種をつみとるようなものなのかもしれません。
そーゆーことは全然語られちゃいませんけど。
もっと言えば「あの腕、メタルグレイモンにそっくりだ!?」的なリアクションもなし。
そこいらの設定がまったく語られてない無印ならまあそういうもんかとも思えるのですけど、
一応アピールしておいて何のリアクションもないというのはちょっと……
…そういえばドラモンキラーの設定も語られなかったな。
アレにしても無印でさえメタルシードラモンの時にちょっと語られたぐらいのもんで、
ムゲンドラモン戦では特に語られてないのですけど。三枚におろしはしましたがね。
「みんな。
オレたちの目的は、ミレニアモンを見つけ出し復活を阻止すること……
今、いったい何が起きようとしているのかわからない。
けど、ここでぐずぐずしているわけにはいかない。
聖なるデジモンの力が本当に必要なのは、きっとこの先のはず。
だからこいつは、オレとウォーグレイモンで止めてみせる!」
「っ… 太一! お前をひとり、置き去りにしろと…!」
「ヤマト。
……みんなを、頼む…!」
「……無事…… 戻ってこい。絶対に…!」
「当たり前だ。絶対に、戻ってくるさ!」(太一&ヤマト)
ここ、本来なら二人の互いの信頼が見て取れるいい場面になるはずなのでしょうけど
個人的には悲しいことにあんまりノれませんでした。
下手すっとマッハモンとヤマト組との間柄の方がノれたぐらい。
むしろいやお前らでもっと連携して戦えば何とかなるじゃんと思ってしまう。
太一組ひとりで何とかなる相手なら、それこそ二人ならもっと余裕でしょうに。
ましてウォーグレとメタガルなら遠近取り混ぜて戦えるのですぞ。
太一としては上述の通り、一刻も早く先へ進むためには切り札の一角である
ヤマト組を無傷で送り出すことが最重要だったのかもしれませんが……
★次回予告
とうとうミレニアモンが復活するようです。
コイツがまともにボスキャラとして映像作品へ出てくるのは、確か初めてですね。
当然、ムゲンドラモンの戦いのデータもフィードバックされてるのでしょう。
しかし個人的にはグリフォモンのモブ脱却に注目したいです。
状況からして、残念ながらミレニアモンの前座になってしまいそうですが……