紋章に隠された謎

脚本:冨岡淳広 絵コンテ:志田直俊 演出:山本隆太

作画監督:飯塚葉子 / 松本勝次 / 竹内昭 / 向山祐治 /

Xie Yumeng / Zhu Yashi / Tang Junyue / Jussi

総作画監督:仲條久美

★あらすじ

ミレニアモンを打ち倒し、勝利の余韻に浸っていた選ばれし子供たち。
そんな時、あのガーべモン博士から連絡が入ります。
デジタルワールドのあらゆる情報が集まるという「情報の大樹」において、
太一たちのデジヴァイスに現れるものと同じ「紋章」を発見したというのです。

果たして、赴いた大樹の中には「紋章」の刻まれた遺跡が確かに存在しました。
情報の大樹を拠点にしているワイズモンによれば、「紋章」については謎が多く
遥か太古よりもさらに以前、世界が始まったときから存在しているらしいということ、
それが選ばれし子供たちに関係していることぐらいしかわからないのだそうです。

しかし、彼らの調査によれば現実世界への侵攻はまだ止まっていないとのこと。
ミレニアモンのさらに裏に潜む何者かが、今もなおどこかで陰謀の糸を引いており
それによる「巨大な破滅」が近い未来に迫っているというのです。
そう、太一たちの使命はまだ終わっていないのでした。

そこへ突如、どこからともなくば〜ぷモンが出現。
このデジモンによって、危機に関する調査データがほとんど食われてしまいます。
光子郎の機転と全員の奮闘で敵は倒したものの、データの復旧には時間がかかる状態。

そんな時、デジヴァイスに何かの方角を示すマーカーが現れます。
これを辿ってゆけば、紋章の謎を含め何かの手がかりが掴めるかもしれません。
太一たちはマーカーに従い、何グループかに分かれて探求の冒険へ出発するのでした。
 
 
 
★全体印象
 
51話です。
前回が激闘だったということで、今回は箸休め気味な説明回。

…ではあるのですが、ワイズモンの言葉じゃないですけど
「わからないことがわかった」ような状態です。
とりあえず紋章が単なるアイコンではないことと、まだ危機が終わってないことは
わかったのですけど、ぶっちゃけそれは本編を見ないでも読み取れるレベルの話です。

そんな事実が! とか、あれはそうだったのか! ってほどのことは特にないんですよね。
そうなるだけの布石が置かれてこなかったのだから当然なのですが。
オメガモンについても結局、ここまで何の説明も推測もないし。
もうみんなアレのこと忘れちゃってるんじゃなかろーか……とさえ思いたくなる。

そもそもの話、紋章についての話を今さら振ってくるんですもの。悪い意味で驚きました。
だって4クールですよ。ほぼ4クール放置して「これはもう今回は語る気ないのかな」
と思わせておいてから突然語りだすんですもん。むしろやる気あったんだ。

それだったら「やる気はあります」ってちゃんと言っといてくださいよ。

「気になってはいた」なんて取って付けたように言わせるぐらいなら、もっと以前から
「このマークは何なのだろう」と興味や関心を抱かせる流れを作っておくようにすれば
いざ開示の段階になって「では、やはり…?」と自然に持ってゆけそうなものなのに。
なんのために光子郎というブレーン役がいると思っているのでしょう。

そんでもってまた離散展開です。
本来ならこういう展開って一人一人の見せ場、晴れ舞台でもあるんで「待ってました!」
ってなってもいいところなんですけど、本作の場合はどうにも人物同士の繋がりが薄くて
スポットが当たってもその場限りで終わっちゃう感じなんですよね……

普段の関係性があってこそ、離れた時にそれぞれが際立つ。これができてない気がするのです。
しかも終盤ともなれば、もう基本はできていて各人の総決算にかかる段階だというのに。
肝心なときに大半を太一任せにしてしまう形では、できてなくて当たり前なのですが……

脚本は久々のシリーズ構成担当です。ギリギリ4クール目に間に合いました。
それなりにアクションもある回とはいえ、今回もやたらと作画監督が多いですね。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・選ばれし子供たちとパートナー

 前半から中盤にかけてはほぼ聞き役に徹していましたが、ば〜ぷモン出現にあたっては
 先頭に立って迎撃に打って出ており、場慣れというものはある程度見て取れます。

 終盤ではデジヴァイスに方角を示すマーカーが出ましたが、その方角はバラバラ。
 ってことでまたまた離散展開になるんですが、手探りとはいえ能動的な理由での別行動なので
 これまでの離散に比べればまだマシな方かもしれません。
 パタモンとテイルモンの不調や光子郎の残留など、気がかりな要素を撒いてもいます。

 というか今までの離散が「なんでそーなるの???」ってものばっかりだった気も……
 特に28話のソレは本当に意味がわからなかったし。

 つうか丈先輩とゴマモンのアレ、ちゃんとエピソード貰えたかのような物言いですけど
 あなた方印象を悪くする以外のことあのパートでやっとらんじゃないですか……
 しかも合流までの経緯は口頭説明でテキトーに片付けるというオマケまで付けて。
 後に活かす気があったんなら、もうちょっとちゃんとやっといてくださいよホントに。
 
 
 
・ガーべモン / サーチモン

 42話以来の再登場。光子郎とは仲良しアピールが強まっている気がします。
 こういうのはもっともっとやってもらえると嬉しいですね。

 ガーベモンは戦闘にも多少参加し「奥の手」と称してゴミ箱ブラックホールを披露しましたが
 ば〜ぷモンにあっさり競り負けて食われ… ずに吐き出されました。マズかったようです。
 まあサブキャラ待遇ではこんなものだし、仕方ないですね。
 あとで、光子郎やワイズモンと一緒に何かを掴んでくれるかもしれません。

 それにしても紋章の説明をするんなら、あんまりアーマー体を出すべきじゃなかったのでは……
 「そういえばサーチモンにもこのマークが…」とか「この紋章を付けてるデジモン、他にもいた!」
 って流れにする気もなさそうだし。
 
 
 
・ワイズモン

「情報の大樹」で事実上の責任者を勤めていた完全体デジモン。クロスウォーズ以来の登場です。
 クロスハートにおいては解説やタイキの相談役など、参謀とか顧問の役割を果たしていました。

 あちらでは研究一辺倒の偏屈でクセの強い人物でしたが、こちらではそうでもない感じ。
 わからないことに対して知識欲を燃やす面はあるものの、その発露も穏やかめです。
 でなければ、大勢のデジモンたちを取りまとめるような役はできないのでしょうけど。

 戦闘にも参加はしておらず、解説役に徹していました。
 本作では足元の辞典?と同じ程度の大きさしかないので、直接戦闘は苦手なのかも。

 中の人はクロスウォーズと同じく速水奨さん。「アプモン」ではラスボス役でしたね。
 直近では「ダイの大冒険(2020)」の竜騎将バランが印象に残っています。
 
 
 
・メカノリモン

 「情報の大樹」で足代わりに使用されていた成熟期デジモン。
 自分の意思はないとされていますが、ば〜ぷモンに食われた際には目が×になってたので
 刺激に対しての反応みたいなものは明確に示す設定になっているように見えます。

 上述の通り一体がば〜ぷモン襲撃の際に食われましたが、そのば〜ぷモンが倒されたことで
 大量のデータと一緒にこの食われた個体も解放されたようです。
 また結構な数が存在するのか、ば〜ぷモン攻略の際には数を活かして大量の屑データを運搬、
 勝利へ大いに貢献してくれています。

 太一たちがそれぞれ別行動を開始する際には、数体が足として貸与されました。太っ腹ですね。
 なお、コモンドモンは丈組とタケヒカ組の足として引き続き行動を共にしています。
 このまま最後まで子供たちに同行するのでしょうか。
 
 
 
・モブの皆さん

 「情報の大樹」に集まっていた大勢のデジモンたち。
 知識欲のある者が自然とこの地に集まり、一大コミュニティを形成しているようです。

 確認できた中ではボコモン、バロモン、ドッグモン、サンダーボールモン、チューチューモン、
 ルカモン、プッチーモン、エカキモンがおりました。エカキモンが再登場するとは。
 なお、プッチーモンは赤と緑の二種がおりその両方にセリフもあります。

 ボコモンは「フロンティア」のレギュラーとして知られる存在ですが、本作では
 とにかく大勢おり、「知識の大樹」では最大多数派を占めています。ちょっと不気味ですが
 そのぶん連携が取りやすいのか、メカノリモンの操縦をはじめ多くの雑用を行なっている模様。
 
 
 
・サウンドバードモン、そして

 太一たちが紋章にアクセスした瞬間、まるで何かを察知したように行動を開始しました。
 サウンドバードモンの背後には不気味な目と、何かの胎児のような塊が見て取れます。

 サウンドバードモンは序盤から出てて途中からフェードアウトしたデジモンなのですけど、
 この様子を見る限りデビモンらの眷属などではなく「もっと上」の直属だったのかもしれません。
 途中から現れなくなったのは、なんらかの理由で事態の静観へシフトしたから、とか……

 …そういえば、序盤の頃のPVにはデスモンがいましたね。
 サウンドバードモンたちは、実はそいつの使いだったりするのかもしれません。
 だとしても、デスモンは最後の敵の一派のひとりに過ぎないのかもしれませんが……
 
 
 
・ば〜ぷモン

 サウンドバードモンらが送り込んできた(ように見える)今回のメインエネミー。
 本来は携帯機「デジモンツイン」に「体重が増えすぎるとこの姿に変化する」
 という設定で初登場したデジモンです。一種の状態異常では、という説も。

 外見はどちらかというと可愛い部類なのですが、単なる情報からデジモンそのもの、
 果ては必殺技のエネルギーに至るまでを食ってしまう非常に厄介な存在になっています。
 描写もかなり不気味になっていて、「ドラゴンボール」の魔人ブウを思い起こさせます。
 こいつのせいで、迫り来る破滅への調査データが一度食われてしまいました。

 メタルグレイモンらの必殺技も食ってさらに大きくなるなど、脅威となりましたが
 光子郎の機転で「情報の大樹」にあった大量の屑データを一度に食わされ、
 消化しきれなくなったところをホーンバスターとジガストームの連続攻撃で斃されました。

 しかし調査データは取り戻したものの、イチから整理し直す破目になってしまってます。
 何か具体的な推測を導き出せるようになるまで、余計な時間がかかってしまうでしょう。
 もしそれが「敵」の狙いなら、次善レベルでは達したのかもしれません……

 
 
・情報の大樹と「紋章」

 デジタルワールドのすべてのデータが集まるという場所で、かつ大昔から存在するという
 遺跡に等しい存在です。ワイズモンらがここに居着き、調査を進めていました。
 ガーべモンらも誘われてここにやって来たようです。
 エンシェントワイズモンを象った門もありましたが、アレが元からあったものなのか
 その何世代も前の調査団が作ったものかは定かではありません。

 その内部には「紋章」を象ったオブジェがあり、デジヴァイスに反応していました。
 「紋章」は上記の通り世界の開闢の頃から存在している可能性があるとのことで、
 太一たちがアクセスした瞬間にサウンドバードモン達が動き出したとなると
 「敵」はデジタルワールド創生に関わってる存在とか、そういう類なのかもしれません。

 あの胎児みたいなモノは、18話の段階ですでに出ていたようです(確認済)。
 ニーズヘッグモンもデビモンではなく、コイツが直接関わってたのかもしれません。
 そもそも人間界がらみが全部そうなのだとすれば、アルゴモンやズルモン達も
 この「敵」の差し金で動いていた可能性が高そうです。

 …となると、オメガモンの出現もまたこの「敵」に関連している……?
 とまあ、今のうちに深読みするだけしておきましょう。
 どうなるかはわからないけど想像するうちが華です。
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
「お初にお目にかかる、選ばれし子供たちよ。
 この出会い、我が知識の喜び。
 デジタルワールドとは、デジモンとは何か。
 我々はどこから来て、どこへ行くのか。
 日々情報を集め、研究する。これ、我が知識の喜び」(ワイズモン)

 
 初登場時のセリフ。
 「我が知識の喜び」という言い回しは彼の口癖であり、今回だけで何度も飛び出てます。
 時には空気を読まずに言ったりするので、ツッコミの対象にもなってましたが。
 この時点でもすでにパルモンから「喜んでばっかりね……」と言われてました。
 
 
 
「はあぁ… やっと終わりだと思ったのに……」(丈)
「もう! いつまで続くのよぉ!」(ミミ)


 ば〜ぷモンの襲撃は凌いだものの、危機はこれから始まるのだと改めて認識して。
 私自身も\まったくだよ!/って気分です。
 
 
 
「まだ、冒険ができるんだ…!
 オレはやる! アグモンが一緒なら、オレは怖くない!
 選ばれたとか、使命だからとか、そういうことじゃない。オレはアグモンやみんな、
 デジモンたちが好きだからやるんだ!」(太一)


 上に続いてのセリフ。
 極めて常識的な反応をしている丈先輩とミミに比べ、彼はむしろ喜んでさえいるようです。
 こんなやべえときだってのに、オラわくわくしてきたぞ。

 セリフでは彼自身の見解のみを述べていますが、他のメンバーもだいたい同じ気持ちな模様。
 戦いが激化するにつれて意見が割れたりとか、そーゆーことにはならなそうです。
 今さらそんなことやられても困るんで、別にこのままでもいいですけど。

 ところで、今までに容赦なくぶっ倒してきた手合いもみんなデジモンなんですが……
 迂闊にこういう言い回しをするとツッこまれやすい気がしますね。
 太一が言ってるのはそーゆー意味じゃないってのはなんとなくわからんでもないですけど。
 
 
 
 
★次回予告

 ホウオウモン登場。空のパートナーとしてTVシリーズに登場するのは初めてです。
 その前段階として、何やら二人の間にひと波乱あるようですが……
 40話以外は打率の低い空組回、今度でもう少し挽回できるといいんですけど。