最後の奇跡 最後の力

脚本:山口宏 絵コンテ:三塚雅人 / 鈴木正男

演出:都築悠一 作画監督:直井正博 総作画監督:浅沼昭弘

★あらすじ

 世界の境界を飛び越え、とうとう現実世界にまで魔手を伸ばしはじめたネガーモン。
 これを止めるべく、8人の子供たちと8体の究極体デジモンは力を合わせて立ち向かいます。
 激闘の末本体を補足し破壊するのですが、それはすでに抜け殻でした。
 闇の塊と無数の触手からなる存在、アバドモンがその姿を表します。

 善戦むなしくホウオウモン、ヘラクルカブテリモン、ロゼモン、ヴァイクモンが取り込まれ
 パートナー達ともども存在自体が危うい状態へ陥ってしまいます。
 残る四人にも危機が迫ったとき、現れた無数の光。それは希望の光でした。
 現実世界とデジタルワールドが繋がったことで、人々の生きようとする意志が
 ネットワークをも超越して届きはじめていたのです。

 一計を案じた光子郎の音頭で光が一箇所に集められ、それをセラフィモンとオファニモンが
 束ねてウォーグレイモンとメタルガルルモンに注ぎ込みます。
 そこに現れたのは──これまで幾度かの危機を救ってくれた最後の聖なる騎士、オメガモン。

 オメガモンはアバドモンの表面を切り裂き、内部へと突入してゆきます。
 すべての決着、冒険の果てへと辿り着くために。
 
 
 
★全体印象
 
66話です。最終決戦がスタートしました。

流れとしては序盤がメイン側、中盤から後半が敵側のターン。
終盤でオメガモンが11ヶ月ぶりの登場を果たし、最終話へ……というもの。
大半がバトルですが、結構がんばって動かしてます。本命は最終話なんでしょうけど。

光子郎たちが取り込まれてしまうくだりは無印の53話を、人々の願いが集まって
オメガモンが現れるところは「ウォーゲーム」を思い起こさせるものがあります。
逆に言えば、特に無印との差別化はできていないことに。
怒涛の回想シーンと全員の決意表明が無いぶん、劣化しているとさえ表現できます。

希望の光うんぬんはミレニアモンの時と同様の現象だと言いたいのは分かるのですけど、
「あの時の光だ!」と言われても「あっはい、あの時の光ですね」としかなりません。
「うおおお、あの時の光がまた!」とは到底ならないと思います。

決戦としての描き方そのものより、やはり積み重ねが弱すぎるのが問題かなぁ……
だいたい、現実世界に危機が迫ってるのに太一たちの家族が全然出てきませんし。
これまで出てこなかった方々はもちろん、出てきた方々も出てこないという。
最終話で出るのかもしれないけど、いくらなんでもそれは遅すぎるんじゃないかと……
出ないよりはマシだと思いますが。出ないよりは。

脚本はここへ来ての山口宏さん。
作監は直井さんですが、さすがに今回は原画人数が多いのもあって
そこまで手癖が出てない感じでした。たまにわかりやすいカットがあるけど。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一組、ヤマト組、タケル組、ヒカリ組

 後半まで粘ってた方々。
 次第にジリ貧へ陥っていましたが、光子郎の策に天使組が呼応して光を集めたことにより
 オメガモンを出現させることに成功しました。勝負は振り出しに戻ったというわけです。
 
 
 
・空組、光子郎組、ミミ組、丈組

 上記の通り、途中でアバドモンの触手に取り込まれ分解されかけてしまいます。
 しかし人々から生じた希望の光に触れたことで分解が止まり、姿もハッキリしました。
 「希望の光」というものが紋章の力と本質的に同一のものであるとするのなら、
 その作用が彼らの存在を繋ぎ止めたのかもしれません。

 その後は光子郎の策に従い、希望の光を集めて天使組に引き渡しています。
 勝利の一翼は担いましたけど、これでお役御免にならないといいんですが。
 
 
 
・デビモン / ダークナイトモン

 セラフィモンとオファニモンのダークサイド、とでも呼ぶべき存在。
 アバドモンを前に危機へ陥った天使組を救い、特に前者は激励もしてゆきました。
 全てを消し去る無の力の前に、闇の者も力添えしてくれるという形が作られたことになります。
 
 
 
・ネガーモン → クズルーモン → アバドモン

 なぜか本編中に進化後の名前が出てこないラスボス。
 ちっこいのがネガーモン、途中に出てきた口だけのでかいのがクズルーモンで
 そのあと出てきた黒丸のニヤニヤ顔から触手の伸びてるヤツがアバドモンのようです。
 ハガレンっぽい外見ですが、ある程度意識されたデザインみたいですね。

 アバドモンについては、オファニモンが「奈落」と表現していました。
 その由来が「ヨハネの黙示録」に登場する奈落の王・アバドンであるのは確実でしょう。
 アバドンは底無しの穴と深淵、また蝗害の代名詞、神格化とも言われます。
 あらゆるものを食い尽くす蝗のように、全てを侵食するというわけですね。

 アバドモンとなってからの力はさすがに強大で、空たちを早々に取り込んでしまったうえ
 ウォーグレイモンたちの攻撃を寄せ付けず、徐々に追い詰めていってます。
 これに対抗する切り札として、ようやくオメガモンが再登場する運びとなりました。

 しかしながら全く喋らないヤツなんで、なんとも手応えがありません。
 暴走してるようなものだし、自分が何をやってるのかもわかってないんじゃないでしょうか。
 そもそも我々の定義における「意志」ってものがあるのかも怪しい。

 意思疎通ができず、主人公たちの向こうを張る主張もなく、破壊を繰り返すだけのボスというのは
 なんとも語りがいのないものがあります。盛り上げてくれる取り巻きにも恵まれてない。
 このままだとデジモンアニメ史上、最も面白みのないラスボスになってしまいそう。
 
 
 
・オメガモン

 というわけで50話ぶりぐらいに出てきたわけなんですが、ここにきて改めて思うのは
 やっぱり序盤・前半で出したのは失敗だったんじゃないかという確信です。
 百歩譲って3話の対アルゴモンはともかく、対ニーズヘッグモンは余分だったかと……

 最初から全部繋がってたんだ、って言いたいのはわかるんですけど、それをやりたいがために
 オメガモンの出番を先行消費してしまったのはやっぱりマズかったと思わざるを得ません。
 今回が初なら「おおっ最終話限定か!」ってなって少しはアガったかもしれんのに……

 おかげで何か「勝ったな」フラグが弱くなってる気さえしますぞ。
 聞いた話では、もうちょっとテコ入れが入るってことですが。
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「当たって砕けろだ! いや、砕けちゃダメだけど…
 とにかく、覚悟はできたよ!」(丈)

 
 進化をはじめたネガーモンを前に、戦いの抱負。
 和み系担当としては割に良い仕事をした場面です。
 
 
「聞こえる……
 世界を越えて響く声…集う意志……
 破滅を前になお、眩く輝く希望の光…それが今生み出す奇跡……
 ならば、我ら影なる者の気まぐれもまた……
 これが…お前のたどり着いた答えなのだな、旧き友よ……」(デビモン)

 
 聞こえる聞こえる だってウサギの耳(以下削除)

 触手に飲み込まれたセラフィモンから飛び出しての一言。相変わらずわかりにくい言い回し。
 ダンデビモンからデビモンの姿へ戻りながら、ということは、彼が研究していたという
 破滅へ至る進化の力を逆用したのかもしれません。
 だから彼だけが触手の中でも自由に動けたのでしょうか。近いモノだから。

 ところで作画ミスなのかなんなのか、胸のマークがずっと行方不明でした。
 
 
「究極の奇跡…聖なる騎士… オメガモン…!」(オファニモン)
 
 なぜか名前コールはオファニモンが担当しております。
 自分で名乗らせるのはアレという判断が下ったのでしょうか?
 あとコールに力が入りすぎたのか「オ メ ガ モ ン」って感じになってます。
 
 
 
★次回予告

 やっと最終話です。
 コロナ禍とまさかの5クール構成でずいぶん先送りになってた気がしますな……
 少しは心が動いてくれるでしょうか。