巨大な破滅ネガーモン
脚本:十川誠志 絵コンテ:八島善孝 演出:内山まな
作画監督:八島善孝 総作画監督:仲條久美
★あらすじ
デジタルワールド各地の空に現れた亀裂と、その中に広がる真っ白い虚無。
それはこの世界の成長のための必要悪とも言える「災厄」としての存在であるはずの
「ネガーモン」がさらなるデータを求めて現実世界に手を伸ばしたところ
予想以上の膨大な負のエネルギーによって暴走、制御を失ったために起きた現象でした。
このままでは世界そのものが崩壊どころか「消滅」してしまいます。
これに対抗しうるのは、紋章をはじめとした「存在しようとする力」のみ。
一度は引き離されつつも合流した選ばれし子供たちとパートナーデジモンたちは
メッセンジャーとして現れたアルゴモンと対峙、これを撃破しました。
次はいよいよ巨大な破滅そのもの、ネガーモンとの対決。
しかしその頃、現実世界の空にもまた異様な亀裂が生じようとしていて……
★全体印象
65話です。どうやら全67話みたいですね。1話増えたか。
内容としては「ネガーモンとは何か」という説明回(説明会?)に近いお話になっています。
しかしながら前回と同じく「あっ、そうなんですね」ってなるぐらいで
「うおお、そうだったのか…!」ってなるような内容ではありません。
布石も置いてないわけじゃないはずなんですが、肝心の内容が特にノれるものじゃないと
「はあ、そうですか」で終わってしまうという良い例かもしれませんね。
おかげで、ラスボス開示回のはずなのにひどく内容が薄いと感じてしまいました。
ってか原因が暴走って、ラスボスにしてはかなりしょぼいような……
この回が繋ぎに近いことはスタッフも理解しているのか、作画リソースは抑え気味。
というか八島善孝さんが原画+絵コンテを一人で回してます。
一応、最終話はかなりすごいことになると思っていいんでしょうか……
お話にノれないと、どんだけ絵と演出がすごくても空回ってしまうのですけれど。
正直、気持ちはすでに次のゴーストゲームへ移りかけています。
シリーズ構成が今回の担当でもある十川誠志さんなのは判断が難しいところですが……
でも制作体制しだいで乱高下しがちだからなぁ。
★キャラなど個別印象
・選ばれし子供たち
基本的にはラスボスのフィールドにとっ捕まって話を聞いてるだけです。
どうやらこのフィールド、長居するのは危険みたいですが……
次は追い込まれターンに見えるし、そこらへんが影響してきそうですね。
彼らよりも、生還率の低いモブやレオモン達の方が遥かに心配ですけれど。
・パートナーデジモンたち
ガーベモンたちが用意した大砲に全員で乗り、太一たちの救援と合流に向かいました。
この際ギッチギチに詰まった状態で一人一人コメントするので、かなりクドいです。
急ぎ気味に流してるのせいで、かえって余計にくどくなってるパターン。
あそこは軽く流して、空中を飛んでる間にやらせてもよかったのでは……
終盤では進化ラッシュですが、これもクドい上に見てて別に楽しくありません。
本当に見応えがあるバンクはグレイモン系とガルルモン系だけだし……
こういうのは全員にしっかりしたバンクが無いと、格差が目立つだけなんですよね。
例えばプリキュアのバンクが省略版の方が多くても華やかなのはなぜか、って話です。
あとバンクの見せ方も変で、一定の希少価値がある究極体の進化バンクを優先せず
完全体のバンクの方を見せるパターンだったり、それでいてウォーグレイモンと
メタルガルルモンのバンクは見せているなど、チグハグさが目立っていました。
最後の二体は完全体バンクも見せてるんだよなぁ……なんなんだこれ。
…もしかしてですが、製作段階ではまだウォグレとメタガル以外の究極体バンクが
揃っておらず尺の計算が困難だったので、既にできてる完全体バンクを使って
絵コンテを構成したのでしょうか。見切り発車をするならその方が安全です。
そんなことあるのか、と思いかけて天使組のバンクが前回初出だと思い当たりました。
こりゃ、ラッシュかけようってなったら困るかもしれません……
視聴者側からすれば「だからどうした」って話ではあるんですが。
・コモンドモン
自ら大砲に入って飛び、アグモンたちの足場役を買って出ていました。
同行者としては一番長い戦友ですから、見せ場をねじ込んだってところでしょう。
かなり無理はありましたが、見せ場を作った事自体は良いと思います。
・ガーべモン / サーチモン
謎の大砲でアグモンたちを撃ち出し、太一たちのもとに送ろうとしました。
妨害がなければ、そのまんま亀裂の中に飛び込んでいたものと思われます。
コモンドモンがあの大砲の中にどうやって入ったかは永遠の謎と言われています。
・その他の方々
レオモンが引き続き喋ったのに加え、久々にロップモンも喋りました。
ロップモンとパタモン、テイルモンたちが会話するのはこれが最初になります。
状況が状況なんで、ゆっくり話し合うわけにはいかなかったのですが。
基本的には見送る立場で、バトルなどは期待できそうにありません。
相手がやばすぎて下手に動いたら怖いし、ここは逃げて欲しいところ。
・アルゴモン(メッセンジャー)
言いたいことだけ言って特に大したこともせず退場しちゃった人物。
あの空間の中では彼自身も長くは保たないように見えるし、
実力を発揮しきれないところはあったのかもしれませんが……
これは勝手な想像ですが、ネガーモンに(自覚の有無は置いといて)作り出されるも
それなりの意思はあるぶん、彼らも戸惑ってはいたのかもしれません。
太一たちを連れてきて長々と説明したのも「これこれこういうわけなんです。
なのですが、私たちは上の意向に従わねばなりませんので悪しからず」
ってことだったのかもしれないんですよね。知らんけど。
そんな説明されても困るし、太一たちには関係ない話ですが。
それに、言ってたことが事実なら大変なとばっちりですよ。
ネガーモンが暴走さえしなければ、こんなことにはなっていなかったんですから。
虚無の中、データ欠損を伴いながらメッセンジャーに終始するその姿からは
主たるネガーモンに従う以外の自意識を持たない悲哀のようなものも無くはないですが
少々マヌケにも見えます。死というものへの恐れが希薄なんでしょうけど。
子供たちの反応に応えるような場面もありましたが、基本的には一人で喋ってました。
自分の主張を強烈に持ちつつ、主人公たちにもガンガンぶつけてきてくれる
「悪役」の不在が本作最大の不幸だと表現しても過言ではないと思います。
・ネガーモン
虚無の中心、触手の伸びる暗闇の塊の奥に蠢く本作の黒幕です。
「ネガティブ」とはマイナスではなく「存在しない」ことを意味するといわれるため
光でも闇でもない「ム」ないし「無」の使者として位置付けられているのでしょう。
本来はあらすじの通り「災厄」としてデジタルワールドに影響を及ぼし、その結果として
世界全体を成長させてゆくという「サイクルの一環」として存在していたようなのですが
現実世界のデータを参照したところ予想以上の負のデータのために制御を失い
すべての記憶、すべての存在、すべての次元を消し、そして自分自身さえも
永遠に消し去ろうとする「無限の虚無」になってしまったようです。
「ネバーエンディングストーリー」でファンタージェンを危機に陥れた「虚無」のように。
とまあ言葉を飾ることはできるんですが、平たく言えばバグみたいなものです。
システム全体を巻き込んでまるっと消去してしまうという、極めてタチの悪いバグですが。
食いすぎておかしくなっちゃったというのは、ラスボスにしちゃしょぼいですね。
しかも同じアプローチをした、いわば「存在」の側はこれを成功させているのに。
そう、紋章の力はこのネガーモンの力と対極をなすものだそうです。
こういう事態を見越して用意されていたアンチシステムみたいなものでしょうか?
なんだか11遊星主VSジェネシックガオガイガーの様相も呈してきましたぞ。
あっちは味方側の方に「破壊」概念がついてるのがポイントですが。
★名(迷)セリフ
「選ばれし子供たちが追い求めてきた、謎の紋章の答え!
それは、彼らのこれまでの全ての冒険、そのものであった!」(ナレーション)
ここへ来てナレーションまで言ってやった感を出しはじめていますが、
なんと当の太一たちは誰ひとりとしてこの結論を聞いていません。
後から「ワイズモンが言っていた…!」などと既成事実化するかもしれないけど。
「ようやく会えたな……」(ロップモン)
突如発生した通信現象を通して、パタモンとテイルモンに。
感慨深いセリフで一瞬惑わされそうになりますが、テイルモンが言っていた通り
本当に「話には聞いていた」程度で過去というか前世どういう間柄だったのか
全然わからないままだったりします。同じ天使型だったことしかわからない。
実際、君らどーゆー間柄だったの??
「これはきっと、冒険の果てに得た…
彼らの、デジモンと──デジタルワールドと繋がる力」(ワイズモン)
デバイス無しでレオモンたちと繋がり、今後への意気込みを述べる太一たちを見て。
今日も今日とてすごい一人合点セリフです。間違っているとは言いませんけど。
「なんなの、あれ……見てるだけでゾワゾワする……」(ミミ)
ネガーモンを初めて視認して。
負に属するものを五感で認識すると精神に影響があるという設定は
SFでもみられるものです。善とか悪かではなく「そういうもの」だから。
「レンズマン」シリーズに出てくる反物質兵器「負の球体爆弾(ネガ・スフィア)」
が良い例と言えましょう。
「デジモン、なの……?」(空)
クリフォード・ガイギャクス
「『ネガーモン! その正体がすべて闇に包まれている謎のデジモン!
いや、この物体がデジモンなのかも解析することはできない!』
……とでも、いって欲しかったのかもしれんがね」
「なにそれ! 何でそうなるのよっ!」(ミミ)
「どんどん話がおかしくなってるぞ!」(丈)
現実世界のデータを取り入れるうち、衝動のまま全てを喰らい尽くするモノへと
ネガーモンが進化していった経緯を聞いて。
いろんな意味で私もそう思います。
「肥大化する力が自分の本来の目的、本能にまで侵食し…
上書きしてしまったんだ!」(光子郎)
「食らう…ただそれだけのために存在する生物…!」(ヤマト)
アルゴモンの説明をもうちょっと噛み砕いたセリフ。
もっとぶっちゃけて言えば、意思疎通ができないジャアクキングですね。
わかりにくくはないですが、この期に及んで言い回しがスゲー変です。
光子郎はともかくヤマトのセリフは、何か正体のわからない違和感がある。
本作ではこう、だと言われればそうなのかもしれませんが。
「滅びを前にしてなお抗い、戦う…
それが君たちの選択……よかろう」(アルゴモン[メッセンジャー])
パートナーと合流を果たした太一たちに。
ラスボスみたいなセリフを吐いてますが、こいつは特にラスボスではありません。
特に盛り上がりを煽るセリフというほどでもなかったりします。
あと勝手に納得してる感がひどい。言葉のドッジボールが応酬されているッ。
★次回予告
えっまだあと2回もあんの? が正直な見解です。
とりあえず次回はネガーモンのターンですね。
この調子だとかなり延々とピンチを見せつけられることになりそう。