狙われたデジモン学校

脚本:山口宏 絵コンテ:貝澤幸男 / 志田直俊 演出:西健太

作画監督:吉田肇 /向山祐治 /森悦史 /竹内昭 /浪上悠里 /

wuxiaowei /youxi /chenqi /Jiang yong

総作画監督:仲條久美

★あらすじ

デジヴァイスの導くまま、クラウド大陸の「ミミちゃん王国」へ久々に戻ってきたミミ達。
そこにはいつの間にかデジモン達の学校ができており、校長であるババモンのもと
強く正しく美しい進化を目指し、デジモンたちが特訓を繰り返していました。
あのタネモン達も、何体かは進化を遂げてララモンになっていたのです。

このデジモン学校に三日間の体験入学をすることになったミミとパルモンでしたが、
特訓はあまりに厳しいものでした。しかもババモンの強さはリリモンも寄せ付けません。
ヘトヘトになってしまった二人は、逃げ出すことも考えます。

そんな二人に、ジジモンがババモンの厳しさの理由を語って聞かせました。
かつて優秀ながらも考え方の相違から道を踏み外して学校を去った生徒がおり、
以来ババモンはより一層強く正しく美しい進化への指導を強めたというのです。

思い直したミミとパルモンはもう少し頑張ってみようと、特訓を続けます。
次の日からは太一とアグモンも加わり、少しずつ成果が上がりはじめました。

そこへ舎弟を引き連れ、バンチョーマメモンが姿を現します。
彼こそがババモンと仲違いして去った学生であり、しかも目的はお礼参り──
ババモンへの報復でした。学校内は大混乱に陥ります。

劣勢に陥ったババモンを助けたのは、確かな手応えを得ていたミミとパルモン。
二人は特訓の成果を発揮し、究極体ロゼモンへと到達してみせます。
その強さはバンチョーマメモンの猛攻を凌ぎ、楽々と制してのけるほどでした。
負けを認めたバンチョーマメモンは学校に戻り、一件落着となります。

戦い終わって日が暮れる中、ミミのデジヴァイスに紋章を象った光が出現。
それは、彼女が紋章の謎に一歩近づいた証だというのですが……?
 
 
 
 
★全体印象
 
55話です。今回で無印の話数を追い抜きました。
こっから先は同一タイトル作として独走状態へ入ることになります。
(くどいようですが、クロスウォーズは二度もタイトルが変わった作品であり
かつ55話からレギュラーが入れ替わってますから)

内容としては、37話以来となるほぼ全面的なミミ回。
太一組も出るには出ますが、本当に出ているだけだったりします。
ここまでくるともうノルマで出してるとしか思えませんな……

今回はパルモンが究極体・ロゼモンへの進化を会得するお話でもあるのですけれど、
なぜかサブタイにはロゼモンのロの字も入っていません。

一応、毎回(なぜか)存在する隠しサブタイトルについても確認してみたのですが
そちらも「強いデジモンとは」と書いてあるだけでロゼモンの表記はないです。
予告を見ていないと、ロゼモンが初登場するお話だと判断できないかもしれませんね。

なぜこのようなサブタイになっているのか、理由は定かではありません。
ロゼモン自体はメインエネミーに勝利するなど扱いとして悪いわけじゃないんですが、
それだけに不可解です。あえてこんなことをするメリットはあるのでしょうか?

本編自体の内容にしても、いささか首を捻らされるものです。
ババモンを入学するなり豹変して居丈高になるタイプの人物に描いたりするなど
妙に悪役っぽい仕草をさせておいて後から「厳しいのは実はこういう理由があって……」
と明かしても、上の印象が覆されるわけではないのでモヤモヤが残るんですよね。

うまく言えないんですけど、納得感が足りない印象なのです。
「そうだったのか……」とはならず「でもそれはそれとして問題あるのでは?」
になってしまうというかなんというか。

仲違いして出て行ったというバンチョーマメモンの考え方もよくわからないままだし、
それなのに「ババモンが正しい! お前は間違っている!」なんて流れになるので
「本当にこれでいいのか?? 大丈夫なのかこの学校???」
という気持ちが先に立ってしまい、どうにもスンナリとは受け入れられませんでした。
あと、アレで紋章の謎に迫れたのなら空の時はなんで何も起こらなかったんでしょう?

脚本は山口宏さん。もはやミミ回専属ですね。
でもって、またまた作監が大人数。時々こうなりますけど何が起こってるのでしょうか。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・ミミ

 特訓したらなんかできる気がしたのかなんなのか、実際に究極進化できちゃった人。
 この際の標語は強くやさしく美しくGo…もとい「強く、気高く、美しく」というものでした。
 これはデジモン学校のモットーであり、ババモンの理想でもあります。

 無理矢理に解釈するなら「相手から受ける先入観に囚われず、そのあり方を自然に受け入れ
 今一番大切なことを見失わない」という彼女が採った姿勢が紋章にとって必要なものであり
 それがリリモンをさらなる高みへ導いた、ということかもしれません。

 とは言え正直、今回の彼女については言い表すのが難しいです。
 バンチョーマメモンに対してなんであんなに余裕綽々だったのかもよくわからないし……
 あらすじではああ書きましたが、別に決定的な何かを掴んだ風でもなかったのに。

 ともあれ、結果的には誰よりも先行して紋章の謎に近づいた形です。
 具体的にどう近づいたのか全然わからないので、状況としては何も変わってませんが。
 
 
 
・パルモン → トゲモン → リリモン

 ミミと二人して特訓を切り抜け、究極進化へ到達しました。
 そのぶん後半まではいいところがあまり無く、ババモンには完全にあしらわれてます。
 
 
 
・ロゼモン

 今回に関してはここからが本領。
 妙に自信満々なミミからの宣言に応え、究極進化を遂げた姿です。

 今回はかなり巨大になっており、小柄だったリリモンとは巨人と子供ほどの差があります。
 てゆーかトゲモンよりでかいです。究極体はみんなでかくなるってことでよさそう。
 さりげなく巨大化していたセイバーズ版のバーストモードを思い出しますね。

 首に輝く宝玉「ティファレト」は愛と美のシンボルとされる秘宝で、
 ババモンが付けているのと同じものです。本作においてはババモンの教えを反映させた証
 …ということなのかもしれません。たぶん。

 実力的には完全体までのそれを大きく凌駕し、バンチョーマメモンの技をことごとく弾き
 逆にローゼスレイピアでその「黄金罰斗」を弾き飛ばして反撃を封じ込めた上で
 ダメ押しのフォービドゥン・テンプテーションを決めて敗北を認めさせています。

 この結果、ミミは紋章の謎に一歩近づくことになりました。
 
 
 
・太一組

 体験入学二日目から登場しました。
 アグモン曰く面白そうだから入った、とのことですが本ッ当に出てきただけです。
 こんな適当な扱いなら、いっそ出さないぐらいがマシでしょう。
 ただでさえ彼らの進化バンクは尺を圧迫するんですから。

 どうにも「太一組は看板だから毎回出すように」とのお達しが出てるとしか思えません。
 でなきゃあり得ませんよ、こんな意味のない出し方。
 
 
 
・ババモン

 デジモン学校の校長にして講師。今回のモヤモヤ感の大半を担ってる人物です。

 穏やかに勧誘して体験入学した途端に居丈高になる前半のしぐさは「詐欺師」のものですし
 「グラウンド100周」などという負荷をかけとけば良いかのような姿勢はもはや前時代的な
 「精神論者」めいたステロタイプです。他番組ではむしろ徹底的に否定されてる類。
 バンチョーマメモンが反発したのはそういうところだったんじゃないか、とさえ思えます。

 ジジモンの説明で「厳しいのはバンチョーマメモンの出奔が原因」となるのですが、
 「そうだったのか、それで……」となるよりも先に「それって自分の非を認めたくなくて
 意固地になっているだけなのでは…?」という印象を抱いてしまうんですね。

 これで「バンチョーマメモンにもババモンにも言い分があり、どちらにも問題があった、
 でもそれを互いに認めたくない」という構図になり、それを見たミミ組が仲裁する……
 という流れにする手もあったと思うのですけど、そうはなりませんでした。

 後半からはこのババモンの言い分が正しいことになり、バンチョーマメモンは単に
 「ババモンの想いを理解しようとせずグレちゃった奴」になってしまっています。
 前半の描写とこの後半の構図がどうにもチグハグになってるんですね。
 せめて前半がちゃんとしてたら、後半はこのままでも違ってたんでしょうけど……

 実力的には究極体だけあって高く、トゲモンはおろかリリモンの攻撃も受け付けず
 逆に跳ね返して猛スピードの追尾弾として利用してしまうほど。
 手にした魔法のホウキ一本で様々なことができるようです。

 後半においても、バンチョーマメモンに対して互角に立ち回っていました。
 劣勢に陥りかけたところでトゲモンが助けに入ったため断言はできませんけれど、
 あのまま戦っていてもそう簡単にやられることはなかったのではないかと思います。
 このあたりの強さ描写は悪くない塩梅。

 なお上記の通り、首にかけている宝玉はロゼモンと同じものです。
 このデジモンには「ロゼモンが呪いをかけられた姿という噂がある」という設定があり
 このため予告のロゼモンはこのババモンの本気モードではないかと疑ったりしましたが
 結局はミスリードの一種で単に「ババモンの教えを反映した姿がロゼモン」というだけでした。

 登場時にティファレトが輝く演出まであったので、意図しての仕掛けなのは確実でしょう。
 ヘタすっと、サブタイにロゼモンの名前がないのもその一環である可能性があります。
 の割に、ロゼモンの方のそれは大して強調されませんでしたけど……

 中の人は尾小平志津香さん。テイマーズに登場した個体と同じ人です。
 まだ50代前半ですが、四半世紀前のデビュー当時から年配の役が多いようですね。
 アイドル声優華やかなりしな昨今ですが、こういう方がいてこそ成り立つものがあります。
 
 
 
・ジジモン

 いつの間にかできていたデジモン学校で、最初にミミたちと会ったデジモン。
 特に何をするでもなくただそこにいるため、学校の関係者かどうかも実はよくわかりません。
 ババモンのことをよく知ってるようですけど、やりとりらしいものを全くしないため
 本作においてはどういう関係にあるのか全然わからなかったりします。
 そりゃジジモンとババモンが夫婦みたいなもんなのは周知の事実ですけど、説明不足すぎでは…?

 後半手前ではいきなりぶっ飛ばされる開幕被害担当ポジを請け負ってましたが、特にダメージはなく
 バンチョーマメモンの舎弟を相手取ってことごとく叩きのめしていました。
 太一が感心していた様子を見るに、ほとんど一人でやったようですね。
 …やっぱり太一組は出さなくても良かったのでは??

 中の人は木村雅史さん。
 テイマーズに出てきた個体と同じ人です。無印ではジュレイモンやホエーモンも演じてました。

 追記:
 木村さんの担当はセイバーズ版という指摘をいただきました。
 無印版は丈の兼役である菊池正美さんですね。うっかりしてました。
 
 
・モブの皆さん

 6話のタネモン達が再登場していますが、王国設定は自然消滅?したように見えます。
 何体はララモンに進化してましたが、どういうわけか顔がララモンっぽくないカットがありました。
 というかあの三体だけ泣いてたのは何故なんでしょう。

 学校には他にもコアドラモン緑、シーラモン、タスクモン、スナイモン、ドリモゲモンがおり
 特訓に勤しんでいましたが、出てただけで特に何かしてたわけではありません。
 いずれも敵として出てきた類(特にタスクとドリモゲ)ですが、それらとの関連も不明です。

 バンチョーマメモンの舎弟として、マメモンとビッグマメモンも登場します。
 25話以来の登場ですが、相変わらず扱いは虚無。
 これという見せ場もなく、太一組とジジモンにボコられるだけの立場でした。
 スタッフはマメモン種になんか恨みでもあるんですかね?
 
 
・バンチョーマメモン

 今回のメインエネミー。7体いるという「バンチョー」の称号を負ったデジモンの一体で、
 一方的な支配に叛逆して仲間とともに抗い続ける存在と言われています。
 率いる一派「豆門連合」は彼の侠気に惚れて集まってきた者たちだとか。

 しかし今回では本当にただの道を踏み外した落第生としての描写しかされておらず、
 いかにもワルぶってるその外見からのイメージを表層的に掬っただけの描写しかされてません。
 ただひたすら「イビられたと思い込んで徒党を組んで仕返しに来た」だけになってしまってる。

 おかげで、ゲストとはいえ非常に底の浅い人物になってました。
 それもこれも「ババモンが正しい」という前提で話を作ってしまっているせいなのですが。
 そのため、主張らしい主張もさせてもらえてません。

 まあ一から十まで設定に寄せてるはずがないのは今さらのことです。
 でも、それにしたって限度ってものがあるでしょう。解釈違いもいいところです。
 最後だけ潔く振る舞えばいいってもんでもないでしょうに。

 中の人はシリーズ初登場の石川英郎さん。代表作は「真・ゲッターロボ」の流竜馬です。
 他にも「NARUTO」のうちはイタチ、「リングにかけろ」のダンナこと支那虎一城など
 渋めの役が多いのですが、「ゼノサーガ」のケビン・ウィニコットのような冷静冷徹な役や
 「BLEACH」の浮竹十四郎のような柔らかめの役柄でも知られていますね。

 …そういえばこの55話の放送日は「ゲッターロボアーク」の放送開始日でもありますね。
 
 
 
・エンディング

 今回よりATEEZが歌う「Dreamers」に変わりました。これが最後のEDになるかもしれません。
 どちらかというとクール系の歌で曲調的には別作品度が高いですが、歌詞はそこまで剥離してないかも。
 映像は流用が多く、少ないリソースで回して動かしてる感じですが一部ヌルヌルしすぎてて不気味。
 …予算がもう残り少ないのかな……?
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
「本校が目指すは強く、正しく、美しーいデジモンへの進化。
 それをモットーにした教育でございます」(ババモン)

 
 自己紹介に続いてのセリフ。強く! 優しく! 美しく! GO(以下削除)
 さておき、この時点では折り目正しく振舞っていますね。逆に胡散臭いけど。
 なお、ティファレトが光るのはこの場面です。
 
 
「あんたは、今日からミミモンと名乗るのじゃ!」(ババモン)

 ミミのフルネームを面倒臭がって。
 という割には「バンチョーマメモン…!」とかフツーに言ってますがそこはまあ。
 
 
「すべては生徒たちのことを思えばこそ、なんじゃ」(ジジモン)

 ババモンをフォローしての言葉。
 しかしこの言葉と今までのババモンの振る舞いをよくよく照らし合わせた上で
「そうだったのか……」となるかどうかというと、いささか無理があると思います。
 ババモン自身も少し無理をしてるとか、そんな匂わせでもあれば違ったでしょうけど。
 
 
「お礼参りさ。
 究極体に進化できたこのオレを認めようとしねえ、意地の悪いあんたへのな!」
 (バンチョーマメモン)


 これは異な事を。バンチョーマメモン、貴方ほどのデジモンの言葉とも思えませぬ。
 それが私の偽らざる感想です。
 
 
「校長先生、ハッキリ言ってやればいいのよ。
 バンチョー! あんたは落第だって!
 落第! 不合格! マイナス1兆点!」(ミミ)


 ババモンの助太刀に入って。
 初対面の相手をここまで真正面からディスることができるのは、確かにミミぐらいでしょう。
 ここでブチ切れるあたり、バンチョーマメモンがババモンからの評価を気にしていることが
 すでに明白ではあったりします。
 
 
「その答え、さっき自分で言ったじゃない」(ミミ)
「そう…『究極体になったぐらいでなんだ』と。
 ババモン校長が気づいて欲しかったこと、あなたは身をもって理解しはじめてる……」(ロゼモン)


 ロゼモンに敗北寸前へ追い詰められた自身の状況が信じられず、疑問を口にするバンチョーマメモンに。
 ここも「そうか…そうだったのか……」ではなく「そうか???」ってなる場面。
 逆恨みキャラにされちゃった彼自身の不幸でもあります。
 
 
「オレの…負けだ……」(バンチョーマメモン)

 ダメ押しのフォービドゥン・テンプテーションを食らって。ここでやっと潔くなりました。
 一瞬、メタルマメモンあたりに戻されて特訓をやり直す流れになるのかと思いましたが
 別にそんなことはありませんでした。

 どうでもいいけど、ここの場面だけ少しプリキュアっぽいです。
 
 
 
 
★次回予告

 クーレスガルルモン登場。
 サプライズ気味のスポット登場だったブリッツグレイモンよりも扱いはマトモに見えます。
 これはやっぱりオメガモンAlterSを出す流れなんでしょうか?

 ザンバモンの声はぜひ中田譲治さんにやって欲しいですけど、アレ兼役なんだよな……