ゲコ温泉の乱
脚本:佐藤寿昭 演出:セトウケンジ / 佐藤道拓
作画監督:Noh Gil-bo / 原憲一 総作画監督:仲條久美
★あらすじ
パタモンとテイルモンを養生させるため、温泉地にやってきた丈、タケル、ヒカリ。
ところが、かの地には雪が降っており温泉も残らず枯れていました。
トノサマゲコモンとその一派による、温泉の独り占めを狙った暴挙でした。
抗議する丈たちでしたが、叩き出された上にゴマモンが捕まってしまいます。
温泉のお供として、トノサマゲコモンの「嫁」にしようというのです。
いろんな意味で大ピンチに陥るゴマモン!
なんとかゴマモンを救出し、温泉をもとに戻そうと焦る丈でしたが、
トノサマゲコモンの城に正面から入るのは難しいと言わざるを得ない状況。
かと言って、みだりに攻撃を加えればゴマモンの身が危ない──
太一も合流してきたことで気を取り直した丈は、一計を案じます。
それは偽の温泉を作り、トノサマゲコモン一派をおびき出すというものでした。
作戦はまんまと当たり、丈とゴマモンは無事に合流。進化を果たします。
捕まりはするものの、雪を落として温泉を冷まし逆転へ繋げました。
寒さに弱いトノサマゲコモンは、いつも温泉に浸かっていないと力が出ないのです。
こうしてトノサマゲコモンとその一派を懲らしめ、再び豊かな温泉が共有されます。
そこには、改心したトノサマゲコモンたちの姿もあるのでした。
★全体印象
53話です。
39話以来の丈回ですが、ラストカット以外究極進化への兆候はみられません。
どういうペースでやる気なのか全然わかりませんね。完全体進化まであんなに急いでやったのは
結局なんだったんでしょう。これだったら3クール目頭ぐらいまで引っ張っても良かったような。
内容としてはかなり力の抜けたギャグ回で、あまり真面目にツッコミを入れる気になれません。
ミレニアモンという邪悪の塊みたいな手合いとの戦いの直後ではあまり凶悪な敵を
連続ではお出ししたくないのか、敵役も無個性じゃないだけでヌルい連中ばかりです。
サウンドバードモンが暗躍しているのだし、もうちょい不気味さを出しててもいいような……
まだそれなりの話数をこなすつもりなら、わからなくもないのですが。
前回のジャンクモンを含めゲストは頭数が多く、なぜか妙に連携も取れています。
バトルも力押しではなく相手の弱点を衝くもので、その点では意外に見応えがありました。
ボスキャラが完全体って展開がこうも長くなるなら、あまり早いうちから出さず
もうちょっと常態化を遅らせても良かった気がしてなりません。
脚本は47話「荒野の悪党たち」も担当している佐藤寿昭さん。妙に納得しました。
ギャグ回ですが、アクションでは割に動いてます。
★キャラなど個別印象
・丈
相方のいろんな意味でのピンチを前に奮起、作戦を考えて敵役一派をおびき出し
温泉を冷ますというさらなる逆転の一手を放ち、最後に文字通りの「王手」を打つなど
久しぶりに活躍しています。4クール目にろくな出番がなかったのを取り返した
…とまではいきませんが、ある程度は補填できたと思いますね。ひと安心。
ただこの回の布石となっていたはずの温泉や、そこで会ったナニモンたちや
ブロッサモンたちとのエピソードがちゃんとした形では存在しておらず、
抜け出した経緯も38話において口頭で雑に説明された程度のものであるなど、
繋がりとしてあまりに弱いのにアピールだけはしているのがやはりチグハグな印象です。
また上ではああ書きましたが、活躍のさせ方とか持ち味の発揮のさせ方というものに
シリーズ当初からずっと妙な違和感のようなものをおぼえていたりするんですよね。
セリフ回しとかもなんだかネタ臭いし「本当にこれでいいのか? 丈先輩ってこうだっけ?」
というような、うまく言えないけど何かが違うような、そんな感覚です。
:ではこうなんですって言われればそうかもしれないし、じゃあツッコむのは野暮なのかなと
言うしかないんですけど…… なんだろう、この引っかかりは。
・ゴマモン → イッカクモン → ズドモン
なんの前触れもなしに「嫁」にされそうになりました。
外見と雪原向きの暖かい毛皮がアダになってしまったようです。
こんなギャグ回で尊厳を踏みにじられたらどうしようかと思いましたが、未遂に終わって幸い。
芝居を打ってトノサマゲコモンの機嫌を取っていましたが、その心中は察するに余りあります。
進化しても相手の性癖を煽るばかりでしたが、丈の機転で偽温泉を冷やす作戦に打って出ます。
これで余裕が出たため、ズドモンに完全体進化して一気にカタをつけました。
さすがにズドモンともなると、殿様のストライクゾーンからは外れるようです。どうでもいいけど。
何かの作戦だと判断してトノサマゲコモンを嗾け、その弱点を丈たちに伝えるなど
相方同様に機転のきくところを見せています。本作の彼らはそんな感じってことでしょうか。
ズドモン回でも丈がちょくちょく機転を働かせていたし……
今さらこんなこと言ってる時点でどうかと思いますが。
・太一組
ジャンクモンと共に現れ、ゲコモンに吹っ飛ばされた丈を助けました。
丈からすれば頼もしい援軍です。偽温泉も彼らがいなければ作るのは難しかったでしょう。
ただ他キャラとは別にあんまり絡まないので、本当に単なる温泉係みたいな役回りです。
一応バトルに絡んでカブキモンらの相手もしてるのでバトル要員でもありますが。
なまじ出番が多いだけに、戦闘以外はなんもしてない回が結構多かったりします。
・タケル組 / ヒカリ組
進化できないままなので今回はほぼお休み。
テイルモンが多少仕事をしてましたが、さすがに無理はできないようです。
ラストシーンでは温泉に浸かって気持ち良さそうでした。
・ジャンクモン
前回に引き続いての登場。太一ともども、丈を助けた場面が初登場です。
他の方々といっしょに作戦にも参加しますが、モブ度が圧倒的に上がっていますね。
山口勝平さんのお声のおかげで存在感だけは残していますけれど。
・コモンドモン
本編最初と最後の方にのみ登場。
低温にはそこまで強くないのか、雪を払い落とす際の声が寒そうでした。
最終的には温泉に浸かって快適そうにしていましたので、彼も養生できそうです。
・モブの皆さん
温泉に入り浸っていたあのナニモンとブロッサモン達です。
しかし温泉が枯れて雪まで降ってきたので、雪に埋もれて凍えていました。
以前に温泉で丈に延々と絡んでいたせいで、印象としてはまったくよろしくないのですが
温泉がないのはさすがに困るのか非常に協力的で、ゴマモン救出にも積極的に絡みました。
このへんの場面は妙に連携が良く、どうコメントしていいのかわからなくなります。
その後も偽温泉に雪をどんどん投げ込み、トノサマゲコモン弱体化に貢献しました。
ひとっ言も喋らないんでアレですが、勝利の一翼を担ったといえます。
・カブキモン
トノサマゲコモン第一の部下。ゲコモンたちを指揮する役割も果たしてます。
戦闘ではこのゲコモンたちと連携し、意外な粘り強さを発揮しました。
トノサマゲコモンに逆らうことはなく、特に不満をもらしていたり
立場を利用してうまい汁を吸おうという素振りも一切匂わせていないため、
主君への忠誠度は高いものがあると思われます。
蓼食う虫も好き好き、そこは自由にすりゃいんじゃねと思いますけど。
上のような感じなんで、ボコられる時も主君とセットでした。
最後はトノサマゲコモン共々改心し、皆で温泉に浸かっています。
中の人は遠近孝一さん。デジモンファンならご存知、ホークモンの人です。
独特の歌舞伎口調は、言うまでもなくシュリモンからの出典でしょう。
個性派で実力もある方なのですが、近年は意外とお名前を見かける機会が少ないかも。
そのぶん、「バック・アロウ」のピース・グリンハウスでは「おっ」と思いましたが
アレはちょっと損な役回りだったかな……
・ゲコモン
トノサマゲコモンの部下。一般兵みたいなものです。
戦闘から雑用まで、あらゆる仕事をこなすのが彼らの役割でしょう。
その必殺技、クラッシュシンフォニーは城への侵入者を防ぐ防壁の役割を果たし、
重ねればギガデストロイヤーのミサイルも数秒は食い止めるほどの防御力があります。
さすがに食い止め切ることはできませんでしたが、これはなかなか驚くべきことですね。
・ドンドコモン
トノサマゲコモン出立の場面で登場。太鼓役のようです。
意外すぎる出演ですが、ある意味適材適所とも言えますな。
・トノサマゲコモン
今回のメインエネミー。いわゆる暴君です。
温泉地に突如君臨し、自分の城(というか自分の周囲)以外の温泉を全て枯らしてしまいました。
どうやって枯らしたのか、そもそも彼らはいつからここにいたのかなどは一切不明。
ついでに言うと雪が降ってた理由もわからないままでした。
一行の中では特にゴマモンを気に入り、「嫁」として迎え入れようとします。
執拗なその有様は控えめに言ってとても気味の悪いもので、ゴマモンはもちろんのこと
臣下を除く全員をドン引きさせていました。なんだこの変態茹でガエルは。
が、丈の作戦にあっさり引っ掛かっておびき出されてきたり、その際にわざわざ
自分の弱点をアピールするようなことを言ったりと、頭はあまりよろしくないようです。
温泉に浸かりっぱなしなせいで、常にのぼせてるんでしょうか。
いかんせん、諌めてくれるような部下には恵まれなかったわけですが。
おびき出された後もイッカクモンを捕まえて執拗に迫るのですが、偽温泉を冷やされ
すっかり弱体化したところを、カブキモン共々ハンマースパークでKOされました。
その際の有り様はまるで「One Piece」の敵キャラのようです。
最終的には「温泉は皆のものだ」と入浴を許した丈に惚れ込み「殿」と慕うようになります。
あんまり後に引っ張るような関係性とも思えませんが……
中の人は塩屋浩三さん。「ドラゴンボールZ」の魔人ブウで知られている方ですが、
デジモンシリーズにも「クロスウォーズ」にてオレーグモン役で出演しております。
豪快ながらも気のいいちょっとコミカルな役柄が、この方によくハマっておりました。
島田敏さんもそうですが、むしろ穏やかな喋りの際にこそ真価を発揮するタイプかもしれません。
★名(迷)セリフ
「おゴマ! お前は今からワガハイの嫁じゃ!」(トノサマゲコモン)
ちょっと何言ってるかわかんないです。
デジモンに性別はない、ということですが、劇中のセリフ通りならば
彼らは半端に現実世界の影響を受けてしまったようですね。
「このくらいなら平気よ」(テイルモン)
ネコパンチで雪からナニモン達とブロッサモンを掘り出した際のセリフ。
鍛え方が違うってやつでしょうか。
「あ、後はどうやって引っ張り出すかだけど……」(テイルモン)
おびき出し作戦のキッカケとなる発言をした直後。
ヒカリに撫でられてデレデレになっています。
「あれー」
「よいではないか、よいではないか」
「およしになってー」(ゴマモン&トノサマゲコモン)
Bパート冒頭のやり取り。これも現実世界の半端な影響……?
ちなみにゴマモンのセリフには全部(棒)がつきます。
「すぐわかったよ、丈の作戦だって」(ゴマモン)
無事に丈のもとへ戻ってきての一言。信頼というやつでしょうか。
ナニモンとブロッサモンにも礼を述べてるのがポイントです。
「唇が危ない!」(テイルモン)
イッカクモンに迫るトノサマゲコモンを見て。
耳でヒカリの視界を遮っているあたりがなんとも騎士キャラです。
まるでルリアに対するカタリナのようだ。
「! そうか、無理にお湯から出さなくても…!」(丈)
偽温泉を冷やす作戦を思いついた際のセリフ。
やっぱり本作の丈は閃きタイプの機転キャラ、なんでしょうか?(53話のコメントです)
「温泉はみんなのものだ!
一緒にお湯に浸かって、心も体も温まる…大切な場所なんだ!」(丈)
「いつまでもヌクヌク将軍でのぼせてるんじゃあ…ない!」(ズドモン)
トノサマゲコモンとカブキモンへの駄目押しの一言。
ズドモンの鬱憤が溜まりに溜まったようなコメントがちょっと可笑しいです。
「言ったろ、みんなものだって」(丈)
もろもろ解決した後、トノサマゲコモン達に温泉に入ってはと提案し驚かれた際のコメント。
言ってることは上も含めてメチャメチャ正しいんですけど、丈先輩ってこうだっけ……??
★次回予告
ペンデュラムZよりの新デジモン、リベリモンが登場。作画はかなり良さそうです。
太一組と絡むのもあってオーガモンとの関係を期待したくなりますが……
あとキュートモンがいますね? この子も話のカギになりそう。
ボルトモンもいますが、究極進化は出るのかどうか。