激突 キング・オブ・デジモン
脚本:古怒田健志 絵コンテ:鈴木正男 演出:難波涼
作画監督:Noel Añonuevo / Joey Calangian
総作画監督:仲條久美
★あらすじ
旅を続ける太一たちですが、テイルモンが違和感を訴えます。
地形が彼女の覚えているものと異なる、というのです。
あの黒い稲妻は、デジタルワールドの地形にまで影響を与えているのでした。
このまま迷子状態では「ファーガ」にたどり着けません。
そんな折、異常な衝撃が襲います。
太一ら選ばれし子供に目立った被害はありませんでしたが、デジモンたちは
技がダダ漏れになったり体の一部の動作や変化がおかしくなったりなど
いろいろと大変なことになってしまいます。
衝撃の根源は二人の完全体・エテモンとボルケーモンの激突。
彼らはどちらがキング・オブ・デジモンに相応しいか張り合っていたのでした。
二人の歌声が周囲のデータに影響を与え、アグモンたちを異常に陥らせていたのです。
しかもエテモンたちは箔をつけようと、今度は太一たちに狙いを定めてきました。
このままでは戦いにならないというそのとき、二人のノリに触発されたパルモンが
イレギュラー的にポンチョモンへと進化。その独特のノリで二体を上回り、
同士討ちに陥ったところをノックアウトして場を収めるのでした。
こうしてすっかり気に入られてしまったミミ組ですが、構ってはいられません。
ガーベモンにもらったカードの内容が地図だと判明したとあっては、なおさらです。
二人のキングを放ったらかして、一同は再び旅路につくのでした。
★全体印象
43話です。
突出したのはミミ組ですが、内容的には一応オールキャラギャグみたいなお話。
いちいちオチ要員に据えられるヤマトが可笑しい。
ゲストとしてはボルケーモンに加え、あのエテモンが登場。
無印では敵陣営のひとりとして現れ、ノリの良いオネエというキャラはそのままに
狡猾な戦略家という側面もあわせ持つ立派な悪役として活躍していましたが、
今回は元からの設定である「キング・オブ・デジモン」推しになってます。
またボルケーモンもようやく本来の設定に近いキャラで登場をするなど、
ギャグながらポイントは抑えられております。
両者のノリに合わせて変則的にポンチョモンを出したのも面白い流れでした。
ドラマ皆無なのはギャグ回なのでとりあえず不問にするのが良いでしょう。
総じてここ数話は打率が良くなってきてます。
本筋が進んでないのは確かに気になりますが、一回一回は良さげになってきてる。
話が進んだ途端、この勢いが急に萎んでしまわないか不安ではありますけど……
とにかくこのまま面白さが上がり続けてくれるなら、それは大歓迎ですぞ。
脚本は不怒田さん。最近は作監名にアルファベットが目立ちますね。
★キャラなど個別印象
・ミミ組
今回メインとしては最も目立っていた方々。
ギャグなのでドラマは皆無、あくまでもノリの良さで勝負しています。
とはいえ、あの流れに対応できそうなのは実際ミミ組だけだったのも事実でしょう。
バトルでは上述の通り、本来アーマー体であるポンチョモンが登場。
初出時点の設定は、パタモンが「純真のデジメンタル」で進化した姿です。
エテモン達の歌声のせいでパルモンとパタモンが密着していた経緯があったため、
それもイレギュラーな進化の原因ではないかという考察を見かけてナルホドとなりました。
とにかく、「パワーよりもノリの良さで勝負」とシナリオの力点をずらしたことで
完全体二体をも翻弄、同士討ちに持っていった隙を衝くという流れで勝利しています。
よく見ると半分以上はエテモン達の自爆なんですが、まあノリの良さで上回ったってことで。
回避に秀でる印象も、フワフワ浮いてるイメージ的に似つかわしいものです。
どうでもいいけどポンチョモンさん、あんたそんな歯だったの!?
・他メンバー
エテモンとボルケーモン、そしてミミパルのノリに振り回された方々。
一応太一を筆頭になんとか戦おうとしていましたが、全くままなりませんでした。
パートナー達にあらわれた異常は以下の通り。
アグモン :口から火がダダ漏れになる 進化してもわずかな間しか保たない
ガブモン :皮だけ残してどっかへ消えてしまい戦闘不能(ヤマトが延々と探すハメに)
ピヨモン :腕や足がデタラメに動いて止まらない 飛行不可能
テントモン:言動や性格、現状認識に異常(凄んだり漫才を始めたりなど)
パルモン :ポイズンアイビーが伸び続ける 頭の羽が肥大化して勝手に動く
ゴマモン :無限に魚召喚、ハープーンバルカンの誘導が完全に狂う
パタモン :エアーショット直前の膨らんだ状態のまま元に戻らなくなる
テイルモン:行動パターンが単なる猫になってしまう
総じて「ゲームキャラクターのバグ」みたいな症状です。
これはエテモン達の激突による影響の深刻さを示すと同時に、彼らが「デジタルな存在」
であることを再認識させてくれるので、その意味では良い演出のように思えますね。
ヤマガブがある意味一番大変でした。本人たちは大真面目というのがポイント。
バードラモンの貴重な地上走行シーンには大笑いさせてもらいました。
・エテモン
キング・オブ・デジモンの真髄は「エンターテインメント」であると主張し、
自慢のギターとシャウトでボルケーモンと真っ向から張り合っていました。
太一たちはほぼそのとばっちりを受けた恰好。
ボルケーモンと対抗してはいますが、回想からわかる通り体はバッキバキに鍛えてます。
ただそれはキングとして強くあるための数ある手段にすぎない、という考え方なのかも。
それ自体が目的と化しているわけではない、ってことかな。
ともあれ中の人が久々に増谷康紀さんとあって、ぱっと見のノリは無印に近いです。
そこから悪役要素だけを差っ引いたのが本作のエテモンという感じ。
元からああいうノリの中にガチ悪役の顔が出てくるのが無印エテモンの魅力ですが、
敵じゃないのでそうした二面性は希薄になっています。
悪く言えば、ただ単にひたすらうるさくてハイテンションなだけ。
とはいえ自分勝手な理由で太一たちにケンカをふっかけるなど、悪役じゃないだけで
迷惑な相手には変わりありません。悪意というほどのものが無い無自覚敵対行動は、
みだりに倒すのもアレというのもあってむしろ厄介要素ですらあるんですよね。
ギャグ回だし、ああいう形で場を収めるしかなかったのも道理でしょう。
・ボルケーモン
こちらはキング・オブ・デジモンの真髄は「エクササイズ」であると主張、
体を鍛えて強く美しい筋肉を作り上げることこそが至高だと謳っています。
実際そのパワーは高く、素手でギガデストロイヤーの有機生体ミサイルを受け止めて
はるか上空に投げ飛ばしてしまうほど。
また、主張は違ってもエテモン同様に歌でのパフォーマンスも得意としています。
両者の歌声はともに観客を強く惹きつけており、実力はまったくの互角。
そこまでで言えば、なんだかんだよきライバル関係でもあると言えるかもしれません。
しかし「噂の選ばれし子供たちを倒した方がキング・オブ・デジモン」という
はた迷惑な箔付けのために襲いかかってくるとあっては話が違ってくるわけで。
おまけに彼らの歌声は上述の通りアグモンたちを色々とおかしくしてしまうので、
ギャグ回でなければ危なかったという程度にはかなりやばい二人組でした。
そんなボルケーモンの中の人は、もちろんモデルでもあるボルケーノ太田さん。
このデジモンは「フロンティア」24話に出た際も声は太田さんだったんですが
シナリオ的にはボルケーモンである必要がまったく無い残念なものだったので、
今回のキャラはようやく設定に近い仕上がりを得たことになります。
まさかここでそれを見ることが叶うとは思いませなんだ。
最後は斃されることなく、走り去るコモンドモンをエテモンと共に追いかけるも
すっ転んで失敗、という退場になっています。
扱いとしては悪役とか敵役ではなく、あくまでもゲストキャラといったところですね。
メタルエテモンとパイルボルケーモンに進化して再登場したりして……
・ガジモン / ナニモン
エテモンとボルケーモンのステージを見にきていた観客たち。
なぜガジモンがいるのかは無印を見ればわかるわけですが、わからなくても問題ありません。
古参ファンにとってのニヤリポイントですね。
★名(迷)セリフ
「アンタたち! どっちの味方なのよッ!」(エテモン)
ステージに乱入してきたボルケーモンのパフォーマンスを楽しむ観客たちに。
二人は本気で張り合ってますが、観客からすれば楽しいのが一番ということでしょう。
いろいろ温度差がある気はするけど。
「光子郎さんのお宝はー、なんですか?」(ミミ)
ポンチョモン登場の布石でもあるマラカスをマイク代わりにしての質問。
この二人がマンツーマンで話すのは、:だと今までかなり稀なケースでしかありませんでした。
離散に次ぐ離散とはいえ寂しいもんでしたが、これで少しは供給されたことになります。
このあとのDimカードをめぐるやり取りも、無印10話をちょっと思い出させるものでした。
「はっ! どこ行ったガブモン! ガブモーン!」(ヤマト)
ガブモンが毛皮だけ残して消えてしまった際のリアクション。
大変な状況なんですが、明後日の方を見て叫ぶ彼の絵面からはギャグしか見て取れません。
今回のヤマトはこの後も、事あるごとに出オチみたいな扱いになります。
:ではよりクール(に振ろうと努力している)キャラ付けなんで、ギャップも凄いことに。
「そうだわ! 超有名なアンタたちを倒せば、
アチキの最強伝説に新たな1ページが刻まれちゃうんじゃな〜い?」(エテモン)
「乗った!彼らを倒したものが、キング・オブ・デジモン! どうだ!?」(ボルケーモン)
「悪くないわねェ」(エテモン)
「というわけでキミたち! 私に倒されろ!!」(ボルケーモン)
いいこと思いついちゃったような顔で、物騒なことをのたまってくるものです。
あと君らやっぱりなんだかんだで仲いいね。
「よくわかんないけど… やってやるわ!!」(ミミ)
イレギュラーな進化であるポンチョモンの登場を受けて。
この状況下、即時ノリノリで飛び入り宣言できるのは彼女ぐらいでしょう……
「これは…!
パワーじゃなくノリで上回ることで、完全体2体を翻弄している!」(光子郎)
エテモンの歌を相殺し、ビッグバンタックルを華麗に躱したポンチョモンを見て。
このデジモンは成熟期相当のアーマー体なんで、格上食いできてる説明でもあります。
ギャグ回ではノリのいい方が勝つ、それは確かに事実。
ただ本編だけだと、ポンチョモンの進化世代がどこにあたるのかは不明になってます。
「アーマー体」という概念を出すわけにいかないからですけど、なかなか苦しいですね。
★次回予告
次はヒカリ回。珍しく涙を見せてます。この回しだいで今後のヒカリの印象も決まるのかも?
動く森とされているペタルドラモンは、テイルモンが言っていた森にあたるのでしょうか。
ムーチョモンはじめモブも結構出るので、それだけでも楽しみ。
悪役になるのはエントモンかな。