発明王ガーベモン
脚本:十川誠志 絵コンテ:貝澤幸男 演出:山本隆太
作画監督:永田正美 / 飯塚葉子 / 松本勝次 / 向山祐治 /
谢鑫 / 曹军 / 齐特 / 周坤 / Dong Hong Lin / Zhou Long / Li Dongle Yi
総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
キャンプ地周辺の調査に出かけた太一組と光子郎組は、ゴミとガラクタの山の中で
一心に研究を続けるガーベモンと、その助手のチューモンに出会います。
その技術力の高さは光子郎を感服させるものでした。
このゴミ山は黒い稲妻が止まった後、無数のゴミが降り注いでできた場所で。
ガーベモンはここでチューモン達とともに調査と研究を繰り返していたのですが、
いつしか徘徊するようになったレアモンによってチューモン達のほとんどを喪い、
ガーベモンはその復讐のために絶対零度砲を作っているのでした。
しかもこの場所には黒い稲妻の残滓が蟠っており、放っておいては大変です。
太一たちは協力を申し出ますが、ガーベモンは当初から一人で戦う心算でした。
果たして絶対零度砲がレアモンに炸裂、その巨体を一時は凍らせるものの、
黒い稲妻の影響によって完全体レアレアモンに進化を遂げてしまいます。
物理攻撃や熱を無効にするこの強敵の体が、大半オイルでできていると気付く光子郎。
そこでガラクタの中の凝固剤を使い、熱してから絶対零度砲のパワーを
メタルグレイモンの力を借りて増幅、一気に冷却して固めてしまう作戦に出ます。
作戦が見事に当たり、体が凝固して物言わぬ彫像となり果てるレアレアモン。
本懐を遂げたガーベモンは光子郎の影響でチューモンが進化したサーチモンとともに、
また新たな研究の場を求めて去ってゆくのでした。
★全体印象
42話です。
ゴミの山が舞台という「クロスウォーズ」のダストゾーン編を思い出すお話。
そういえば、あっちにもガーベモンが出ていましたっけ。モブの一人だけど。
今回はほぼ完全な光子郎回であり、36話におけるブリッツグレイモン登場のように
勝利条件だけ譲ってボス敵は太一組に斃させるような流れにも(一応)なっていません。
また、光子郎の知恵はおおむね敵の攻略へ向けられているのでわかりやすさもあります。
相手が究極体じゃないためか、究極進化はまだお預けでしたけど。
出すんなら相手はグランクワガーモンとか、昆虫系の究極体になるのかもしれません。
ゲスト役であるガーベモンと、その助手のチューモンもなかなかいい味を出しています。
チューモンはともかく、ガーべモンは無印含めこれまでは敵、それも小物ばかりでしたから
今回の抜擢は快挙としか言いようがありません。
作品によってキャラに幅を持たせられるのも、このシリーズの良いところなはずです。
にしても各人の担当回が順調に増えているのはいいんですが、離散に次ぐ離散によって
全員で行動する期間が長くないため、関係性の醸成が弱いのは否めません。
5クールという長丁場になるのなら、タケルをもっと早めに出して7組で行動させ
その様子をもっと丹念に描写してほしかったです。今後も響いてきそうな要素。
脚本は十川さん。作監がなんと34話を凌ぐ11人という大所帯になってます。
いったい現場で何が起こっているのでしょう。
★キャラなど個別印象
・光子郎組
今回のメイン担当。
ガーベモンの技術にワクテカしたり、その努力を全面的に肯定したりと今回の光子郎は
なかなかに生き生きとしています。:では一番かも。
かつ、発明を応用しレアレアモン攻略法を短時間で立て直すなど、彼本人の能力も
いかんなく発揮されており、この回単体でみれば大筋でツッコミ所は少ないです。
最後のトドメも媒介はメタルグレイモンですが、トリガーを引いたのは光子郎ですしね。
なればこそ、他メンバーとのやり取りの少なさが惜しまれるのですが。
だいたいにおいて太一組としか会話してない印象だし。
ミミとなんてビックリするぐらいちゃんと会話する場面がない。
光子郎に比べると地味ですが、テントモンも頑張っています。
ダメージ覚悟でレアモンの加熱を後押しする場面はポイントのひとつ。
・太一組
光子郎組と一緒に行動してましたが、今回は見せ場を全面的に光子郎組へ譲ってます。
ただし、勝利のためにはメタルグレイモンの強大なパワーが不可欠だったので
重要な役割を担ったことだけは変わりありません。
ウォーグレイモンの存在で毎度あつかいが難しい組なんですが、
メタ的にみれば今回も出るまでもない相手だった、ってことでしょうか。
・他メンバー
今回は完全にお休み。セリフも全くありません。
・ガーベモン
ゴミの山で調査と研究を繰り返していたデジモン。
完全体ですが、力には重きを置いていないのか戦闘力は高くない模様。
汚物デジモンに分類されますがその側面は見かけ以外オミットされており、バズーカも
手製の絶対零度砲ということになってて、いわゆるウンチ要素はゼロでした。
バズーカの色も全面的に青が主体で、従来のものとは少し違うことが示唆されています。
今回は見ようによれば愛嬌のある外見どおり、やや気難しい程度で善良な性格です。
情深いところも多々あり、(明言は避けましたが)死んだ助手たちのマグカップを
捨てられずにずっと持っていたり、その仇討ちのために絶対零度砲の研究を繰り返していたり
その善良性が強調されています。なにかと分解したがるのが玉に瑕ですが。
彼らのような理性の強いデジモンは、黒い稲妻を恐れ引き寄せられにくいのかもしれません。
過去作においては無印やクロスウォーズに出演していますが、総じて強い扱いではなく
悪党としての出番ばかりだったので、味方ゲストとしての登板は非常に新鮮でした。
ちなみに、ちゃんとウンチバズーカを撃ったのは無印だけです。
よりによって人間であるミミに鷲掴みされちゃいましたけど……
声を演じているのは龍田直樹さん。言わずと知れた名バイプレイヤーです。
近年は「ドラゴンボール超」で八奈見乗児さんに代わりナレーターを務めたほか、
敵役としては「魔法つかいプリキュア!」においてローテンションな不気味さで魅せてます。
・チューモン → サーチモン
ガーべモンの助手として働いている成長期のデジモン。
間柄はぱっと見の印象よりもずっと良好なようで、喋りこそしませんが働きぶりも確かなもの。
光子郎が迅速にレアレアモン攻略法を立て直せたのは、彼の貢献が大きいと言えます。
かつては大勢いてガーベモンを手助けしていたようですが、レアモンに仲間のほとんどを食われ
本編開始時点で既に彼だけしか残っていませんでした。最後の生き残りです。
ガーベモンほど表に出してはいないけど、彼もまた仇討ちに燃えていたのだろうと思われます。
光子郎とも良好な関係を築き、その影響で最終的になんとサーチモンへ進化。
ガーベモンを乗せて飛行可能になったので、行動範囲が一気に広くなったものと思われます。
かなり珍しい進化ルートですが、ガーベモンの助手を長いことやってたおかげもあるのでしょう。
やや唐突なのはさておき、こういう感じの進化は嫌いじゃないです。
・レアモン → レアレアモン
今回のメインエネミー。
ゴミの山にいつの頃からか棲みついたアンデッド型成熟期で、何でも手当たり次第に食ってしまう
凶暴極まりない存在として描かれています。ガーベモンらと違って理性のかけらもありません。
また、そのヘドロ状の体は生半可な攻撃を受け付けずメガブラスターも全く通じません。
体内にメガフレイムをぶち込んでも、体全体が加熱するだけで倒すことはできないなど
成熟期とは思えない厄介な存在として描かれています。
体自体もグレイモンらを大きく凌ぐ巨体なので、数多くのデータを溜め込んでいるのでしょう。
その中には当然、チューモンの仲間たちのものも含まれているはずです。
打倒のためには「冷却」が最も有効とみられ、ガーベモンが研究していた絶対零度砲によって
一度は動きを封じられたものの、黒い稲妻の影響で完全体レアレアモンとしてパワーアップ。
巨体がさらにふた回りも大きくなり、ますます手に負えなくなってしまいました。
しかし体の大半がオイルであることを見抜かれ、凝固剤を投げ込まれ全身を振り回されつつ
ジガストームで全身を加熱されたあげく、出力をメタルグレイモンの右腕──
ポジトロンブラスターを利用して増幅した絶対零度砲の一撃によって一気に冷やされ、
ものの見事に凝固して活動停止に追い込まれました。
斃された後も消滅しないという、珍しいケースです。
絶対零度砲もさることながら、凝固剤の作用がものすごい。あの量であの効果とは。
・ゴミの山
空から人間界由来のガラクタやゴミが多数落下してきてできたという場所。
光子郎の推測では、人間界のデータがISS落下阻止による黒い稲妻の停止に伴い、
こうしたモノがDWで実体化するケースが増えているのではないかということです。
そういえば、40話の浮遊島にもたくさんのゴミやガラクタが落ちていましたね。
厄介なのは、あちらと違って黒い稲妻の残滓があちこちに蓄積していたことですが。
というわけで、このロケーションができたのは割に最近みたいですね。
属性のせいで紛らわしいんですが、ガーベモンはここの出身ではなく
この場所ができてからチューモン達と共に棲みついて研究を始めたことになります。
まあ、チューモン達とはここで出逢ったのかもしれませんが。
ところどころにチョロモン達がいたし、彼らから進化した可能性もあります。
それであれば、チューモンがサーチモンになったのも頷けるところではあるかも。
…なんか時系列がよくわからなくなってきましたが。
ISS落下被害阻止から今回まで、期間的にどれぐらい経ってるんでしょう。
★名(迷)セリフ
「ゴミのように見えても、視点を変えれば宝になる! 思い込みは科学の敵じゃ!」(ガーべモン)
「なるほど…!」(光子郎)
すでに意気投合しかけています。
このセリフは、チラッと出てくる凝固剤とともにクライマックスにおける布石となりました。
「なんだろう、これ……」(光子郎)
「んあ? どこぞで拾ったか? ああ、やるやる。持ってけ」(ガーベモン)
光子郎がリヤカーの荷台からデータカードを見つけた場面のやり取り。
このデザインは「バイタルブレス デジタルモンスター 」と連動する「Dimカード」
にそっくりです。わざわざ出したってことは何かやる気なんでしょう。
もしかしたら「バイタルブレス」からも何体か出演させる気かもしれませんね。
「復讐、か……
良くないことかもしれないけど、きっとそこには、残された者だけがわかる…苦しみがあるんだ。
人にも、デジモンにも……」(光子郎)
思うところがありそうな一言。
彼の家庭事情が無印と同一なら、そこに関わるものかもしれませんが、たとえば回想のような
明確な示唆がないので断言はできません。カブテリモンに訝しがられてはぐらかしているし、
ガーベモンの境遇が何か心中に抱えているものとシンパシーを訴えかけた確度は高そうに見えます。
「案ずるな! ここからは、ワシ一人の戦いじゃ!
もしもの時は、チューモンを頼んだぞ!」(ガーベモン)
太一組を現場から遠ざけ、絶対零度砲を持って単独で先行した際のセリフ。
この系列では非常に珍しく、なかなか恰好いいセリフです。
「あなたは、無力なんかじゃありません! 僕が、それを証明してみせます!」(光子郎)
レアレアモン打倒の秘策を思いつき、そのための「材料」も届けられたのを確かめて。
実際、この作戦の柱はガーベモンの絶対零度砲なくして成り立たなかったものです。
「ええで! ドンとやってくんなはれ!
ワイは光子郎はんを信じてるさかい!」(アトラーカブテリモン)
レアレアモンの顎に挟まれかけたのを逆利用し、その巨体をブン回しながら。
この仕事は作戦において最も重要なパートであり、光子郎の最も信頼するパートナーであり
防御力の高い彼にしかつとまらない類ではあると思います。
★次回予告
ミミ回っぽいですが、なんとエテモンが登場。
無印ではボスキャラの一人だった彼ですけど、今回はどういう扱いになるでしょうか。
声が増谷康紀さんなのかどうかも含めて気になりますな……
ボルケーモンは当然太田さんだろうし、そう予告されてたのを見た気がしますが。
これ、ほっといたらヴァンデモンもゲスト枠で出演しかねませんね。
ウィザーモンとセットだったら完全に狙ってのキャスティングです。