霧のもんモンパーク

脚本:山口宏 絵コンテ:佐藤道拓 演出:武藤公春

作画監督:荏原裕子

★あらすじ

旅を続ける選ばれし子供たちとそのパートナーデジモン。
食料を探しに出かけたヤマトとタケルは、霧の中から人気のない遊園地を見つけます。
それは巨大なもんざえモンの像をシンボルとする「もんモンパーク」でした。

ただひとり遊園地で客を待っていたというオポッサモンは、久々の来園者に大喜び。
タケルはオポッサモンの様子に断りきれず、ヤマトに頼んで少し遊んでゆくことに。
かつて家族が一緒だった頃、皆で遊園地に行ったときのことを思い出したのです。

ところが、この遊園地そのものがオポッサモンの罠でした。
デジモンたちを騙して遊園地に誘い込んでは、もんざえモンの像に吸い込ませ
その生命力を吸って力を蓄えさせていたのです。

難を逃れていたシャオモンからこのことを聞き出したタケルでしたが、
霧にまかれてヤマトと離されたうえ、シャオモンも像に取り込まれてしまいます。
像はワルもんざえモンとしての正体を表し、襲いかかってきました。

シャオモンたちを助けようと、ワルもんざえモンの中に飛び込んだタケル組。
逆に生命力を吸われかけるも、ヤマトの呼びかけに我を取り戻します。
それは、もう一度遊園地に来ることができたら一緒にメリーゴーランドに乗ろう、
という兄との約束でした。そのためにも、希望を捨てるわけにはいかない!

タケル達の姿を見て取り込まれていたシャオモンらも希望を取り戻し、その希望が
パタモンに力として流れ込みます。この恩恵で聖なる力を漲らせたことにより、
エンジェモンとしての進化が発動。シャオモンとともに脱出します。

希望を取り戻した彼らの前に、もはやワルもんざえモンも敵ではありません。
勝利したヤマトとタケルは未来への希望を胸に、遊園地を後とするのでした。
 
 
 
 
★全体印象
 
41話です。
舞台や敵のイメージにおいて無印6話や22話を連想させるエピソード。
ただし無印6話のようなギャグはほとんど無いです。

今回は事実上のタケル組回。ヤマトも同道してますが扱いとしてはサブです。
ただ、ヤマトの存在と呼びかけが鍵になったのは確か。

その呼びかけ内容は上記の通り、現実世界に即しつつ未来を見据えたもの。
両親の顔はいまだに出てきませんが、こういうバックボーン描写が積み重ねられて
キャラクターというものは奥行きを増すんで、どんどんやってほしい流れです。

問題は、あと2クールあるらしいということを考慮しても遅すぎることでしょうか。
このレベルの出し方なら、20話代に終わらせといても良かったぐらいのものです。
タケルの本格登場自体が遅いのに、そっからさらに放置してましたもの。
ダークナイトモンとデビモン周りで尺を取りすぎてたせいもあるけど。

タケル組飛び込む → 策があるのかと思ったら無策でミイラ取りがミイラになりかかる
→ヤマトの呼びかけで復帰 という流れもやや間が抜けてるように感じました。
なんかありそうな顔で飛び込んだのになんもないんですもの。
ヤマトの呼びかけとその内容自体は別に良かったと思うんで余計に。

脚本は山口宏さん。あと、珍しく総作画監督が置かれてないようですね。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・ヤマト組

 ヤマトにオバケというかホラー全般が苦手っぽい描写が追加されました。
 この設定?が出たのはtriからなんで、ある意味負の遺産と言えます。

 上記の通り、タケルとの約束を示してその覚醒を促すという重要な役割を担っていますが
 ヤマト本人についてはとにかくタケルに甘いということがさらに強調されたぐらいです。
 タケルにおねだりされるなんてあまり無いことだし、ついああなっちゃったのはわかりますが。

 それはそれで良いんですけど、他のメンバーがその場にいたらなんてコメントしたかな。
 ちょっと見てみたい気はします。
 
 
 
・タケル組

 オポッサモンに乗せられて遊園地を堪能することになったものの、まんまと騙されちゃいました。
 タケルにとっては騙されたことより、思い出を育める場所である遊園地を悪用したことの方が
 よほど腹が立ったようですが、それで君はいいんだよとは思いました。

 ワルもんざえもんとの戦いでは上記のような無謀のあげくに一度は取り込まれかけますが復帰、
 エンジェモンが28話以来の再登場を果たしています。
 相変わらず成熟期とは思えぬ圧倒的な強さで、ワルもんざえモンの吸引も通じませんでした。
 もっとも、この現象はあの場にいた全員に起きていたことですけど。
 
 
 
・他メンバー

 今回はほぼお休み状態。セリフは少しあります。
 
 
 
・シャオモン/フリモン/プロロモン

 遊園地でとっつかまってた方々。
 シャオモンだけ難を逃れて危険を伝えるのですが、隙を衝かれる形で拉致され
 彼もまたもんざえモンの像に取り込まれてしまっています。

 そこで遊具の動きに合わせて生命力を吸われ、ワルもんざえモンの養分にされてましたが
 タケルとパタモンが希望を取り戻したのを見て奮起。
 彼らからの希望が、エンジェモンへの再進化を促しました。

 助けられるだけでなく、こういう形で貢献をするというのは良いですね。
 その際の掛け声が「はああああ!」なのはちょっと笑っちゃいましたけど。
  
 
 
・オポッサモン

 遊園地で客を待っていた獣型アーマー体ですが、例によって特に世代表記はありません。
 タケルを泣き落としのような形で騙し、ヤマト共々パークにご案内しています。

 その本性はワルもんざえモンを使い、デジモンたちを捕まえてその養分に変えるという
 恐ろしい罠を得意とする悪党でした。特にミレニアモンの影響を受けてはいないようですので
 単なる悪党ということになるでしょうか。
 ワルもんざえモンの方はそうでもなさそうに見えなくもないけど。

 敵役デジモンとしては感情表現が非常に豊かで、上記の泣き落としめいたリアクションを初め
 悪巧み顔や驚き顔などさまざまな表情を見せてくれます。煽りもとても上手い。
 こういう憎たらしさがあると、悪役としてぶっ倒し甲斐も出てくるってものですね。

 そんな彼?の中の人は白石涼子さん。つまり空の兼役です。
 「クロスウォーズ」でパートナー役に抜擢された際にも、同じく白石さんが演じてました。
 タケル役の潘めぐみさんは洲崎アイル役でもあったので、オポッサモン役としては
 奇しくも二度の共演を果たしたことになるのですね。しかも前はパートナー同士だったし。

 声色としては「声の高いクレオン」という感じでした。
 「リュウソウジャー」でも一年声を聞いてた(しかも出ずっぱり)ので、その印象は強いです。
 
 
 
・バケモン

 お化け屋敷でヤマト組を襲ってきました。
 当然ながらオポッサモンの仲間でしょうけど、どういう間柄かは不明です。
 部下扱いなのか、それとも協力者なのか……

 いずれにせよ、完全体進化によって一気呵成に片付けられてしまってます。
 カイザーネイルを食らわすには弱すぎる相手ですが、この場合は時短のためなので
 ある程度納得はできる流れでした。

 他にもバルーンで形成された怪物が出てきますが、あくまでもバルーンであって
 デジモン扱いではありません。成熟期レベルの攻撃で簡単に破壊できますし。
 
 
 
・ワルもんざえモン

 今回のメインエネミー。
 普段はもんモンパークの象徴「もんざえモン」の像として屹立していますが、
 その本性を現すと像を破って現れ、獲物に襲い掛かります。

 完全体ですが、どういうわけか世代としては格下のオポッサモンの命令で動いてました。
 オポッサモンが獲物を運んできてくれるので、引き換えに指示を聞いてるんでしょうか。
 ただ言葉は発さないしあまり意志らしいものも示さないので、オポッサモン的には
 その行動に方向づけをしているだけなのかもしれません。

 体内は空っぽでなにやら闇に満ちてますが、なんと遊具ががあります。
 しかしこの遊具は捕らえたデジモンたちを乗せて延々と動き続け、
 緩慢なリズムの中で生命力を吸い取ってしまうネガティブな仕掛けになってました。
 この影響か、サジタリウス込みのカイザーネイルをもやすやすと受け止めてきます。

 また、ここに踏み込んだ者にはオポッサモン由来と思われる風船が付けられ、
 紐を経由して生命力を吸い取ってしまう仕組みになっています。
 無策で入り込んだタケルとパタモンもこのバルーンを生やされ、危機に陥りました。

 しかし最終的には脱出され、聖なる力の乗ったシャオモンたちの攻撃と
 ホーリーロッドの一撃によってノックアウト。
 ハッキリした消滅描写はないですが、次の風船が消えるカットで示唆されてますね。

 また、倒れ込んだその巨体はオポッサモンをも下敷きにしています。
 手間が省けた、とは言い過ぎでしょうか。  
 
 
 
・霧のもんモンパーク

 オポッサモンがワルもんざえモンと共に獲物を待ち構えていた場所。
 いつ誰がどうやって作ったのかなど、詳しいことはいっさい不明です。
 無印の遊園地類も似たようなものなんで、気にする人は少ないと思いますけれど。

 また周辺を包む霧は通信妨害の役割も果たしており、ヤマト組とタケル組を孤立させてます。
 こんな霧をどうやって起こしていたのでしょう。ワルもんざえモン由来の術でしょうか……

 遊園地に罪はないということで、ワルもんざえモンらを排除したあともそのまま残り
 管理はどうやらシャオモンたちに委ねられた様子。
 今度はちゃんと楽しいスポットに生まれ変わるといいですね。
 再登場するかどうかはたいへん微妙だけど。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
「ゴマモン、いつもすまないなぁ」(丈)
「それは言わない約束だよぉ」(ゴマモン)

 
 コモンドモンを坂道から引き上げる作業のすぐ後で。このやりとり自体がお約束です。
 ってか、君らいつもこんなことしてんの?
 
 
「お兄ちゃん、かわいそうだし少し遊んでいかない?」(タケル)
「…本当に少しだけだぞ」(ヤマト)

 
 客じゃない、と言われて盛大に落ち込むオポッサモンを見てのやり取り。
 もちろんこれはオポッサモンの演技で、まんまと騙されている形なのですが。
 それにしてもヤマトは本当にタケルに甘いですね。ある意味無印以上に。
 
 
「ねぇお兄ちゃん、覚えてる? 行ったよね、遊園地。みんなで」(タケル)
「…ああ。……忘れるはずないだろ」(ヤマト)
「楽しかったねぇ」(タケル)
「…ああ」(ヤマト)

 
 観覧車のゴンドラの中で。
 直後、タケルが無邪気に兄貴のホラー耐性の低さを暴露してしまいます。
 こういうのでいいんです。こーゆーのをちょっとずつでも、早くからやってくれてたら。
 今からじゃ遅いかもしれませんが、やらないよりはいいのでもっとやってくださいな。
 
 
「あの時……」(ヤマト)
 
 メリーゴーランドを見つけたタケルに手を引かれながら。
 合間に挟まれる回想シーンは、後半へのわかりやすい布石です。
 
 
「ざーんねん! 手遅れさ!」(オポッサモン)
 
 タケルとペガスモンの目の前で、シャオモンを像に呑み込ませながら。
 この後しきりに煽ってくるし、なんとも憎たらしいです。
 ある意味今までの敵で一番悪役らしいムーブを発揮しているかも。
 
 
「タケル! 戻ってこいタケル!
 約束しただろ…! 一緒に、メリーゴーランドに乗ろうって!」(ヤマト)

 
 ワルもんざえモンの中に突入するも、生命力を吸われて呑まれかけるタケルに。
 ここで無音だった前半の回想でのやり取りが明かされ、今回のハイライトへ繋がります。
 ヤマトが先にハッキリ認識していて、タケルの方にここで思い出させてるのがポイント。
 なんかプリキュアに出てきそうなセリフですが。
 
 
「…そうだ、ボクは…… 忘れたくない、大事な思い出を…!」(タケル)
「…忘れちゃダメなんだ、希望を…!」(パタモン)
「そして、お兄ちゃんとの約束を!」(タケル)

 
 ヤマトの呼びかけを聞いて。
 我を取り戻したタケルがデジヴァイスを輝かせ、紐へのエナジーが反転しています。
 風船はこれに耐えられなかったのか、あっという間に破裂してしまいました。

 これを見たシャオモンたちも次々と希望を取り戻し、縛めを打ち破ってゆきます。
 タケル組の希望が波及した恰好なわけですが、冷静に考えてみると紋章については
 全く説明がされてない状態なので、それで希望と言われてもかなり困る状態。

 ただこの回に限っては「もしかしてあの紋章にはそれぞれ意味があるのでは?」
 と思わせるだけの段取りはできてるように見えますね。
 そんぐらいもっと早くお出しできるだろ、とも思いますが。
 
 
 
 
★次回予告

 再び光子郎回。珍しくガーベモンが味方サイドのようです。チューモンは助手かな。
 メイン敵はレアモンみたいですが、こいつそのガーベモンより格下なんですけど……
 亡き友、というのが誰なのかも気になります。