決めろ! 必殺シュート
脚本:十川誠志 絵コンテ/演出:佐々木憲世
作画監督:澤木巳登理/北野幸広 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
ひととき戦いを忘れ、サッカーに興じていた太一たちとパートナーデジモンたち。
そこに現れた奇妙な浮遊する島から落ちてきたのは、なんと果物でした。
現地に行けばもっとあるかもしれないと、太一と空は島へと探検に赴きます。
が、彼らが目撃したのはフライモンに連れ去られようとしているポームモンでした。
これを助けた太一と空は、ポームモンたちの窮状を知ります。
平和に暮らしていた彼らのもとにフライモン達を引き連れたトロピアモンが現れ、
ポームモン達を捕らえては巨大樹の花に放り込み、果物にして食べていたのです。
捕まっていないのは、太一たちが助けた個体だけでした。
ポームモン達の手助けを心に決める空。太一もこれを快諾します。
さっそくトロピアモンの巣に殴り込みをかけてフライモンらを一掃するのですが、
巨体を誇るトロピアモンに吹っ飛ばされたメタルグレイモンが巨大樹の花に落ち込み、
乗っていた太一ごと果物にされてしまいました。
これを救うため、空はトロピアモンの相手をガルダモンにまかせ、ポームモンとともに
巨大樹へと向かうのですが、生き残りのフライモンが襲いかかってきました。
空はサッカーの試合で使っていた笛を利用し、フライモンの気を引きます。
その間にポームモンが仲間を救出、数の力でフライモンを斃して空を守りました。
かくて太一とメタルグレイモンが復帰し、孤軍奮闘していたガルダモンに合流。
暴れるトロピアモンの口めがけ、太一と空はサッカーの要領で木の実を叩き込みました。
それを先頭に、ポームモン達の技が恨み骨髄の勢いで打ち込まれます。
決め手を失った植物竜を、二体の必殺技が制するのでした。
★全体印象
40話です。
13話以来となる空回。序盤からいきなり一同がサッカーに興じていて少し驚きますが、
太一と空が主体となってルールを教え込んでいる感じでしたね。
それだけ皆、デジタルワールドに慣れてきたということではあるのでしょう。
現実世界側の状況が落ち着いているし、まだまだ旅の先が見えてこないとあって、
焦っても仕方ないという心理が働いているようにも感じます。
また、断片的にとはいえ太一と空がツートップで走っていた絵が描かれるなど
4クール目で出すものかどうかは置いといて一定の収穫はありました。
フォーマット的には現地デジモンの頼みを受け、ボスデジモンの理不尽な暴力に
立ち向かってゆくという、同じく空回である13話に極めて近いものがあります。
ミミ回である37話もそうでしたが、あちらともやはり雰囲気が異なりますね。
異なるのはポームモン達の扱い。彼らも庇われるだけではなく、チャンスを活かして
仲間を救出、ピンチに陥った空を助けるという活躍をしています。
前半のサッカー描写を布石にしてのダメ押しはやや無理がある感もありですけど、
それほど気にならない程度には仕上がっていたと思いますね。
総じて、空回では最も見れるものになっていると思います。
事実上、13話の上位互換エピソードと言ってもいいかもしれません。
空の相田マナもかくやな体の張りっぷりについては、なんかもう諦めました。
脚本は十川さん。メインスタッフには特に新顔はいないようです。
★キャラなど個別印象
・太一組
太一と空で不動のツートップを組んでいたことが回想で語られています。
空いわく、彼のセンタリングは常に正確なんだとか。好きこそものの上手なれ、
やはり実力も相当のものがあるようですね。
戦闘では珍しく状態変化によって戦闘不能となり、一時ながら出番がありませんでした。
このまま空とガルダモンが究極体の兆しを発現してトロピアモンを斃すのかと思いきや、
彼らの救助も行うという二面作戦が展開されています。
結果、最終的にはシャドーウィングとジガストームの同時攻撃でフィニッシュとなりました。
たまには仲間に任せて寝ててくれても良かったんですが、仕方ありませんね。
どうも:は太一組を特に強く推しているようですから。
・空組
13話もそうでしたが、やはり:の空は博愛の人に見えます。
無印の空はもうちょっとこう身内優先というか、外側には割り切るタイプというか……
同じ事態に出くわしたら、あまり自分だけでは判断せずにまず皆に相談する気がします。
そもそも、太一組とだけでなんとかしようとは考えないんじゃないでしょうか。
実は無印だとそーゆー事態そのものがほとんどないんで、判断が難しいところなんですけど。
中盤から後半にかけての空は、相も変わらずな体の張りっぷりを見せつけています。
話の都合と言ったらそれまでですけど、謎なまでに身体能力が高い。
あの距離からトロピアモンの口へ正確に木の実をブチ込むし……これは太一もそうだけど。
今回はその太一の安全にも関わってくることなんで、必死になる理由付けはできてましたが。
戦闘ではガルダモンの奮闘を特筆したいところです。
体格とパワーで勝り即死ビーム的な技を備えるトロピアモン相手に、よく持ちこたえてました。
戦いの先に究極体の兆しを発揮するかと思われたのですが、特にそれっぽいものは無し。
光子郎、ミミ、ヤマト、丈、空ときて、ハッキリ兆しを見せたのは光子郎だけです。
順次やってくのかと思ったんですが、全然そんなことないすね。
いや別にあってもなくてもいいっちゃいいんですけど、このまま順次究極進化するとしたら
描写が不統一なままになるんで、モヤモヤみたいなものはあります。
あと2クールもあるってことなら、50話過ぎてからやっと…って可能性もあるけど。
・他メンバー
落ちてきた冷蔵庫の処遇をめぐって揉めてました。しかもそのまんま放置。
事実上、太一組と空組以外は蚊帳の外状態です。
そんな中、ヤマトとミミが意見をぶつけ合っていたのは珍しい場面といえます。
無印のヤマトってミミとはあんまり会話してないし、意見も戦わせてませんから。
その謎のこだわりについてはともかく。
・ポームモン
アニメ初見参。浮遊島でフライモンに連れ去られかけていたのが初登場です。
空の「助けよう!」の一言で運命が変わり、仲間の救助に奔走することとなりました。
彼?が最後の一体だったんで、もう少し太一たちの到着が遅かったら気づかれることもなく、
もとは彼らだった果物だけさっさと持ち帰られて美味しくいただかれていたかもしれません。
成長期なんで、単体では空を飛ぶのもしんどそうだし成熟期レベルにはかないません。
が、仲間を助けて空を援護に現れた場面では数を頼みに「ラピッドシード」を雨霰と撃ち込み、
ついにはフライモンを一体斃すという戦果を挙げていました。
さらには太一と空に合わせてトロピアモンにも「ラピッドシード」で飽和攻撃を仕掛け、
この植物竜の口を完全に塞いで必殺技を封じるという貢献もやってのけています。
チリも積もれば山となる。
ただ助けられるのではなく、助けようとしてくれた誰かのために力を合わせて向かってゆく
その姿勢には、フツーに好感が持てました。13話に足りなかったのはこういうところかも。
中の人は伊藤かな恵さん。
2007年、「しゅごキャラ!」の日奈森あむ役に抜擢され一躍知名度を上げた方です。
以後もその快活な声質を活かし、「To LOVEる」のナナ・アスタ・デビルークや
「アイカツ!」の栗栖ここね、「マギアレコード」の綾野梨花などなど
元気系の女の子をよく演じております。
その意味では「デジモンストーリー サイバースルゥース」の神代悠子は少々異色ですね。
色々やってるし、こういうタイプが他に絶無ってわけじゃないでしょうけど。
・フライモン
成熟期。今回のザコ担当です。
中盤で全滅したと思われましたが、生き残りがまだいて空とポームモンを追い込みました。
生態としては、トロピアモンと共生関係のような間柄である可能性があります。
トロピアモンのために獲物を集めてくる一方で、そのおこぼれに預かってるんでしょう。
そういうメリットがあるからこそ、手下のように振る舞うことにも抵抗がないんでしょうし。
敵デジモンということで相変わらず意思疎通はできないんですが、そもそもこのデジモン
過去シリーズにもけっこう出てる割には会話するタイプの個体が一度も出てません。
むしろ怪物的な描写ばかりで、典型的なやられ役に終始してしまっています。
一番マシな扱いなのがセイバーズ2話という時点でお察しというところでしょう。
やっぱり外見が良くないのかなあ… といっても、進化前候補のクネモンは喋れないなりに
前回みたく平和に暮らしてる場面も描かれているのですけど。
なお、空組には無印26話でも斃されているという妙な因縁があります。
この時も突然太一たちを襲ってきており、会話など通じない相手として描かれてました。
・トロピアモン
今回のメインエネミー。
完全体ですが、メタルグレイモンやガルダモンを大きく超える巨体を誇っています。
パワーもこれに見合うだけあり、加えてスピードも体格の割にはかなりあるようです。
その意外なスピードに虚を衝かれた太一とメタルグレイモンは体当たりをまともに食らって
巨大樹の花に落ち込んでしまい、果物にされるという大ピンチへ陥りました。
この関係で、空とガルダモンはしばらく自分たちだけで頑張らねばならなくなっています。
まあ、結果的にはポームモンたちにも助けてもらったわけですが。
さらに口から放つ「トロピカルヴェノム」も剣呑であり、当たったら溶けてしまいます。
つまり防御不可能ということなので、ガルダモンも終始にわたり回避に徹してました。
いかんせん、威力がありすぎるということは命中率も低いということですが……
即死攻撃って、ゲーム以外ではあんまり役に立たないんですよね。
フライモンを引き連れて浮遊島に君臨するその姿は、一帯のヌシという感じです。
ただ、ミレニアモンの影響は受けてないみたいなのでこれが通常運転。
つまり彼らからすれば普段通りエサを確保しようとしてたら横から殴られて全滅、
という形になるかもしれないんですね。
意思疎通のできるポームモン達が肩入れされがちなのは、わからんでもないですが。
ただ、見方を変えるとポームモン達もたまたまやってきた人間と強いデジモンに
うまく協力を取り付け、その力をバックに自分たちの身を守ったことになるので
選ばれし子供らを味方につけたポームモン達の生存戦略勝ち、とも言えますか。
たぶんそーゆー観点では描かれてないと思うけど。
・浮遊島
花に放り込まれた生き物を果物に変えてしまうという、謎の大樹が生えている浮遊島。
クラウド大陸を思い出しますが、アレを連想した者は特にいませんでした。
大樹が元からあるものなのか、トロピアモンが持ち込んだものなのかは不明です。
トロピアモンが種を持ち込んで、肥沃であろうこの島の土壌で育てた可能性は
それなりにあるとは思いますけど。
また、ここには空からなぜかよく電化製品の類が降ってくるようです。
これらは現生の果物同様、時折島から転げ落ちてムゲン大陸の地表にも落着する模様。
ヤマトたちの前には冷蔵庫が落ちてきましたが、中身は最後まで謎でした。
クラウド大陸もそうですが、浮かんでる原理は相変わらずよくわかりませんね。
構成物質自体にそういう浮揚力があると考えるべきでしょうか。
★名(迷)セリフ
「兄さんがくれた、この家出カバンに入ってたのさ」(丈)
空の笛がいったいどこにあったのか、というミミの疑問に答えて。
「気がすむまでやってこい、弟よ」と手渡されたアレですね。
本人の推測では熊避け用だそうですが、前は誰が使ってたんでしょう。
丈がなにかと細かいものを持ってるというのは、割に無印の頃からそうでした。
02ではさらにグレードアップして、ソリを作れるほどの長さのロープを持ち込んでましたっけ。
聞いた本人のミミはメチャメチャどうでも良さそうでしたが。
むしろ光子郎の方が食いついてます。
「誰もこっちに来ない……」(テイルモン)
太一と空側のゴールキーパー役となるも、二人の連携がいいのと他が不慣れなのとで
まったく出番がなく、思わずぼやいた際のセリフ。
失礼ながらちょっと笑っちゃいました。シグナルマンか君は。
「ねぇ太一、あの試合、覚えてる?
ほら、初めて私が前、太一が中盤やった、あの試合よ!」(空)
幼馴染であると同時に、試合のパートナーとして太一へ全幅の信頼を置いている空。
前後のようすから、少なくとも現状では心からサッカーを楽しんでいることがわかります。
無印の空もサッカー部でしたが、ここまでサッカー愛を見せてはいませんでした。
バトルもいいけど、こーゆーのもまだまだもっとください。
「手伝うわ! ね、太一?」(空)
自分たちの手に島を取り戻したい、と願うポームモンに。
相変わらず仲間には事後承諾を求めてますが、太一は二つ返事で快諾していました。
まあ、太一ならそう言うだろうと思ってのことではあるでしょうけど。
「だから! ミックスジュースはフルーツジュースとは違う!
そこには、長い間培われてきた匠の業が…!」(ヤマト)
なんか急にめんどくさいこと言いはじめました…が、これ判断材料にしていいのかな?
ヤマトの実家って、もしかして果樹園とかやってたりするのかな…?
で、そのオーナーである祖父あたりを尊敬してるとか…… 考えすぎかな。
対するミミは「いいじゃん、美味しければなんだって」とあまり拘りはない様子。
美味しいものしか食べてこなかったぶん、感覚が麻痺してるところはありそうです。
DWに来てからはどうだか知らないけど。
結局この二人の意見相違は平行線のまま放置されるんですが、どうなったんでしょう。
案外、次回に持ち越されたりして……
「太一になんてことするのよ!」(空)
果物にされた太一とメタルグレイモンを見て。同時に完全体進化が発動しています。
いろんな意味で:版の空ならではなセリフ、かもしれませぬ。
「でも…飛ぶのってしんどい……」(ポームモンB)
「だよね……」(ポームモンA)
救助された別個体との会話。Aの方が最初に太一たちが助けた個体です。
緊迫した中に挟まれるちょっとした息抜きシーンですね。
Bの方の中の人は、高野麻里佳さんの兼役かな?
「空! …かっこよかったな!」(太一)
13話の丈に続いて、太一からもこの評価です。
やっぱり:版では空のことを「強くてカッコいい女の子」として描きたいのでしょうか。
そういうことならそれでもいいけど、太一同様に強すぎるのはなんとかなりませんか…?
★次回予告
今度はタケルにお鉢。
無印6話と12話、あと22話を足して割ったような雰囲気ですが、相手はワルもんざえモン。
シャオモンやフリモンの姿も見えますが、一緒にいる虫型っぽい幼年期は何モンでしたっけ?
少しは二人の掘り下げがされるんでしょうか。
ここまで来たらもうなんでもいいんで、とにかくやってくださいとしかいえませぬ。