ジャガモン ポテト地獄
脚本:冨岡淳広 絵コンテ/演出:セトウケンジ
作画監督:荏原裕子/Lee Yeong-gyu/Noh Gil-bo/原憲一
総作画監督:仲條久美
★あらすじ
デジモン達が集まる憩いのサービスエリアで、束の間の休息を楽しむ太一たち。
そこでバーガモン達が振舞っていたのはなんとハンバーガー、そしてポテト。
ポテトが大好物の丈は同じくポテトが大好きなデジモン、ポテモンと知り合い
「ポテ友」になります。
ところがポテモン以外に誰も食べないからか、ポテトはその日で販売終了に。
失意のポテモンは悲しみと憤慨のあまり、完全体ジャガモンに進化。
我を失ってサービスエリアに攻撃を仕掛けてきました。
混乱の中、丈はジャガモンがポテモンであることに気づき、一計を案じます。
コモンドモン等の洗浄に使われていたルナモンの泡を転用して攻撃を封じ、
エンジェウーモンの力を借りたハンマーでジャガモンの脳天をぶっ叩いたのです。
荒療治でしたが、これでジャガモンは正気に戻りました。
憩いの場とポテ友にしばしの別れを告げ、再び旅立ってゆく丈と仲間たち。
残されたジャガモンの芋は美味しく調理され、サービスエリアの新たな看板になったとか。
★全体印象
39話です。
やっとのことで回ってきた丈先輩回ですね。実はこの人物、単独でメインを張ったのは
無印の7話ぐらいで、あとは仲間との関係性の中でキャラを立ててきてるんですね。
ズドモン回もですが、:になってからは単独メインがむしろ増えてると言えます。
内容はというと、事前はかなり不安だったんですが思ったよりはだいぶ良かったです。
なんかこうユルいけどヘンなノリになってて、たまにはこういうのもいいと思わされる。
丈先輩の主張とか、先輩自身がなんかヘンな気がするのもこういう回なわけだし、
まあ言い募るほどでもないか……となりました。
あと、コモンドモンを全員で洗ってあげるシーンは素直にとても良かったですね。
ただ4クール目間際でやる話か、これ? と思わされたのは事実。
噂が本当で5クール構成だと考えても、ちょっと遅いような気がしてなりません。
それとも今まででバトルはかなり見せてきたから、今度は少しずつドラマも増やして
残り2クールを盛り上げるつもりなのでしょうか? だとしたら幸いなんですが。
脚本は富岡さん。作監はまた多人数体制ですね。7人もいた34話よりはマシだけど。
★キャラなど個別印象
・丈
唐突にポテト愛を語りはじめた六年生。
この時は本当にどうしようかと思いましたが、ポテモンがジャガモンとなって
暴走した際にはポテ友である彼を助けようと、太一たちに協力を頼んでいました。
こういうとき、まっすぐに誰かを頼れるのは旧作からの彼の良さではあります。
また泡を利用してのジャガイモ爆弾の無力化を具体的作戦として構築するなど、
いざという時には機転を利かす側面も披露していました。
この経緯においては、自称ではないマトモなリーダーシップを発揮しています。
いろいろと詰め込みすぎて、ツッコミどころ満載になってる気もしないではないですが。
ここまで出張るのは久しぶりだし感覚が鈍ってるかもですけど、成長度高すぎでは?
それとも本作はもともとこれぐらいできて、それが発揮されただけってこと?
リーダーネタはこのまま引っ張るつもりみたいですね。
先輩でリーダー、な独特?のポジショニングを返上する気はないってことでしょうか。
・ゴマモン
今回はズドモンに進化。先輩共々、ジャガモン制止に最も大きな役割を果たしました。
ナマイキな面が抑えられた関係で相変わらずキャラとしてはもうひとつ陰が薄いんですが、
丈先輩と一緒にハンマーを叩き込むくだりはまあ悪くなかったんじゃないかと……
途中からなぜか先輩単独になってるのには笑いましたが。
・他メンバー
おしなべて出番は平均的ですが、ガード対象が多いというのもあって連携が目立ったのは
かなりの加点要素です。まあ連携というか、状況に合わせて順次に進化ってことですが
無印では良くやってたことなんで、なんだか懐かしい気持ちになりました。
全員で向かうような相手じゃないですけど完全体進化したのは丈組だけだし、まあ。
そんな中、エンジェウーモンがまた謎の要素をお出ししています。
ハンマーにホーリーアロー宿して聖なる力付与って、あんたそんなことできたの!?
いや、一応エンジェモンも20話でメタルグレイモン達にバフ乗せてたからおかしくはないのか……
それで頭ぶっ叩いたら正気に戻るなんて初めて知りましたけど。浄化ってことかな??
・コモンドモン
働きづめで汚れ放題とあって、洗浄コーナーで洗ってもらいご満悦でした。
子供たち総出でその毛並を洗ってあげる場面は、もしかしたら本作屈指の和みポイント。
そうだよ、欲しかったのはバトルだけじゃなくてこういう柔らかい要素もなんだよ……
後半ではルナモンの泡を転用するにあたり、重要な役割を果たします。
なぜかミミが乗ったままだったんでちょっと面白いことになってましたが。
・バーガモン/トリカラボールモン
サービスエリアでハンバーガーを無償配布していた太っ腹なデジモンたち。味も確か。
本作のデジタルワールドに通貨の概念はなさそうだし、それで困ってないならいいのですが。
ただポテトだけはポテモン以外誰も食べないからか、廃止を検討していたようです。
理由は上記以外にもあるのかもしれませんが、このことがポテモンを暴走させてしまいました。
後半は避難していたので出番自体はほとんどないですが、新しく登場したポテト系メニューは
彼らが手がけたものでしょう。例に漏れずポテト好きな身としては喉が鳴ります。
廃止理由は材料不足にかかわらず不人気なため廃棄が多すぎる、あたりと見ました。
まあこれからは、供給元を気にしなければ材料に困ることはなさそうですが。
他のポテトメニューで客を維持できるなら、フライドポテトの量は調整できるわけだし。
バーガモンの中の人を担当しているのは齋藤彩夏さん。
近年だと「魔法つかいプリキュア!」のモフルン/キュアモフルン役が印象に残っているほか
「ジュエルペット」のルビー役でも長らくメインを張るなど、子役出身とあって
年齢に比し芸歴の長いベテランなのですが、デジモンシリーズには初出演となります。
・ルナモン
サービスエリアでデジモンの汚れを落とす役をやっている成長期。
その際に使っていた「ロップイヤーリップル」は本来必殺技扱いなのですが、どうやら
攻撃のためだけではない使い方を編み出したようですね。そういうの嫌いじゃないわ。
作り出す泡は対象を優しく包み込み、衝撃をも和らげてくれます。
この特性を前半に出しておいて、後半で回収するというお話の手本が描かれました。
中の人は今野宏美さん。「クロスウォーズ」でも同じルナモンを演じていました。
「ゲゲゲの鬼太郎」の猫娘が役としては一番有名でしょうか。
おかげで「プリパラ」でネコ姐さんと呼ばれていたのには笑ってしまいました。
・ポテモン
今回に合わせて登場した新デジモン。見ての通りフライドポテトがモチーフです。
もちろん大好物はフライドポテトで、サービスエリアのそれを旺盛な食欲で平らげまくっていました。
その際独特のゲップを出しますが、丈先輩の反応からみて臭いわけではないようです。
バーガモンたちにとっては、不人気のフライドポテトを食べてくれるありがたい客だったんでしょうが
さすがに彼ひとりだけでは廃棄の方が多くなってしまい、メニュー廃止が検討されたのかもしれません。
せっかく作ったのに大半を捨てなければならないとしたら、これはさすがに厳しいでしょう。
が、上記のようにこのことでショックを受けた彼はジャガモンに進化を遂げ、暴れ出してしまいます。
特に黒い稲妻やミレニアモンの影響を受けてはいないので、本作のデジモンは感情の迸りなど
自分で制御できるリミッターを超えた時、暴走してしまう危険な面がもともとあることになります。
自分で悶々として自分で暴走進化するなんて例はあんまり見たことないけど。
中の人はくまいもとこさん。主に少年役として90年代から活躍している実力派です。
デジモンにもスカモン役として無印から参加しているほか、「アプリモンスターズ」において
レギュラーであるドカモンに抜擢されていたのも記憶に新しいところ。
・ジャガモン
いちおう今回のメインエネミー。これでも完全体です。
ポテトが廃止される悲しみと憤慨からポテモンが進化し、サービスエリアを襲いました。
恨みからというよりは、やり場のない気持ちをぶつけるかのような行動です。
例の特徴的なゲップや、目の前にあれば何よりもポテトを優先するその習性?から
丈先輩には元がポテモンであると早くに看破されており、このため斃すのではなく
助けるために無力化するという、02に近い流れの戦いになりました。
結果は上記の通り、聖なる力を宿したズドモンの一撃で正気に戻されています。
その後はおとなしくしているところをみると、自分が何をしていたのか
よく覚えていなかったようですね。迷惑な話ではあるけど。
正気には戻ったものの、ポテモンに戻ることはありませんでした。
その代わり自前で大量のポテトを生成できるようになり、メニューへ大いに寄与。
みんな大喜びで八方丸く収まったようです。……収まったってことでいいよな?
見方を変えればポテト愛のあまり、自分でポテトを出せるようになったとも取れます。
ある意味ポテト好きの鑑かもしれません。
種族としては意外と出番のあるデジモンで、ドラマCDまで含めれば無印から出てます。
映像作品ではテイマーズにも出ており、群れをなしメラモンを轢き潰してました。
・モブデジモンたち
フローラモン、バドモン、カメモン、ムーチョモン、プスリモン、タンクモン、
そしてプリンプモンが確認できます。コモンドモンの仲間も登場。
給仕をやっていたのはクネモンでした。高さが客層にちょうどいいのかもしれません。
本作のDWにこんな文化的な休息場があるとは驚きですが、この辺りには進化のために
やたらガッついて他者を巻き込む手合いは少ないということでしょうか。
ミレニアモンの欠片も見当たらなかったし、そこらへんも理由として大きそう。
・ED
今回より「オーバーシーズ・ハイウェイ」に変わりました。
歌はウォルピスカーターさん、曲はOrangestarさんの担当だそうです。
前EDと同様に現実世界でのカットが多いのですが、楽しげだったあちらとは違って
シリアスな絵もあり、戦いの激化を予感させます。曲もそんな感じ。
今はまだ嵐の前の静けさ、かも。
★名(迷)セリフ
「ここで少し休息をとりましょう。
戦いに備えるためには、休むことも大事」(テイルモン)
ちょっと前と違うことを言ってるようですが、やたら気を張るのは少しずつやめてるってことかな。
「何を言っているんだい!
ポテトあってこそのハンバーガー!
ポテトを食べないなんて… 食べないなんて……ありえなーいっ!」(丈先輩)
お、おう……ずいぶん推しますね。
とはいえ、ゴマモンの意見にも一定の説得力はありますが。彼じゃアレは持てないし。
「塾の帰り、親に内緒で寄り道したバーガーショップ。
なけなしのお小遣いで買ったポテトを、ひとつひとつ摘んで食べる僕。
それは、受験戦争を生きる僕に許された、ひとときの安らぎ。僕とポテトだけの時間……」(丈先輩)
いささか自分の言葉に酔ってますが、回想を見るに遅くまで塾通いしていることがわかります。
丈先輩の家族はみんな優秀なはずですし、親御さんが厳しいというか良かれと思って
どんどん勉強の場を増やしているのかもしれません。
そんな中、親に内緒を作る程度のことは心得ていたこともよくわかります。
「みんな、力を貸してくれ! 僕はあいつを助けたい!」(丈先輩)
ジャガモンがポテモンの進化した姿であることに気づいて。この後の「ありがとう!」も良き。
ポテ友として親交を温めた相手に、できる限り誠実に向き合おうということでしょうか。
そういうスイッチが入った時にこそ、先輩は本領を発揮するのでしょう。
「さあ、そのハンマーにあなたの想いを込めて…ジャガモンにぶつけなさい!」(エンジェウーモン)
ホーリーアローの聖なる力をズドモンのミョルニルに与えて。想いの丈(物理)です。
ホント何でもありですが、これによってジャガモンのマイナス的なアレを浄化できたのでしょう。
知らんけど。
「結局先輩? リーダー? どっちなの?」(テイルモン)
「先輩で、リーダー」(ヒカリ)
「?」(テイルモン)
そういえば、テイルモンにとって丈組はほぼ初対面ですものね。
ダークナイトモンに窶されていた時の記憶も残ってるなら一応28話で全員に会ってるけど、
そのときは人となりまでは見えてなかったと思いますし。
★次回予告
ペンデュラムZからトロピアモンが登場。
空回と見せかけて特にそんなことはなかったり太一と折半だったりしそうで心配ですが、
ずーっと出てたのに地味だったのだから個人回の気配は素直に歓迎したいところです。