衛星狙撃作戦

脚本:十川誠志 絵コンテ:八島善孝 演出:内山まな

作画監督:八島善孝 総作画監督:浅沼昭弘

★あらすじ

光子郎と合流を果たした太一たちは、天を貫く電子の柱を目の当たりとします。
古代の巨大デジモン達の激突で生まれたそこは言わば特異点であり、
そこからならデジタルワールドを飛び越えて現実の世界へ干渉できるというのが
光子郎の目算でしたが不確定要素も多く、言わば賭けでした。

もう時間もないということで、柱の頂点を目指し登ってゆく太一たち。
しかし、柱に巣食うブレイドクワガーモンたちが外敵と見做して襲いかかってきます。
さらに、一帯の主と思われるメタリフェクワガーモンまでもが現れました。

多数のブレイドクワガーモンに包囲され、空とタケル、ヒカリは残留を余儀なくされます。
残る敵を引き受けるため、太一とメタルグレイモンは究極進化に踏み切りました。
すると現れたのはウォーグレイモンではなく、電気を操るブリッツグレイモン。
電撃渦巻く環境に適応した、新たな究極進化です。

この新たなる力と太一の信頼に後押しされ、光子郎は単独で塔の頂点に到達。
渾身のホーンバスターで宇宙ステーションに干渉して軌道を変え、市街地ではなく
洋上へ落とすことに成功するのでした。
選ばれし子供たちの活躍によって、東京は三たびの危機から救われたのです。
 
 
 
★全体印象
 
36話です。
ひっさびさに光子郎の担当回。前の担当回が14話、つまり9月なんで
ずいぶん前という印象を受けますね。離散のせいであまり他と絡んでないことも多いため、
体感ではもっと長く感じさせられています。

今回でかいのは、デジタルワールドからでも現実世界へ干渉可能であることと
やり方次第では子供たちでもそれが可能だとハッキリしたことでしょうか。
光子郎がずーっと実況してた件にもやっと意味が出てきてくれて、一安心というところ。
ここへ至るまで期間をかけすぎてる気もしますが……

バトルではサプライズ気味にブリッツグレイモンが登場。
ただし扱い的には偶発的なもので、今後ホイホイ使い分けできるかは定かじゃありません。
流れ的には、あくまで光子郎組がメインということで通されていました。
どうやら彼らの究極進化も近そうです。

脚本は十川さん。作画は八島さんの一人原画で、絵コンテも担当されているため
画のテイストは無印を大いに思い出させてくれる仕上がりでした。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一組

 行動の男、八神太一。
 彼は自分に無いものを持っている光子郎を全面的に信頼しており、彼を引っ張るとともに
 その絶大な信頼で背中を押し、全てを任せることができる男です。

 少なくとも無印ではそうだし、今回も無意識にその補完をかけて見てるんですが
 :単体だとそこまで一緒に行動してたわけじゃないので「そんなに信頼できるもんなの?」
 となってしまうのではないかという懸念はあります。しかも初対面から始まってるわけだし。
 まあ、太一と光子郎については:でも描写されてた方ではあるんでまだマシなんですが。

 成長期に戻っても帯電しっぱなしなアグモンにはちょっと笑ってしまいました。
 お前は自衛隊の作戦で帯電体質になったキングコングか何かか。
 
 
 
・ブリッツグレイモン

 雷の柱の直近で進化を試みた結果、偶発的に獲得した究極進化。
 本人はともかく太一はウォーグレイモンだと思い込んでたので「この進化は…!?」と驚いてました。
 光子郎によれば、この環境下に適応した結果なのだそうです。

 実際、このデジモンが出てから趨勢は一気に傾いています。
 不利な地形を一転して得意フィールドに変え、「エレックガード」で敵の攻撃をシャットアウト。
 電撃をものともせず、メタリフェクワガーモンを易々と撃破しました。格下なんで当然です。

 ただ形態としてはサブなのか、進化バンクはいかにも簡素なものです。
 敵の後続を断つという意味で、戦力としては相変わらず最大貢献を遂げていますね。
 
 
 
・空組

 こちらはこちらで相変わらず援護役に徹しており、本当に書くことがありません。
 彼女らの場合、担当回がことごとくアレなのもマズいんですよね。
 次の担当回はまともに描写されてくれるんでしょーか……
 
 
 
・光子郎組

 無印のベーダモン回を思い出す謎空間で自問自答していました。
 そこで何やら足早に「これこれこうだったんだけど今は違うよ、成長したんだよ」
 と説明が突っ込まれてました。少なくともそう見えました。

 …こーゆーのって普通、担当回や他とのやり取りの中で自然に描かれてゆくものでは?
 私みたいな手合いは無印から補完して見れるところがあるけど、これが初見の人だと
 宿題を最終日に慌てて片付けたみたいに見えてしまいはしないでしょうか。

 まともに内面を描くのが20数話ぶりだというのに、こんなに雑でいいんでしょうか??
 言いたいことはわかるんだけど、やっつけ過ぎじゃありません??
 何がやばいって、他メンバーとのやり取りが少なすぎるんですよ。これは本当にやばい。

 クライマックスでは「正念場」のセリフ通り、渾身のホーンバスターが披露されています。
 そこで明らかにヘラクルカブテリモンと思しきシルエットが現れていたのは、
 限界突破の証かもしれません。これ、もしかして全員分やるつもりなんでしょうか?
 まあさすがに太一組みたく複数回はやらないでしょーけど……
 
 
 
・ヤマト組/ミミ組/丈組

 今回も出番なし。
 ミミ組については次でやっと担当回みたいですが、まず丈先輩をなんとかしてくれ。
 ずっと走ってるだけのヤマト組が一番マシってどーゆーことですか。
 
 
 
・タケル組/ヒカリ組

 扱い的には空組と同程度です。
 ヒカリ組はしばらく目立ってたし、ある程度仕方ないですね。
 なおエンジェウーモンの出番はないです。理由は不明ですがやっぱり大変なのかな。

 ペガスモンはシューティングスター本作初披露。つうか星の数やたら多くないです?
 
 
 
・ブレイドクワガーモン

 今回のザコ担当。映像作品初登場です。
 雷の柱を根城としており、樹液を吸うようにエネルギーを摂取している場面があります。
 この環境に合わせた進化を獲得した彼らにとっては、恰好の餌場なのだとか。

 ミレニアモンの影響下には無いようですが、外敵には容赦しません。
 もともと仲間以外の動くものには何でも襲いかかるので、近づくだけでも危険な相手です。

 その全身は成熟期にしてクロンデジゾイトで固められており、捕まえて噛み砕いたバードラモンは
 思わず「硬い…!」と辟易の声を上げていました。
 剣状のツノも極めて鋭く堅固であり、完全体であるガルダモンやメタルグレイモンでも
 その体当たりを受ければダメージは免れません。

 設定では集団で襲えば究極体も殺すことがあるそうですが、本作でも当たりどころが悪ければ
 完全体デジモンであっても致命傷を受けかねないレベルには見えます。
 ただし衝撃には強くないらしく、攻撃を受けた個体はバラバラと落ちていってました。

 数の多さと高い攻撃力で厄介な相手ではありましたが、基本的にはやはり雑兵です。
 ブリッツグレイモンには触れることさえできていません。
 
 
 
・メタリフェクワガーモン

 今回のメインエネミー。
 雷の塔の上層部に出現し、得意のホーミングレーザーでトリッキーに襲いかかってきました。

 一帯のボスと見做されてましたが実際、こいつの出現以後ブレイドクワガーモンの動きが
 外敵である太一たちを分断する方向へと変わっています。
 明言はされてませんが、ブレイドクワガーモンたちをある程度統率できるのかもしれません。
 よく見ると、信号を出して増援を要請しているようなカットもありますね。

 その追撃は執拗を極め、空やタケル、ヒカリ組を釘付けにした後は太一組と光子郎組を急襲、
 ホーミングレーザーで散々に打ち据えましたが、彼らを追い込み過ぎたのがマズかったのか
 ブリッツグレイモンが出現し、一気に逆転を許してしまいます。

 その後もなお見境なく仕掛けてきましたが究極体であるブリッツグレイモンには全く敵わず、
 雷の柱に押し込まれてあえない最期を遂げました。
 シャドーウィングにも耐える装甲を誇っていましたが、柱に漲るエネルギーの奔流へ
 まともに巻き込まれてはひとたまりもなかったようです。
 
 
 
・雷の柱

 古代デジモンたちの化石のそばに屹立していた巨大な電子の柱。
 太古の昔、巨大デジモン同士の生存、あるいは誇りをかけた激突のあまりの凄まじさによって
 デジタルワールドからネットワーク空間を貫き、現実の世界にまで至る特異点が生じ、
 その現在に至るまでの残滓がこの場所であり、ここからならISSへの干渉も可能でした。

 普通なら人間はおろかデジモンでも近づくのを避けるような場所ですが、
 ブレイドクワガーモン達ごく一部の者らにとっては穴場といってもいい環境であり、
 文字通り剣呑な彼らの跋扈によってますます危険なエリアとなっているようです。

 パタモンのセリフから、巨大すぎるデジモンは死しても体の一部が残ることが判明しています。
 柱のそばに残された化石の主たちは、いったいどんな戦いを繰り広げたのでしょう。
 ちょっと興味深いですね。

 となると、34話だったかに出てきたブレイクドラモンの遺骸にもこれで説明がつきますね。
 巨体すぎた、または堅固すぎたために一部が残ったのですね。
 
 
 
★名(迷)セリフ

「いいえ。デジタルワールドにおけるデジモンの戦いは、光と闇の争いだけじゃない。
 自然の摂理、生存をかけた闘争……そして、誇りをかけた戦いもある。
 ただ、今重要なのは…あの光の柱のようね!」(テイルモン)

 
 そう……誇りだ。理由(わけ)など、とうに忘れた!
 まいった…… でっけえ。

 閑話休題。説明と同時に話を前に進める良いコメントです。
 光やら闇やら関係ないところで無駄にでかい激突があった、という設定は嫌いじゃないです。
 むしろ大好き。何かの布石ってことはないでしょうが、記憶に留めときます。
 
 
「デジモンの力で歪められたデータは…デジモンの力で正す!」(光子郎)

 無駄にキマったコメントです。キュピーンと効果音付き。お、おう……
 
 
「20分か…… それだけあれば充分だ!」(太一)

 光子郎の出した計算に全力で乗る。それが彼、八神太一の無印の頃からのやり方です。
 なんかスーパー友情モード中のウォーズマンみたいなセリフですが。
 
 
「また何か来るっ!」(テイルモン)

 ピンと尻尾を立てて。前回も同じ描写がありました。
 どうやら本作では、彼女の尻尾は危機察知に役立つようです。
 鬼太郎の妖気アンテナかな?
 
 
「光子郎! お前が行くんだ!」
「僕が!? そんな、サポートならできます! でも僕には…」
「光子郎! …任せる、お前に!」
「……太一さん…!」
「…頼むぞ!」
「………… っ、はいっ!」
「…行けーっ! 光子郎ーっ!」(太一と光子郎)


 無印28話の「…よし、じゃあ決めた! 光子郎、お前が選んでくれ」を思い出すやり取りです。
 あれは丈先輩も交えてこそ活きるやり取りでしたけども。
 
 
「僕が、やるしかない…独りで…… いや、違う…!
 独りでいるのが好き… いつも誰かに、そんなことを言ってたっけ……
 クラスの片隅で、みんなを眺めていて…大人の人に心配されても、独りの方が楽だって、
 気にもかけなかった……
 でも今は…アトラーカブテリモン、君がいて……それに……!
 僕には……
 みんながいる!
 だからやるんだ! みんなのために! 僕らがっ!」(光子郎)


 やり取りなど一部略。
 といっても、回想シーンでのあの会話は3話というずいぶん前のことですけど。

 本作の光子郎は「僕は独りの方がいいので」と言ってのけるタイプだったんでしょうか??
 無印はそういうとこあったかもですが、本作は別にそんな風には見えなかったんですが……
 あとこの性格というか嗜好は無印だと家庭環境の影響もかなりあったと思うんですけど、
 どうも本作では違うっぽいですね。セリフを信じるなら元からこうだったっぽく見える。

 ……とか言って、後出しでやっぱり養子でしたって後出しされたらどうしてくれましょう。
 あと本作の場合、ミミに関しては特になんとも思ってなさそうに見えます。
 
 
 
★次回予告

 割と被害者になるゴツモンと割と奴隷監督役になるゴブリモンさん、おはようございます。
 スナリザモンとゴグマモンもさっそくアニメ初登場ですね。
 そしてやっとミミにまともな出番が…… ゴーレモン達はもしかして味方なのかな?