煌めくエンジェウーモン

脚本:古怒田健志 絵コンテ:大地丙太郎 演出:武藤公春

作画監督:荏原裕子 総作画監督:仲條久美

★あらすじ

海中を進む太一たちは、チクリモンの群れとエビドラモンに襲われます。
ヒカリに危険が迫ったことで怒りに燃え、激しい反撃に出るテイルモン。
デジヴァイスの輝きは進化の兆しでしたが、敵の黒い稲妻による進化を見たことによって
テイルモンは忌まわしい記憶を思い出し、デジヴァイスの光も消えてしまいます。

かつて、ダークナイトモンという殻の中に閉じ込められていた彼女。
その時の記憶が残っており、今も彼女を苛んで進化を忌避させているのでした。

そして、今度はミレニアモンの欠片そのものでもあるマリンデビモンが襲ってきます。
必死でヒカリを助け出すも、闇に囚われかかってしまうテイルモン。
それを止めたのは、やはりヒカリでした。自分にはパートナーがいる。
光の名を持ち、光へ導いてくれるパートナーがいる。

そう悟ったテイルモンは進化への忌避を乗り越え、完全体エンジェウーモンに進化。
マリンデビモンの攻勢をものともせず、ホーリーアローでこれを打ち砕くのでした。

一件落着となった頃、光子郎から緊急連絡が届きます。それは…… 
 
 
 
★全体印象
 
35話です。
サブタイの元ネタは無印37話「完全体総進撃! きらめくエンジェウーモン」が元ネタですね。
初登場は遅かったけど(無印の初登場は27話)、進化は少し早いことになります。

で、そのタイトル通りテイルモンの初進化でもあるんですが、そのテイルモンが饒舌で
過去の記憶に苛まれていることもハッキリ語ってくれております。
加えて相方のヒカリがある種バツグンの安定感で支えているため、前回と合わせ
パートナーとの絆レベル上昇と進化エピソードとして見所のある仕上がりにはなってるかと。
こうなるとタケル組のイベントが遅すぎたのは悔やまれるポイントですな。

ただテイルモン=ダークナイトモンという設定はやはり剥離がでかすぎるというか、
別キャラになりすぎていて「そりゃ怖いだろうな」との実感までには至っていません。
もっと元の面影が残ってる感じのデジモンだったというなら、まだわかるんですが……
あのスタンドみたいな影法師は割と面白い描写でしたけれど。

ああ、あと光子郎がやっとDWからなんかできそうな手立てを見つけてくれたのは朗報です。
次回でようやっと合流もするようだし、この調子でどんどん再合流してほしいものですね。

脚本は古怒田さん。絵コンテには29話の大地丙太郎さんが再登板してます。
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一組

 今回もどちらかというとサブ担当ですが、前半で見せ場をもらってます。
 生半可な完全体相手ならメタルグレイモンのままで充分という感じですね。
 
 
 
・空組

 ずーっとサブに徹してて行数を割くのが難しい方々。
 前回や今回については成熟期にまでしかなってないし……
 本当に問題なのは、やはり出てんのに存在感がないこの子らかもしれません。
 
 
 
・光子郎組

 やっと宇宙ステーションがらみで何かできそうなことに気づいた様子。
 次回は久々にバトル面でも見せ場をもらえるといいんですが。
 
 
 
・ヤマト組/ミミ組/丈組

 今回も出番なし。早くなんとかしてやってください。
 半端に一方その頃やんならせめて一話かけてくれますまいか。
 無印の頃はできていたことなのに…… そういう方針なのかもしれないけど。
 
 
・タケル組

 ペガスモン回以降は地味に彼らも影が薄めです。
 ヒカリ組がスタートダッシュを始めてるせいもあるけど。
 
 
 
・ヒカリ
 
 テイルモンを無限の信頼で支え、完全体進化へ導きました。
 前回ナチュラルに狂ってると評し(てしまった)のですが、それは裏を返せば
 だからこそどこまでも真っ直ぐに相棒を信じられるってことなのかもしれません。

 もっと言えば、彼女はずっと前からテイルモンの呼び声を聞いていました。
 自分ができるのはただ信じることだけだと、初めからわかっていたところはあります。
 そこへ迷いなく自分自身をベットできるところが、穏当な言葉を使うのならば
 只者じゃないってところなんでしょうけど。

 幼さゆえにできたこと、というわけじゃなくて本質的にそうなんでしょう。
 年齢と経験から、直感でやってたことができなくなるケースはあるにしても。
 
 
 
・テイルモン

 ダークナイトモン時代の記憶がフラッシュバックしてしまい、自縄自縛へ陥っていました。
 面影がなさすぎて見てる方はいささか困惑しますけれど。

 ダークナイトモンは「自分を閉じ込めていた殻」であり「ミレニアモン復活のための傀儡」
 と彼女は言っています。この言葉通りなら、やっぱりあの姿は一種の牢獄だったんでしょう。
 ダークナイトモン自身に意志というほどのものはなく、ただミレニアモン復活のため
 プログラム通りに動いていただけだったのかもしれません。

 ただテイルモン自身と記憶やら何やらは共有されていて、それが彼女を苦しめていたのですね。
 そしてもし恐怖と不安に取り込まれてしまえば、牢獄は再び彼女を覆ってしまう。
 特に、ミレニアモンの欠片そのものとも言えるマリンデビモンのような手合いとの戦いでは
 容易にその兆候が出てしまう傾向にあったようです。

 これを押しとどめ、自分が助けになると言ってのけたのがヒカリでした。
 彼女は改めてヒカリが失ってはならない光明であり、共に戦うために巡り合ったという
 実感を重ねたのでしょう。ヒカリがいてくれる限り、もっと強くなることができるのだと。
 
 
 
・エンジェウーモン

 テイルモンが恐れを振り切り、完全体進化を遂げた姿。
 ダークナイトモンに封じられていた頃は、エンジェモンとの同士討ち状態だったのですね。

 女神のようなその姿と決然とした戦いぶりは、無印同様に頼もしいものです。
 開幕ヘブンズチャームからのホーリーアローというエグすぎるコンボも一周回って、
 容赦の無さっぷりが素敵ですね。セイントエアーは披露してくれるかな。

 初戦が海の中という、天使系としては珍しいシチュエーションを経ていたりもします。
 ただ相手は暗黒系でもあるマリンデビモンなので、そこは適任だったと言えますね。
 
 
 
・マリンエンジェモン

 太一たちに力を分け与え、水中でも会話ができるようにしてくれたそうです。
 多分にシナリオの都合とはいえ、伊達に究極体はやってませんね。
 
 
 
・チクリモン

 今回のザコ担当。22話に出た時より本来の設定に近い感じです。
 近づくものを攻撃するためコモンドモンやヒカリに危険が及び、テイルモンを怒らせました。

 マリンエンジェモンによると海底都市を襲ったデジモンは皆このお話で通った水域から
 やってくるそうなので、欠片の影響を受けたか彼ら自体が生成されたのかもしれません。
 ただし、はっきり生成されてるとわかる場面は無いです。
 
 
 
・エビドラモン → グソクモン

 チクリモンにやや遅れて現れた前半のメインエネミー。
 エビドラモンの時は目立って何かしてたわけじゃないですが、完全体進化してからは
 メタルグレイモンに格闘戦で食らいつくなど善戦していました。

 しかし成熟期からの進化体レベルではもはやさほどの脅威とはいえないのか、
 ジガストームによって割とあっさり倒されています。
 が、進化の際の黒い稲妻はテイルモンにフラッシュバックを引き起こして
 後半の戦いに影響を与えることになりました。

 エビドラモンは案外と出番が多く、02では二度登板したほか
 「クロスウォーズ」においては5話でメインエネミーを張った実績があります。
 迷セリフ「いくらなんでも、このエビドラモンには勝てまい…!」の輩出元ですね。

 グソクモンは映像作品初登場なんですが、あんまり良い扱いじゃありませんでした。
 エビドラモンからの進化には納得感あるんですけどね。
 (アノマロカリモンでもできる役柄、とは言わないでおきます)
 
 
 
・マリンデビモン

 後半のメインエネミーである水棲獣人型完全体。
 ミレニアモンの欠片そのものと言っていいデジモンであり、言い方を変えるならば
 欠片がデジモンの姿を取っている存在。ダークタワーデジモンに近いものを感じます。
 ミレニアモン自体もデジモンなんで、その表現は適当じゃない気もしますが……

 墨で作ったのであろう暗闇に標的を引きずり込み、一人ひとり始末する戦い方を好みます。
 真っ先に捕まったヒカリを救おうと焦燥と不安にかられていたこともあってか、
 こいつの触手に触れたテイルモンは一時的に闇に浸食されてしまいました。
 ミレニアモンの因子そのものに接触するのは、当時の彼女にとり非常に危険だとわかります。

 しかしヒカリのおかげで恐怖を振り払い、超進化を遂げたエンジェウーモンにはまるで敵わず
 ヘブンズチャームで触手を切り裂かれ、ホーリーアローでどてっ腹を貫かれて消滅しました。
 闇に近いぶん、その闇を祓う神聖系デジモンに弱いのは暗黒系の宿命ですね。

 話によると、海底都市を襲っていたデジモンの源はこいつなのだそうです。
 生成してたにせよ凶暴化させてたにせよ、一種のジェネレーターだったのですね。
 ただし自我は例によって薄く、装置の域を脱してはいませんでした。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ

「貴様たち…! 容赦はしないぞ!」(テイルモン)

 チクリモンに襲われたヒカリを庇い、その無事を確かめた直後のセリフ。
 うちの嫁に何してくれてんだゴラァ、とでも言わんばかりです。
 テイルモンはこういうストレートな発露が多くて、なんかちょっと安心しますね。
 
 
「私は恐い…!
 闇から解放されたはずの今でも、心の中に悪しきものが、ひとかけらでも残っていたら……
 それが大きくなり、身も心も呑み込もうとしたら…私は、再び……!」(テイルモン)


 恐怖心…… オレの心に恐怖心……
 ダークナイトモン時代の記憶が拭いきれず、進化を恐れてしまった事への吐露。
 個人的にはやっぱり、あの頃のことは単なる強制記憶共有にしか見えないんですけどね。
 テイルモンのせいじゃないラビ。
 
 
「大丈夫……
 恐いと思ったら、そのときは…そのときは、わたしを呼んで。
 テイルモンにはわたしがいる。いつだって助ける。
 だから… 大丈夫!」
「私には…ヒカリがいる……」
 ヒカリが… 闇の中の私を照らし、導いてくれる…光…!
 そうだ…だから……それがあなたの名前…! ヒカリ…!」 (ヒカリとテイルモン)


 ヒカリがテイルモンに寄せる信頼は本当に絶大なものがあります。
 他者を無条件に受け入れ信じ抜くというのは、なかなかできることじゃありません。
 それをできてしまうのがヒカリであり、テイルモンにとって失ってはいけない道標なのですね。
 
 
「ヒカリ…… 私はもう…恐れない。もう迷わない…!
 今こそ私の全ての力を、ヒカリと一緒に!」(テイルモン)


 恐怖と逡巡を打ちはらい、超進化を遂げる直前のセリフ。
 ここまで信じ託してくれるのなら、テイルモンとしては応えぬわけにはいかないというものでしょう。
 
 
「ミレニアモンの欠片より生まれ出でし歪みよ、去れ!」(エンジェウーモン)

 マリンデビモンをホーリーアローで撃ち抜いて。
 聖なる天使にふさわしい断固とした言い回しは、無印37話でのヴァンデモンへの宣言を思わせますね。
 
 
 
★次回予告

 なんと次の図鑑紹介はブリッツグレイモンのようです。ってことは次回に出るんでしょうか?
 久々に光子郎組へ本格的見せ場が来そうってだけでも一定の期待感はありますし、
 これは見逃せませんね。