ヒカリとテイルモン
脚本:冨岡淳広 絵コンテ:貝澤幸男 演出:山本隆太
作画監督:向山祐治/松本勝次/三橋桜子/小澤和則/Jiang Yong/Xieyumeng/Zoulei
総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
新たに仲間へ加わったテイルモンの助言で、封印の地「ファーガ」を目指す太一たち。
コモンドモンごと海流に乗って先を急ぐのですが、流れから外れてしまいます。
落ちた先は、陸から移り住んだデジモン達が暮らす海底移動都市でした。
初めは警戒されたものの誤解はすぐに解け、一同は歓待を受けることになります。
翌日、都市の中枢でもあるマリンエンジェモンの好意で海流へ戻してもらえる運びに。
しかしそれを阻むように無数のマンタレイモン、そしてアノマロカリモンが出現。
パートナーと共に迎撃へ向かう子供達でしたが、ヒカリは残されました。
テイルモンが彼女を案ずるあまり、戦いの場から遠ざけたためです。
しかしパートナーとしての運命を強く感じるヒカリは太一に頼み、
一人戦うテイルモンの元へ駆けつけます。
その呼びかけによって、パートナーの意味を改めて悟ったテイルモン。
二人の間にデジヴァイスが現れ、共に戦う者として新たな絆が結ばれました。
テイルモンの活躍もあり、アノマロカリモンを撃破した太一たち。
彼らは海底都市に別れを告げ、再び海流の中を進んでゆくのでした。
★全体印象
34話です。
前回を受け、ヒカリとテイルモンが守り守られる間柄ではなく、共に戦う者として
デジヴァイスを手に入れるというのが大筋の流れです。
出るなり色々と雄弁に語り行動しはじめるテイルモンはだいぶ唐突感がありますね。
最初は敵陣営として出し、ヒカリとの邂逅など段階を踏んでから過去を語っていた
旧作に比べると、その過保護っぷりも割といきなり感があります。
もうちょっとこう、ワンクッションというかなんというか……
こーゆー流れなら、ペガスモンはもうちょっと早く出す手もあったでしょうに。
とはいえゲストデジモンたちとの交流や海底移動都市という舞台設定など、
考察のしがいがある要素が結構あるのでそういう意味ではありがたいです。
おかげで直近では最も見応えのある回になっているかも。
脚本は前回に続いて富岡さん。作画監督がやたら多い回でもあります。
何人かは相当のベテランっぽいのですが、ここまでの連名になった理由は不明。
ついでに言うと、その経歴もずいぶんとバラバラです。
リモートで分業というケースが増えたせいでしょうか?
★キャラなど個別印象
・太一組
今回はヒカリ組が主体なのでサブに徹しています。
そのヒカリの意を汲んで戦いの渦中に連れてゆくあたりは本作ならではかも。
というか、過保護部分がテイルモンに振られてて無くなってる気もします。
・空組
すげえな、なんでこんなに影が薄いんだろ……
マリンエンジェモンを見て思わず「可愛い」と述べる空は多少印象に残りましたが。
・光子郎組
毎度恒例、宇宙ステーションの現状をお知らせ・解説する役回り。
徐々に事態が悪化してますが、相変わらずDWからは何もできないままです。
もはや毎週お知らせする意味あんのかってレベルになってきてるような……
・ヤマト組/ミミ組/丈組
今回はアバンにしか出てません。いったい合流はいつなんだ……
ミミ丈の最後の個人回が12話と15話ってどう考えても異常ですぞ。
それ言ったら光子郎もだけど、彼はとりあえず仕事はしてる風なんでまだマシ。
・タケル組
一人だけホーリーリング持ってないパタモンが居心地悪そうでした。
今回の特筆点はそれぐらいです。
・ヒカリ
空やタケルもそうでしたが体張りすぎですね……
一歩間違えは大変なことになる状況なのに一瞬も尻込みしない。
彼女の場合はその電波具合に全振りしたキャラ立てですが、それでもいきなり
メタルグレイモンから飛び降りてテイルモンのところにまで飛び移ると言うのは
どうにもやりすぎ感があります。なんでそこまでできるの??
いや一応何年も前からテイルモンのことを感じていたとか説明はあったけど
そこで急に出されてもびっくりするというか、そうだったの??
テイルモンへの無限めいた信頼感といい、なんというかこう電波というより
もはやナチュラルに狂ってるとしか言いようがない気がしてきました。
特に電波でもないのにそーゆーことした空はある意味もっとやべーんですけど。
それでもパートナーと対話し、関係を進展させるという段階は踏んでますが。
タケルとパタモンはなんで1クールもかけたんだ……
・テイルモン
ダークナイトモンの正体だったらしいです。えぇ……?
百歩譲っても「アレの中に封印されていた」としか取れなかったですぞ。
それっぽい布石も全然なかったし。次回で掘り下げるのかな?
ついでに言うと「成熟期」という説明もなかったりしますが。
どうやらパタモンと違い、記憶の大半を残してるようですね。説明ないけど。
しかし責任感の強さとパートナーであるヒカリを大事に思いすぎるあまり、
共に戦うのではなく自分がヒカリを守ろうと一人で前に立っていました。
どうも本作の場合はそれじゃダメっぽいですが。
あとこの辺の立ち位置が今週いきなり出てきたもんなのでいろいろ追いついてないです。
最終的にはヒカリと共に戦うことを受け入れてデジヴァイスを得、その影響によって
成熟期レベルを超えた攻撃力を発揮、アノマロカリモンの装甲をも破ってみせます。
パートナーとして真の覚醒を得た形であり、その補正に敵を完全に巻き込みました。
総じて旧作より更にカタブツというか、真面目すぎる感じ。
穏やかで良くも悪くもありのままを受け止めるヒカリとは、だからこそ名コンビでした。
さて本作では今後どう描かれてゆくのか……
まだ進化はしてないので、次回ではそっちをやるようです。
なんか矢継ぎ早だなぁ。
・コモンドモン
海底都市に落っこちた影響で負傷していたようですが、マリンエンジェモンによって
治療を受け、ラストでは元気に海流へ乗っていました。
8本足であることや水中でも活動可能なこと、その際はシールドができて
乗員をしっかり守ることなど、新たな設定が具体的に示されています。
特にシールドは強固で、海底都市に落ちた際も太一たちを守り抜きました。
・海底移動都市
海から移住し、適応してきたというデジモンたちが生活する場所。
陸地を逃れ、海に新天地を見出したのだそうです。
元の住処がタダでも過酷なムゲン大陸の中でも余程の激戦区だったのでしょうか。
見た目はガラス張りの巨大都市なんですが、魚に似たフォルムを持っていて必要とあれば
移動することもできます。デジモン、というわけではないようですが……
また、いかなる仕掛けによるものかこの透明箇所、破られても水が入ってはきません。
描写からみて「呼吸のできる水」で満たされているから、と考えるべきでしょうか。
最初から水でいっぱいなら、そりゃ水が入ってくる描写も無いでしょう。
なんか圧力差とかで大変なことになりそうな気もするんですけどね……
それにあの中が水だったら、太一たちが普通に歩けてるのも変だし。うーむ。
都市部には多数の水棲系デジモンが暮らしていますが、総じて戦いは苦手っぽい印象。
元から海に暮らすデジモンたちからはいまだに余所者扱いされてるそうですが、
話を聞く限りじゃ露骨に攻撃されたことはそんなに無かったんでしょうね。
警告されて追い払われるぐらいがほとんどだったんじゃないでしょうか。
・マンボモン
海底移動都市で警察とか衛兵の役割を果たしてるデジモン。
02時点の設定では、パタモンが光のデジメンタルで進化した姿だといいます。
サイレンの表現として、なんか意外なところが光ってました。そこ光るんだ!?
戦闘力はさほどでもなく、テイルモン相手には一発でぶっ飛ばされてました。
あの個体の安否が気にかかります。
・ダイペンモン
海底移動都市でもひときわ目立つ、超巨大デジモン。頭のレバーはチャプモン達が回します。
一応迎撃部隊の一翼を担っているらしく、マンタレイモンを攻撃する場面もあるんですが
動きが鈍すぎるのか簡単に逃げられてしまっていました。ダメじゃん……
これでも氷のダブルスピリット体なんですが、その設定が使われたことはありません。
クロスウォーズでのあまりと言えばあまりな顔芸は印象に残っています。
・マリンエンジェモン
海底移動都市の長にして、その中枢を司る究極体。ただし世代への言及はないです。
その首のホーリーリングがテイルモンと同じものだったために、主役連への誤解が解けました。
これだけの都市ともなると究極体でなきゃ操るのは難しいのかもしれませんが、
もともと戦闘向きじゃない進化とあって直接的な襲撃には都市ともども弱いようです。
一方で回復には長けており、コモンドモンを活性化して憂いを無くしてくれたりしてます。
襲撃のあと速やかに立て直せたのも、この回復能力によるところが大きいのかも。
過去作には「テイマーズ」終盤で登場しており、キャラソンまで貰った準メイン経験者。
また声は「セイバーズ」でララモンを演じたゆかなさんが担当しています。
これもファンサービスの一環でしょうか。ララモンとの共通点はないけど。
・マンタレイモン
今回のザコ担当。前半はコモンドモンが開けてしまった穴を通り、都市に侵入。
これをテイルモンが撃破したことが、住民の信頼を得る契機となっています。
このあたりは一大繁殖地にあたるのか、数だけはいっぱい出てきます。
後半ではアノマロカリモンの襲撃に合わせ、大挙して来襲。
ですがあまり目立った動きは見せず、グレイモン達にはほぼやられっぱなしでした。
それでも、戦いが苦手な住民たちにとっては恐怖の対象だったでしょう。
過去作では「デジモンテイマーズ 冒険者たちの戦い」に登場。
アノマロカリモンが撃退された後にいきなり現れ、シーサモンらの反撃をいなし
美波を拉致するという役割をもらっています。
同作に山と出てきたアーマー体の中では優遇されていた方でしょう。
・アノマロカリモン
今回のメインエネミー。
海底移動都市にも見劣りしない巨体を誇り、その天面に取り付いて穴を開け、
そこから多数のマンタレイモン達を侵入させました。
本来は素早く動き回り、鋭い前足からの斬撃で敵を仕留める戦闘スタイルなのですが
今回はとにかく巨大なぶん動きが鈍く、都市に入り込もうとはしていたものの
大きく動いてはおらず、攻撃を回避される気遣いはありません。
その代わり分厚い装甲を誇り、全身から電撃を発することができます。
これは中枢たるマリンエンジェモンにもダメージを与えるほどの威力があり、
グレイモン達もなかなか近寄ることができませんでした。
先行して取り付いていたテイルモンもダメージを受け、振り落とされています。
が、デジヴァイスを得てブーストを獲得したテイルモンの一撃で装甲が砕け、
そこを一斉攻撃によって斃されています。
ケルベロモン同様、格下に大ダメージを受けてしまった格好。補正の巻き添えです。
過去作への登板率は高めで、無印41話を皮切りに02の41話、テイマーズ劇場版と
特に初期シリーズにおいてよく姿を見かけました。
ただし、格に応じた扱いをちゃんと受けたのは02までです。
・ブレイクドラモン
冒頭、残骸と思しきものが砂地に転がっていました。
本作に限らず、デジモンは死ぬとデータのクズになって消滅するはずですが、
たまたま一部が残ったのでしょうか。
★名(迷)セリフ
「ヤツを斃すことが、聖なるデジモンである私の使命!」
「いえ、こちらこそ…いきなり飛び込んできた無作法、お許しを」
「安心…? 私はミレニアモンを斃すまで、安らぎなど……」
「私が、やらねば…!」
(テイルモン)
本作版テイルモンのカタブツっぷりがある程度わかるセリフ類です。
ちょっとレナモンっぽいセリフ回しも。
「テイルモン……
ずっと…呼んでいたんだよね? わたしのことを…ずっと、ずっと前から……
わたしの、ちっちゃい頃から…」
「そう…私は閉ざされた闇の中で、あなたを…
いいえ、それよりもずっと、ずっと前から…私は呼んでいた…待っていた…! ヒカリを…!」
「わたし、わかっていたよ。わたしたちは、ずっとずっと前から…繋がっていたんだって」
「私たちの出会いは…使命を超えた…運命…!」
「だからわたし、来たんだよ。デジタルワールドに…あなたを助けるために…!」(ヒカリとテイルモン)
デジヴァイスを得る直前のやり取り。
テイルモンはともかくヒカリの覚悟完了ぶりがナチュラルすぎて恐ろしいです。
「私は聖なるデジモン!
戦士を導き、ともに闇を打ち祓う者!」(テイルモン)
ヒカリとともに戦う決意を固めた際の宣言。
なんかずーっとふわっとしてるんですけど「聖なるデジモン」って役職なんですかね、肩書きなんですかね。
それとも単なるあだ名…?
「これからは、わたしとヒカリ… 一緒に!」(テイルモン)
「一緒に…頑張ろう!」(ヒカリ)
互いをパートナーとして認め合ったふたり。
これで次回はもうエンジェウーモンなわけですが、どう持ってくんでしょうね。
★次回予告
もしかしてグソクモンが早くも映像作品登場ですかね?
過去、ってことはテイルモンはやっぱりダークナイトモンで、その時のことを覚えてるってこと…?
どう見ても不本意だったと思うんですがいかがか。そうラビ、テイルモンのせいじゃないラビ!