逆転の武装鋼化

脚本:佐藤寿昭 絵コンテ:- 演出:セトウケンジ

作画監督:井口忠一/原憲一 総作画監督:仲條久美

★あらすじ

デジタマを掠め取り、持ち去っていった謎の黒い騎士デジモン。
これを追った太一たちは、瘴気の沼に覆われた塔にたどり着きます。
その場所こそ、オーガモンが示した目的地。聖なるデジモンが囚われていた場所だったのです。

先を急ごうとする太一たちの前に、瘴気の沼を力の源とするスプラッシュモンが出現。
アグモンたちが完全体に進化して立ち向かうものの、近づくだけでも危険な相手です。
そのうえ攻撃は液体化して躱されてしまい、次第に追い詰められてゆきます。

とうとう瘴気に半身を侵され、沼に引きずり込まれそうになるメタルグレイモン。
これを太一が自らの身を顧みず救おうとしたとき、デジヴァイスの輝きとともに
かつてない異変が訪れました。メタルグレイモンの生身だった右腕が瘴気をも克服し、
新たな武装を得て生まれ変わったのです。
そのエネルギーは、スプラッシュモンを一撃で消滅させるほどでした。

戦い終わって見上げれば、なんと塔が動きはじめています。
その下から現れたのは巨大な陸亀デジモン、エルドラディモンでした。
タケルが戦いの間に地下を調べ、デジヴァイスを使って解放していたのでした。
太一たちはエルドラディモンの内部に突入、デジタマ奪還に歩を進めます。

一方、現実世界により近いネットワーク領域にもいよいよ本格的侵略が始まっていて……
 
 
 
★全体印象
 
21話です。「武装鋼化」は「アップデート」と読みます。
タケルが合流しっぱなしで相変わらず話が落ち着きません。
本当に、どっかでいったん腰を下ろせないもんですかね。
タケルの人物周りがさっぱり描かれないまんま話だけ転がってってますぞ。

メタルグレイモンが新たな力を手に入れましたが、今となってはこれも不安要素です。
オメガモンが早出しされてることがいよいよ効いてきたのでしょう、究極体ですらない
一種のマイナーチェンジを出されても繋ぎにしか見えないというのがひとつ。

もうひとつは、太ヤマ以外にこのアップデートが起こらないかもしれないという懸念です。
進化バンクの時点でそうでしたが、メンバー間の格差がかなり露骨じゃないですかね……
さすがに登場回で負けたり、途中で選手交代したりとかそーゆーことはないというだけで。

起こらなかったとしても究極体にはなれるのだろうからまだ良いのかもしれませんが、
じゃあ何のためにわざわざこのモードを出したんだろうと不思議な気持ちになるのです。
それとも、実はしばらく完全体のアップデートで凌ぐつもりなんでしょうか?
どっちにせよ、3クール目からは究極体ラッシュになりそうなんですけどねぇ。

脚本は8話、15話の佐藤さん。メインスタッフの顔ぶれに大きな変化はありません。

 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太ヤマ組

 引き続き居残り組。
 変幻自在である上、瘴気そのものでもあるスプラッシュモンに大苦戦を強いられましたが
 上記の通り土壇場でメタルグレイモンがアップデートを遂げ、勝利をものにしています。

 この組み合わせの問題は回を追うごとに「いやまだオメガモンいるし…」となってしまって
 どれほど苦闘を強いられていても緊張感が得られなくなってるところにあるわけですが、
 それでいて普段はオメガモンのことを忘れてるかのよーに振舞ってるんですよね。
 もちろん自由になれるわけじゃないし、タケヒカが鍵になってるのでしょうけれど
 だけど太一もヤマトもそのことを知らないはずなのです。

 新たに機械化したメタルグレイモンの右腕は、しばらく前に登場した
 メタルグレイモンXの必殺武器「アルタラウス」に相当する存在だそうです。
 つまり部分的にX進化を遂げたようなもの、というわけですか。X抗体要素ないけど。
 それとも、闇の瘴気が擬似的にXプログラム的な役割を果たしたんでしょうかね?

 ともあれ、アルタラウスからの一撃はジガストームをも大幅に凌ぐものです。
 スプラッシュモンが液体化する暇もなく蒸発してしまったところからも、それは明らか。
 もはや究極体クラスにも通用するかもしれません。本当のところはわかりませんけど。
 
 
 
・空組・光子郎組・ミミ組・丈組

 ネットワーク空間の侵略が始まり、対応を迫られています。
 デジヴァイスさえあればネットワーク空間には行けるはずなので、まずはそこからでしょう。
 太ヤマ組に頼れない中での戦いになりますから、ここは頑張りに期待しときます。

 ミミの両親と祖父、そしてシン兄さんも登場しています。
 ケースケパパは櫻井さんのままですが、サトエママは高野さんとの兼役。
 シン兄さんも丈役の草尾さんが兼任されてるんで、サトエさん以外は旧作に則ったキャスティングです。

 もし合わせるなら、サトエさんの声は園崎未恵さんが担当する形になるでしょうか。
 言うまでもなく、園崎さんは裕子ママの方に行ってるわけですが。
 
 
 
・タケル
 
 隠れてろって言われてるのに秒で勝手に行動しはじめる人。
 ろくに人物像が描かれてないうちにこれだと、馴染みのない視聴者には悪印象を持たれてしまうかも。
 しかも、なぜ危険を冒してまであんなところに降りていったのかについてちゃんとした説明がないという。
 うっかりするとアレ死んでましたぞ。ただでさえパートナーもいない単独行動なのに。
 セリフに頼るのは良くないというけど、ものには限度ってものがあると思うんです。

 結果的にはエルドラディモンを目覚めさせ、ヤマトに褒められるわけですが
 その時も落っこちてヤマトに受け止めてもらってます。
 君がナイフの上を綱渡りしてどーするんだ……

 それにしてもセリフが少ない。
 なんであんなことになっていたのか、そろそろ簡潔でいいから説明が欲しいです。
  
 
 
・スパーダモン

 再登場。太一たちのもとに駆けつけ、スカルナイトモンのことを教えました。
 レオモンとの合流を優先したので、追撃には同行していません。
 そーいえばレオモンは今どこにいるんだろう。
 実はいざというときレオモンの剣になるとか、そういう関係だったら面白いんですが。

 意外と言ってはなんですが、セリフも貰ってます。
 中の人は真田アサミさん。クロスウォーズと同じ人ですね。
 ファルコモンも一緒にいましたが、残念ながらこっちは喋っていません。
 
 
 
・スカルナイトモン

 デジタマをぶん奪って話をさらにややこしくした貴族の片割れ。
 後述のメイルドラモンを乗騎に使っているところといい、意志は明確に感じるのですけれど
 全く喋らないので何を考えているのかさっぱりわかりません。
 なので、現時点ではあまり書くことがなかったりします。

 塔の中ではデジタマを変な装置にかけてましたが、なんだか猛烈に悪い予感がしますね。
 これ以上パタモンの登場を引っ張らないでほしいんですが。
 
 
 
・ダークメイルドラモン

 スカルナイトモンが乗騎に使っていました。ちゃんと名前もテロップ表示されてます。
 黒い個体は初めて見ますが、これも闇の瘴気によるものでしょうか。
 素のメイルドラモンはナイトモンの乗騎という設定があるので、ダークナイトモンの片割れである
 スカルナイトモンに合わせたネーミングであり、それ以上の意味はないのかもしれませんが。
 
 
 
・スプラッシュモン

 デビモンが直接呼び出したと思しき存在。
 「クロスウォーズ」に登場した水虎将軍スプラッシュモンと同一種族ということになるのですが、
 人間に近いイケメンな姿を持っていた当該作版と異なり、終始その正体である醜悪な水獣のままです。
 デスジェネラルだというのに完全体扱いだし、世代設定付与でワリを食ったデジモンのひとつかも。

 瘴気の沼をその力の源としており、攻撃そのものに瘴気の侵食を伴います。
 これは完全体であるメタルグレイモンたちでさえ、わずかでも喰らえばダメージは避けられない危険なもの。
 できるなら受けるより避けたいわけですが、当然どうしても攻撃の矛先が鈍くなります。
 そのスキを容赦なく衝いてくるため、実にやりづらい相手だといえるでしょう。

 防御に関しても優れており、体を瞬時に液体化させて攻撃を避けることができます。
 そのまま一瞬で相手の背後に回り、痛烈な一撃を喰らわせるのです。この手でワーガルルモンをKO、
 さらにメタルグレイモンを追い込んで瘴気に冒し、ギリギリまで追い詰めました。

 しかしメタルグレイモンが新たな武装を得てからはいいところがなく、得意の液体化回避も
 予想以上のエネルギーに発動タイミングを誤ったのか、逃げる前に蒸発してしまいました。
 敵を見誤ったのだとすれば、いかにもスプラッシュモンらしい敗れ方と言えましょうかね。
 
 
 
・エルドラディモン

 これまた懐かしい顔。まともに映像作品へ出るのは「セイバーズ」以来です。
 見かけは亀ですが、分類的には突然変異型というだいぶ変わり種の究極体。
 経緯は不明ですが、エンジェモンが囚われていた塔の真下に眠っていました。
 というか、このデジモンの上に塔が建てられたという方が正しいのかもしれません。

 地面に穿たれた穴を調べていたタケルと遭遇、デジヴァイスの力で解放された…ように見えます。
 最初に現れた時は目だけで、デジヴァイスに視線を送っていたことからこのデバイスが
 自分を解放してくれるものだと悟っていた可能性も伺えるんですが、何ひとつ定かではありません。
 そもそも敵なのか味方なのかも実はまだハッキリしなかったり。

 ラスト手前、太一たちを迎え入れるように頭を開きま… そ、そこ開くんかーい! 脳はどこじゃー!
 デジモンだから脳は大きくなくてもいいのかもしれんけどびっくりしたぞおいィ!
 
 
 
・カルマーラモン

 ネットワーク空間に登場。アルゴモンの幼年期を指揮していました。
 またまた懐かしい顔です。「フロンティア」の水の闘士ですね。
 光子郎に名前は看破されましたが、世代までは言及されてません。ハイブリッド体の悲しさ。

 今回は泳ぐとき横倒しとなり、人間に近い部分は目立たない形になっていました。
 「帰ってきたウルトラマン」に登場した怪獣、ツインテールが後年「メビウス」に出た際、
 水中移動形態という新解釈を得たのにちょっと近いものを感じています。
 あっちは「水中なら陸の天敵グドンに勝っていたのでは」とまで言われてましたっけ。
 少なくとも泳ぐスピードはグドンより遥かに早そうだし、逃げることぐらいは難しくなさそう。

 閑話休題。
 このデジモン、饒舌だった「フロンティア」版と異なりこちらでは全く喋りません。
 敵デジモンにあまり喋らせないのは方針ってやつなんでしょうか? どうも物足りないけど。
 その割に19話のミノタルモンはめっさ喋ってたし、いまひとつ一貫してませんね。
 
 
 
・デビモン

 太一たちの行動を逐一モニターしています。どこかにサウンドバードモンがいるのでしょうか。
 大物感が増し続けてますが、これで新形態とかがなかったら拍子抜けするレベルですな。
 一度は期待しましたが、声があの感じだと正体がデーモンってのもなんか違う気がするし……
 
 
 
 
★名(迷)セリフ

「今はいい… タケル。話は後だ」(ヤマト)

 いろいろ言いたげなタケルをやんわりと制して。
 実際、ゆっくり話をしている暇はないんですがそろそろ落ち着いてください。
 それはともかく、他へはまず向けない優しげな声音が印象的ですね。
 
 
 
「したよ! あったかいお風呂に、ふかふかのベッド!美味しい朝ごはんまで!」
「そうだけど! とにかく! 今自分にできることを、やりにいかないとね」(ミミ)


 自宅にてケースケパパに「今日ぐらい家でゆっくりしていっては」と言われて。
 二つ目はサトエママに「いつものことじゃない?」と言われての返しです。

 ミミにとっては実際にそれが当たり前で、だからこそデジタルワールドに行ったとき
 それが当たり前であることの尊さを心の底から知ったのかもしれません。
 だからその「当たり前」を守るために、自分ができることをやろうとしているのでしょう。

 お祖父さんの表情も印象的です。この方、まだまだそれなりに絡んできそう。
 
 
 
「聖なるデジモンを取り戻して…オレたちの世界を救う…!
そのためにここまで来たんだ! こんなところで… 負けてられるかあっ!
なあ、メタルグレイモン!!」(太一)


 「聖なるデジモンを取り戻す」「オレたちの世界も救う」
 「両方」やらなくっちゃあならないってのが「選ばれし子供」のつらいところだな…
 覚悟はいいか? オレはできてる…!

 冗談はさておき、太一のこの行動とセリフをきっかけにメタルグレイモンへ大異変が起きます。
 もう究極体になっちゃうの? と一瞬思ったんですがそうじゃありませんでしたね。
 少なくとも、これでもう完全体には遅れをとることはなさげ。
 
 
 
★次回予告

 スカルナイトモンが完全体へと超進化… やはりこのための世代設定ですか。
 こりゃデッドリーアックスモンの存在はスルーされそうですね。スルーされないかもしれないけど。
 で、ワーガルルモンに生えるっぽいアレはなんなんでしょう?(言い方)