激突 昆虫の王者
脚本:十川誠志 絵コンテ:なかの★陽 演出:山本隆太
作画監督:清山滋崇/舘直樹 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
天然の迷路のような峡谷に差し掛かった太一、光子郎、ミミ。
そこへ突如として、クワガーモンの群れが襲いかかってきました。
狭い地形を巧みに利用した連携によって、一同はいきなりピンチへ陥ります。
なんとか突破した行く手に待ち構えていたのは、完全体のオオクワモンでした。
策を見出そうとする光子郎ですが、タブレットが不調で解析もデータ取りもできません。
散り散りに逃げる中、ついにオオクワモンに追い詰められてしまいます。
もう自分には何もできないのか。嘆く光子郎を激励したのは、パートナーの言葉でした。
これを受けて自分自身の頭脳をフル回転させた光子郎は、機転を利かせて窮地を脱出。
ツールが使えない時こそ、自分にできることを探して乗り切らなければならない。
一段上のステージに上った光子郎に応えるように、完全体進化が発動します。
その名はアトラーカブテリモン!
この新たな進化がオオクワモンへ向かう一方、光子郎の伝えた策によって
クワガーモンたちの混乱を誘い、太一たちもまたピンチを乗り切ります。
最後は必殺のホーンバスターが決まり、オオクワモンはあえなく斃れました。
そのころ、森を抜けたヤマトたちの組は……
★全体印象
14話です。今回は光子郎の担当。
得意のデジタルツールで情報解析や作戦立案役に収まっていた彼ですが、それが使えない事態へ陥り
一時パニックに陥ってしまうも、大事なのはそこからだと気づいて意識を切り替え
それが進化へつながるという、今までの完全体回では一番流れがハッキリしております。
結局タブレットが不調に陥ってた理由はわかりませんでしたが……
敵方にはアニメ作品でもお馴染みのクワガーモン系列が登場し、昆虫まみれのエピソードです。
アトラーカブテリモンVSオオクワモンも旧作では実現しなかったカードなのでそこも見どころ。
まあ、進化を遂げたあとはほぼ一方的な展開になるんですけどね。
演出として山本隆太さんが初登場。やはり遊戯王と縁が深い方です。
東映系では「爆釣バーハンター」に参加した経験がある模様。
★キャラなど個別印象
・太一組
途中までクワガーモンたちに翻弄されてます。
よく見ると、完全体進化を試みてもグレイモンの態勢が崩れて無理だった節が窺えますね。
後半では態勢を立て直し、無事に完全体進化を遂げました。
ミミ組は進化しなかったんだし、光子郎に尺を譲ってやれよと思わないでもありません。
それとも、太一とヤマトは可能な限り毎回進化させないといけない決まりでもあるんですかね。
まあ最終的にミミ組が一体、彼らは三体担当だったんでまあまあ妥当な配分ではあるのですけど。
・ヤマト組
丈に声をかけられ続けていた間は応じなかったのに、丈が寝たらイッカクモンに乗ったヤマト。
意図のほどは定かじゃありませんが、単に絡みづらかったというかめんどくさかったのかも。
まあ実際めんどくさい状況ではありましたが。
・空組
珍しくバードラモンは出さず、イッカクモンの上で休んでました。
空によれば、バトルに加えて毎度足役では負担が大きいからとのことです。
よかった、やっと配慮してもらえた……
・光子郎
悩み多き頭脳派少年である彼。
キャラ設定的にドラマを作りやすいのでしょうか、完全体進化としては一番良い話をもらいました。
アレで完全体にまでなれてしまうのはハードルが低いと思わないでもないですけど、
なんか本気出したらできた前回のケースよりはだいぶ良いと思います。
己の目で状況を把握し、策を見出しはじめてからは突如として本領を発揮しはじめます。
タブレットを閉じるカットは象徴的でしょう。
ああして周囲の状況を利用する切り抜け方は、どっちかというとVテイマー寄りの描写ですかね。
ただ8話までずっと別行動だったのが響いており、メイン回はまだ二度目です。
それで完全体まで行っちゃうのは(後略
・テントモン→カブテリモン→アトラーカブテリモン
光子郎への信頼度初期値がマックスを振り切ってるお方。
つくづく、なんでファーストコンタクトを省いたのかと問い詰めたくなります。
この様子だと回想で補完する気もないみたいですし。
戦いの中、挫けかける光子郎を激励して冷静さを取り戻させたのは彼の言葉でした。
そして光子郎の奮起に応え、彼もまた新たな力を開眼させています。
経緯としては至極真っ当なんですが、やっぱり積み重ねの薄さが響いてる気がしますかね。
アトラーカブテリモンになると、オオクワモンとも互角以上の体格に巨大化。
格闘能力では大きく上回り、四本の腕を活かしたラッシュと蹴りで叩きのめしています。
旧作だと体当たりか必殺技即ブッパが大半だったので、描写としてだいぶ新鮮ですね。
ホーンバスターの描写もかなり派手になっており、進化前との差別化がより図られていました。
途中メチャメチャ回ってたので、乗ってた光子郎が心配にはなりましたが。
・ミミ組
彼女たちだけ完全体進化していません。理由は不明。
太一かヤマトの進化は必ず出すのがルールなら、尺をそっちに譲っただけかもしれませんが。
ただ、そのぶんトゲモンの動きがキレッキレだったので悪いことばかりじゃなかったですが。
さりげにココナッツカウンターという新技? も飛び出しています。
・丈組
今回はピヨモンを休ませてゴマモンが進化、足役になっていました。
その背中から丈がヤマトになかなか鬱陶しい絡みを見せてましたが全スルーされています。
完全体進化してないのは気づけば彼ひとりなんですが、次回はどうなるんでしょう。ちょっと心配。
・タケル/ヒカリ
両方とも出番なし。ただしタケルはEDでメチャメチャ目立ってます。
さすがに登場が近いはずなんで、強めにスポットを当ててるんでしょう。
・クワガーモン
デジモンシリーズではおなじみの名バイプレイヤーです。
今回は五体が登場。地の利を知り尽くしており、巧みな連携で太一たちを苦しめました。
光子郎が「狩り」と表現していた通り、これは元々彼らが得意としていた戦術なのでしょう。
黒い瘴気に侵されていることでターゲットの限定はされているにしても。
中途まではかなりいいところまで子供たちを追い込んでるんですが、アトラーカブテリモンに
一体はあっけなく倒され、残りの四体も光子郎が授けた「岩壁の断面が鏡状になる」
という峡谷の特色、つまり地形を逆に利用されて太一とミミの姿を見失い、大混乱へ陥ったところを
トゲモンに一体、メタルグレイモンに三体とあっけなく斃されてしまいました。
しょせんは虫ケラの浅知恵、と言ってはテントモンに失礼ですかね。
・オオクワモン
今回のメインエネミーである完全体。クワガーモンがさらに進化した姿です。
おそらくこの群れのリーダーであり、狩りの行程ではメインを占める立ち位置にいます。
相手によっては、このオオクワモンが出てきた時点で詰むことでしょう。
その巨体はカブテリモンを握りつぶせそうなほどで、パワーもこれに見合ったもの。
クワガーモン相手のタイマンなら何とかなっても、こいつにだけは成熟期のまま対処は無理。
メガブラスターをいくら撃っても豆鉄砲のようにしか見えないあたりは、わかりやすい描写です。
しかしアトラーカブテリモンには全く歯が立たず、ボッコボコにされました。
それも光子郎が宣言した通り、小細工なしの真っ向勝負でです。まさしく逆転の構図。
最後はホーンバスターで岩盤ごと貫かれ、峡谷の上空でド派手に散っています。
旧シリーズでは「02」26・27話でメインを張ったことがあります。
そこでも完全体の強さを大いに見せつけたあと、ジョグレス完全体の初陣を飾る役回りでした。
ただしダークタワーから作られた存在なので、正確にはデジモンじゃない扱いでしたが。
・新ED
今回よりReolさんの新曲「Q?」に変更。
本編とはちょっと違う絵柄で、EDとしてはアップテンポな曲調を彩っています。
夜の場面が多いのも、曲と無関係ではないでしょう。ちょっと狂気を感じるカットもあります。
あと丈先輩の扱いがひでえ。
★名(迷)セリフ
「光子郎はん… あんさんには、まだ… 残っとりまっせ…!
タブレットにも負けへん… ものごっつう、最強の武器が…!
それは… 光子郎はんの頭脳や! 知恵や! そう… あんさん自身や! 光子郎はん!」(カブテリモン)
どこまでもパートナーを信じ、諌めるときも否定からは入らない。
それがデジアドパートナーのあり方であり、このセリフはそれを表しているもののひとつ。
なぜかと言われれば、旧作からのファン視点であれば「こういうヤツらなんだよ」ってことで済むんですけど
新作を初めて見た人にはなぜ彼がここまで光子郎を信頼しているのか、もしかしたら伝わりづらいかもしれません。
せめて出会いがちゃんと描かれていれば……
「どうぞ」(カブテリモン)
「ありがとう…」(光子郎)
オオクワモンから一度離脱する際、カブテリモンから拾っていたタブレットを渡される場面にて。
なんか印象的なやりとりです。
光子郎にとって、このデバイスが大事な武器であることが変わるわけではありません。
今後はより使いこなせる、ということなのでしょう。
不調になったのは実はあの谷のせいだったのか、それともこれ自体が試練だったのか……
理由はどうあれ、試練であることは間違いなかったのですが。
「僕は、いつでもみんなの役に立とうと、必死でいるうちに…
いつのまにか、これを通して物事を見ることが、当たり前になりすぎて……
モニターの前にいる、僕自身のことを… かんじんの僕が、すっかり忘れてしまっていた…
カブテリモンに言われるまでね。
…機械にだって人間と同じ、調子の悪いときはある…
そんなときこそ、自分自身にできることを…しっかり見極めて乗り切る!」(光子郎)
上の直後。眼前に広がる青空のように、一気に視界がひらけたことを示すセリフです。
脳細胞がトップギアだぜ。
「もちろん、君の全力で真っ向勝負さ! アトラーカブテリモン!」(光子郎)
こっちは知性派らしからぬセリフ。
…なのですが「分析するまでもなく今ならパワーで押しきれる」と確信したからこその発言ともいえます。
「今は作戦なんて必要ないよ、あえて言うなら思いっきり暴れてやれ!」という感じのアレですね。
★次回予告
今度は雪原が舞台。メインエネミーはマンモンですか。ズドモンの初陣相手としては妥当かも。
旧作では途中から味方してくれたユキダルモンが敵として大量登場していますね……