紅蓮の翼ガルダモン
脚本:山下憲一 絵コンテ:- 演出:茉田哲明
作画監督:Noh Gil-bo 総作画監督:仲條久美
★あらすじ
森にさしかかったヤマト、空、丈のチームは巨大なキャノンビーモンに遭遇します。
そこから現れるワスプモンたちがファンビーモンたちを捕らえ、兵隊に変えているのです。
事情を知ったヤマトと空は連れてゆかれた丈を助けるためにも、わざと捕まって
キャノンビーモンの内部へと侵入。一度は丈を連れ脱出するのですが、
空はファンビーモンたちの救助のため取って返します。
これを察したヤマトの手助けで、ファンビーモンたちを一箇所へ誘導することに成功しました。
単身キャノンビーモンに立ち向かう空とバードラモン。
助けを求めている誰かのためにという空の決意が、完全体進化を導き出してゆきます。
その名はガルダモン。巨大なキャノンビーモンをも圧倒し、ファンビーモンたちを助け出すのでした。
一方、合流地点に急ぐ太一たちのチームは……
★全体印象
12話です。
今回の完全体進化は空の担当。
無印の進化回は空を語る上で欠かせないドラマが展開されていた名篇でしたが、
今回は特にそのようなドラマはなく「本気出したら進化できました」というような描写。
前回の場合は進化のトリガーが比較的はっきりしてたぶん、よけい際立ってます。
やはり、前半のうちに完全体までは出し切ってしまおうという方針なのかもしれません。
だから子供たち自身の描写は後回しにしてでも、バトルの連続でつないでいるのかも。
このぶんだと、2クール目が終わるころにはホーリーエンジェモンが出てきてそう。
となればシリーズ後半からが本当の正念場ってことになるのですが……
脚本は4話の山下憲一さんです。この方が空担当ってことになるんでしょうか。
他のメインスタッフは7話と同じ顔ぶれですね。
★キャラなど個別印象
・太一組
機械なら叩けば直る、ってやってたのは無印5話でしたっけ。
今回は冗談ってことで、本当にやったわけじゃありませんけど。
タブレットなんか叩いたらマジで壊れそうだし。
・ヤマト組
空の行動を読み、ともにファンビーモン救出に向かう描写がありました。
ヤマトは「どうせそう来るだろうとわかっていたのでフォローに回った」などと言ってましたが、
それだけ彼が空たちを仲間として捉えはじめているってことなのでしょう。
丈の救助のためとはいえ、わざと捕まるような危険な方法を提案したのも彼でしたし。
戦闘では早々にワーガルルモンを出し、主にキャノンビーモンの内部で活躍しました。
終盤ではファンビーモンたちの救助と誘導に専念し、見せ場を空組に譲っています。
・空
相変わらずの極太メンタルと博愛で暴れまわっております。
あの状況で一切動揺を見せず、怯えるファンビーモンをなだめるなどは並の小学生女子にはできないこと。
こんだけ強いと本気出しただけでガルダモンが出て来るのもまあわからんでもないところですが、
シナリオ的な盛り上がりには別につながっておりません。バードラモンのときの方がまだ盛り上がったかも。
というか本作の彼女がぶん回しているのって、愛情といっても「アガペー」の方ですよね。
後半では「自分自身のための愛」を見つけ出すとかそういう展開になるんでしょうか。
どこのダイの大冒険だって話ですけど。
これで親子の確執とかじゃなく恋愛ネタお出しされたら大変なことになりそうです。
無印と同じことはできない以上、やりかねないのが怖い。
・ピヨモン→バードラモン→ガルダモン
足役に戦闘にと、パートナーたちの中でも特に酷使されています。
でも文句ひとつ言わず、献身的に空を支えました。登場当初の気弱さはどこかへ行ったようです。
側にこんだけ肝っ玉の太いパートナーがいるのだから、影響を受けないはずがないのは確かですけど。
タイトル通り、キャノンビーモンとの戦いで完全体進化を会得。
シャドーウィングでニトロスティンガーを押し返し、バードラモンの時にも多用していた
科学忍法火の鳥アタック(仮称)で文字通り轟沈へ追いやっています。
ただ場面として「これ」というほどのインパクトは見当たらなかったかも。
しかし前から思ってたんですが、太一組とヤマト組以外の進化バンクはなんだか簡易版という感じで
どうも格差が露骨でよろしくないですね。空組は特にその傾向が強い気がします。
活躍は一応してるんでマシではあるんですけど……
・光子郎組
前回からタブレットの調子が悪いことをアピールしています。
これだけ「調子悪いです」って言ってるってことはもちろん何か理由があるんでしょう。
完全体進化とも何か関係しているのかな?
・ミミ組
今回は特筆するほどの事項はありません。
・丈組
「乗り物酔いしやすい」という全く利得のない新設定により、前半の丈は常時デバフ状態。
そのせいで情けない描写が割増になってましたが、後半である程度挽回しました。
それにしても、マーチングフィッシーズってあんな使い方もできるんですね……
・タケル/ヒカリ
両方とも出番なしです。もう2クール目になるというのに……ヒカリはともかくとしても。
休止がなかったら今頃はちゃんと出てたんでしょーか。
・ファンビーモン
ワスプモンから逃げ惑っているところを空たちに出会いました。映像媒体には系列ごと初登場です。
本来は進化することでそのワスプモンになるのですが、そっちとの関係性は不明。
口ぶりから「兵隊にされるとワスプモンになる」と判断するしかなさそう。
難を逃れた一体が説明役として一行に接触しましたが、それ以上の出番はありません。
仲間を救うために奮戦するとか、それを見て空が奮起を強めるとかそういうのも無し。
他のファンビーモンたちも終始無言で、これってモブをあまり呼べない事情もあるんでしょうか。
ほら、休止含めていろいろあったし……
空と交流した個体の中の人は釘宮理恵さん。わかりやすいです。
デジモンシリーズで言えば「セイバーズ」でイクト(野口郁人)を演ってた方です。
声優としては当時以上にかなりのビッグネームなんですが、えらい贅沢な使い方をしますね。
男の子役は純朴な子が多いので、このファンビーモンもオスなんでしょう(デジモンに性別は以下略)。
・ワスプモン
キャノンビーモンを母船に、ファンビーモンをとっ捕まえまくっていた働き蜂デジモン。
捕獲がメイン任務で、戦闘力はあまり高い描写をされてません。
フォックスファイヤーで複数体がまとめて倒される場面もあり、完全にザコ扱いです。
ヤマトが容赦なく完全体進化のカードを切ったんで、ますます見せ場がありません。
彼らも黒い瘴気で操られてるようなんですが、これまで同様普通にバンバン倒されてます。
まあ瘴気を除去する方法が不明な以上、やられる前に殺るしかないのですけれど。
・キャノンビーモン
今回のメインエネミーである完全体。別名、デジモン界のGP-03デンドロビウム。
特徴でもある長大なレーザー砲から発射する「ニトロスティンガー」は山をも吹っ飛ばす威力です。
しかしシャドーウィングには全く通用せず、ガルダモンが出た後はいいところ無し。
動きや反応が鈍いんで、上記の必殺技もバードラモンの段階で割と簡単に躱されてましたけど。
そういう意味ではミサイルの方が厄介ですね。
扱いとしてはほぼ単なる自律空母で、そのパーソナルは兵隊同様に全くわかりません。
内部で暴れまわられても倒される時も無反応で、完全に機械然とした扱いでした。
悪役として憎々しく振舞っていた「ネクスト」版とはある意味対照的ですね。
死亡時に首が落ちる演出があり、さりげなくエグいです。
キャラ描写が皆無なんで痛々しさはないですが。
★名(迷)セリフ
「それより、叩けばなんとかなるんじゃないのか?」(太一)
「ボクの出番?」(アグモン)
一応無印5話のオマージュ台詞なんでしょうね。
アンドロモンが出てた前回ではなぜか言わなかったけど。
「ネーモンたちの時のことを覚えてれば、嫌でもわかる……
このままファンビーモンたちを見捨てておくわけがないだろう、とな」(ヤマト)
トンボ返りした空のフォローに随伴して。
両者の関係性が一歩前進したことを示しているセリフですが、相変わらず斜に構えています。
「丈先輩と、ヤマトが道を開いてくれた… 絶対、突破してみせる…!
私たちの世界だけじゃない…! この世界の苦しめられているデジモンを、私は… 助けるっ!」(空)
キャノンビーモンとの戦いで。
やはり本作の彼女は博愛を振りまきまくるタイプのようです。そのようにしか見えません。
どっちかというとクロスハートが向いてそうですぞ。中の人いるし。
「空くん…! かっこいい…!」(丈)
空とガルダモンの活躍を見て。
スタッフが空のことを「かっこいい女の子」として描こうとしているのは確かみたいです。
その是非や成否はともかく。
★次回予告
次のお鉢は光子郎。単独行動に定評のあるこのコンビですが、今度はどうなるでしょうか。
そして、どうやらオオクワモンとの対決が実現しそう。
メタルグレイモンVSメタルティラノモンといい、対戦カードは王道が多いですね。