砂漠に立つ狼

脚本:冨岡淳広 絵コンテ:セトウケンジ 演出:武藤公春

作画監督:荏原裕子 総作画監督:仲條久美

★あらすじ

二手に分かれ、聖なるデジモンが囚われている場所へのルートを探る子供たち。
太一、光子郎、ミミは遺跡、ヤマトと丈、空は砂漠に差し掛かっていました。

空路で順調に進んでいたと思われた砂漠組ですが、サンドヤンマモンが襲ってきます。
さらに砂の中からスコピオモンが現れました。その場は切り抜けたものの、
スコピオモンの強さからガブモンは完全体ではないかと推測します。

デジモンたちの抵抗勢力に合流しようというネーモン達を連れ、砂漠の横断を試みる空と丈。
しかし守る対象が増えることを嫌い、ヤマトは別行動を取ります。

そして数が増したサンドヤンマモンと、スコピオモンの攻勢。
追い込まれた空たちを救ったのは、戻ってきたヤマトとガルルモンでした。
強敵スコピオモンに対し、仲間たちとの友情を目醒めさせたヤマトのデジヴァイスが輝き
ガルルモンを完全体へ導きました。その名もワーガルルモン!
その圧倒的格闘能力がスコピオモンを打ち倒し、危機を脱したのでした。

戦いの後、ヤマトは弟の存在とこれを想うがゆえの焦りを語ります。
それは、彼が仲間たちに心を許しはじめている証でもありました。

一方、光子郎が調査に拘ったことで遺跡にとどまっていた太一組。
そんなとき、何気なく壁に触れたミミの足元が崩れ……
 
 
 
 
★全体印象
 
11話です。
今度はワーガルルモンが登場。次はリリモンなので、かなり忙しい展開です。

とにかく先に進化回をやっちゃって、ドラマは後からじっくりやる気なんでしょうか。
その進化回が子供たちの成長とシンクロしていたのが無印の良いところなんですけど、
どうも今はまだあまりそこらを詰める気がないようですね。

ワーガルルモンの登場は、ヤマトが8話の出来事を思い返しているうちに会得されました。
彼が空たちに絆されてるってことなんでしょうが、彼の中だけで完結してる感じで
あんまり盛り上がらない印象を受けます。
バトル描写は良かったんで、そっち方面で盛り上げようという方針なのでしょうか。

メインスタッフ陣は総作監以外、5話と共通しています。
とりあえず作画面では心配いらなそうですね。
 
  
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一組

 光子郎組、ミミ組と一緒に高所の遺跡へさしかかり、その調査として暫くとどまってました。
 というより、光子郎がデジ文字の資料集めに時間をかけてたので付き合ってた形です。
 今回はおおむね脇役。前回あれだけ目立った反動ですね。
 
 
 
・ヤマト

 空と丈に「弟が心配だから目的達成が最優先だった」と初めて語りました。
 時として冷徹な判断をするように見えたのはタケルを案ずるゆえの焦りから、余計な不安要素は
 できるだけ作りたくなかったというわけです。

 もっと早く打ち明けられていれば良かったのでしょうが、器用に立ち回れるタイプじゃないので
 突き放しがちな態度を取っていたのですね。あんまり考えなしに単独行動を取る方ではないと
 そう思ってたんですが、今作ではそういうキャラ付けなのかもしれません。

 でも根が情に篤いのは旧作と同様なので、なんだかんだ戻ってきました。
 ただ、その後ホントに8話の回想だけで完全体進化してしまったので特に盛り上がりはせず。
 空や丈を一方的に助けるだけで、関係性が一方通行気味なんですね。
 空にはなんか素の性格を見透かされつつある節がありますけど。
 
 
 
・ガブモン→ガルルモン→ワーガルルモン

 ヤマトのことを当初からただひとりよく理解しているんですが、空気を読むタイプなので
 機会があればヤマト自身に促すだけで、仲間たちとの間に立とうとはしない姿勢のようですね。
 まあ、無印のときもそういう傾向はありましたけど。

 バトルでは完全体のスコピオモン相手に超進化前の段階から善戦していましたが、決め手不足。
 転じて超進化後はパワーだけでなく精密動作性も爆増し、格の違いを見せつけています。
 ちょっと一方的すぎる感すらあるぐらいでした。

 必殺のカイザーネイルは殺傷力がバリ増しな感じで、スコピオモンの外骨格をも切り刻んでいます。

 
 
・空組

 ネーモンたちの窮状を知り、放っておけないとして共に砂漠の横断を提案していました。
 負担を増やしたくないヤマトの反発を招きましたが、事実上の行動隊長は空ってことになります。
 というか丈の発言権が低すぎるんですが。

 結果的にヤマトの言った通り「全員を守りきれない」事態へ陥り、ピンチを救われるのですけど
 そこで終わってて本当に助けられるだけになっちゃってるのは実によろしくない流れ。
 この状態から「まあそういうことにしとく」って言われても「なに上からモノ言ってるの?」
 って印象になりかねません。うまいこと繋がってない感じ。

 まあ、一度は離れたけど気がかりで戻ってきちゃったことが完全体進化のトリガーになったと思えば
 彼女たちの判断も全部が間違いとは言えない… のかも?
 
 
 
・光子郎組

 光子郎はん、遺跡の碑文をめっさ写真に収めてました。
 いずれ役に立つというのが彼の言い分ですが、この人のことだから本当に役立てそうな気はします。
 遺跡にとどまり続けたことも、次回の展開次第ですが正しい判断だったってことになりそう。

 
 
・ミミ組

 次回が担当回だからか、別働組では一番目立ってました。
 主に愛嬌をふりまく役回りでしたけど、こういう立ち位置は彼女たちならではです。

 
 
・丈組

 無印でのワーガルルモン登場に多大な貢献をした丈ですが、今回は特にそういうことはありません。
 メンバー間での発言権も低いままで、オロオロしてる姿ばかりが目立っています。
 さりげなくゴマモンが慰めてる絵はちょっと和みましたけど。

 もうちょっと存在感を増してもらうには、完全体進化を待たなければならないのでしょうか。
 初期メンの中ではまた一番最後になってしまいそうな気がしますけど。
 
 
 
・タケル/ヒカリ
 
 両方とも出番なしですが、やっとタケルが名前だけ出てきました。
 さすがに2クール目には出てくるよな…?
 
 
 
・ネーモン

 ベアモンやラブラモン、キャロモンらと砂漠地帯で平和に暮らしていたようですが、
 黒い瘴気に侵されたスコピオモンが現れてからはオアシス近くの洞窟に隠れ住んでいたようです。
 一団の中では代表、ないし交渉担当っぽいですね。どこかの長老だったのかも。

 空たちが助けた何体かは、おそらく移動中に逸れたのでしょう。
 過程すっとばしてオアシスの場面に移ってるところを見ると迷ったわけじゃなく、
 敵に襲われにくいよう隠れながら進んでいたのかもしれません。

 このネーモンの話から、本作で初めてレオモンの名前が出てきました。
 レオモンは抵抗勢力をまとめ、大陸中で跋扈している黒い瘴気のデジモンたちと戦っているとか。
 なんだかまた死んじゃいそうなポジションですけど、今度はどうなるのでしょう……

 中の人は菊池正美さん。フロンティアの時と同じ人であり、かつ丈の先代中の人でもあります。
 かなり抑えた年配寄りの演技になっていましたが、すぐにそれとわかりました。
 扱い的には風間さんや前田さんと同じく「旧作キャスト枠」ってやつなのかもしれません。

 ということは、そのうち他の人の出番もあるのでしょうか。
 少なくとも天神有海さんと荒木香衣さんに関しては少しは期待できるかもですが。
 
 
 
・スコピオモン

 砂の中に潜み、鋭い刃を備えた尾とハサミで獲物を仕留める完全体デジモン。
 今回のメインエネミーであり、大きく扱われるのはこれが初めてになります。
 ワーガルルモンの初陣の相手ともなりました。

 最初は尾とハサミしか出していませんでしたが、それでも充分すぎる脅威として描かれており
 ガブモンに「あの強さ、完全体かも」と推測させています。
 一方でサンドヤンマモンを捕まえて餌にするなど、あまり周囲との連携は取れてません。

 後半ではイッカクモンらを圧倒し子供たちを追い詰めるものの、土壇場でヤマト組が参戦。
 それでもガルルモンの猛攻を凌ぎ、ハサミに捉えるタフネスぶりを発揮します。
 が、完全体進化が発動してからはいいところなしで、尻尾を止められハサミを打ち砕かれ、
 カイザーネイルでバラバラに切り刻まれて斃れています。

 怪物然とした姿ゆえか、やられっぷりがかなり過激でした。
 実際骨っぽいし、切り刻まれても描写的にグロくはありませんでしたが。
 
 
 
・サンドヤンマモン

 砂漠を横断しようとしていたバードラモンを襲った昆虫型デジモン。
 ヤンマモン系がまともに映像作品へ出るのは確かこれが最初です。
 クロスウォーズあたりに出てたかもしれないけど。

 扱いとしてはサブで、成熟期クラスの技でも一発当たれば斃せるレベル。
 しかし数が多く、翅からの振動で砂を巻き上げて起こす「デザートウィンド」がかなり厄介。
 彼らに加えスコピオモンまで現れたことで、後半では危機をもたらしています。

 一方でしばしばスコピオモンに捕まって食われるなど、なかなかに過酷な扱いを受けてます。
 最大戦力であるスコピオモンの電池役も兼ねてるのかもしれませんね。
 バイクマンに対するモーターマンみたいな(わかりづらい)。
 
 
 
・サウンドバードモン

 ヤンマモンとともに現れ、空たちを襲わせていました。
 直接指令を出してる様子はないですが、監視役として実にマメに働いています。
 彼らが動くことで、スコピオモンも自ずと標的に寄ってくるという寸法でしょう。
 戦闘に参加した様子はないので、さっさと逃げたものと思われます。厄介ですね。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ

「オーガモンの仇を討つため。そして仲間を守るため(以下略)」(ナレーター)

 冒頭。割に「仇討ちだったの??」ってなる言い回しです。
 
 
「誰よ、もう! くじ引きしようなんて言ったの!」(ミミ)
「ミミよ…」(パルモン)


 和みポイントその1。
 
 
「楽でしょー!」(パルモン)
「楽ぅー! パルモン、さすがぁ! 大好き!」(ミミ)


 和みポイントその2。愛嬌こそがこの二人の武器ですね。
 
 
「ぼくには聞かないのね…」(丈)
「………(ポンポン)」(ゴマモン)


 ヤマトに「ネーモンたちと一緒に行きましょう」と持ちかける空のセリフを受けて。
 空とヤマトが互いとしか会話しておらず、このやり取りは完全にスルーされています。
 現段階での発言権の低さがよくわかる一幕。
 
 
「お前がいる。俺にはそれでいい」(ヤマト)

 やんわりと仲間との融和を勧めるガブモンに。
 これはまあ、本音ではあったのだろうと思います。少し前までは。
 
 
「ガルルモン、超進化! ワーガルルモン!」(ワーガルルモン)

 さあ、調子に乗るのもここまでだ。
 太一組に続き、早くもヤマト組の完全体が登場です。
 割とあっさり出てきましたが、その強さはまさに圧倒的でした。
 
 
「どうして俺たちが選ばれたのなんて、どうでもいい…
 弟が安全に暮らせるなら、俺がそれをできるなら、俺はやる」(ヤマト)


 空たちに弟の存在と、その身を常に案じていたことを明かして。
 「話しても詮無いこと」と捉えていたであろうことを打ち明けたということは、
 それだけ仲間として信を置きはじめている証拠ではあるのでしょう。
 
 
「よかったでしょ、話して」(ガブモン)
「……かもな」(ヤマト)


 遺跡へ場面が移る直前のやり取り。
 とりあえず一歩前進といたところでしょうか。
 
 
 
 
★次回予告

 旧作では最終的にメイン周り以外で最強クラスの味方となったアンドロモンが登場。
 リリモンとの対決は初顔合わせです。次に誰が出てくるかも楽しみ方のひとつですね。
 あとの問題は今度も味方になるのかどうかですが……
 そういえば、リリモンには花の首飾りがありましたね?