鋼鉄の超進化
脚本:冨岡淳広 絵コンテ:貝澤幸男 演出:ひろしまひでき
作画監督:澤木巳登理/北野幸広 総作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ
オーガモンの特攻に乗じ、城塞から脱出した選ばれし子供たち。
光子郎の解析でオーガモンの示した方向が正しかったことも裏付けられましたが、
行動を起こせばメタルティラノモンとの遭遇は避けられない状況でした。
太一とアグモンは意を決し、自分たちを囮にして他のメンバーを先行させます。
圧倒的な完全体の強さを前に奮闘する二人でしたが、力の差はいかんともしがたいまま。
それでも諦めないその勇気が新たな進化を呼び起こし、完全体メタルグレイモンが出現。
強大な力が敵の攻撃を抑え込み、必殺のジガストームが一撃のもとに葬り去りました。
しかし、行く手には黒い瘴気の漂う沼地が立ちはだかっていて通ることはできませんでした。
子供たちは二手に分かれ、確実なルートを探ることになります。
★全体印象
10話です。
タイトル通り、メタルティラノモンに挑み続けた太一とアグモンが早くも完全体進化を会得。
その後は圧倒的パワーを見せつけ、敵をねじ伏せる展開です。
逆に言うと筋立ては前回に続いてシンプルで、語るべき箇所もそれほど多くはありません。
バトルの見応えはあります。
太一もアグモンも、ここまでは半ば勢いだけで会得した印象を受けますね。
もし彼らに何かしら試練が待っているとすれば、それは究極体に持ち越しされるのかもしれません。
特に何もないまま究極体までいっちゃう可能性も出てきましたけど。
脚本と絵コンテはすでにお馴染みの顔ぶれ。演出のひろしまさんは3話以来の当番です。
作監のうち、澤木巳登理さんは初めて見る名前。2010年代から活躍されているようですね。
★キャラなど個別印象
・太一
オーガモンの心意気にあてられたのか、メタルティラノモンへのリベンジに燃えていました。
蛮勇からでも焦りからでもなく、本当にただオーガモンに応えたいと言う想いで挑んでいたようです。
戦いにあっても終始にわたり冷静で、熱くなりすぎている様子もありませんでした。
一度はスカルグレイモンを出してしまった無印版と同一人物とは思えない完成度の高さです。
いや正確には同一人物じゃないんだけど。
しかしメンタル太いにも程がありませんかね… 1話から兆候はあったけど。
後がない状況だからこそ底力を出しやすかった部分はあったにしても、ちょっと凄すぎでは?
もはや人間離れしてますぞ。これで中盤急に凹みまくったりしたらどうしてくれましょう。
・アグモン→グレイモン→メタルグレイモン
太一と想いは同じらしく、徹頭徹尾その呼吸はピッタリでした。君らホント初期信頼度レベル高いね。
成熟期のまま果敢に挑みかかる戦い方そのものはハラハラして悪くなかったけど。
その成熟期のときは体格の差を逆用して回避を続け、懐に入り込むという戦い方でしたが
完全体に進化すると体格が同じ程度になったのもあり、相手を力で逆に抑え込むというスタイルに移りました。
さんざん敵の強さを描いた上でのこの展開は、パワーアップぶりを示す上では効果的だったと言えます。
名乗りの際のカットは威容ぶりが表現されていて良かったんじゃないでしょうか。
左腕にあたるトライデントアームは凄まじいパワーを誇り、メタルティラノモンのパワーをも寄せ付けません。
その半機械ボディは、相手が全身からレーザーを放ってきてもビクともしませんでした。
そこから一瞬で空へ移動するなど、スピードも強化されているように見えます。
披露した必殺技はギガデストロイヤーではなく、ジガストーム。
胸部の発射口から嵐のような放電を放ち、相手を打ち倒してしまう技です。
イメージとしては「金色のガッシュ!」のザケルガに近いものがありました。
これは、メタルティラノモンに対抗する形で身につけた技なのでしょうか?
そのうちギガデストロイヤーも披露してくれるのかな。
・ヤマト組
オーガモンへの気持ちを吐露する太一に「敵と慣れ合っているようでは生き残れない」と忠告してたヤマトですが、
あまり強くは反論せずにあとを託しました。太一の出した案が最も有効であると悟ったから…
というのもあるし、そのためには身軽であるほど良いとわかってはいたのでしょう。
太一たちが買って出なかったら、自分たちがやるつもりだった可能性もあります。
基本的には現実派というか、目的の達成を第一に捉えており感情的になる場面はずいぶん減ってる印象。
その割にはラスト前で「もしものことがあっても全滅はしないで済む」と述べており、ドライさも見えます。
無印だと「おい、縁起でもないことを言うんじゃない」とツッコミを入れそうな役回りだったのですが。
まあタケルが絡むと盛大に崩れるかもしれないので、もうしばらく様子を見るとします。
しかし、次回でもうワーガルルモンが出るのか……
・光子郎組
光子郎君、いつのまにか砦からデータをちょろまかしていました。マジでいつの間にやったんだ。
このおかげでオーガモンの示したルートがあたりであるとほぼ裏付けが取れただけでなく、
メタルティラノモンに付け入る隙があることも太一組へ伝わるに至っています。
おかげで太一組が食らいつくキッカケが生まれ、完全体進化へ繋がったとさえ言えます。
もはや旧作以上にやばくないですか光子郎。彼がいなかったら詰んでる度も上がった気がしますけど。
・空組、ミミ組、丈組
今回も脇役。
強いて言えば正直すぎるミミと、やっぱり正直すぎる丈先輩のリアクションが愉快でした。
・タケル/ヒカリ
今回も二人揃って出番なし。
ヒカリはともかく、タケルはちゃんと顔出ししとかないとそろそろやばいのでは?
・オーガモン
回の切れ目を利用し、まんまと死亡確定描写がスルーされました。
これは後で再登場する可能性が増しましたね。特に何もない可能性もあるけど。
・メタルティラノモン
ドスドス歩いてくる威圧感と成熟期ではどうしようもない強さから、ボス感が溢れています。
世界樹のFOE感もありますね。FOEは倒す必要ないんだけど。
左腕のヌークリアレーザーは複数の軌道を備え、ある程度これを制御することもできるようです。
劇中では一定の範囲に収束させたり、らせん状に軌道をコントロールするなどしていました。
ただし、一本に至るまで収束させることはできないようです。互いに干渉するのでしょうか。
右腕のギガデストロイヤーIIは直径だけでグレイモンの腕以上はあり、そのパンチ程度では
推進力を押しとどめることはできません。暴発を狙おうとしたグレイモンが逆に吹っ飛ばされ、
大樹に叩きつけられるほどでした。両者にはそれほどの力の差があったわけです。
光子郎によれば両手の武器をスイッチする際にわずかな隙が出るということですが、体格の差もあって
グレイモンのままでは攻勢にまでは繋がらない情報でした。
どうしてもカードが足りないのです。
しかしメタルグレイモン登場後は、逆にあらゆる攻撃を封じ込まれます。
黒い瘴気の沼に投げ込まれ、リミッターを外したかのように全身からレーザーを放ってきますが
一切通用せず、ジガストームによって粉微塵に破壊され退場しました。
強さを見せつけたぶん、最終的にはメタルグレイモンのいい噛ませにされた形です。
で、このメタルティラノモンらが吐いていた瘴気が沼と同じものであることがわかりました。
彼らはこれによって沼を通れるようになっただけでなく、力や凶暴さも増していた可能性があります。
逆に言えば、オーガモンはそれでもなお理性を失わなかった個体のひとつということになりましょうか。
・サウンドバードモン
子供たちの行方を探っていました。力はないけど実に嫌なタイプの相手です。
そのぶん、派手に動いた太一組にはまんまとおびき出されてしまっていましたが。
なんだか「ゼルダBoW」のドローン型ガーディアンを思い出すなあ。
・X-treme Fight
今回で初披露された挿入歌です。完全体用と考えて差し支えないでしょう。
流れるようなメロディーの「Be The Winner」と異なり、音を叩きつけるように刻むビートが
完全体のパワーを演出している、さらにバトル向きの楽曲。
主題歌と三曲合わせ、8/19発売のシングルに収録されるようです。買わなくちゃ。
★名(迷)セリフ
「情報が欲しいからじゃない。
あいつは… オーガモンは『誇り』って言ってた。
そのためにオレたちに挑んできた。
敵味方とか… そういうんじゃない。別の何かが、あの時のあいつにはあった! 」(太一)
ヤマトに対し、自分の感じたものを告げる場面。
二人の間に緊迫した空気が流れます。
「わたし、こういう空気きらい〜…」(ミミ)
上の直後。どこまでも正直な所感です。
止めた方がいいかなと、遠慮がちな丈先輩が仲間入りたてな雰囲気。
そして止めない空先輩がいろいろ別のところに立っています。
「戦う相手と慣れ合う… そんな甘さでは、この先は生き残れない!」(ヤマト)
無印では割に敵軍の一員と慣れ合った?りしていた男のセリフとも思えませんが、
これは自戒も兼ねているのかもしれません。
自分が騙されやすい人間だと知っているのだとしたら。
「決着… つけたかったな……」(アグモン)
「ああ… オレもだ」(太一)
オーガモンがどうなったのか太一の言外から察してのセリフと、それへの応え。
斃す斃さない以前に、誇りをかけて挑んできたオーガモンへ応えたかったということなのでしょう。
それはメタルティラノモンという壁を乗り越えねば成し遂げられないことも、すでに悟っていた雰囲気。
その気持ちに呼応するかのように、デジヴァイスが戦う前から反応していました。
「オレたちは… 負けない!」(太一)
「絶対に止まらない!」(グレイモン)
燃えるハートでクールに挑み続ける二人。力の差、体格の差、体力の差は明らか、それでも止まらない。
恐怖を闘志へと変えたその戦いが、鋼鉄の超進化を導き出してゆきます。
気づけばはるかに上回る敵の巨体が突如浮き上がり、次の刹那。
「グレイモン、超進化! メタルグレイモン!」(メタルグレイモン)
さあ、お前と同じ土俵まで来たぞ。
宣言とともに青い双眸を伴って見据える面構えは、とても正義方に属するものとは思えない威容です。
言うまでもありませんけど、だがそれがいい。
★次回予告
今度のメインエネミーはスコピオモンですか。
クロスウォーズに出てたけど、メインイベントを張るのは初めてですね。期待しときましょう。
確かサンドヤンマモンは初登場ですよね? ヤンマモン系自体まともに出たのは初めてな気も。
あとなにげにネーモンがいてびっくりしました。中の人が気になります。