その男、城戸丈

脚本:古怒田健志 絵コンテ:えらん 演出:茉田哲明

作画監督:Noh Gil-bo 総作画監督:仲條久美

★あらすじ

パルモンの案内で、ようやく海にたどり着いた太一たち。
しかし空路で渡ろうとした矢先に海中からゲソモンの襲撃を受け、失敗してしまいます。
危機を救ったのは、ゴマモンという海獣デジモンでした。
おまけに、ゴマモンには選ばれし子供のパートナーがいるというのです。

その男、城戸丈は受験勉強の真っ只中。
そのことに頭がいっぱいで、選ばれし子供の使命には非協力的な態度を取りました。
やむを得ず、太一たちはなんとかゲソモンを陸へおびき出して退治しようと思案します。

協力を申し出てきたゴマモンの活躍で、まんまとゲソモンを陸へ誘い出した一行。
が、ゲソモンは頑丈な触手でしぶとく抵抗してきます。
傷ついたゴマモンを庇ったのは、様子を見にきていた丈でした。
一人ではどうしようもなかったこと、ゴマモンがいたから今までやってこれたことを
丈は改めて実感し、パートナーとして強く認識するに至りました。

するとデジヴァイスが輝き、ゴマモンを進化へ導いてゆきます。その名はイッカクモン。
水中戦を得意とするイッカクモンは自ら水中戦を挑み、ゲソモンを圧倒。
たまらず陸へ逃げてきたところを、グレイモンたちとの連携で仕留めるのでした。

こうしてまた、新たに丈が仲間に加わりました。
選ばれし子供が集結する日は、もう間近です。
 
 
 
 
★全体印象
 
7話です。
厳めしいサブタイと丈先輩自身との対比が、なんとも言えない雰囲気を醸し出しているお話。

第6の選ばれし子供、城戸丈が伸び伸びの果てにようやっと本格登場。
お話は障害となっているゲソモンへの対処と丈&ゴマモンの描写に特化した構造になっていて、
語りが必要なファクターはそんなに多くありません。シンプルな筋立てです。

丈先輩の体力はあるけど運の悪いところや、気配りなゴマモンのあり方は健在。
ただ無印7話とは当然ながら描かれ方自体が違うので、受ける印象は異なると思います。
というか、ゴマモンについてはパッと見の生意気さがほとんど見られませんね。
まあ無印でも減らず口を叩くのはおおむね丈に対してだけだったけど。

脚本は古怒田健志さん。
もともと特撮畑でしたが、現在ではアニメでの仕事の方が多いようです。
知ってる限りでは「サイボーグ009(2001年度版)」「ガイキングLOD」「ゴーオンジャー」
あたりに関わってるみたいですね。

絵コンテの「えらん」という方は初めて見る名前ですが、主に遊戯王VRAINSに参加していた模様。
なので、VRAINSを見ていた方にとってはお馴染みの名前かもしれません。
演出の茉田哲明さんもやはり遊戯王がらみの仕事が多く、ARC-VではOPにも関わってる様子。

で、作監のNoh Gil-boさんも遊戯王関連の仕事で名を売った経緯があるようですね。韓国の方みたいです。
その筋ではどうやら、かなりの腕利きとして知られているっぽいですね。
となると、作画面については頼もしい助っ人のひとりかもしれません。

総作画監督の仲條久美さんは一転、シリーズではお馴染みの名前。
特にセイバーズでの活躍が目立っていたことをよく覚えています。
  
  
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一

 ゲソモンに対して海中では不利と考え、まずは陸におびき出してからの対処を提案するなど
 極めて現実的な判断をしており、リーダーとしては今に至るまで全く不安要素がないです。
 なさすぎて逆に怖くなってくるレベルですが……

 丈のことを「先輩」と呼ぶのはかなり新鮮。これ、今後も維持されるんでしょうか。
 それとも、どこかの段階でフツーに呼ぶようになるんですかね。
 
 
 
・アグモン→グレイモン

 単体ではそこまで目立ってませんが、バトルではゲソモン相手に粘り腰を見せています。
 地形的にやや不利だったのと、あとはゲソモンが強かったと捉えるべきですね。
 最後はトゲモンに続いてメガフレイムをぶち当て、イッカクモンの攻撃に繋げました。
 
 
 
・空

 ゲソモンの攻撃でバランスを崩したバードラモンから落下し、海にブチ落ちてしまってました。
 にもかかわらず、全くダメージを受けないタフネスぶりを発揮しています。
 なんなんすかこの人。どっかの戦闘民族か何か?
 とはいえピヨモンが本格バトルできなかったので、相対的に出番も少なめでした。
 
 
 
・ピヨモン→バードラモン

 太一組と空を乗せて空路で海を渡ろうと試みましたが、ゲソモンに阻まれて失敗しています。
 移動に結構なエネルギーを使ったのとゲソモンの攻撃でダメージを受けてしまった関係で、
 後半のバトルには参加していません。
 これでも総じて無印より進化可能時間やそのリカバリー速度も上がってる気がするんですけどね。
 
 
・光子郎

 現実世界の被害を確認しながら移動中。
 ヤマト共々、次回には太一たちと合流できそうです。
 
 
 
・カブテリモン

 前回同様、進化したまま光子郎を乗せて移動していました。セリフはあります。
 
 
 
・ミミ

 パルモンと共に優雅なティータイムを堪能していました。
 あの傘と椅子はどっから出したんでしょう。植物さえあれば即興で作れるのかな。
 たぶんそうなんでしょう。

 前半では(たぶんバードラモンの輸送能力が主な理由で)パルモンと浜に残っていましたが、
 後半からはバトルに参加。勝利に貢献しています。

 総じて、丈組以外はあっさりとした扱いですね。
 
 
 
・パルモン→トゲモン

 後半からアグモンと共にゲソモン退治作戦に参加。
 チクチクバンバンで攻撃するものの、その時点では海に逃げられてしまいます。
 追撃しようとしますが触手に捕まり、動きを封じられてしまいました。

 イッカクモンの登場以後に自由を取り戻し、ココナッツアッパーで反撃。
 これは止められたものの、連続攻撃のトリガーとしての役割を果たしました。

 ミミが使っていた椅子とパラソルは、この子が作ったものと推測されます。
 面倒な作業に見えますが、彼女にとってはお手の物だったりするのかも。
 
 
 
・丈

 浜辺に仮の住居を構え、ゴマモンの助けを借りながら受験勉強をしていました。
 太一たちは「ここで勉強!?」と驚いていましたが、本人は大真面目です。
 「代々医者の家系」と、しれっとプロフィールが重くなってるのがポイント。

 勢い余って仮住居を壊してしまう一方、ゴマモンの助力があっただろうとはいえ
 これを綺麗に立て直し、また勉強に移るなど体力、行動力、知識は高い描写。
 最後で滑って海に落っこちたあたりは単に運と間が悪いのだと思います。たぶん。

 すでにデジヴァイスは得てたので、ミミと同じ経緯で朧げながら使命は把握してた可能性があります。
 しかしタダでさえ受験で頭が痛いところに新たな問題を突きつけられたせいで、
 ゴマモンによれば一杯いっぱいになって苦しんでいたようです。
 そもそも、異世界に飛ばされた時点で大問題ですからね……

 でもそこは誠実の人らしく、ゴマモンを心配して様子を見に来ていました。
 太一たちの誘いを断った時でさえ、ゴマモンへの感謝は忘れずに述べています。
 本人としては、目を背けていてはいつまでも解決しないのだと本当はわかっていたのでしょう。
 イッカクモンへの進化に足りないものは、どうやら向かい合う姿勢だったようです。

 無印では皆をうまく纏められない中、それでも最年長として責任を果たそうと体を張ったことが
 イッカクモンへの進化へ繋がりました。他メンバーとの関係性を描いた上でのことだったので
 かなり違って見えますが、責任を果たそうとする姿勢が作用した点は変わってないのかもしれません。

 声は草尾毅さん。特に90年代において主役級を歴任したベテランです。
 「鎧伝サムライトルーパー」の真田遼、「NG騎士ラムネ&40」のラムネス、「ドラゴンボールZ」
 のトランクス、「SLAM DUNK」の桜木花道、「ロードス島戦記」のパーン、「イース」のアドル、
 「プリキュア5」のココと、超メジャー級の主役を数多く演じていました。
 最近では渋い声も出せるようになったんで、悪役も増えているようですけれど。

 無印で丈を演じていた菊池正美さんとは「勇者エクスカイザー」でレイカー兄弟として共演、
 弟のグリーンレイカー役を演っていたりもします。こんな偶然もあるもんなんですね。
 
 
 
・ゴマモン

 マーチングフィッシーズで太一たちを助けたのが初登場。
 丈ともどもたまたまここにいたというより、ゲソモンのせいでこれ以上進めなかったと
 考えるのが妥当なのかもしれません。
 とはいっても、水上/水中絡みでは相変わらず頼りになるヤツです。
 
 割と減らず口も叩くタイプなんですが、その側面は抑えめ。
 丈をよくサポートし、彼の心情を理解して擁護しつつ、自分の判断で太一たちに手を貸していました。
 どうやら使命についての自覚はかなり高いようで、責任感の高い性格にも見えますね。
 丈とはむしろ「似た者同士」路線で今回はいくんでしょうか?

 声は竹内順子さんの続投。
 竹内さんを初めて知ったのは何を隠そう無印からなんですが、その頃から比べるとすっかりベテラン、
 かつ大物になりました。同じデジモンシリーズである「デジモンフロンティア」では主役にも抜擢されてます。
 女性役ではやはり「プリキュア5」の夏木りんと「おねがいマイメロディ」のクロミが特に印象的ですね。
 
 
 
・イッカクモン

 ゴマモンが進化を遂げた姿。
 無印から通して水中戦では無類の強さを誇るのですが、その無印では山岳戦がデビューでした。
 今回は水棲デジモンであるゲソモンが相手なので、より得意分野に寄せた初陣となっています。

 そのゲソモンとの戦いでは、触手に拘束されながらも自分から水中戦を敢行。
 泳力で相手を圧倒し、岩場に叩きつけて拘束を解除、ふたたび水上へと追い立てます。
 その後は、待ち構えていたグレイモンたちと連携して一気に決着をつけました。

 必殺技のハープーンバルカンは無印同様、射出されたツノが割れてミサイルが現れる仕掛けです。
 その誘導性能も健在で、ゲソモンに一度弾かれても宙でUターン、背面へ正確に命中しました。 
 
 
 
・ヒカリ

 現実世界でニュースを見てました。この時点で、停電被害は八神家にも襲ってきてます。セリフは無し。
 同じ場面に出てた八神ママはテイルモンと中の人が同じなんですが、別にそっちの顔見せはないです。
 
 
 
・ヤマト/タケル
 
 今回は出番なし。ヤマトは次回に登場しますが、タケルはいつになるやら……
 
 
 
・ゲソモン

 付近の海域一帯を根城としていた軟体型デジモン。
 普段は水中深くに潜んでいますが、縄張りを通るものがあれば襲いかかってきます。
 登場の直前には渦が巻き、前半ではその全貌を露としていませんでした。
 目がない代わりに、頭部の模様をよく光らせています。

 バードラモンを叩き落とすほどの圧力で発射される墨、グレイモンの炎にも耐え
 ココナッツアッパーの一撃も受け止める触手と、成熟期としては非常に強いデジモンです。
 地の利を活かし、触手を巧みに繰り出してくるのも厄介なところでしょう。
 グレイモン、トゲモン、イッカクモンの連携でやっと決め手を取ることができたほどです。

 たぶん近海の主の一体だったんでしょうね。
 操られてはいないようでしたけど、太一たちに選択の余地はないというわけです。

 このデジモンは無印だと30話に登場、やはりイッカクモンと戦うのですが、
 そっちでは大した見せ場もないままあっさりと敗れています。
 今回はメインとして出張ってるんで、扱い的にはだいぶ良くなったと言えそうですね。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ

「丈は…自分がやらなくちゃいけないことで頭がいっぱいで…
 まったくと言っていいほど余裕がなくって……
 そこへ、別のやらなきゃいけないことが飛び込んできたもんだから、戸惑って…苦しんでる……
 勉強に没頭してるふうに見えてもね。
 でも、いつかはきっとみんなの役に立つ、すごい人間になるやつさ!
 だから今はおいらが、丈のぶんまでみんなの力になってやるんだ!」(ゴマモン)


 わりと長セリフ。不器用ですが、とりあえずベタ惚れであることはわかります。
 彼はもともと一貫して丈の味方ですが、今回はその献身的なところが最初から全開ですね。

 
 
「この世界でやるべきこと。それは、丈ひとりだけでやらなきゃいけないんじゃない。
 太一たち仲間が… それに、オイラがいる! 一緒にやるんだ!
 だから、大丈夫!」(ゴマモン)

「…そうだよな…… ゴマモン。君がいたからぼくは、この世界で独りぼっちじゃなかった。
 ぼく独りだけだったら、きっと勉強だって手につかなかった。
 ゴマモン、君はぼくの… ううん、ぼくが君のパートナーだ!」(丈)


 進化を導き出したやりとり。
 「君はぼくの」ではなくて「ぼくが君の」なのが細かいようで大きな違いなんでしょう。
 なぜって、ゴマモンにとって自分が丈のパートナーであることはすでに揺るぎないですから。

 この瞬間、彼はそのゴマモンに応えて今、やらねばならないことに向き合ったのです。
 その向かい合うという誠実な姿勢が、新たな力への源泉となったのでしょう。
 
 
 
「…ああ。ぼくのパートナーだからね」(丈)

 ミミに「強いね、あの子」とイッカクモンを評されて。
 いっぱいの誇らしさが詰まったセリフです。
 
 
 
「落ちたって言うなぁ! ぼくは受験生だぞぉ!」(丈)

 そしてオチも担当。あ、オチって言っちゃダメだったんでした。
 
 
 
★次回予告

 海を渡ったと思ったら、今度はメタルエンパイアを思わせる要塞での戦いとなるようです。
 ですがヤマトも合流して当面の戦力は十分、あとは作戦次第といったところですが…
 果たしてオドロキの作戦とは?