子供たちの攻城戦

脚本:佐藤寿昭 演出:古家陽子/都築悠一

作画監督:八島善孝 総作画監督:浅沼明弘

★あらすじ

灯台らしきものを頼りに、クラウド大陸へと渡った太一たち。
ところが、灯台だと思ったものは海岸に築かれた城塞の灯だったのです。
子供たちを迎えたのは、いきなりの狙撃による荒っぽい洗礼でした。

海に投げ出されたものの、なんとか上陸を果たしますが今度はタンクモンの群れが襲います。
危機に陥った太一たちを救ったのは、同じく城塞近辺に来ていたヤマトでした。
彼は情報集めのために要塞への侵入を考えていましたが、太一たちの手は借りずに単身で試みます。
それは、危険へみだりに巻き込むまいとしての行動でもありました。

が、丈の行動をキッカケとして太一たちは動き出し、敵の気を引いてヤマトのフォローへ回ります。
これが功を奏して狙撃手のゴリモンは倒され、勢いに乗った子供たちは他の敵も残らず撃破。
助けられた形になったヤマトは、はにかみながらも謝意を述べるのでした。

かくて無人となった城塞で、謎の碑文らしきものの一部が発見されます。
そこには、聖なるデジモンについての記述が刻まれていて……
 
 
 
 
★全体印象
 
8話です。
3話以来ぶりにヤマトが再登場、選ばれし子供は5人までが合流を果たしました。
ただし光子郎組だけはまだネットワークを単独移動中なんで、全員集合ではありません。

内容としては、改めてのヤマト仲間入り回という感じ。
ある程度以上実力を知っている太一以外を軽んじるような言動をしていましたが、
そんな彼らのフォローのおかげで首尾よく目的を果たし、仲間の心強さを知るに至る形です。
これに友情の紋章を湛えたデジヴァイスが強く反応する演出は象徴的。
前後ではかなりの尺を使い、ヤマトの認識の変化を彩っています。

全体にバトルが多く、人数を活かしての多面展開が見どころ。
無印20話にも通じるものがあり、これはシリーズ中でも本作ならではな持ち味かもしれません。
軍団戦を売りにしてるクロスウォーズばりに、けっこう軍団戦ができるんですよね初代組って。
残り三人が合流すれば、もっと色々できるようになるはず。

脚本は佐藤寿昭さん。どうやら、2018年に活動を始めたばかりの新人のようです。
内容については、特に大きな問題はなかったと思いますね。
強いて言うなら丈先輩のやらかし度が上がってて今後が心配になったあたりになりますけど、
これは太一のフォローのおかげもあって悪印象と言うまでには至っていません。

演出は古家陽子さんと都築悠一さんの連名。
古家さんは「ワンピース」の演出助手を経て、プリキュアシリーズに多く参加していた方です。
昨年は神映画として話題になった「映画 スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」
に助監督として参加していました。これは見逃せないポイント。
都築さんは「ドラゴンボール超」「HUGっと! プリキュア」に参加していたほか、
「ドラゴンボール超 ブロリー」「劇場版 ONE PIECE STAMPEDE」にも演出助手として参加してた方。
いずれも腕は確かみたいです。いろんな人が参加してきますね。

作監はお馴染みの八島さんですが、一人原画ではないので本人のテイストは薄め。
全体に、原画人数が少ない割にはアクションを頑張れてた印象です。演出でカバーしてたのはあるにしても。
  
  
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・太一組

 相変わらず雑味のない男前っぷりを発揮している太一。
 その一方でヤマトのことを「仲間だ」と当然のように紹介したり、なにかと距離が近すぎる側面も。
 まあヤマトは一瞬ピクッと反応しただけで、特になんも言わなかったわけですが。

 「どのみち突破しなけりゃ進めない」と丈を鼓舞したり、その丈の行動を前向きに捉えて動いたり
 とにかくポジティブさが押し出されてます。
 現状じゃアグモンに暗黒進化なんてさせそうにないレベルですね。
 安定感が高いなら高いで、この際それで通してほしい気持ちになってきました。

 戦闘ではヤマトのフォローをした後、ダークティラノモンと対戦。
 パワー勝負を制し、最後の締め役を果たしました。
 
 
 
・ヤマト組

 3話以来の登場。
 太一たちよりも先に大陸へ渡っていたように見えますが、その手段は不明です。
 実は最初から大陸にいたか、またはガルルモンが泳げるので普通に渡って来たのか…
 いずれにしても、太一たちが通ったものとは別のルートを使った可能性が大ですね。

 ヤマトは当初太一たちとの協力に消極的で、特にミミと丈を「足手まとい」とまで表現していました。
 これは会ったばかりで実力未知数な太一以外のメンバーを信用できないというより、
 上に書いた通り自分より明らかに不慣れそうな彼(女)らをむやみに巻き込みたくないという心理でしょう。
 あとは単純に「うまく連携できる自信がなかった」のかもしれません。
 このあたりはガブモンがフォローしてくれるので、描きやすい部分はありそうです。

 しかし予想以上に激しい敵の攻撃の前に足止めを食らってしまい、そこを太一らの援護で突破。
 友情の紋章によるブースト演出が、ヤマトの心境を何よりも物語っていました。
 この効果で明らかにパワーアップしたガルルモンの一撃が、大勢を決定づけています。

 一波乱すぎたあと、ヤマトは「足手まとい」と称したことへ謝罪を述べています。
 この手の人物はクールであろうとしすぎたり、プライドが高すぎて変な領域に達してることも多いのですが
 彼は「不器用すぎるだけの情に篤い男」なはずなので、要所要所では素直に謝れるんですよね。
 無印からの彼のそういう良さが、この場面では出ていたと思います。

 ガブモンは普段フレンドリーですが、戦いの時はクールに振舞いますね。
 ある意味では、ヤマトにとっての「なりたい自分」に近い性格なのかもしれません。

 ちなみに今回で進化バンクも披露しましたが、やはり彼らと太一組は別格の扱いですね。
 実際の活躍度ではそうでもないですが、演出に格差があるのはちょっとモヤります。
 
 
 
・空組

 咄嗟に進化を発動して空中へ逃れたり、太一に続いて待ってましたとばかりに囮を買って出たり、
 ヤマトと太一がゴリモンを潰す間にダークティラノモンを抑えたりと、空が相変わらずスパルタンです。
 下手したら太一組以上に貢献度高かったんじゃないでしょうか。飛行できるのがでかいとはいえ。

 戦闘では主としてダークティラノモンと対戦。
 特に苦戦することもなく抑え続け、太一組が合流してきたあとはバトンタッチしています。
 
 
 
・光子郎組

 現状メンバーの中では唯一合流せず。
 現実世界の情報を知らせる役割もあるため、その関係で合流が遅れてるんでしょう。
 てっきり今回で合流すんのかと思ってましたが、意外とまだかかりそうです。

 カブテリモンはこれで3話連続進化しっぱなしです。5話を入れると4話分。タフだなあ。
 いや無印基準だからそう感じるんであって、:ではこれが普通なのか。
 
 
 
・ミミ組

 子供たちの中では丈と並んでリアクション担当。
 というかこの2組以外のメンタルが強すぎるんであって、こっちの反応の方がフツーなんですが。
 そういう意味で、この2組の存在は貴重といえそうですね。

 それでも何とかタンクモンの攻撃を切り抜け、ヤマトの認識を変えさせています。
 終盤ではタンクモン軍団の撃破に貢献してるので、逃げっぱなしでは終わっていません。

 よく見るとミミちゃん、暇つぶしにイッカクモンの毛で三つ編みを作ってます。
 たぶん進化し直したりしたら元に戻っちゃうんでしょうけど。
 
 
 
・丈

 突然思い立って何をするのかと思いきや、いきなり白旗を降りはじめました。
 話が通じる相手ではないと理解していなかったようで、案の定狙い撃ちされかけています。
 パルモンが咄嗟に指?を伸ばさなかったら危なかったでしょう。何かと便利ですよねこの指。

 これは、まだ旅に参加して日が浅いせいもあるでしょう。
 とはいえ、見当はずれにも思える彼の行動は太一の決断にも繋がっています。

 その後は半ばヤケ気味に駆けずり回って攻撃をかいくぐってましたが、意外と余裕があるのか
 狙撃塔を目指すヤマト組にサムズアップを贈っていました。やはり基礎体力はありそうです。
 終盤には敵の足並みが乱れたとみて、ミミ組と共に攻勢へ出ました。

 泳げないのか、海に落ちて沈みかけたところをイッカクモンに拾われるシーンもありました。
 船酔いしてたと思ったら光子郎に変な対抗意識を燃やしたり、なかなか忙しい人です。
 
 
 
・ゴマモン→イッカクモン

 上陸時、バードラモンと並んで海路で貢献。
 一度は退化しましたが、終盤に満を待して進化、反撃に出ました。
 この際、ハープーンバルカンの連射でタンクモン軍団を多数撃破する活躍を見せています。
 
 
 
・タケル/ヒカリ
 
 今回は出番なし。タケルに至っては3話で声だけ出たっきりです。本格登場はいつなのか……
 
 
 
・ゴリモン

 海岸沿いに築かれていた城塞において、攻撃の要をなしていた成熟期デジモン。
 獣人型というカテゴリですが、右腕のエネルギーカノンが個性を主張しています。
 デストロン怪人とかメカシンカを思わせる風情があっていいですね。好きなデジモンのひとつ。

 本編では城塞の一番高い塔に陣取り、これを狙撃ポイントとして使用。
 ソーラーモンが照らし出した相手めがけ、エネルギーカノンで狙い撃つ戦法を採っています。
 この際にターゲットサイトが出る演出があるのですが、ゴリモンの目か砲にそういう機能があるのか
 それとも単なる演出なのかは定かになっていません。

 02の14話、テイマーズの4話とメインエネミーとしての登用は多めなデジモンですが、
 エネルギーカノンの射程がこれほど長く描かれたのは初めてです。
 チャージ時間が必要なのか、連射や乱射はできないようでしたが。

 後半において、太一組のフォローにより肉薄してきたヤマト組と対決。
 紋章ブーストで一気に懐へ入られ、持ち前のパワー殺法を発揮する前に塔から叩き出されたあげく
 フルパワーで放たれたフォックスファイヤーにより撃破されました。
 落下した様子がみられないことから、空中で四散したと思われます。合掌。

 ちなみに目は赤くなっていないのですが、吐く息がなぜか黒くなってます。
 これはダークティラノモンにも見られた現象。演出でないなら、何かウラがあるのかも?
 
 
 
・ソーラーモン

 塔の最上段で光を発し、夜間においてゴリモンの標的を照らし出す役割を担っていた成長期デジモン。
 おそらくは、接近してきた者をいち早く発見する役割も果たしていたと思われます。
 二体が代わる代わる向きを変えながら光るので、遠目には灯台のように見えたという寸法。
 発する光はかなり強烈で、ターゲットの目を眩ませる働きもあります。

 単体での戦闘力には乏しく、グレイモンの攻撃を受けて怯みガルルモンの接近を許してしまいます。
 ゴリモン対ガルルモンのバトルではヤマトの目を眩ませようとしましたが、彼が咄嗟に投げつけた
 マントによって光と視界を遮られ、そのままゴリモンと共に撃破されました。
 小兵ながら、嫌な働きをしていましたね。
 
 
 
・ダークティラノモン

 城塞の門番として登場。かなりのヘビー級として描写されています。
 ですがバードラモンに行動を抑えられ、太一組が合流してくるまで粘られてしまったあげく
 足を踏み外して海へ落下するという、いささか間抜けな退場を遂げていました。

 総じてあんまり扱いは良くなかったと思います。
 次回にはメタルティラノモンが出るっぽいですが、そちらとの関連は不明。

 無印では35話に登場。成熟期としてはかなりの強者という風情です。
 トゲモンを抑え込む強さを発揮しますが、初陣となるリリモンに花の首飾りを使われてウィルスを除かれ
 おとなしくなるも、ヴァンデモンに粛清されるという悲運をたどっています。
 ボスキャラの非情さを際立たせるという意味では、役割を全うしたと言えるかもしれません。
 
 
 
・タンクモン

 陸上戦力として大挙登場した成熟期。無印ではメタルエンパイアの構成員として登場しました。
 ゴリモンの狙撃が点なら、彼らは面による制圧を担当していると言えるでしょう。
 その火力は決して侮れるものではなく、ヤマト組も手を焼いて立ち往生させられています。
 ただ射撃精度はさほど高くないようで、逃げに徹したミミや丈達にはうまく当てられていません。

 終盤、ゴリモンが倒されたことで連携に穴が生まれ、おそらくは浮き足立ったでしょう。
 チャンスと見たミミ組と丈組の反撃に遭い、あっさり全滅してしまいました。
 攻めているときは強くても、いったん押し込まれると脆かったようですね。

 その残骸は消滅することなく、無残な姿を晒しています。
 ある意味では戦車型らしい散りっぷりですけどね。
 
 
 
・謎の碑文

 城塞の奥に安置されていたもの。あからさまに重要資料です。
 どこかから持ち去ったものなのでしょうか? どこからなのかは不明ですけれど。
 聖なるデジモンについての記述があるあたり、太一たちに渡したくない情報なのは確実かな?
 
 
 
 
★名(迷)セリフ

「知り合い?」(空)
「ああ。オレたちの仲間だよ」(太一)
「………」(ヤマト)


 島根? に住んでるから太一組以外とは初対面なんですよね。
 無印を知ってると実に新鮮なやり取りですが、それにしても太一さんの距離が近い。
 ヤマトからの第一印象は「馴れ馴れしいヤツ」だった可能性が大です。
 この時も(こいつ、ホント近いな……)という感じの演出。
 
 
「やろうぜ! どっちにせよ、あそこを突破しなきゃ先へは進めないんだ」(太一)

 砦への侵入を試みようというヤマトに抗議する丈へ。
 どこか無印13話を思い起こさせるセリフですが、しかしこの状況で爽やかに笑いますね君。
 
 
「足手まといはいらない。八神、その連中を見ていろ」(ヤマト)

 どっちかというと輝二が言いそうなセリフですが、ガブモンの解説通りこれはあえて言葉を選ばなかったケース。
 
 
「優しいね、ヤマト。ホントは、みんなのことを…」(ガブモン)

 上記の直後。相棒の不器用な優しさをフォローするセリフです。
 これに対し、ヤマトは肯定もことさらな否定もしていません。
 
 
「わたしのタオルが〜!」(ミミ)
「空のだけどね」(パルモン)


 白旗を振って戦う意思がないことを示すも、格好の的になってしまった丈を救い出した直後。
 丈は助かったもののタオルが焼けてしまったことによる正直なコメントです。
 空本人から特にコメントがないのがなんだかジワります。
 
 
「サンキュー、丈先輩…! おかげで肚が決まった!
 格好の的に… なってやろうじゃんか!」(太一)


 ヤマトの言い分を聞いて待機していることに甘んじず、自ら飛び出して囮になる決断をしたときのセリフ。
 さりげなく丈の失点をカバーしてるのがポイントですが、君ホントどうなってんのそのメンタル。
 
 
「これー! 強制参加なのー!?」(ミミ)

 タンクモンの砲撃から涙目で逃げ回りながら。
 しかし、その必死の行動がタンクモンの気を引き、ヤマトに行動のチャンスを与えました。
 彼女たちの必死さはメンタルの太いメンバーが多い中にあって、癒しですらあります。
 
 
「武之内空よ! そっちは任せたからね!」(空)

 ダークティラノモンの相手を引き受けながら、ヤマトへの初名乗りです。
 たぶんヤマトの第一印象は「すっげえ女…」ではないでしょうか。
 
 
「いや… 助けられたのは、こちらの方だ。
 足手まとい扱いをして、悪かった……」(ヤマト)


 丈とミミに。ヤマトという人物の本質を表してくれているセリフのひとつです。
 こういうとき、はにかみながらも意地を張らずに謝罪を述べられるのが彼という人物です。
 無印の23話でも、丈へ苛立ちと疑いを向けたことを謝る場面が印象的だったものですよ。

 あとヤマトとミミの絡みは無印じゃかなり少なかったので、けっこう貴重です。
 
 
 
★次回予告

 かつてない進化を遂げた強敵と言われても、ってなります。オメガモン先行の弊害ですね。
 とはいえ自在に出せるわけじゃないし、頼れるわけじゃないのは確かなんですが。
 メタルティラノモンの中ボス採用自体は喜ばしいことですけどもね。