ウォー・ゲーム
脚本:冨岡淳広 演出:宍戸望 作画監督:舘直樹、大西陽一
総作画監督:浅沼明弘
★あらすじ
アメリカの軍事ネットワークにおいて、再び活発化するデジモン反応。
システムは乗っ取られ、原子力潜水艦からミサイルが発射されようとしていました。
これを喰い止めるべく、新たに現れた石田ヤマトとガルルモンの協力を得て急行する太一たち。
ヤマトの策で中核と思われるアルゴモン成長期に一撃を加えたものの、敵はさらに進化。
アルゴモン完全体となり、猛反撃を加えてきました。
力の差をカバーする策はヤマトが握っていましたが、危険性から彼は躊躇していました。
が、太一たちに背中を押されて決行。至近距離から敵の体内にメガフレイムと
フォックスファイヤーを叩き込み、見事斃したかに見えました。
ところが、アルゴモンはなおも進化。究極体となってしまいました。
もはやグレイモンたちの攻撃力では、傷ひとつつけることができません。
ついに発射されてしまったミサイルの標的は、東京!
極限まで追い詰められながら、太一もヤマトも必死で足掻こうと前を向きます。
立ち向かえるのは自分たちしかいない。相手がどれだけ強くても、やるしかないのだと──
その時、不思議なことが起こりました。
まばゆい光が攻撃を弾き返し、白く輝く騎士のようなデジモンが現れたのです。
優雅にマントをはためかすその騎士の名、それは……!
★全体印象
2話です。
というわけで、いきなりオメガモンが登場しました。2クール目どころか2話で登場するとは……
ディアボロモンに近い姿をしたアルゴモンが登用された理由も、これでハッキリしましたね。
この息をも継がせぬ展開、とにかく最初に新規も古参もひっくるめて掴もうという意欲を感じますね。
言葉はちと悪いですが、オメガモンはそのための客寄せ役として申し分ないといえます。
いきなりこの切り札を切ってしまって大丈夫なのか、いささか気にはなりますが……
それとも滅多に出せないというテイで、出番を絞りまくるのかな?
メインキャラとしては新たにヤマトが登場しましたが、まだいろいろと謎だらけです。
今回はとにかく「血縁以外は全員初対面」という方針で進めるのかもしれません。
太一と空ぐらいは縁があったりするかもしれないけど。
脚本は前回と同じく冨岡淳広さん。
演出の宍戸望さんは比較的若手のようですが、アプモンにも何度となく参加しており
その経験を買われての登用でないかと愚考しております。
作画監督は舘直樹さんと大西陽一さん。
舘さんはドラゴンボール、ワンピースといった長期シリーズを数多く担当しているベテランです。
大西陽一さんは鬼太郎からの続投になりますが、クロスウォーズにも参加していた模様。
また、原画には志田直俊さんの名前も見えます。グレイモン達がアルゴモン完全体に食らいついてるあたり?
これらの作画スタッフを総作画監督である浅沼昭弘さんが纏めており、前回に続いて
かなりの作画レベルが発揮されていますね。
無印は作画については少人数で回してた印象ですが、本作はどこまでこの人数を維持できるかな。
★キャラなど個別印象
・太一
ヤマトを説得して作戦の後押しをしたり、リーダーの片鱗を早くも発揮しています。
そのヤマトには鷹揚に接しており、無愛想さに呆れたりはするものの反発している様子はありません。
光子郎のこともべた褒めに褒めていて、こんな事態でなかったら本人を赤面させていたでしょう。
「人を自然に引っ張る度量の広さ」が強くアピールされているように感じますね。
緊迫した事態が続いているとはいえ、グレイモンとはすでに信頼しあったパートナー同士です。
皆を助けたいという必死の思いがそうさせたたのでしょうし、それが最後のアレに繋がったのですね。
・グレイモン
ガルルモンとは旧知の仲な模様。まあ無印の時点でそうですけど、これも仕込みのひとつでしょうね。
軽口を叩きあったり、お互いすでに歴戦の雰囲気があります。成熟期をずっと保ってるし。
また太一に行動を促したり、ヤマトの狙いに太一より先に気づいたりとクレバーな面も目立ちました。
オメガモンの出現といい、これはやはり何か裏に大仕掛けがありそうですな。
戦闘では相変わらずよく動き、爪でアルゴモン幼年期をなぎ倒す場面があるかと思えば
軽く跳躍して攻撃を避けたりと身のこなしの軽さも健在。レベルの高さを感じます。
二人がかりとはいえ格上喰いをしましたしね。さすがに二段階上の相手は無理でしたけど。
・ヤマト
よりクールさを押し出した造形になっていると感じました。紫のコスチュームでさらに助長。
ただそれは自分の気持ちを誰かに伝えるのが苦手で、行動で示すタイプだからだということは
古参ファンであればみんなが知っていることです。
独りで行動しがちなのも、率先して厳しいポジションを取りにゆく姿勢の裏返しと言えましょう。
また、寡黙で愛想はないものの状況が見えていないわけではなく、太一と光子郎の申し出を
比較的素直に受けて行動を共にしたり、パートナー達の身を案じて打開策を躊躇したりと
根っこにある「とっつきにくいけど話してみるといいヤツ」っぷりは健在。
クールさと不器用さは履き違えると攻撃性や非情さに繋がるのですが、そうじゃなくて良かった。
いやまあ、ヤマトという人物をよく見ていればそんな造形になるはずがないのですけど。
中の人は浪川大輔さんにバトンタッチ。なんと西島先生の人です。
その筋では知らない者はいないだろうと思われる人気声優さんのひとり。
元子役という経歴から30年以上の芸歴を誇るものの、初代の風間勇刀さんより年下だったりします。
無論、ヤマトを演ってた当時の風間さんよりはだいぶ年上ですが……
個人的には西島先生もですが「機動戦士ガンダムUC」のリディ・マーセナスが印象的です。
「鬼滅の刃」でも話題をさらったようですが、門外漢なんでよくは知りません。
・ガルルモン
いきなりこの姿で登場。かつ、退化していないのでガブモンの姿は見せていません。
それどころか先にオメガモンの方が出てくるという、かなり変則的なパターンになってます。
太一のセリフでも表現されている通り、スピードを活かした戦いぶりがさらに強調されていました。
アルゴモンの群れの攻撃を掻い潜り、壁を疾駆する場面はその最たるものでしょう。
ヤマトとはすでに確かな信頼で結ばれているようで、彼を背に乗せて疾る姿はとても絵になります。
そーいえば、ミスリル並の強度だという毛皮の説明は今回ありませんでしたな……
必殺技のフォックスファイヤーは演出が派手になっており、より「必殺技」感が増しました。
無印だとバンクで走りながら放つんで、ちょっと画のインパクトが弱かったといえば弱かったし。
・光子郎
ナビゲートから解説まで、戦闘以外のところでは八面六臂の活躍でした。
ヤバい局面では溜めてからゆっくりと語りだすなど、多分にメタ視点ですが演出も上手。
キングオブ解説者の面目躍如といったところでしょう。
対処そのものは太一たちに任せきりですが、バックアップ役の意地を見せるシーンもありました。
テントモンとの邂逅はいつになりますかね?
現在地は武蔵小杉の東急スクエア付近で間違いなさそうです。
マップで見た限り、それっぽい場所にベンチは見当たらなかったですけど。
・ヒカリ/タケル
ほぼセリフなしですが、明らかに何かが見えている様子でした。特にヒカリ。
どうやら、二人の因子も作用してオメガモンが現れたようですが……
そういえば、無印はウォーグレイモンとメタルガルルモンの進化にこの二人が関わってましたね。
それぞれが最も愛する者、でしたっけ。
・空、ミミ、丈
今回は出番なし。
・アルゴモン(成長期)
米軍のネットワークで幼年期の群れを率いていた個体。
この段階では周囲含めてそれほど大した強さではなかったのですが、グレイモンとガルルモンの攻撃に堪え
完全体、さらには究極体へ進化するなど秘めたる力はエグいほど強烈です。
その因子があるがために、格上二体の攻撃をもってしても倒しきれなかったのでしょう。
・アルゴモン(完全体)
上記の成長期が二段階進化を遂げた姿。
セイバーズに出てきた個体と進化段階は同じになったはずですが、面影があるだけで全然違います。
こちらの方がより怪物的で得体が知れないというか、多分にディアボロモン的になってますね。
もちろんお笑い芸人の声で喋ったりはしません。
この段階で体躯はグレイモンやガルルモンよりはるかに巨大となり、触手の一本一本もずっと太くなります。
メガフレイムを躱したりガルルモンを捕まえたりと、反応速度も桁違いに上がりました。
1話に出た成熟期などよりずっと強いことが、視覚的にわかるようになっています。
しかしこの姿はまだ可愛い方で、成熟期とはいえグレイモンとガルルモンであれば
超至近距離から必殺技をブチ込むことで大ダメージを与えることが可能だったりします。
問題はこのあとでした。
ところで、炎に包まれて倒れ込むシーンはセイバーズ映画のオマージュでしょうか?
・アルゴモン(究極体)
アルゴモン完全体がさらに進化した姿。こちらは原典とほぼ同じイメージの姿です。
その場の全員が言葉を失う超巨体を手に入れ、咆哮だけで周囲に衝撃を与えるほど。
攻撃に移れば、腕の一振りで敵に壊滅的なダメージを与えてきます。
もともとバーストモードの手を煩わせたほどの実績、その力は伊達じゃないってわけです。
いきなりこんなのを相手にしなきゃいけないなんて、今度の冒険は随分ハードモードですね。
どうしてコイツらがこれだけの力を手に入れたのか、現段階ではさっぱりわかりませんが。
情報の宝庫であるネットワーク上は、彼ら悪性にとって最高の温床なのでしょうか。
いずれにせよ、今後の敵はこいつと同程度かそれ以上のインパクトが求められるわけです。
初手からえらくハードルを上げたもんですが、本当に大丈夫なんでしょーか……
・オメガモン
諦めない太一たちの決意に呼応するようにして、その姿を現した白亜の聖騎士。
2話でのデビューはTVシリーズ最速。声だけならクロスウォーズの方が登場は早いんですが、
あっちは誰なのかが明かされたのが30話も後なんで事実上こっちが先になると思います。
ほとんどウルトラマンみたいな扱いですが、でもオメガモンってもともとこういう存在でしたよね。
ギリギリまで踏ん張ってもピンチの連続、どうにもならないそんな時、最後に現れる希望の化身という。
そして本来、アグモンたちはこの姿になれるほどの強さを手に入れていたことになります。
かつての大きな戦いに関わっていたという噂もあるし、何らかの理由で力を失ってたんでしょうか?
マントを効果的に使った溜めまくりの演出は、このデジモンの颯爽ぶりを拘り抜いて描いてくれてます。
後に続くものがいい加減欲しいところですが、やはりオメガモンはいいですね。実にいい。
★名(迷)セリフ
「ひとつ貸しだな」(ガルルモン)
太一たちの背後から迫っていたアルゴモン幼年期を仕留めて。
「コイツこんなこと言いそう」と「コイツこんなこと言うやつだっけ」の間を反復横跳びしてる印象です。
歴戦の戦友にだからこそ叩く軽口かもしれませんが。
ちなみにグレイモンはこのあと別の場面で援護射撃をかけ、速攻で借りを返しています。
「フッ… 無事だったんだな」(グレイモン)
上記を受けて。
こういうところにも何かこう、本作のアグモンからはお兄ちゃんっぽい印象を受けます。
「離散して安否を気遣わねばならない事態があった」ことも、この一言から類推できますね。
「なあ! オレたちでチームを組めば、戦力アップになると思わないか?」(太一)
ヤマトへの提案。
遠慮なく距離を詰めている一方、相手へのメリットも提示しているのがポイントですね。
「これまでの情報を解析すれば、軍のシステムまで入り込めるルートを…探せるかもしれません!
いえ、探してみせます! 少し時間をください!」(光子郎)
泉光子郎ここにありと言わんばかりのセリフ。
彼の持っているスキルと個性は実際、お話を牽引する力になるほど強いものがあります。
単独で動く話が無印の頃から結構あったのも、そのシナリオ牽引力の賜物でしょう。
「いったい… どこまで進化する気だっ…!」(太一)
完全体に進化を遂げたアルゴモンを見て。まったくもっておっしゃる通り。
繰り返しますが、これまだ2話ですよ。
「あまりに危険なんだ…!
この作戦は、肉を切らせて骨を断つってことだ…
失敗したら、ガルルモン達がどうなるか…!」(ヤマト)
ヤマトからは、たぶん今回一番の長台詞を一献。
寡黙で無愛想でも、本当は矢面に立つパートナーのことを第一に考えていることがわかるセリフです。
しかし、パートナー達が真っ先に乗ったことで流れが変わります。
「そうだな… オレたちが力を合わせれば、できないことはないさ!
大丈夫… オレ、グレイモンを信じる! お前もそうだろ!」(太一)
PVでのセリフを思い起こさせる一言です。あまりにもリーダー力に溢れすぎている。
「オレたちが止めなきゃ… 東京は壊滅する!」(太一)
「ふざけるな…! 絶対に止めてやる!」(ヤマト)
「他の誰にもできない… オレたちにしかできないんだ!」(太一)
「オレたちが!」(ヤマト)
「止めるんだ!」(太一)
絶望のギラメキを前に、なおも目を逸らさない二人の少年。
最後の力が絶えるまで、ここから一歩も退がらない、退がりはしない。
二人の携える勇気と友情に応えるかのように、最後の騎士がその姿を現します。
さあ、本当の戦いはこれからだ!
★次回予告
オメガモンVSアルゴモン究極体の情報しか確認できませんが、サブタイが気になりますね。
東京から始まってアレ? と思わせておいて、やはりデジタルワールドへ行くんでしょうか。
まあ帰ってこられる設定かもですが……