デジモンゴーストゲーム
最終総括
無事?最終話を迎えたので、軽く全体的にまとめたいと思います。
★ストーリー構成
1クール目は「デジモン+怪奇」という路線を確立してゆく一方、初期エピソードらしく
ガンマモンの様々な進化を見せる流れになっていました。
基本的によほどのことが無い限り事件を起こしたデジモンでも倒さないという作風や、
日常を主体とした見せ方にこだわった作りはすでにこの頃からハッキリしています。
反面でこの路線ありきな描写も最初から目立っており、事件を起こしたデジモンの動機も
「そうはならんやろ」ってなるものが大半だったと思います。
結果として、ラスト数分で急にテンションが萎む展開が非常に目立ってました。
これは最後まで変わってません。
ある意味一貫してると言えますし、デジモンと人間のメンタルの違いを示してたのかもですが。
しかしながら1クール目の段階では上記のようなガンマモンの多彩な進化や
瑠璃とアンゴラモンの出会いと喧嘩、清司郎とジェリーモンの出会いに成熟期進化と
シリーズ通しても重要な回がひしめいており、見どころが多かったと思います。
2クール目は、話数的には13話ですがグルスガンマモンの強烈なインパクトによって
まずまず印象に残るスタートを切ったと思います。
さらに15話でのジンバーアンゴラモンの登場に加え17話のフロゾモン、18話のピーターモンなど
今までシリーズに登場しなかったデジモンを積極的に登板させるなど、まだ先が長いとあって
この頃はそんなに心配していませんでした。
そんな折に飛び込んできたのが、あの不正アクセス事件です。
あの事件のせいで複数の東映アニメが一ヶ月ないしそれ以上の休止を余儀なくされてしまい、
本作も4話分の休止へ追い込まれています。
立ち上げ時期だった上に1クール分近くが消し飛んだ:に比べ、大筋への影響については
それほどではないと思われるものの、視聴者に冷水を浴びせたのは間違いないでしょう。
ただ本来であれば完全体進化であるカノーヴァイスモンの登場は4月だったはずなので、
スケジュール的にぜんぜん影響がなかったかと言えばそんなことはなかったと思います。
ここに持ってきたいと置いたタイミングが一ヶ月近くもズレたわけですから。
いずれにしても、事件を起こした犯人には怒りしか感じません。
そんなわけでクールを区切るのが難しくなってきた頃、まったく本筋らしいものが進まないため
次第にジリジリしてきた覚えがあります。宙がやっと北斗パパに連絡を取ったと思えば
それで話が進むわけではなくむしろ視聴者的には明後日の方向へボールを投げていたため、
「そうはならんやろ」とまたもツッコむ羽目になりました。
そうこうしている間にも、シリーズは粛々と一話完結を進めてゆき気づいたら一周年。
エスピモンやリュウダモン、エアドラモンの登場など特筆点はありますが大きな変化もなく、
徐々に出てくるデジモンの強さだけがアップしてゆく流れになっていました。
もうこの頃になると私もいい加減、本作は一話完結をギリギリまで通す気なのだろうと
諦めというか達観の境地に達していましたし、各話の内容自体は楽しんでいたのですけど
本当に急に重要回が来て急に収束する作風なんで感情の置き所に困った覚えがあります。
次で進化しますよ! というアピールが全然なく状況の暖めもされてないせいもあるでしょう。
一話完結であっても、山場のための仕込みに余念がない作品なんてたくさんあるというのに……
ここらへんは長年続いてるだけあって、戦隊やプリキュアがうまいのですが。
細かい部分の良し悪しは置いといて。
そして迎えた最終局面は、ほぼネタばらしに終始していた感があります。
早期から撒かれていた様々な事柄にある程度の答えが開示されたのはいいのですけれど、
なんか本来のラスボスが他にいるっぽい感を醸し出してそのまんま締めるという
結構長くやってたのに連載短縮食らった漫画みたいな終わり方になっていました。
もうちょっとなんとかできたんじゃないのか、と思われてなりません。
あの流れにしちゃうと怪奇路線ではいられなくなるから、ギリギリまで待ったのでしょうか。
そもそもの話、本作って文脈がやはり妖怪ものなんですよね。
解決役がいるという点で、同じく東映の「ゲゲゲの鬼太郎」に近いとすら言えます。
とはいえ描写は凝っていたものの、アレより遥かにマイルドだったのですが。
容赦なく人死にが出るケースも少ないんで、そういう路線の割には半端だった感もあります。
でも各話を単独でみれば楽しめる回が多かったし、いったい誰が事件を起こしてるんだ?
→ってお前かい! と各回のネタバラシも楽しかったので、名作にはもう一歩だけど
ホラーに耐性があるならわりかし楽しめる意欲的佳作に落ち着いてると思います。
前が:なんで評価が相当甘くなってる気がするけど。
★作画・演出
45話以降だとやはり究極体登場以降に見どころが多いですね。
特にそれぞれの登場回と最終局面。
究極体を出すとどーしてもバトルを派手なものにしないといけないわけですし、
残り10話そこそこでやっと本格登場してくる流れになったのも構成どうこうより、
作画の都合というのがデカかったのかもしれんなあと気付かされる今日この頃です。
★キャラクター
後半はメインどころの人物描写を殊更にはやらず、怪異描写を優先させてた印象。
・宙
1クール目からずっと主人公にしては冷静で機転のきく造形でしたが、
終わってみればそのまんま最後まで突っ切った感があります。
最終的に自分たちだけでは限界があることを実感し、例えばコタロウに協力を頼むなど
細かいところでの成長はあったようですが。
彼ら人間サイドについての基本的描写は実のところ、前半で終わってたのかもしれません。
あとはひたすらパートナーとの日々を積み重ねていっただけ。
で、最後にはそれがカギになった流れです。
・ガンマモン
なんとラスボスは彼自身、というか彼の兄弟みたいなものでした。
どっちが兄貴なのかは議論の余地があると思いますけど。
ラスボスについてずっと仕込みがされていた、とも言えますか。
宙が完成型に近いぶん、成長していったのはこのガンマモンの方でしたね。
上記した通り戦いを通してではなく、パートナーと自然に共にある日々を何より大事にし
それを壊されないために戦うというあり方を代表していたように思います。
上ではああ書きましたが、自我が曖昧だった感のあるこのガンマモンに
「死」というものを段階を経て意識させ、最終的に自身の居場所を改めて確認し
「ヒロの弟」として生きたい、という気持ちを強く掴むという流れに持ってゆくためにこそ
デジモンにせよ人間にせよ「死」を非常に重いものとして扱っていたのかもしれません。
・瑠璃
人間側メインの紅一点ですが、ある意味いちばん豪胆な人物でした。
58話で示されたように「選べない」よりも「選ばない」ことを楽しむ自由を愛する性格なため、
それを邪魔する相手や襲ってくる理不尽には我慢がならないのかもしれません。
ゆえに、しばしば恐怖を捩じ伏せてデジモン相手にも啖呵を切る場面が目立っていました。
その勇気は、究極体であるピエモンさえも感心させたことがあるほどです。
究極進化への到達も、この姿勢を貫いたゆえのものでした。
他方、最後まで何かとデジモン事件による被害描写が多彩だった人物でもありました。
キノコ生やされてもぎ取られる様子をねっとりと描写されたり、人格剥がされたり、
水を搾り取られたり、食欲モンスターにされたりと一大事続きでした。
いくつかは宙も同時に喰らってますけど、パターンの多さでは彼女が結局随一かも。
・アンゴラモン
最後まであんまり瑠璃を守れてなかった人。
本人はいたって真剣だし、究極体で獣騎士になるのも然もありなんってやつですけど
いささか気の毒ではあります。他のメンバーが何とかするとはいえ。
人間界を最も楽しんでいたデジモンの一人で、様々な文化や知識に親しみ
瑠璃とともにある日々を何よりも大切にしています。
この安らぎの心を教えてくれた瑠璃を守るためなら、どんな敵との戦いも恐れませんでした。
しかしながらディルビットモンの登場が遅いのもあり、終盤の戦績はいまひとつ。
単独ではどうにもならない手合いが増えたのも大きいと思います。
相手の自滅などできっちり勝負をつけた相手が少ないのも拍車をかけていました。
毎回のアンゴラポエムは、すっかり本作の風物詩になりました。
終盤は空気を読んで?詠まないことも結構あったため、なんだかんだ寂しかったですね。
最終話で復活した時には少しホッとしたのを覚えています。
・清司郎
その中学生離れした才能はたびたび描写されていたものの、ビビりな性格もあって
知恵袋キャラというよりかは巻き込まれ体質の方が目立つ造形でした。
パートナーであるジェリーモンとの関係性からしてそうで、彼女にはよく振り回されてましたね。
終盤は一応その頻度が減ってはいましたが。
二重人格的な側面があり、本人もそれを自覚しかけている描写があったりしたので
これを乗り越えるか自分のものにすることが究極進化のカギになるのではとか
包帯が取れた時に何かが起こるのではとか勝手に予想してたのですが、何もありませんでした。
最後までジェリーモンには「様」付けだったし。らしいと言えばらしいけど。
おまけコーナー「宙の調査ファイル」では毎度のオチを担当してました。
もはや「清司郎の恐怖ファイル」と呼んだ方がしっくり来る扱いだったと思います。
・ジェリーモン
序盤から中盤過ぎまでずっとトラブルメーカーを兼任してました。
ただバクモンや清司郎に怒られたりを通して次第にノウハウを掴んでいったのでしょうか、
終盤はトラブルを起こす頻度が激減しています。
コネクションを利用し、クオーツモンの保護していた幼年期たちの食糧確保を約束するなど
「ビジネス」が軌道に乗りはじめたらしい描写もあります。
その一方で逃げ癖のある清司郎を捕まえて引っ張ってくる毎度の過程も手慣れていっており、
なんだかんだコンビとしての立ち位置を確立していったようです。
少なくとも清司郎の口から「デジモンと人間の未来に破綻以外の道はある」と言わせるぐらいには。
究極体アンフィモンへの進化は60話と、エスピモンを除けば最も遅い最終到達。
テティスモンと比べ搦手も得意じゃないので、活躍度はむしろ下がってしまいました。
せめてもう1クール余裕があれば。
・エスピモン
後半突入まもなくの38話から登場。
最初はセミレギュラーでしたが、62話をきっかけに成熟期進化を遂げてからは
正式にレギュラー化します。
ただし足役を兼任するようになったせいで、進化回以外の活躍度は下がってます。
長らく宙を「北斗と瓜二つではないので偽物」と捉えており一線を引いていました。
何か重要な秘密を握っているのかと思ってたんですが全然そんなことはなく、
ただデジモンと人間のメンタルの違いをあらわすだけの要素でしかなかったようです。
その解決で得られたものが成熟期進化止まりだと思うと、なんだかとてもいたたまれません。
このエスピモンのような「引っ張ることありき」で終わっていて
開示したら全然大したことないという要素が本作ではかなり目立ってたと思います。
下記の北斗パパはその最たるものでしょう。
そもそもこのキャラ、何のために出したのかすら不明瞭なんスよね。
販促のために出したんならもうちょっと使ってあげようがありそうなもんなんですが。
・北斗パパ
蓋を開けてみたらそもそも行方不明にする意味すら謎だった人。
一応デジヴァイスをクオンタモンと共同開発してたみたいですがその機能、
とりわけ進化関係についてはクオンタモンの独壇場も同じだったわけですし、
そもそも大筋の根幹に関わることはほとんどクオンタモンが握ってた形です。
このせいでチャランポランな性格だけが印象に残ってしまう形となり、
「主人公の親父」としては極めて微妙な立ち位置になってしまっていたと思います。
デジタルワールドにいる間、デジヴァイスとの開発以外で何をしていたのかも不明瞭だし
ガンマモンとの出会いや送り出すまでの経緯もボンヤリしたまま。
本作の不満点の大半は、この人物に集中しているかもしれません。
主役の父親でしかも行方不明という曰く付きの設定ゆえ期待しすぎてたかもしれませんが。
普通期待するでしょうよ。主人公の親父ですよ? それも行方不明の??
・とりまく人々
44話から登場、セミレギュラー化した深津理久は「デジモンと人間との関係性」において
さりげに重要な立ち位置にいたんじゃないかと思います。
特に50話のメイクラックモンとの話は本人も強く印象に残っていたようで
66話でその名を口にしたほか、メイクラックモン自身も遠くで見守ってる描写がありました。
いつかまた出会うときがあるのかもしれません。
数々の事件に巻き込まれながらも楽天的なコタロウや、瑠璃が抱える秘密に理解を示し
最終的によき協力者となるアオイやミカと、振り返ってみれば皆けっこう頼もしいというか
デジモンを過剰に恐れず歩み寄ろうとする人物が大半だった気がしますね。
アオイに至ってはエスピモンに「うち来る?」とまで言ってましたし。
案外そのまんま行動を共にするケースが増えてっても面白かったかも……
最終話でチラッとその兆候がありましたけど。
そこだけ見れば宙の言ってることもわからんではありませんが大変なのは今後でしょう。
デジモンからは恐怖しか味わっていない者も、可視化されていないだけで相当いるはずです。
・デジモンたち
妖怪めいた描写が多く「怪奇もの」というジャンルに押し負けている感がずっとあったのですが、
その分一話完結ならではの尖ったキャラ付けが多かったと思います。
これは本作の有利な点だったかと。
究極体ともなると強烈なキャラ付けを備えた手合いが増え、個人的にはリリスモンが出色。
花魁ことばというだけでも印象的なのに、自由気ままかつお気に入りは大事にする側面など
愛欲の魔王らしさが出てたと思います。天使狩りのその後がどうなったのか知りたいですね。
他にも新設定のクティーラモン、本来ならラスボス級のズィードミレニアモン、
アニメ初登場を果たしたクラヴィスエンジェモンにまさかのクオーツモン、
怪奇ものの切り札な感があるダゴモン、凶暴化すると世にも恐ろしいラフレシモンと
スタッフ的にできるだけのネタをぶち込んできた印象はあります。
ラフレシモンに関しては本来ああじゃない、というフォローが一応されてましたっけ。
総じてデジモン達のキャラ付け自体は好みなのが多いんですよね……
ブルムロードモンもその強さ含め、かなり印象的ではあったし。
ところで妙に植物系のデジモンが優遇されてる気がするんですけど思い過ごしですかね?
それだけに、実質的ラスボスのレグルスモンがどちらかというとラスボスの前座というか
こっから立ち向かわなきゃならない相手がいる、って扱いだったのは食い足りない感じです。
やっぱり劇場版が欲しいなぁ……
★最後に
書いてみればわりかし好意的な総括になった感があります。
評価できないところもあるけど、個人的には好感を持ててた作品だったんでしょうね。
次回作があるならそれっぽい要素を入れつつバトル推しにしてほしいかなぁ……
デジモン同士のバトルそのものとそれへの向き合い方を主題にするような。
それができないからこういう作品が続いてきたんだろうとわかってはいるけど。