破滅ノ漆黒竜

脚本:十川誠志
絵コンテ:畑野森生/宍戸望/福岡大生/中村明博 演出:宍戸望
作画監督:小澤誠/篠塚超/澤木巳登理/大西亮/大山康彦/二階堂渥志
総作画監督:二階堂渥志

★あらすじ

 謎の声の主に会おうと、雲の中の巨大都市へやってきた宙たち。
 しかし、その前に番人としてブルムロードモンが立ちはだかります。
 頑として道を譲ろうとしないブルムロードモンに対し、やむなく戦いを挑む宙たち。
 が、予想を遥かに上回る相手の強さにたちまち追い詰められてしまいました。

 そのとき、ガンマモンに異変が発生。黒い炎の中、グルスガンマモンが現れます。
 追い詰められたガンマモンの心の隙を衝き、主導権を奪ったのです。
 そのうえ、完全体レグルスモンへと進化を遂げてしまいました。
 ブルムロードモンでさえ、その凶暴な強さを制することができません。

 最悪の事態へ陥ったとき、宙がレグルスモンとのシンクロを提案します。
 これを受けたレグルスモンの中から、なんとカノーヴァイスモンの姿が。
 宙は消えたと思われたガンマモンの反応をデジヴァイスから察知、賭けに出たのです。

 戦いは白と黒、ガンマモン達の内面世界へと移動。二体の龍はついに分離します。
 決死の反撃を仕掛けるシリウスモン達でしたが、レグルスモンは強さだけでなく
 狡猾さでも彼らを上回っていました。
 シリウスモンは不意打ちのレーザーによって、胴体を貫かれてしまうのです……
 
 
 
 
★全体印象
 
 66話です。いよいよ次回で最終話。
 前回のあらすじを語り上げるアバンパートがやたら新鮮ですね。
 ギリギリまで一話完結が徹底されてきたからなぁ……

 内容としては本作にしちゃ珍しく、バトル尽くしです。
 ただ、ブルムロードモンもレグルスモンも強すぎてメイン側にあまりいいところは無し。
 ガンマモンに至っては実質二回ぐらい死にかけてます。
 前回も危なく全員やられかけたし、これほど全滅寸前へ陥る主人公周りも珍しいですね。
 それでも話が成立しうる作風だったのですが。

 今回でグルスガンマモンことレグルスモンの狙いもハッキリしたのですけど、
 「強ければ生き弱ければ死ぬ世界」を作ろうとしているという単純なものでした。
 それは、宙たちの足跡から見て取れる価値観とはあまりに相容れないものです。
 なので対立軸にはなってるんですが「そっかー…普通だなー……」という印象。
 なんでわざわざガンマモンの中にいたのか結局全然わからないままだし。

 脚本はシリーズ構成の十川誠志さんが再び浮上してきてます。
 ラストスパートとあってスタッフも総力戦を挑んでおり、絵コンテは脅威の4人。
 そのうち3人がSD経験者という豪華ラインナップです。
 今回でこれなら、最終話はさらに期待できるかもしれませんね。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・宙

 ガンマモンが二回も消滅の危機を迎えたため、二回に分けて絶望顔をしています。
 特に一回目は現実を受け入れきれずに、しばらく呆然としていました。
 それだけ、彼の中でガンマモンの存在が大きくなっていたわけです。
 どちらかというと一人が好きだったっぽく見える彼にとっては大きな変化でしょう。

 しかしまだ希望があると気づいてからはレグルスモンを騙してガンマモンに力を与え、
 体の主導権争いへ復帰させるという冷静なところを見せています。
 賭けには違いないし、上記の通りまたやられかけてしまうのですが。

 さてここからどう挽回するのか。
 まだこの手があるのでは? というわかりやすい布石もないですし……
 
 
 
・ガンマモン

 完全体になったと思ったら究極体になったり、戻されたと思ったら消えかけたり、
 出てきたと思ったらまた完全体で究極進化し直したり忙しすぎる回です。
 まだ究極体での最後の大技は出してない気がするんですが……

 全体的にあんましいいところがありません。
 あれで終わるとも思えないので、次回での巻き返しに期待するしかありませんね。
 
 
 
・瑠璃組 / 清司郎組

 宙とガンマモンがこの状態なので、彼女たちは言わずもがな。中盤はずっと縛られてるし。
 後半で追い上げを図ってますけど、実は全然効果が上がってませんでした。
 このぶんだと最終話もあんまり活躍できないんじゃないでしょうか。
 
 
 
・エスピモン

 おおむね宙の足役でした。敵が強すぎるのでさもありなんです。
 せっかく進化したのになぁ。
 
 
 
・セーバードラモン

 ブルムロードモンと戦いになりそうだと判断した瞬間、脱兎の如く逃走しました。
 案内役としての仕事は果たしたし、仕方ないですね。
 相手が去る者は追わずなスタンスだったのは幸いです。
 
 
 
・人間界のみなさん

 とりあえず対症療法的に、人間界で右往左往してるデジモン達を抑えて回ってます。
 コタロウや深津も遂に事情を把握することとなりました。
 後者はメイことメイクラックモンの名前を出してます。再登場の布石だったりするのかな。
 アオイやミカにも出番はあるんでしょうか。最終話ぐらいはあると思うけど。

 しかし北斗パパ、何か思わせぶりに笑ってた気がするけど特に何もなかったようですね。
 思えばこの親父はいつもこんな感じでした。
 
 
 
・ブルムロードモン

 空中都市の番人。「あのお方」たる謎のデジモンに仕えています。
 デジタルワールドを憂いて住民を人間界に逃がした主を信奉しており、主の安全が第一。
 彼自身の証言によれば、黒化したデジモン達を数限りなく葬り去ってきたようですね。

 このためか侵入者には神経を尖らせており、宙たちの言葉も信じようとしませんでした。
 ガンマモンの中に何か得体の知れないものを感じていたせいもあるでしょう。
 それでなくとも、あまり融通のきくタイプには見えません。

 実力は極めて高いものがあり、本作の究極体枠では最強レベルです。
 肩から放つ「マルチプルシード」をはじめ、その攻撃をわずかでも受けたものは
 傷から無数の植物が生え、力を奪われつつ拘束されてしまいます。
 これによってアンフィモン、ディルビットモン、シリウスモンを難なく無力化しました。

 レグルスモンが出たあとは劣勢に転じるものの、一歩も退かぬ戦いぶりを見せています。
 そもそも、アレとタイマンを張ってた時点で個体としての戦闘力の高さが窺えます。
 が、倒れこそしなかったものの「グラントレース」で受けたダメージはやはり大きく
 ディルビットモン達の拘束を解き、後を託すことになりました。

 このように、融通がきかないと書きましたが全くの頑迷固陋というわけではなく
 自身の目で確かめたことには柔軟な判断ができるタイプの人物といえます。
 敵と見做したものには容赦しませんが、邪悪な存在ではありません。

 ヤバい状況ですが、果たして生き残ることはできるでしょうか……
 主を庇って死んだりとかしないといいんだけど。
 
 
 
・謎のデジモン

 空中都市の主。ブルムロードモンが「素晴らしきあのお方」と呼ぶ存在であり、
 クズハモン達が「あやつ」と呼んでいた存在その人でもあります。
 その正体はまったくの不明ですが、この状況でラスボスってことはないでしょうね。

 中の人は早見沙織さん。デジモン初登板です。
 言わずと知れた、押しも押されぬ超人気声優さん。滑り込みでえらい人が来ました。
 上品さに溢れた声質と演技力を併せ持っており、あちこちで引っ張り凧な方です。
 「鬼滅の刃」の胡蝶しのぶや「ダイの大冒険」のレオナ姫、「SPY×FAMILY」のヨル、
 「魔法つかいプリキュア」のはーちゃん=キュアフェリーチェと代表作は多数。

 正直、業界は早見さんの性能をアテにしすぎてる気がします。
 一度でもこの人の代表作を見れば、それもやむなしと思わされるのですが。
 
 
 
・グルスガンマモン → レグルスモン

 ブルムロードモンに追い詰められたガンマモンの中から登場。
 すぐにレグルスモンへ進化し、ガンマモンの存在そのものを奥底へ封じ込めてしまいます。
 当人は「たぶん消えただろう」と思ってただけで正確には把握してなかったのですが。

 レグルスモンは完全体の邪竜型であり、世代としてはシリウスモン達より下です。
 にもかかわらずその強さは彼らどころかブルムロードモンをも押すほどで、
 清司郎の「手に負えない」という発言を納得させてくれます。
 そもそも、グルスガンマモンの時点で完全体さえ一方的にボコる強さでしたからね……

 また悪魔的な狡猾さも備えており、ガンマモンの中に隠れて自分の因子である
 GRB(Gulus Realm Burst)をデジタルワールドに残しておき、
 それが侵蝕を進めて黒化現象が広がるのをじっと待っていたようです。
 また、ガンマモンが強くなるごとに彼も強くなっていった模様。

 その目的はデジタルワールドを完全な弱肉強食の世界に塗り替えた上で生き残った者を集め、
 全てを喰らう無敵の軍団を作ることでした。絵に描いたような悪役です。
 これまでなんだかんだと助けてくれたのは単に降りかかる火の粉を払っただけのことで、
 しかるべき機会が来るまでじっくり待っていただけだったということらしいです。
 少なくともこの回だけ見た分にはそう見えます。

 敵か味方か路線でずっと引っ張ったあげく「普通の悪いやつでした」というこの流れ、
 個人的には「畜生やっぱりそうだったのか! 許せん!」ではなく「えー……」って印象。
 それなり以上の長い付き合いだというのに、お出しされるのがそれだけ? というか……
 もっとこう情緒をかき乱してくれるような重いもんが見たかった、というか……
 うーん、うまく言語化できません。何かが足りない、と感じてるのは確かなんですが。

 そもそも、ガンマモン関係ってわかんないことが多すぎるんですよね。
 なぜガンマモンの中に隠れるような回りくどいことをしたのか、ガンマモンって何なのか、
 なぜガンマモンは人間界の宙のもとに送られてきたのか。
 北斗はいつどこでガンマモンに出会い、彼とともに何を見聞きしてきたのか。
 明かされる、または連想させてくれるものが全然ないんです。ボンヤリしすぎてる。

 まあ本作のことだから最終話で急にいろいろお出ししてきたり、
 レグルスモンが急にデレたりするかもしれないので断言するのはまだ早いのですけど。
 どちらにしても「この土壇場で突っ込むのかよ!」になりそうですが……

 そういえば度々現れていた黒いデジモン達、どこ行ったんでしょうね。
 けど、もし彼らがGRBを人間界に持ち込んでるんだとしたら非常にヤバいかも……
 
 
 
・宙のデジモン調査ファイル

 なんと今回は無し!! 配信版ではあったりするのかな!
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「すまねえ、俺はここまでだ! 死ぬなよ!」(セーバードラモン)
 
 ブルムロードモンの強さを肌で感じてか、その場を離れるまぎわに。
 賢明な判断です。一言あっただけ好感度が高い。
 
 
「これまで黒く侵蝕されたデジモンを、何体も倒してきたのだ!
 貴様たちなど敵ではない!」(ブルムロードモン)

 
 シリウスモンと鍔迫り合いしながら。
 実際、宙たちが戦ったデジモンの中では三本の指に入る強さです。
 
 
「そりゃガンマモンみたいなのだろ? 平気、平気!」(コタロウ)
 
 デジモンたちの起こす混乱を収めようと行動を開始した際、不安をこぼす深津に。
 一周回って感心するほどの楽天ぶりです。
  
 
「オレは強ぇぜ? 兄貴の力借りなくてもなぁ…!」(グルスガンマモン)
 
 レグルスモンへの進化直前のセリフ。溢れんばかりの自信です。
 このままでも強すぎる印象しかないのに、さらに上乗せされることになり……
 
 
「この世には二択しかねぇ。食うか…食われるかだ!」(レグルスモン)
 
 このセリフと共に、猛然とブルムロードモンへ襲いかかります。
 強ければ生き、弱ければ死ぬ。これが彼の基本的な考え方であり絶対的規範のようです。
 彼の目指す世界には、自由も文化も存在し得ないのでしょう。
 それは、果たして進歩と呼べるのでしょうか……
 
 
「もうガンマモンはいない……
 でもせめて、瑠璃や先輩たちと人間の世界に帰りたい! 俺と…シンクロしよう!」(宙)

 
 レグルスモンへの提案。天ノ河宙、一世一代の大芝居です。
 力に執着するレグルスモンの性格を見抜いての賭けでした。
 
 
「やっと取り戻した俺の体が…! ヒロ! 騙しやがったなぁ!」(レグルスモン)
 
 騙されてガンマモンと二分されてしまったことに怒って。
 そもそもガンマモンを騙して乗っ取ったようなものなのに、ちょっとカッコ悪いです。
 とはいえ彼が出てきた時って、他にどうしようもない局面ばかりだったのですが。
 
 
「お前たちは悪しきものではないようだ……
 だが、まだ味方になったわけではない」(ブルムロードモン)

 
 宙たちを解放して。すごいツンデレ台詞です。
 後の宙のセリフにも特に反駁しなかったので、警戒はしてるけど
 この場をなんとかできればもう通すことはやぶさかじゃない感じですね。
 
 
「やれやれ、焼け石に水だぜっ!」(クロックモン)
 
 人間界の混乱を収めるために奔走しながら。文句は言いつつよく働きます。
 一話からは考えられないぐらいに良い味を出すやつになりました。
 
 
「ちょいと負けてるフリすりゃあ、すぐ引っ掛かりやがる……
 ククヒヒヒ…ヒャハハハハハハハ!」(レグルスモン)

 
 シリウスモンを隠していた技「ゲニアス」で返り討ちにして。
 わざと隙を作ってカウンターを取ったのです。もはや完全なラスボスムーブ。
 沢城さんの演技がずっと物凄いですね。
 
 
 
 
★次回予告

 とても最終話とは思えないサブタイです。
 映っているのは大半、ガンマモンが見た幻視なのでしょうけど。
 さあて、どう戦い抜いてくれますかね。