黒ノ決死圏
脚本:佐藤寿昭 演出:池田洋子
作画監督:北野幸広/酒井夏海/村山綾音
総作画監督:二階堂渥志
★あらすじ
突如、デジモン達がデジタルワールドの存在を感じられなくなった──
いったい何が起きているのか、北斗やテリアモン、バクモンらから情報を得、
さらにクズハモンの力を借りて宙たちはかの世界のコンパイラ大森林へ向かいます。
やって来てみれば、異様な黒色に浸食された不気味な環境。
戸惑いながら進む宙たちでしたが、清司郎の様子がおかしくなり始めます。
謎の巨大花の花粉を吸い、何者かに操られていたのです。
テスラジェリーモンや瑠璃たちも彼に誘導され、花粉を受けてしまいました。
こうなると最後には花に変えられ、養分として取り込まれてしまうのです。
ラフレシモンの仕業でした。真っ黒に浸食され、完全に凶暴化しています。
残る宙とエスピモンにも危機が迫る中、孤軍奮闘を強いられるシリウスモン。
ついに彼らも取り込まれてしまいますが、その途端ラフレシモンに異変が。
取り込んだ宙達やデジモン達を吐き出した彼女は、そのまま消滅してしまいます。
シリウスモンの中に潜むグルスガンマモンの要素が、何かを仕掛けたのです。
その後、セーバードラモンら解放されたデジモン達の案内でやってきた場所。
そこは、デジタルワールドの異変を報せた何者かが住まうという巨大都市でした。
しかし進む彼らの前に、番人と思しきブルムロードモンが立ちはだかり──
★全体印象
65話です。サブタイは「ミクロの決死圏」の捩りでしょうか。
前回からほぼ直接の続きとなる内容。これは本作初といえる状況です。
さらに新顔のテリアモンに加え人間・デジモン問わず以前のゲスト達が多数出演し、
いよいよ迫りつつある最終局面を強調してくれていました。
その一方、ずっとガンマモンの中に潜んでいたグルスガンマモンの謎が
ようやく明かされそうな流れになってきました。まさかここまで引っ張るとは。
ラストシーンではさらにブルムロードモンが登場し、その中の人も含め
いったい何が起き、何が起ころうとしているのかという期待と不安を煽ってくれます。
ところが何としたことか、ここへ来て2週もの休止が立ちはだかりました。
番組表によれば来週は東京マラソンだそうです。再来週は名古屋ウィメンズマラソンなので、
2週連続でマラソン番組に跳ね飛ばされることになるというわけです。
ようやく本筋がうねり始めたというのに、なんというタイミングの悪さでしょう。
そういえば前々番組である「鬼太郎(6期)」も最終局面を前に2週の休止が入りましたっけ。
あっちは休止のあとに急展開という流れになったからまだマシだったんですが。
なんというか……毎週定刻に流した方が間違いなく盛り上がることは証明されてますけど、
これだけ視聴方法が多様になっていることを考えると「別の番組の都合で一方的に休止」
という形はもうそろそろどうにかした方がいいんじゃないかと思わされますね。
それ以前に自転車操業的な制作事情もどうにかした方がいいんですけど。
脚本は佐藤寿昭さん。
そういえば以前にセーバードラモンが出た20話もこの方の担当でしたね。
★キャラなど個別印象
・宙
ずっと行方不明だった父が帰ってきたんですが、びっくりするぐらい冷静です。
無事だということはたびたび確認してたし、急に出て来た件には驚いていたけど
感動の再会と洒落込むにはなんかお互い淡白すぎる雰囲気でした。
まあこの親子、割にそーゆーとこありますが。
戦闘ではろくにパートナーのフォローができぬままでした。
結果、グルスガンマモンの因子が表に出てきやすくなった感はあります。
・ガンマモン → ベテルガンマモン → シリウスモン
ベテルガンマモンはほぼデジタルワールド突入のための形態。
カノーヴァイスモンも一瞬出て来ますが、すぐ究極体になったのでノーカンです。
この完全体が一番長く第一線を張ってたんですが、最近はさすがに力不足が目立ちますね。
戦闘では初見殺しの塊みたいなラフレシモンに大苦戦を強いられ、一度は取り込まれてます。
その後の展開はなんかデジモンというより鬼太郎みたいでしたけど。
・グルスガンマモン
孤立無援のシリウスモンを唆すように力を発揮し、ラフレシモンを内側から攻撃。
宙たちや取り込まれたデジモンたちを吐き出させ、彼女自身にも致命傷を与えました。
表に出きってすらいない状態でこんな真似をするとは、相変わらず底が知れません。
・瑠璃組
決意を固めてDW決死行に同行するも、ラフレシモン相手には何もできずでした。
アンゴラモンは瑠璃を守るといつも宣言してますが、割と守れてないのが悲しいところですね。
連続エピソードに突入してるのでアンゴラポエムもなく、緊迫が続きます。
・清司郎組
清司郎が最初にラフレシモンの花粉にやられてしまったので、いきなりいいところ無しでした。
予告だとむしろ彼が一番目立ってたんですが……
・エスピモン → ホバーエスピモン
成熟期の姿で宙とベテルガンマモンを乗せ、DWへ同行しました。すっかりメインメンバーです。
が、ラフレシモン相手には彼も何もできてません。
この場合は相手と状況が悪すぎたので仕方ないとも言えますが。
結局なんであんなに頑張って「アマノカワヒロ」を探してたのかよくわからないままです。
このまま有耶無耶になるんでしょうか。
・北斗
本格登場を引っ張るだけ引っ張ったあげく、特に大した情報を持ってこなかった人。
というか、宙たちの質問にはほとんどバクモンとテリアモンが答えてるような状態です。
聞く限りホントに事故で跳ばされただけらしく、向こうでなんかしてた風でもなし。
おまけにブラックテイルモンUver.とも大した繋がりがない模様。
デジヴァイスVの機能をあんまり把握してないような発言もあり、不安にさせられます。
じゃあ何をさせるために長いこと向こうに行ってたのか、ひどくボンヤリしてますね。
実はまだ話してない何かがあるのか、それともただのお調子者なのか……
・テリアモン助手
白衣を纏ったテリアモン。いつの間にやら北斗の助手みたいになっていたそうです。
前回が初登場なので、一緒に何をしていたのかなどは現状のところ一切不明。
進化できるかどうかも不明と、現状では謎の多い存在です。
その一方でデジタルゲートの開き方を教えてくれたり、北斗より頼りになります。
しかしその彼ともども人間界に取り残されてしまい、デジタルワールドへは行けていません。
中の人は多田葵さん。なんと「テイマーズ」以来のオリジナルキャストです。
もともとは舞台出身の子役、2000年代からはシンガーソングライター業を始めており
声優業は数えるほどしかこなしていない方なため、実に久しぶりのアニメ出演となりました。
・バクモン
57話以来の登場。なんとデジタルワールドへ人間が安全に行く方法を把握していました。
ボコモン先生からまだ時期尚早であると口止めされていたのだそうです。
デジモンと一緒じゃないと無理ってことなら、ウソってわけじゃないのかもですが。
・コタロウ達
「りるるん」こと瑠璃が宙の知り合いで、しかも何やら懇々と話し合ってると知り
様子を窺っていました。その後、人間界に残された北斗と対面しています。
その際のパパのニヤケ顔からして、まだ出番はありそう。
・エマ
47話以来の登場。
ネットが使えないため、公衆電話で清司郎と連絡を取り合っていました。
この際、空を飛ぶヒポグリフォモンの姿を目撃しています。
・エアドラモン / ギンリュウモン
セリフなしでちょっとだけ登場。DW行きには同行していません。
まあ、あのゲートの規模からすると彼らの体躯ではどのみち通れなかった気もしますが……
・マミーモン
帰還した北斗の診察をしていました。至って健康体だそうです。
何かと出番の多いデジモンですし、北斗組が人間界に残ったのならまだ見せ場があるかも。
・クズハモン
どうやってゲートを開くか思案していた宙たちの前に突然現れ、助力を申し出ました。
自らの巫力を使って空間に穴を穿ち、そこにゲートを開くという力業をもって
宙たちをデジタルワールドへ向かわせるという大きな役割を果たしています。
こういうことをさせるには最適の人選かもしれません。
しかし彼女の力をもってしても長くはゲートを保てず、最後に向かおうとした北斗たちは
間に合わず締め出されてしまいました。即座の再展開は無理みたいです。
というか、デジヴァイスVを介さないといけないなら彼女だけじゃ無理でしょう。
さて、まだ見せ場はあるでしょうか。
・その他のデジモンたち
突然デジタルワールドの存在を感じられなくなり、不安に駆られている者が多くみられます。
また最近放り出されたと思しき個体が複数おり、その中でも体の大きなものは
ニュースへ大々的に取り上げられ少しずつパニックが広がりつつあります。
またセーバードラモンもほぼ一年ぶりに再登場しますが、ダークリザモンは……
ジャンボガメモンはなにげにアニメ初登場でしょうか。
怪獣総進撃みたいで視聴者的にはワクワクしますが、当事者はそれどころじゃないでしょう。
・ラフレシモン
究極体の妖精型デジモン。アニメ初登場です。
設定によると名の通り異臭を放ちつつも美しい容姿を備え、数日しか活動できない境遇でも
それを嘆くことなく生き抜くという誇り高いデジモンと言われています。
確かロゼモンとロトスモンの合体形態なのですが、その設定が使われたケースは確認できません。
しかしデジタルワールドに蔓延する「黒化現象」とでも呼ぶべきものはクワガーモンや
おとなしいはずのブラキモンに加え、誇り高い彼女ですらも変質させてしまうらしく、
永遠の命を維持するために花粉で他のデジモンや人間を誘引し、花に変えて取り込むという
悪鬼のようなデジモンに変貌してしまいました。生き方そのものが歪んでいます。
その特性は初見殺しそのもので、最初に花粉を浴びた清司郎はあっという間に操られてしまい
テスラジェリーモンを騙して花粉に侵し、瑠璃たちをも同じ憂き目に遭わせてしまいます。
宙たちが異常に気づいた時にはすでに遅く、シリウスモンの孤立無援にまで追い込まれています。
さらに、正面切っての戦いでもシリウスモンと互角以上。
ただでさえ花粉を浴びればアウトなのですが、シリウスモンが宙たちに気を取られたのもあり
彼らをあわや全滅というところまで追い詰めました。
が、グルスガンマモンの要素を目醒めさせたシリウスモンを取り込んだことが運の尽き。
内部からズタズタにされて取り込んだ命をすべて吐き出し、自らも消滅してしまいました。
その際の様子からみて、死の恐怖から逃れたいという気持ちが増幅していた可能性があります。
あまりにもヤバい存在で、人間界に現れなかったことは幸いと言うしかありません。
設定通りならごく最近生まれたばかりで、その後すぐ黒化現象に巻き込まれたのでしょうけど。
中の人は渡辺明乃さん。デジモン初出演です。
少年役も得意としていますが、その本領は姉御肌の女傑。近年ますますその印象が強まってます。
「新幹線変形ロボ シンカリオン」のスザクや「ダンまち」シリーズのアイシャ・ベルカ、
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」のキシリア・ザビなどはその典型でしょう。
・ブルムロードモン
究極体の妖精型デジモン。ラストシーンに登場します。
宙たちが訪れた謎の都市で番人をしており、何かを守っているような言動を取りました。
何を守っているのかは不明ですが、予告を見る限り相当強そうです。
こっから3週待たされるのかぁ……
中の人はなんと池田秀一さん。説明するまでもないぐらい著名な大御所声優さんです。
代表作は言わずと知れた赤い彗星シャア・アズナブル。他にも重要キャラを多数演ってます。
このキャストも強大さの演出に一役買っていますね。
・宙のデジモン調査ファイル
ラフレシモンの紹介。
本編ではずっと黒かったので、本来の色を見られるのはここだけです。
アニメ初登場でメチャメチャ強い扱いだったけど、このあたりはなんとも微妙ですね。
★名(迷)セリフ
「お! まだこれしてるんだな! ほら、これ! 俺のソデ!」(北斗)
ガンマモンの首元を見て。
これはこれで73へぇぐらいある事実だけど聞きたいことはそれじゃねえ。
「デジモンが黒くなるとね、ウガー! って、他のデジモンを襲うんだよ」(テリアモン助手)
デジタルワールドを覆う謎の黒化現象についての説明、の一節。
待てよ、グルスガンマモンが現れるたびに黒いデジモンが出てきていたのって……
「きっと、今がボコモン先生の言う”その時”だ…!」(宙)
パートナーと一緒ならDWに行けることを伏せていたボコモン先生の意志を受けて。
先生が生きていても、きっと同じことを言うであろう状況ではありますね。
「そうね…… デジタルワールドにあたしのピッタリ、あるかもしれないし!」(瑠璃)
宙のセリフを受けて。彼女らしいです。
「はあ〜ぁ……
このままアナログな世界でゲームやアニメがない生活なんて、僕には耐えられない、
ですからね……」(清司郎)
瑠璃に続いて。だいぶ弱気ですが、これでも腹を括っています。
ある意味いちばん切実。
「……ん? ぬふふふ……」(北斗)
扉の裏で様子を伺っていたコタロウや深津らを見つけて。
明らかに何か企んでいます。息子と逆の立場になりましたが、残ったことには意味があるはず。
「品のない…… 誰に向かって言っているのかしら?」(ラフレシモン)
突っ込んでくるシリウスモンに。プライドの高さが垣間見えます。
本来のラフレシモンも、礼儀と品格のない相手には容赦しないのでしょう。
「弟だろ? 兄貴たちを守ってやんなきゃなぁ……?」(グルスガンマモン)
ラフレシモンに取り込まれかけるシリウスモンに囁いて。
これを受け入れたシリウスモンが変化した花は、ラフレシモンの中で黒色に変わっていました。
これが毒のような形で致命的なものをもたらしたのかもしれません。
「そんな…わたくしは、永遠に……最後まで、生き残りたいのに…!」(ラフレシモン)
消滅してゆく己に狼狽して。恐怖に慄いているセリフです。
最後まで、とは何を意味するのでしょう。この世界そのものの滅びを悟っていたのでしょうか。
「また会うとはな……」(セーバードラモン)
案内役として同行中、宙に。本当に意外なところで再登場しました。
しかも、ブルムロードモンのいる大都市までついてきてくれています。
そのぶん次回での安否が気がかりですが……
ダークリザモンも死んだとは限らないので、健在を祈りたいところです。
「この先…… 一歩たりとも立ち入らせぬ!」(ブルムロードモン)
宙たちの前に仁王立ちして。一発でわかりました。こ、こいつは強そうだ……
★次回予告
ブルムロードモンさんが強さを見せつけるようですが、問題はサブタイ。
これ、まさかラスボスはガンマモン自身じゃないでしょうね……?