暴食
脚本:十川誠志 絵コンテ:福岡大生 演出:松川朋弘
作画監督:澤木巳登理/直井正博/Noel_Añonuevo/Eugene_Ayson/
徐易/顾斌/冨田恵里沙/北野幸広
総作画監督:金久保典江
★あらすじ
アオイやミカと一緒にスイーツバイキングへ出かけた瑠璃。
その日から彼女はしだいに異様な食欲を示し、口と体までもが変形しはじめます。
最後にはその体から謎のデジモンが抜け出し、空へと飛び去ってゆきます。
なんと、クオーツモンの分身が彼女に取り憑いていたのでした。
宙たちが追ってゆくと、他にも無数の分身が本体のもとへと回収されてゆきます。
一方、生命力を奪われた瑠璃は危険な状態へ陥っていました。
矢も盾もたまらず彼女を連れて合流してきたアンゴラモンを見て、宙たちの闘志が爆発。
究極進化をもってクオーツモンを追い詰めるのですが、そこで意外な事実が発覚しました。
実はクオーツモンは大量の幼年期デジモンを体内に匿っており、その糧とするため
人に分身を取り憑かせて大量の食物を摂らせ、エネルギーとして回収していたのです。
しかし宿主でもある人間の生命力までも奪ってしまったため、大事件に発展したのでした。
アンゴラモンの説得を受け、瑠璃たちに生命力を返還するクオーツモン。
一安心する宙たちのもとへ、クロックモンとエアドラモンが急を報せに来ました。
デジタルワールドから、デジモンたちが物凄い勢いで渡ってきているというのです……
★全体印象
63話です。
先日「逃走中 グレートミッション 」の放送開始日時が発表となり、これによって
本作の放映期間が3月までであると正式に確定しました。
つまり、今回を除けば残り5話ということになります。長いようで短かったな……
「暴食」というタイトルからさてはベルゼブモンか、いやいやベルスターモンだ、
ひょっとしてば〜ぷモンか!? と色々な予想が飛び交っていましたが、
蓋を開けてみたらよもやのクオーツモンだったというオチでした。
これを予想していた人は一人ぐらいしか見かけてません。
このクオーツモンの動機が利他的なものだったというのが二段目のオチなんですが、
それが明かされた後のテンションの萎みっぷり含め実に本作らしいお話とも言えます。
良くも悪くもこういうところはずっとブレませんね。
で、あらすじに書いた通りようやく本筋が重い腰を上げそうな雰囲気。
とはいっても本格的に走り始めるのは3月になってからかもしれませんが……
実は大筋面でそんなにやらなきゃいけないことは無いので、そこまで無理はないかと。
脚本は52話以来となる十川誠志さん。こっからは登板が増えるかもしれません。
他のメインスタッフに特に新顔はなし。さすがに今から参加はしづらいでしょう。
★キャラなど個別印象
・宙組
事件を追いかける役に徹しており、キャラ描写は薄い扱い。
本作は割にこういうところがあります。怪異描写がメインで他はサブというか。
上にも書きましたけど、そういう意味では一貫してると言えますな。
一方で戦闘では活躍しており、ここ最近にしては完全体での行動も多め。
カウスガンマモンからの進化バンクが出たのも久しぶりです。
・瑠璃組
瑠璃がクオーツモンの分身に憑かれてさんざん食い散らかした上、生命力を吸われて
後半はほとんどダウンしてたので戦闘面での活躍はなし。
ただし、クオーツモンの決断を促したのは彼女とアンゴラモンの訴えによるものです。
戦闘とは違うところで貢献したと言えるでしょうか。
地味に印象的なのが、瑠璃を破片から庇うアンゴラモンの場面。
瑠璃のことを本当に大切に思っていることが伝わってきます。
ぶん投げる場面もあったけど瑠璃の方が普通じゃない状態だし、不可抗力でしょう。
・清司郎組
だいたい宙組に準ずる扱い。
今回の寮長はなにげにかなり頑張ってたかもしれません。ビビってる場合じゃなかったし、
瑠璃を救うためスイッチが入ったようになってからは凛々しい表情も見せています。
今回でアンフィモンは早くも三度目の登場ですが、ちゃんと活躍したのは二度目。
決め手はシリウスモンに譲ってますが「アクアザンバー」でクオーツモンに痛手を与えてます。
・エスピモン
もはや当たり前のように宙たちといっしょに行動しています。
ホバーエスピモンにもさっそく二度目の進化を果たし、清司郎を乗せて行動してました。
体が大きくなるからこそできる芸当ですね。ちょっと乗りづらそうだけど。
あの、ところでアナタ結局なんで宙を探してたんスか……?
・アオイ / ミカ
本編序盤で瑠璃とともにスイーツバイキングを堪能していました。
出番はそれだけで、事件に巻き込まれたり関わったりはしていません。
結局エスピモンはアオイの家に出入りしてるんでしょうか、遠慮したんでしょうか……
・マミーモン
倒れた瑠璃を診察するポジションで登場しました。この位置に収まって久しいです。
ただし58話と違って後半まで関わってはおらず、アンゴラモンが瑠璃を連れ出したあとは
特に出番らしいものはありません。まあ妥当な流れですが。
・クオーツモン
種族不明の究極体デジモン。属性も不明です。
もともとは「クロスウォーズ」の「時を駆ける少年ハンターたち」編のラスボスであり、
最上リョウマのパートナー・アスタモンにずっと取り憑いてそのフリをし続けていた上、
彼を利用してタイキに重傷を負わせたシリーズ稀に見る外道としても知られた存在。
今回はしかし突然人間の世界に放り出され満足な食事もできずにいた幼年期たちを保護し、
人間たちに分身を憑かせて食物を過剰摂取させてから回収、エネルギーとして分け与えるという
手段こそエグいながらも動機としては同胞の食糧確保という善意からのものでした。
手段こそエグいけど、キャラ的にはクロスウォーズの個体と真逆でさえあります。
だったらそれを最初に言えよ、ってなるんですけど。
まあ彼の場合本当にいきなり、それも最近のことで人間界のことは何ひとつわからないまま、
それでも同胞を食わせねばならない中、自分にできることをと思いついた方法がこれなのかも。
人間の生命維持に関わるレベルまで持っていってしまったのは加減がわからないからであって、
別に悪意からではなかったようですし。返したぶんエネルギーが減るから躊躇はしてましたが。
事は一刻を争うということで、手段を選んでられる状況でもなかったのでしょう。
たぶん。
でも途中までえらく悪役っぽいセリフ回しだったし、ぶっちゃけ分かりにくいです。
オレはこいつらを食わせないとならねーんだよ! ってカミングアウトしていなかったら
いったいどうなっていたことか……
本作のデジモン達は思い込みが激しいといつか書きましたけど、その極みみたいな存在ですよ。
細かいこと考えてる余裕は本当になかったのかもしれないけど、もうちょっとさぁ……
中の人は小杉十郎太さん。
「クロスウォーズ」でただの貴族ことダークナイトモンを演じていた方です。
つまりダークナイトモンの人がクオーツモンを演じるという、なんとも奇妙な状態。
小杉さんは終始味方なチンロンモンも演ってるので、割と絶妙なキャスティングでもありますが。
・幼年期デジモンたち
クオーツモンが保護していた子たちです。メチャメチャ大勢います。
あるいは、クオーツモンが司っていたコミュニティの子供たちなのかもしれません。
なんとしてでも護らなければならない、という切迫が事件の原因だったわけですね。
今後は宙たちはじめ、あちこちのデジモンらが手分けして世話をすることになりそうですが
どうやらその前に解決しなければならない問題がありそうです。
・クロックモン / エアドラモン
宙たちへ急を報せにやって来ました。
前者に関しては、各コミュニティへの繋ぎ役としてすっかりお馴染みになりました。
そういえば、エアドラモンもこのクロックモンの紹介でセミレギュラーになったんでしたね。
……そういえばギンリュウモンは今どこにいるんだろう。
・宙のデジモン調査ファイル
クオーツモンの紹介。そこから二口女の話に繋げるとは思いませんでした。
今回の流れに沿ってはいるけど。
寮長のリアクションは毎度毎度笑わせてくれますが、それももうすぐ見納めか……
★名(迷)セリフ
「なんか…一個だけガリッて……」(瑠璃)
スイーツバイキング堪能中に。だいたいの発端です。
後半も繰り返されるせいか妙に頭に残るセリフ。
「スイーツは別腹よ♪」(瑠璃)
普通なら食べない時間帯にドーナツを大量摂取しながら。
お約束のセリフですが、この時点ですでに異常が始まっていました。
「だったらあんたを食う!」(瑠璃)
部屋からの脱出を止めようとする宙に。
止めてなかったら飛び出して売り物だろうとなんだろうと食い散らかすのは必至、
止めるのも当然なんですが危うく取り返しがつかなくなるところでした。
「人をモノみたいに投げないでください!」(清司郎)
テスラジェリーモンにホバーエスピモンの上へぶん投げられたことへの抗議。
ちゃんと狙って投げたんでしょーけど、文句の一つも言いたくはなるでしょうね。
そもそもホバーエスピモンの背中って滑りそうなんだよな……
「貴様らの鈍重な時の使用法では、我にかないはせぬ!」(クオーツモン)
カノーヴァイスモンらの攻撃をものともせずに。無駄に悪役ムーブです。
「テティスモン…!」
「ええ…! 絶対…!」
「月夜野さんを…!」
「助けるっ!」
「(カノーヴァイスモン / テティスモン / 清司郎 / 宙)
弱りきった瑠璃を見て。
決意が一気呵成に戦意を高め、究極進化へと繋がってゆきます。
彼らのような手合いが一番強さを発揮するのは、まさにこういう時でしょう。
「かかってきなさい!」(アンフィモン)
クオーツモンと対峙して。なんとエセ外国人キャラな喋りではありません。
アレはポーズであって、マジになるとこーゆー口調になるのかもしれませんね。
緊張が解けたあとは元に戻ってます。
「では…この子らはどうなる!」(クオーツモン)
アンゴラモンの懇願への反駁。
開いた腹の中には、大量の幼年期デジモン達が保護されていました。
ここを折り返し地点に、戦いのテンションは急激に沈静化してゆきます。
いやだからホント先に言えよ、と思わされる場面。
「幸せは満腹にあらず。
もっとも良きは腹八分目……かな」(アンゴラモン)
生命力を返還され、持ち直した瑠璃に。今回のアンゴラポエムです。
危機を乗り越えてホッと一息、を象徴してもいました。
「デジモンたちが、すげえ勢いでこっちの世界に来てる!
誰かが、人間の世界に逃げるように言ってるらしい!」(クロックモン)
ラスト手前。
デジモン達を送り込んでるのと、避難を呼びかけている者は同じなのでしょうか?
北斗パパはそこにどのように関わってるのでしょう? ここへ来て謎が増えてます。
しかし宙さん、アナタ「あやつ」のこと外部に黙ってたんスか…?
無用な混乱を招きたくはなかったんでしょうけど……
★次回予告
これまたそのままズバリ、なサブタイですね。
クティーラモンを出したのって、まさかこの回のための前フリだったんでしょうか?
だとすると、ダゴモンじゃなくて新規デジモンが出てきたりするのかも……