ヨミガエリ
脚本:森地夏美 絵コンテ:鈴木正男 演出:野呂彩芳
作画監督:仲條久美/村山綾音/酒井夏海/信実節子
★あらすじ
瑠璃の友人である琴葉に相談を受け、彼女の家にやってきた宙たち。
そこには、ひとりの女性の遺体がありました。
琴葉の兄・透の婚約者であり、事故で亡くなったはずの真実という女性の遺体です。
しかし死後10日も経過している割に、その遺体は綺麗なままでした。
そのうえ、この遺体が夜になると動き出すというのです。
果たして宙たちが見張る中、透が帰宅すると本当に愛美が動き出します。
が、その様子は明らかに生者のそれではありませんでした。
透もまた常軌を逸した状態であり、琴葉の話を聞こうとしません。
その時、家の外に大量のイビルモンやツメモン達が。
さらに愛美が透、琴葉、そして清司郎から精気を吸い取ってしまいます。
飛び出した彼女の中から現れたのは、なんとズィードミレニアモン。
すべては厄災そのものといわれる、このデジモンの仕業でした。
偶然愛美の体に入り込んだムーン・ミレニアモンが本人のふりをし、
透から復活のためのエネルギーを少しずつ吸収していたのです。
恐るべきズィードミレニアモンの中から、愛美の声が語りかけてきます。
他ならぬ彼女のいる場所こそが、この怪物の唯一の弱点でした。
意を決した宙たちは、そこへ集中攻撃をかけます。
隠して、復活を目の前にズィードミレニアモンは葬り去られました。
死をも超えて愛する人を守ろうとした、ひとりの気高い女性の魂とともに──
眠りについたムーン・ミレニアモンは、宙が預かることになりました。
はてさて果たしてこの顛末、吉と出るか凶と出るか。
★全体印象
61話です。
予想通り、今回からOPにアンフィモンが追加されました。
3月12日に名古屋ウィメンズマラソンの放映がある関係で休止するはずなので、
それを考慮した上で春までとすると全68話ってことになるでしょうか。
:より1話多いので、単独作品としてはクロスウォーズに次ぐ話数となりそうです。
本来は72話になるはずだったんでしょうけど…不正アクセスさえなければ……
さて予告では死者蘇生にばかり目がいってましたが、そこは本作というべきか
まさかのズィードミレニアモンが飛び出して度肝を抜かされています。
全員揃ってても勝てるかどうか怪しそうなヤツをポンと出してくるとは……
ちょっと前までの戦力だったら詰んでましたぞコレ。
が、上記の通り愛美の死を超えた助力でなんとか被害を最小限に抑えてます。
ムーン・ミレニアモンが宙の手元に残ったことは何を意味するのでしょう。
最終盤へ向けての布石に見えてなりませんが……
布石といえば、エスピモンも己の力不足にアピールを強めてますね。さてはて。
脚本は森地夏美さん。
メインスタッフに新顔はいませんが、51話同様に総作監が置かれていません。
★キャラなど個別印象
・宙組
どちらかというとゲストが主体の回なので、彼ら自身は解決役に徹していました。
また相手が厄災そのものというのもあって、珍しく殺傷モードで決めています。
まあ、持てる最大の力で攻撃するってのはそういうことなんですけどね。
・瑠璃組
瑠璃の友人が発端という以外は、だいたい宙組と同じ立ち位置。
ディルビットモンに関しては「ボルジャーグ」を初披露しています。
どうやらこれが火力では最大ということみたいですね。
なお今回はアンゴラポエムが無い数少ない回のひとつです。
さすがに時と場合は弁えております。
・清司郎組
コトが死体絡みとあって、寮長がいつもより余計にビビっております。
前回活躍した影響か、その清司郎が精気を吸われてしまい戦闘には不参加。
このため、ジェリーモンは透の抑え役に専念しています。
・エスピモン
前回と違って今回は宙たちと行動を共にしていました。
が、相手が悪すぎて逃げ回るだけでも精一杯になってしまっています。
最近このようなケースが増えてきたからか、進化を望むようになってきてますね。
実際、せめて成熟期になれればもう少し貢献できるのでしょうけど……
・琴葉
瑠璃の友人。彼女からの依頼が事件の始まりでした。
蓋を開けてみたら事件どころじゃない激ヤバ案件だったのですけど。
精気を吸われたまでで済んだのは不幸中の幸いです。結果的には元に戻ったし。
中の人は金元寿子さん。
「侵略! イカ娘」のイカ娘や「スマイルプリキュア!」の黄瀬やよい / キュアピース、
「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」のアトラ・ミクスタと可愛らしい役や
「美少女戦士セーラームーンCrystal」の水野亜美 / セーラーマーキュリーといった
理知的な役など、十代の少女を中心にメインキャラを歴任している人気声優さんです。
デジモンへの出演は:のナノモンからですけど、あちらの方が役としては異色ですね。
・透
下記に示す愛美の婚約者だった青年。
愛する人の死を受け入れきれずにいたところをムーン・ミレニアモンを宿して動き出した
愛美の遺体に惑わされ、復活のために生命力を吸われ続けていました。
生ける屍に近い状態の婚約者を愛でるなど常軌を逸した行動をとっていましたが、
それは精神にまで影響を受けてしまっていたからなのでしょう。
宙たちの前に現れたときには、彼自身も死人みたいな表情になっていました。
でも、それは愛美への深い愛情ゆえ。
彼女が本当に蘇ったわけではないと悟って項垂れる姿や、ズィードミレニアモン消滅後
本当の亡骸になってしまった愛美に縋り付いて号泣する様子が何よりの証拠です。
いま彼に必要なのは、きっと気持ちの整理に違いありません。
中の人は川田紳司さん。
「銀装騎攻オーディアン」の哉生優でいきなり主役をゲットして以来、
様々な作品で活躍している方です。デジモンには今回が初出演。
・愛美
故人。姓は神野で、マダリウス物理学研究所に勤務していた女性です。
最新のコンピュータを任され、頻発する時空の歪みについて調査している最中
突然飛び出してきたムーン・ミレニアモンに衝突し、帰らぬ人となったはずでした。
その遺体が入り込んだムーン・ミレニアモンによって透の目の前で動き出し、
不完全ながら生きているように振る舞うことで彼を騙していました。
彼女自身の記憶と、透の深い愛情が利用されたのです。
しかし、愛美自身の魂と呼ぶべき意識もまだそこにあったようです。
ズィードミレニアモンが復活したのに伴って、これが覚醒しました。
そして、自分が宿る場所を攻撃することが勝利の鍵だと告げています。
自らの意識の消滅を意味することであっても、躊躇いを見せていません。
きっと捨て鉢な気持ちではなく、透や琴葉を守る最善手がそれだと信じたから。
生前、彼女は時空の歪みという異変の解明に燃えていました。
責任感と実行力に溢れ、やると決めたら迷わない人だったのでしょう。
その強い心が死をも超越し、愛する者の暮らす世界を守ったのかもしれません。
中の人は折笠富美子さん。
言うまでもありませんが「デジモンテイマーズ」の牧野留姫役で知られている方です。
留姫以外では「BLEACH」の朽木ルキアや「あたしンち」の立花みかんが著名。
琴葉の中の人同様に「スイートプリキュア♪」南野奏 / キュアリズム役として
プリキュア経験もあるお方です。なんか今回は(今回も?)豪華ですね。
ちなみに奏の弟・南野奏太の中の人はエスピモンの小林由美子さんだったり。
・ズィードミレニアモン
究極体の邪神型デジモン。
愛美の中に宿っていたムーン・ミレニアモンが精気を得て復活した姿です。
:からの連続出演ですが、ミレニアモンの第二形態みたいな扱いだったあちらと異なり
ムーンからの復活という形なので概ね設定に近い位置付けとなっていました。
意外すぎる登場で、初見時には思わず声を上げて驚いてしまったもの。
復活したてでもその戦闘力は健在で、完全体のままでは太刀打ちができず
シリウスモンとディルビットモンの同時展開でやっと勝負になるかどうかというところ。
加えて上空に暗黒の穴を開け、すべてのものを滅ぼそうとしています。
問答無用で破滅をもたらそうとする、正しく厄災そのものと言える存在。
しかし人間を媒体としたことが仇となり、愛美の存在が核のようになっていました。
彼女が宿る箇所を集中攻撃されたことで、自壊するように斃れています。
もし完全復活していたら、仮にアンフィモンが参戦できていてもキツかったかも。
ミレニアモン系には20年を経てなお、それぐらいの恐ろしさがあると思います。
なお、なぜ愛美と衝突するほどの勢いで現れたのかは一切不明。
その時点で人間から精気を集めないといけないほど弱っていたということは、
実は何者かに致命傷を受けて逃げる最中だったのでしょうか?
そんなことは全くなくてただの偶然、事故なのかもしれませんけど。
事件の後はムーン・ミレニアモンの姿に戻り、そのまま眠りについています。
手に乗るぐらいの大きさでしたが、もともとそれぐらいの大きさだったのかも。
この存在が宙の手元に残ったコトが後にどう繋がるのか、注目したいですね。
唸り声しかあげてませんが一応中の人はおりまして、谷昌樹さんです。
ほぼ吹き替えにメイン軸を置いてますが、アニメ出演もたまにやっているようです。
ニチアサ的には「宇宙戦隊キュウレンジャー」のドン・アルマゲや
「デリシャスパーティ♡プリキュア」マイラ王女の執事、ゲンマの中の人ですね。
一応ベテランを呼んだってことかな…? 唸り声しか上げてないけど。
・ツメモン、イビルモン
ムーン・ミレニアモンの存在に引かれて集まってきた邪悪なデジモンたち。
彼らが琴葉の家に集まってきたことで、住む者に悪夢を見せていました。
意図は不明です。結果的にそうなってしまうだけという可能性も。
ズィードミレニアモンが斃れた後は散り散りとなり、どこかへ姿を消しています。
電灯に群がる虫のようなもので、必要以上に気にする必要はないのかもしれません。
・ブラックテイルモンUver.
ラスト手前にちょっとだけ登場。
ムーン・ミレニアモンを宙が預かると決めたのを受け、その意志を尊重したのか
姿を見せることなく去ってゆきました。果たして彼らと真相の関わりは……
・宙のデジモン調査ファイル
ズィードミレニアモンの紹介。
「ヒイィィィ! 迷わず成仏してください!」で申し訳ないけど笑っちゃいました。
★名(迷)セリフ
「ダーリンと同じ音…しないさ……」(ジェリーモン)
愛美の遺体に聴力を傾けて。
こういうセリフを言うってことは、清司郎の心音を聴いたことがあるんですね。
何かちょっと妙な想像を逞しくしてしまうセリフ。
なお、アンゴラモンならばわざわざ胸に耳を近づけなくてもわかるみたいです。
それはそうか。
「もうダメだ! ホントダメだ! 頼むから帰……」(清司郎)
悪夢や心霊現象を体験し、琴葉の話を聞いて。
いつも以上に気合の入った怖がり方ですが、直後ジェリーモンに阻止されます。
「ニンゲン、イッパイ……
ワタシ、モット…ゲンキニナル、ネ…… トオル、サン…!」(愛美?)
宙たちが姿を見せたのを受けて。
直後、いきなり透の精気を吸い取って琴葉と清司郎にまで魔手を伸ばします。
複数の人間から精気を奪い取れば復活が早まると考え、本性を露わにしたわけですね。
イビルモンたちはわざと怪奇現象を起こし、他の人間を呼び込んだのでしょうか。
「そんな、ズィードミレニアモン!?
データの屍から蘇ると言われているけど…まさか、人間の屍から…!」(アンゴラモン)
ズィードミレニアモンを見て。知っているのかアンゴラモン。
ってことは前にもコイツが現れて、誰かに討伐されたってことなんでしょうか。
そのことを文献などで見知っていたってことかな。
「方法がひとつだけあるわ。
本来コイツの体内にいないはずの私は、異物であり弱点……だから私を狙いなさい。
あなたたちの持てる最大の力で…!」
「ごめんなさい……
でも最後に絶対あなたを、琴葉ちゃんを、皆を守るから…!」(愛美)
死を超えた伝授。二つめは透へ向けてのセリフです。
愛する二人が暮らす世界を守るという、強い決意がなければ出ないセリフです。
いくら肉体が死んでいるといっても、意識の消滅が恐ろしくないはずがないのですから。
そんな強い魂を媒体としたことが、ズィードミレニアモン最大の弱点となったのです。
「…これは、俺が預かるよ」(宙)
眠りについたムーン・ミレニアモンを拾って。
ギュウキモンよりさらに危険な手合いですが、大丈夫なんでしょうか。
いざとなったらまた皆で止めればいいと言っているし、瑠璃たちも賛同してますけど……
「ヒロ…… マナ、旅立ったか?」
「うん…… そうだな」(宙とガンマモン)
今度こそ物言わぬ屍となった愛美を見て。
今回ほど「旅立った」という表現が似つかわしい状況は無いかもしれませんね。
「オイラも進化できてりゃなぁ……あ〜、ついてねぇ」(エスピモン)
ラストシーン。
ここまで来ると布石としてはだいぶ露骨な気がしてきますね。
★次回予告
これまた何者が絡んでくるのかわからない予告です。
鍵穴というモチーフからクラヴィスエンジェモンか? とも思ったんですが、
堕天使系以外の天使系が絡んできたことって今まで無いんスよね……