児雷也

脚本:中山智博 絵コンテ:福岡大生 演出:桐山貴央
作画監督:舘直樹/佐藤敏明/川口弘明
総作画監督:金久保典江

★あらすじ

 仕事先で相馬メルという女性に出会い、意気投合する清司郎。
 が、彼女と一緒に行ったご当地ヒーローショーに突如トノサマゲコモンが出現。
 「児雷也」を探しているというこのデジモンから周囲の人々を守るため、
 清司郎は自ら名乗り出て「児雷也」とならざるを得ませんでした。

 トノサマゲコモンは清司郎を連れ回し、犯罪者を次々とデジタルデータに分解。
 清司郎自身も徐々にその背中へ取り込まれ、最後には人面疽になってしまいます。
 駆けつけた宙たちも、彼らが取り込まれていては迂闊に手が出せません。
 手をこまねいているうち、時間制限によって進化が解除されてしまいます。

 一方的に叩きのめされ、怒りに我を忘れたかガンマモンはグルスガンマモンに進化。
 逆にトノサマゲコモンを叩きのめすのですが、このままでは中の人も巻き添えです。
 「ならばオレと”シンクロ”しろ」とグルスガンマモンは条件を出してきましたが、
 確証を持てない宙は首を縦に振ることができませんでした。

 そのとき、トノサマゲコモンの家臣であるゲコモンが間に入ります。
 彼の行動で清司郎たちは解放され、分解された人々も元に戻りました。
 グルスガンマモンは「時が近い」と謎めいた言葉を残して消えます。

 トノサマゲコモンたちは、一部始終を目撃したメルが預かることになりました。
 帰り際、宙はデジモンと人間との橋渡しというあり方に思いを巡らせるのでした。
 
 
 
 
★全体印象
 
 59話です。
 今回のモチーフはタイトル通り「児雷也」ひいては「大蝦蟇」。
 OPにディルビットモンが加わりました。アンフィモンの追加も近そうです。

 今回もまた本作の作風に沿っていちおう丸く収まっている?顛末なのですが、
 上記の通りグルスガンマモンが登場するという緊迫が放り込まれています。
 前回の登場が42話なのでまた相当スパンが空いた形。
 彼のセリフから、やはり最終話は近いらしいことが示唆された雰囲気ですね。

 また、相馬メルというゲストキャラも特徴的。
 デジモンの存在を受け入れ、トノサマゲコモンたちに場所を提供するというのは
 いちゲストとしては破格の存在です。詳しくは後述。

 ただ、グルスガンマモン周りについては結局なにも明かされていません。
 彼のいう「シンクロ」についても謎が深まっただけです。
 再登場は近いと思いますけど、そこで一気に開示する形で大丈夫なんでしょうか?

 脚本は中山智博さん。
 演出には新顔として桐山貴央さんの名前があります。
 アプモンの頃はまだ演出助手専任だったようなので、比較的若手なのかもしれません。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・宙組

 流れ上いちばん目立ってましたが、解決役というほどのことはできていません。
 というかトノサマゲコモンの中の人々を助ける手立てを見つけられないままだったので、
 グルスガンマモンの好きにさせていたら大変なことになってた可能性があります。

 グルスガンマモンは相変わらずの強さですが、今回ばかりは力での解決ができず
 極端な行動は宙が体を張って止めるしかありませんでした。
 ですが、いずれ「シンクロ」せざるを得ない時は出てきそうな感じ。
 今回はその前フリってところかもしれません。
 
 
 
・瑠璃組

 前回目立ってたので、今回はほとんど特筆点のない扱いです。まぁ仕方なし。
 42話と違ってポエムはちゃんと?あります。
 
 
 
・清司郎組

 相方がああいう状態になったので、ジェリーモンもまともに戦えていません。
 しかし清司郎の行動によって少なくともあの人数を巻き込まずには済んだので、
 そういう意味での貢献度は最も高いと思います。
 
 
 
・エスピモン

 清司郎と同伴するような形で仕事先を訪れ、そこで「本物の宙」探しをしてました。
 戦闘にも参加してますが、完全体以上となると正面からではどうにもなりません。
 57話のようなケースは横から不意をついたからできたことだし。

 そろそろ何を握ってるのか話してほしいですね……
 場合によっては「早く言え莫迦!」ってことになりかねませんぞ。
 
 
 
・エアドラモン / ギンリュウモン

 ほぼラストのみの登場。もはやタクシーです。
 
 
 
・相馬メル

 今回のゲストキャラにして、清司郎の仕事仲間。眼鏡と黒髪が印象的です。
 清司郎とは「同好の士」であり、あっという間に意気投合していました。
 また好奇心旺盛で、事件を追う宙たちをこっそり追いかけて顛末を目撃しています。
 グルスガンマモンも目撃したと思われ、これはたぶんゲストキャラ初。

 どうやら実家がメチャメチャ太いらしく、自宅もお城みたいにでかいです。
 それもあり、トノサマゲコモンとゲコモンに場所を提供する役を買って出ました。
 人外との生活を楽しみにすらしており、ある種たいへん豪胆な人物といえます。

 ただ、これは彼女だからできたことでしょう。
 それに、先にトノサマゲコモンへ取り込まれていた同僚が帰ってこなかったら
 事がスムーズに運ぶ事はなかったでしょう。今回は特別なケースと言えます。
 まあ、宙もそこのところは何となくわかってそうですが。知らんけど。

 中の人は中尾衣里さん。2000年代前半から活躍されている方です。
 アプモンでは虎次郎の母、飛鳥ジェニー役で出演していました。
 また偶然か否か「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」では妖怪アパートで妖怪と暮らす女性・
 夏美役として登板していたりもします。
 
 
 
・トノサマゲコモン

 完全体の両生類型デジモン。
 過去作では名前の通りに多数のゲコモンたちが周囲にいるお殿様でしたが、
 今回はなぜか一匹だけしか伴っていません。
 あるいは彼らだけが放り出されたケースなのかもしれませんが。

 なんらかの経緯で正義のヒーローである「児雷也」にかぶれており、
 人間を拉致しては背中に乗せ、夜な夜な犯罪者を「成敗」して回っていました。
 背中の人間は無理やり攫ってきたので当然協力的ではないのですが、
 拒絶の意志を示すほどその背中に取り込まれてゆくので逃げられないときています。
 トノサマゲコモン本人は気づいてません。

 そんな感じで何人もの人間を取り込んでしまっているため、迂闊に手が出せません。
 しかも「コブシトーン」を使ってデジタルデータに変換、分解した人間たちは
 彼自身でなければ元に戻せないので尚更です。
 本来ならカノーヴァイスモンとラモールモン二体で制圧できそうだったのですが。

 結果として時間制限を招いてしまい、グルスガンマモンの進化が惹起されたものの
 宙とゲコモンが間に入ったことによって命は取られずに済みました。
 かつメルが居場所を提供したため、改心してそこに移り住むことにするなど
 グルスガンマモンに関わった中では極めて幸運な手合いと言えるでしょう。

 結局は人間の世界のルールを把握しないまま暴走という毎度のケースですが、
 悪意はなくてもやったことがエグく、非常にタチが悪いタイプとも言えます。
 一歩間違えればどんだけの犠牲が出てたことか想像もつきません。

 中の人は速水奨さん。80年代から活躍するイケボ・オブ・イケボです。
 :ではワイズモン役として参加していたので記憶に新しいですね。
 イケボすぎて人外役もよくハマる方ですけど、今回は意外すぎる配役でした。
 駄々をこねる場面で何か妙に納得してしまいましたが。
 
 
 
・ゲコモン

 成熟期の両生類型デジモン。
 トノサマゲコモンに常に付き従い、そのフォローに回っていました。
 分解された人間を逐一回収していたことも、見ていれば察しがつくようになってます。
 さすがに無生物までは面倒を見切れないみたいでしたが。

 主君には逆らわないため、その行動を止めることはせずフォローに徹してましたが
 トノサマゲコモンが追い詰められた際にはその助命を申し出ています。
 取り込まれた人々については、彼の「クラッシュシンフォニー」で解放が可能でした。
 逆に言えば、こういう機会を待ってたってことかもしれません。

 その後は恐縮しながらも、トノサマゲコモンの背中で「児雷也」役に収まります。
 今後も犯罪者を狙い続けるのでしょうか。
 今回のことがあったし、脅すだけにして姿も普段は隠して行動するのでしょうけど
 トノサマの方はけっこうな重量だし、騒ぎにならないといいんですが。

 中の人は松野太紀さん。言わずと知れたセイバーズアグモンの人です。
 本作でも以前にモリシェルモン役として登板してました。
 
 
 
・宙のデジモン調査ファイル

 トノサマゲコモンと、ここから連想される妖怪の紹介。
 宙ってホント、名前を読み上げるしか仕事してませんね……瑠璃と寮長で9割回してる。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「そんな、何を言うのだ!」(トノサマゲコモン)
 
 本編冒頭の第一声。「児雷也」役の言葉を聞き咎めてのものです。
 ちょっと耳を疑いました。まさかの配役ですね。
 次の「コブシトーン!」で、戸惑いは確信に変わりました。
 
 
「行きます! 行きますとも!」(清司郎)
 
 ヒーローショーに誘われた際の二つ返事。
 ある意味、他のどんな時よりも決意のこもった表情をしています。
 たぶん特撮にも造詣が深いのでしょうね。ご当地まで把握してるかはともかく。
 
 
「僕だ! 僕が、児雷也だ!」(清司郎)
 
 ヒーローショーに現れたトノサマゲコモンから観客やメルを守るために。
 結果として取り込まれてしまいますが、あの人数が巻き込まれてしまっていたら
 収拾がつかなくなってたと思うので、これは勇気ある行動だったと言えます。
 
 
「ここは児雷也伝説ゆかりの地ではありませぬか!
 天下無双の忍者、児雷也どのを乗せ、悪を討つのが大蝦蟇のつとめ!」(トノサマゲコモン)

 
 なぜ児雷也にこだわるのか、と聞かれて。
 なんか変な資料でも読んだり見たりして影響されちゃったんですかね?
 本作のデジモンって思い込みの激しすぎる手合いが多いし……
 
 
「よう、ずいぶん甚振ってくれたじゃねぇか…イボガエル!」(グルスガンマモン)
 
 進化するなり距離を詰め、迎撃に出たトノサマゲコモンの一撃を軽々と受け止めて。
 その後、格闘だけでこれをボコボコにしてのけています。
 成熟期相当でありながらこの規格外ぶり。究極体ともやり合えそうです。
 
 
「…ダメだ。
 先輩は助ける……でもシンクロはできない!」(宙)

 
 自分とシンクロしたら清司郎を助けてもいい、というグルスガンマモンに。
 それだと清司郎以外は助からない可能性も考慮してのことでしょうし、
 そもそも人の命がかかってるので迂闊なことはできなかったのでしょう。
 もちろん対案などないので折れかかってましたが。
 
 
「ま、いいけどよ…… 時はすぐそこに来てるぜ? 兄貴……」(グルスガンマモン)
 
 事を丸く収めかけたゲコモンに攻撃しようとするも、宙に阻まれて。
 宙の言うことはなんだかんだ、最後には聞いてくれるんですよね。
 彼にとっては、トノサマゲコモン達がどうなろうと心底どうでもいいのでしょうけど。
 
 
「カエルの背にカエル。我にカエれば、あんがい灯台下暗し」(アンゴラモン)
 
 今回のアンゴラポエムです。
 求めていたものはすぐそばにあったという意味ですね。今回はわかりやすい。
 
 
「ねえ、ウチに来ない?
 モンスターとの生活って、なんだかアニメみたいで楽しそう!」(メル)

 
 剛気な一言。驚くべき提案です。そして実家が驚くべきデカさ。
 空いてる蔵にでも住まわせる心算でしょうか。やっぱり特殊ケースだこれ。
 
 
「橋渡しって、こういうことなのかな……」(宙)
 
 ラストシーンのセリフ。
 なんかあんまりピンとは来てない感じです。
 
 
 
 
★次回予告

 そろそろアンフィモンの登場ですかね。
 でも敵は何者でしょう? 水にまつわるデジモンならいっぱいいるけど……