幽霊タクシー

脚本:森地夏美 絵コンテ:フルヤヨウコ 演出:難波涼
作画監督:北野幸広/岡辰也/徐易/顾斌/村山綾音/澤木巳登理
総作画監督:二階堂渥志

★あらすじ

 コタロウに誘われて教会にクリスマス歌劇を見に行った宙。
 その帰り、スマホを忘れて引き返した宙が戻ってきてみると彼の姿がありません。
 そのうえ、眠っていたので預けていたガンマモンまでがいなくなっています。

 状況証拠から、コタロウとガンマモンは謎の黒いタクシーに連れ去られたと判明。
 このタクシーに連れ去られた者は干からびた姿で路上に打ち捨てられるという、
 恐ろしい都市伝説としてすでに有名になっていました。

 果たして、黒いタクシーはデジモンの仕業によるものでした。
 人間界にやって来た魔王リリスモンが人間を使ってタクシーを操り、
 聖なる者である「天使」を狩ろうと探し回っていたのです。

 なんとか件のタクシーを見つけて止め、コタロウたちを救助する宙たち。
 最初に現れたケルベロモンは抑えましたが、続けて出てきたリリスモンには
 ラモールモンやテティスモン二体がかりでも歯が立ちません。

 大ピンチの中、バクモンの力でリリスモンの呪いから脱したガンマモンが参戦。
 究極進化を遂げ、リリスモンに一太刀を入れることに成功します。
 シリウスモン、ひいてはガンマモンの中に潜む影を見抜いたリリスモンは
 彼を仲間に誘うという行動に出ました。

 シリウスモンが拒絶すると、リリスモンはケルベロモンを連れて去って行きます。
 魔王ともなると、自力でゲートを開いてDWと行き来ができるのでした。
 彼女やクズハモンの言葉から、宙は人間界にデジモンが現れ続ける裏に思いを馳せ……
 
 
 
 
★全体印象
 
 57話です。2022年最後の放送回。

 今回からOPのカットが一部変わりました。
 各メインパートは変わりませんが、その後シリウスモンが登場し
 グルスガンマモンのカットも新規になっています。

 最後の集合絵もシリウスモンの加わった新規に差し変わっているのですが、
 構図的に他2組の究極体が入る感じにはなっていません。
 出てきたらうまいこと並べ替えるのでしょうか。

 メイン組が究極進化を遂げたということで、ゲストにも三体めの究極体枠が登場。
 しかもリリスモンという大物です。なぜか女性型デジモンが連続してますね。
 他にもケルベロモンが突如ジンロウモードを披露するなどサプライズもあります。

 ただ題材としては「幽霊タクシー」とリリスモンのような魔王的存在とでは
 モチーフの規模というかスケールが合わない印象も受けます。
 うまく言えないけど、都市伝説という箱に無理やり押し込めたような感じ。

 ぶっちゃけ何かせせこましいし、わざわざあんな形で天使を探している割には
 どこにも目星がついてないし…せめて天使型の一体でも出てれば違ったんですが。
 リリスモンのキャラ付け自体は良かっただけに、そこは惜しいと感じました。

 脚本は森地夏美さん。
 絵コンテのフルヤヨウコさんはプロップやホログラムデザインで参加してた人ですが、
 この枠では初めて見ました。:にも古家陽子名義で参加してたようですね。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・宙

 たまたまスマホを忘れたため最初の被害は逃れた人。
 瑠璃たちの協力でガンマモン達を救助した後は相方ともども主力を張りますが、
 今回はどちらかというと後手後手に廻ってたイメージですね。
 
 
 
・ガンマモン → カノーヴァイスモン → シリウスモン

 前半、寝てる間にコタロウと一緒に幽霊タクシーへ捕まったあげく
 リリスモンの呪いを喰らって苦しめられるという思わぬピンチへ陥ります。
 が、どうやら中に潜むグルスガンマモンの力で呪いに耐えていた模様。
 脱出の際、一瞬だけ例の真っ黒おめめでリリスモンを睨んでいます。

 呪いから復帰した後は、ワープ進化してバクモンをリリスモンの攻撃からガード。
 さらに究極進化して挑みますが、相手の素早さに翻弄されてしまいます。
 それならばと敢えて攻撃を受け、懐に引き込んで一撃を加えることに成功。

 この戦いぶりを気に入られてリリスモンに勧誘されますが、当然のように拒絶。
 どうにか追い払いましたが、今後の展開に不穏を残す戦いでした。
 
 
 
・瑠璃組

 宙からの連絡を受けて急行、リリスモンと会敵しますが一蹴されています。
 ケルベロモンには勝ってるけど、それも清司郎組やエスピモンとの連携あればこそ。
 最後のポエムは、アンゴラモンの秘めた悔しさを唄ったようにも聞こえました。
 
 
 
・清司郎組

 瑠璃組とほぼ同じ扱い。
 幸い、ラモールモン共々ブッ刺されたナザルネイルは呪いではなかったので
 テティスモンの力で解毒できました。次に会うことがあったら対策が取れそうです。
 もっとも、リリスモンが本気で毒を撃ち込んでこなければの話かもですが……
 
 
 
・エスピモン

 清司郎組と共にギンリュウモンに乗って参戦。
 タクシーを見つけた時点で先行し「モットボム」でタイヤを破壊しました。
 あまり威力のある攻撃では中のコタロウ達が危ないし、彼が適任だったと言えます。
 その他ジンロウモードに捕まったラモールモンを助けるなど、小兵なりに活躍してます。
 
 
 
・ギンリュウモン

 48話以来の登場。やはりリュウダモンから元に戻ってないようです。
 登場率の低下はこれが影響しているのかもしれません。
 活躍も清司郎組を乗せたりバクモンを連れてきたりと足役に徹したものでした。
 スタッフは彼をどうしたいんでしょう。割と前から気になってることです。
 
 
 
・エアドラモン

 こちらは瑠璃組の足役として登場。最近また登場率が増えてきました。
 声マネをして警官の気を引いたり、蛇行するタクシーを止めたりと地味に貢献してます。
 一方、バトルではリリスモンに気圧されてほとんど動けていません。
 まあ相手の格が違うのでこれは仕方ないでしょう。
 
 
 
・バクモン

 だいぶ久々の登場。ギュウキモン回以来だからほぼ夏以来ってことになりますか。
 ガンマモンの呪いを解き、コタロウも助けるという最重要ポジでした。
 人間や成長期が即死しない程度の呪いなら何とかなるのでしょうね。
 そのぶんリリスモンには優先して狙われましたが、カノーヴァイスモンがカバーしてます。
 
 
 
・コタロウ

 たまたまガンマモンを預かり、たまたま歌劇で間近に見た女の子たちを
 「天使」と表現したがために災難に巻き込まれてしまった人。
 いい加減彼もガンマモンがただのAIホロじゃないことに気づきそうな雰囲気です。
 多分今回は記憶が曖昧になるでしょうけど。
 
 
 
・ケルベロモン

 完全体の魔獣型デジモン。
 映像作品への登場率は高めで「フロンティア」や「セイバーズ」、「クロスウォーズ」に
 「デジモンアドベンチャー:」と地味に出演回数を重ねてます。立場もいろいろ。

 今回はリリスモンの忠実な飼い犬で、幽霊タクシーに攫った人間とは彼が主にやり取りします。
 コタロウを脅して案内させた先では、一人で「天使」を探しに行ったりもしていました。
 主人であるリリスモンがやるまでもない仕事は、彼が全部やってるのでしょう。

 戦闘力も高く、バトルでは突然ジンロウモードを披露しました。これにはビックリ。
 さすがにラモールモンとテティスモン二体には押されましたが、タイマンであれば
 もっと粘れた程度の実力はあるように見えます。
 セリフからみても、少々相手を甘く見過ぎた節が見て取れますね。

 リリスモンにはけっこう可愛がられているらしく、上記で受けた負傷の手当てが必要と
 彼女に回収されて共に撤退しています。
 リリスモンからすればあくまで「飼い犬」であって対等の関係ではないのでしょうけど、
 「カワイイ」「大事」と呼ばれているので少なくとも忠誠心は高く評価されていそうです。

 中の人は志村知幸さん。
 「スマイルプリキュア!」では敵幹部・ウルフルン役として人気を博した方です。
 なんか今回の役柄とイメージが似通ってますけど、まあ偶然なんでしょうね。
 
 
 
・リリスモン

 究極体の魔王型デジモン。
 設定では「色欲」を司る七大魔王デジモンの一体であり、ただの究極体ではありません。
 本作でも自在にDWへのゲートを開いてみせ、格の高さを見せつけています。

 人間界に来た目的は天使型デジモンを狩ること。彼女はこれを「天使狩り」と呼びます。
 この目的のために飼い犬のケルベロモンと自らの力を使ってタクシーを操り、
 人々を攫っては夜の道路を走り回っていました。
 どうやら、車を操るためには人間を媒介にする必要があるようです。
 自動運転が車の機能にアクセスしてるものなのか、そうじゃないのかは不明。

 なんでこんな手段で移動していたのか、マジメに考えるとよくわからなくなってきますが
 あるいは理由などなく、単に人間界の異質さを楽しんでいただけなのかもしれません。
 媒介に使った人間には脅迫として呪いをかけたり、それで使い物にならなくなれば
 路上に捨ててゆくなど、人間のことは使い捨ての材料ぐらいにしか認識していません。

 これまでも何度か同じ手口を使っていたようですが、コタロウとガンマモンを捕えたことで
 宙たちの追撃に遭い、タクシーのタイヤを壊されて止められてしまいます。
 そこでまずは飼い犬のケルベロモンを嗾けたものの、彼が敗れたため自ら動きました。
 この際、殺気だけでエアドラモンらを凍り付かせていました。

 いざ戦闘に入ると、見かけによらぬ圧倒的スピードと「ナザルネイル」の毒によって
 ラモールモンとテティスモンをまとめてKOし、その強さを見せつけています。
 シリウスモンに対しても、まだ究極体での戦いに慣れていないと見切って優位に立ちました。

 が、シリウスモンの対応力の高さや肉を切らせて骨を断つ戦い方によって肉薄され
 一太刀を食らい右の角を折られます。それでも余裕は崩れず、逆に彼ををいたく気に入って
 仲間に勧誘するという意外な行動に出ました。ある意味魔王の面目躍如ですが、
 ガンマモンの中に眠る「もうひとりの彼」に目をつけていたのも確か。

 まだまだ余裕そうでしたが、ケルベロモンの治療もあるからとゲートを開き撤退。
 再度の登場を予感させる顛末で姿を消しました。
 改心したわけでもなんでもないので、今後の動きが怖そうな手合いです。

 中の人は園崎未恵さん。:ではテイルモンを演じていた方です。
 今回はひょっとするとオファニモン枠から来たりするのかも、と予想したりしましたが
 まさか:ルートで来るとは……確かに園崎さんもオファニモン演ってましたけど。

 …という事情を抜きにしても、ボスクラス経験もある方なので適任ではあったのですが。
 「スター☆トゥインクルプリキュア」のへびつかい座のスタープリンセスはその典型。

 なお本作ではいわゆる「花魁ことば」で喋ります。
 外見からの連想なのでしょうが、逆になんで今まで無かったのかってぐらいハマってる。
 というか私がそんな感じのキャラを想像し続けてただけなんですが。
 
 
 
・宙のデジモン調査ファイル

 「リリス」という悪魔について紹介されていました。
 男の子を「食べてしまう」のだそうです。うーむ、物は言いようですね。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「はぁ〜。女の子たち、マジ天使だったなぁ〜」(コタロウ)
 
 クリスマス歌劇を思い返し、写真を眺めながら。
 しかしこの一言がキッカケで、彼はまたまた災難へ巻き込まれることに。
 
 
「うおおー! 助けてくれー! である!」(エアドラモン)
 
 警官の目から瑠璃たちを引き離すために取った芝居。
 気位の高い性格と言いますが、一度仲間と認めた相手のためには結構体を張ります。
 
 
「わちきのカワイイ子を、よくもいたぶってくれたでありんすねぇ……」(リリスモン)
 
 タクシーの中から徐に現れて。なかなか珍しい光景です。
 しかしそのプレッシャーは凄まじく、エスピモンやエアドラモンは対峙しただけで
 動くことさえ迂闊にできなくなってしまいました。
 まともに相対していないギンリュウモンだけが行動でき、バクモンを連れてきています。
 
 
「デジタルワールドから誰彼構わずこちへ送り込む、あやつの動きは気に入りんせんが……
 わちきには関わりのないこと」(リリスモン)

 
 前回に続く思わせぶりなセリフ。どうもキナ臭いですね。
 しかし「あやつ」「あやつ」って、あなたどこのザ・マンですか黒幕さん。
 
 
「鈍いでありんすねぇ。わちきの仲間にしてやると言っておりんす」(リリスモン)
 
 シリウスモンの奮闘に感心しての勧誘。
 彼を仲間に引き入れれば天使狩りなど容易い、という考えです。
 シリウスモンは即座に断りましたが、なんせ本作のことですから天使型といっても
 かなりイッちゃった考えの持ち主が出てきても不思議じゃなさそうなのが……
 
 
「ぬしはそうじゃろうが……
 もうおひと方は、どうでありんしょうかえ?」(リリスモン)

 
 去り際の一言。明らかにグルスガンマモンのことを言っています。
 まるで今後の展開を予告するような一言。
 意味ありげにシリウスモンを見やる宙の視線もポイントです。
 
 
「強さの天を仰げば方図なし。鍛えよ、さらば開かれん」(アンゴラモン)
 
 夜空を見上げて。今回のアンゴラポエムです。
 完全体進化で挑みながら、リリスモンに対し何もできなかった悔しさが覗きます。
 自分のことを唄ってるっぽいのはちょっと珍しいかもしれません。
 
 
 
 
★次回予告

 最後のカットからしてファラオモンである可能性がありますね。
 マミーモン先生も絡んできてるし。アヌビモンかもしれないけど。
 瑠璃組が目立ってるようですが、出るか第二の究極進化。待て年明け。