首ナシ
脚本:山口宏 演出:池田洋子
作画監督:酒井夏海/舘直樹/川口弘明/鳥山冬美/佐藤敏明
★あらすじ
学生が謎の首なし騎士に襲われ、昏睡状態へ陥るという怪事件が発生。
襲われた生徒はみな首に赤い線がついた状態で、かつ歴史研究部のメンバーでした。
ところが今度は清司郎が襲われ、宙は事件の真相を追ってゆきます。
一連の現象は、事故で首を失くしてしまったダークナイトモンの仕業でした。
彼は首の手がかりを求め、その気配を持つものを辿っていたのです。
清司郎はたまたま首の存在を知ったため、襲撃を受けることになったのでした。
宙が返却したことによって首を取り戻すダークナイトモンでしたが、
人間に見せ物のように扱われた屈辱から怒りを爆発させて襲ってきました。
迎え撃とうとするベテルガンマモンとジンバーアンゴラモンでしたが、
高い戦闘力を誇るダークナイトモンに不覚を取って成長期に戻ってしまいます。
宙や瑠璃にも危険が迫ったとき、なんとガンマモンがワープ進化。
それは宙の父に贈られたプログラムにより、デジヴァイスVが進化した影響です。
反撃に出たカノーヴァイスモンは必殺の「グランノヴァ」を敢行。
負けを認めたダークナイトモンは人を襲わぬ誓いを立て、修行の旅に出るのでした。
新たなデジヴァイスと、バージョンアップを遂げた進化。
それはさらなる強い絆の予兆か、それともより恐ろしい怪異の前触れなのか──
★全体印象
51話です。今回のモチーフは「首なしの騎士」。
劇中のセリフから、やはりアイルランドの怪異である首なし騎士デュラハンを
範に取っていることは言うまでもないでしょう。
ここからすわ新デジモンか? と界隈がざわめいていたのですが、
蓋を開けてみればダークナイトモンで「お前かい!!!!」になるオチでした。
デュラハン云々は「デュラハンじゃないよ」って方の前フリだった模様。
まあ何者かわかるまでが本作の醍醐味ではあるんですけどね。
そのぶん繰り返し視聴には向かないところもあるけど。
でもそこらへんは人によるかな…ネタバレ上等な人もいるわけだし。
その他、北斗パパからのプレゼントでデジヴァイスVがバージョンアップを遂げ
デジヴァイスVVになりました。かなり地味なお披露目と言わざるを得ませんが、
完全体へのワープ進化──つまりは段階すっ飛ばした進化が可能になっています。
推測ですが、時間制限についても緩和されてる可能性があると思います。
しかしこれは、より強大なデジモンが出てくる流れになりやすいということ。
これからは究極体クラスを相手取るケースが増えてゆくかもしれません。
伴って究極体進化を迎えるのも確実なので、その足場固めですね。
問題はその進化回がいつになるのか見当もつかないことですが。
脚本は山口宏さん。演出の池田洋子さんはしばらくぶりです。
あと何故か、今回は総作監ポジションが立てられていません。
★キャラなど個別印象
・宙組
上述の通り、三人揃ってデジヴァイスVVをゲットした関係で
一度ダウンしたガンマモンがカノーヴァイスモンにワープ進化しました。
時間制限についてはこれからハッキリする事項だと思います。
カノーヴァイスモンに関しては、今回初めて「グランノヴァ」を披露。
登場から2クール以上も経ってようやくとはずいぶん待たせてくれたものですが、
その割にダークナイトモンの技と相殺し合う形で終わったのは少々不満です。
まあ負けを認めさせてはいるのですが……
・瑠璃組
宙組と一緒に事件を追ってましたが、見せ場は譲った形。
いずれ彼女たちのワープ進化も見られるでしょう。
・清司郎組
清司郎が早々に首なし亡霊の仲間にされてしまったので見せ場らしい見せ場はなし。
ジェリーモンも概ね彼の側についてましたんで実質留守番です。
肝心なときにパートナーが席を外してるのがお約束になってきてるような。
・エスピモン
宙の横でメシ食ってました。
出番といえるのはそれぐらいです。
・コタロウ
宙にウワサ話を教えるポジションでした。君は早乙女好雄か。
しかしこのおかげで真相に近づくのが早まったので、彼の耳の早さは侮れません。
・クロックモン&ゴツモン
宙たちに首なし亡霊とダークナイトモンの情報を伝えてくれました。
クロックモンを通してゴツモンに繋ぎが取れたんですね。
・葉櫻学園歴史研究会のみなさん
ダークナイトモンの首をヨーロッパ由来の珍しい品とカン違いして保管していた方々。
というか首を入手したのは顧問の小此木先生なので、他は事実上トバッチリです。
ただし悪意や他意あってのことではなく本当にカン違いだったので、
被害者ポジションを出てはいません。認識不足を責めるにも限度があるし。
結果的に全員が首を探すダークナイトモンによって肉体と精神を分離され、
首なしの騎士のような亡霊の姿となって彷徨うことになってしまうのですが
ダークナイトモンが素直に取引に応じたため清司郎ともども事なきを得ています。
宙が先に彼らを元に戻すよう計らってなかったらどうなっていたことか……
これからはみな怪しげな代物に対し最大限の注意を払うことでしょうが、
そうそう見分けられるはずもないからなぁ……
不幸中の幸いだったと思うしかないのかも。
・ダークナイトモン
暗黒騎士型デジモン。「クロスウォーズ」出身のため長らく世代設定無しでしたが、
最近になって完全体ということになりました。
このへんの世代設定については物議を醸した背景がありますが今は置きます。
大半の行動は首を取り戻すためのもので、首の気配をわずかでも持っている人間を
ことごとく昏倒させて魂を首なしの亡霊に変え、捜索の手を広げていました。
設定ではもともと魂を操る力を持つので、それを応用した術ではないかと言われています。
そこだけ見るとなるほどバグラモンの弟だな、って思わされますね。
しかも最初の犠牲者である横溝ひまりの前にも亡霊たちが現れているので、
歴史研究会に辿り着くまでの間に相当数の人間を亡霊に変えていた可能性があります。
生きていないとダメなのか、被害者の生命に別状がなかったのは幸いでした。
やがて事の真相に辿り着いた宙たちによって首を返還されるのですが、
この際に首の記憶がフィードバックされたことで上記の通り憎悪に囚われてしまい、
宙たちを庇おうとするベテルガンマモンたちも同類と見做して攻撃してしまいます。
普段の言動からすると、いささか錯乱していた可能性もありますね。
が、カノーヴァイスモンの戦いぶりに己の理想の片鱗を見つけたことで
騎士道を重んじる本質を思い出し、負けを認めて槍を納めました。
とはいえ「グランノヴァ」でも倒しきれない実力を秘めた完全体としてみれば
相当の強者であるため、戦い続けたら勝負はわからなかったでしょう。
アンゴラモンは彼のことを「目的のためには手段を選ばない」と評していました。
実際、首を探すために人々を亡霊に変えるという恐ろしい手段に訴えています。
しかし彼にとって手段はあくまで手段なのか、宙の要求に素直に応えて
亡霊と化した清司郎たちを先に元へ戻すというある種潔い側面も見せていました。
設定通りの面はあれど、それを悪辣に愉しむような性格ではないようです。
また戦闘においては怒りに囚われていても真っ向勝負のパワー系であり、
本質的には小細工に頼らない正攻法を好む傾向があるように見えます。
騎士でありながら策謀を好み、兄であるはずのバグラモンを後ろから撃って
その力を奪おうとした「クロスウォーズ」版とはいろんな意味で好対照。
そんな性格をあらわすように、今回は三宅健太さんが中の人を担当しています。
デジモンシリーズにおいては「フロンティア」のデュナスモンやグリズモンなど
他シリーズの傾向にもれず猛将タイプを主に演じている方です。
この声だと確かに、あんまり搦め手を使いそうなイメージになりませんね。
・宙のデジモン調査ファイル
しかしこのコーナー、「宙の」って書いてあんのに全然宙のコメントが無いんですが
そういう決まりでもあるのかな……
★名(迷)セリフ
「役に立つかどうかはわからないけど、
当たるも八卦! 当たらぬも八卦ってとこだ!
アハハハハハハハ!」(北斗)
宙たちに新しいプログラムを託して。例によって動画です。
途中で微妙に音飛びしてるのがまた味を深めております。
しかしその仕事ぶりは確かでした。
「んがあぁーっ! ここのサブルーチンが美しくないー!
もっとシンプルに短くぅっ!」(清司郎)
ホテル22階にてプログラム作業中に。拘りがうかがえるセリフです。
ちなみに襲われる5秒前。
「クラスチャットで盛り上がってるぜ。たまには見とけよなー!」(コタロウ)
襲われたのが清司郎以外ことごとく歴史研究会のメンバーだと宙に伝えて。
基本クラスチャットに入らないっぽい宙との姿勢の違いがよくわかります。
情報通ぶりが地味に役立った場面。
「なんということだ……
打ち捨てられ、数多の人間の手に渡り…見せ物にされたか!
許せぬ…! 人間は…人間は! 我の騎士としての誇りを傷つけた!」(ダークナイトモン)
取り戻した首からのフィードバックを受けて。涙まで流しています。
やはり錯乱していたのかもしれません。
「むうう……
フ…フフ…フフハハハハハハ! 見事!
…我の負けだ!」(ダークナイトモン)
カノーヴァイスモンとの激突により、鎧の一部が破損したのを受けて。
友、ないし主を守って戦うカノーヴァイスモンに感服したのと同時に、
自分自身を照らし合わせて槍を向ける相手を間違えたと気づいたのでしょう。
何か牡牛座のアルデバランを思い出します。
「唐突にゲートが現れたのだ…そして唐突に閉じた……」(ダークナイトモン)
首をなくした経緯です。本当に事故だったんですね。
意外としょぼい理由だったため瑠璃が噴き出しかけアンゴラモンに嗜められてました。
頭がなくても行動できたのはダークナイトモンが本来二体が合体した姿であり、
かつダークナイトモンとは別にスカルナイトモンとしての頭が存在しているので
片方が無くなっても大丈夫だったのでは……
というメタ的な理由を思い浮かべましたが定かではありません。
「うむ…騎士に二言はない!」(ダークナイトモン)
もう人間は襲わないのね、と瑠璃に念を押されて。
このダークナイトモンなら信用はできそうです。クロウォ版とはまた違うキャラですね。
「首回らぬは借金で、首ったけなら夢中だが、
寝首掻かれぬようご用心……」(アンゴラモン)
今回のアンゴラポエム。
とりあえず首絡みでうまいこと言いたかったことだけは伝わってきます。
★次回予告
次はガワッパモンでしょうか。
頭から藻みたいなのを被ってるのは怖さ演出のためですかね。
そして手だけ出てきてるのはシャウジンモンか、それともサゴモンか……