幽霊新聞

脚本:森地夏美 絵コンテ:鈴木正男 演出:高藤聡
作画監督:舘直樹/李少雷/佐藤敏明/北野幸広
総作画監督:石橋大輔

★あらすじ

 人々に届く謎のニュースメール「パブリニュース」。
 センセーショナルで過激な内容を茶化すように書き立てた低俗な内容なのですが、
 次の日の出来事が書かれているという不可解さも兼ね備えていました。

 ところがパブリニュースの記事どおりコタロウは転倒して腕を負傷、
 瑠璃の親友であるミカは車にぶつかって軽傷を負ってしまいます。
 二人には、パブリニュースの内容をくだらないと批判した共通点がありました。
 さらに清司郎が被害に遭ったことから、何者かの関与が疑われはじめます。

 パブリニュースの内容は過激化の一途をたどり、清司郎が推しているアイドル
 「D☆topics」の中に死傷者が出ると書き立てられるに至ります。
 果たして、メンバー3人のうち杏奈がパブリニュースを批判していました。
 これはもう放っておけないと、宙たちは事情を説明してガードに回ります。

 果たして、パブリニュースを配信していたのはパブリモンというデジモンでした。
 そいつは勝手にニュースメールを送りつけ、その内容を批判しようものなら
 その人物に事故を装って危害を加えるという悪質極まりないデジモンでした。
 記事の購読数を増やすためなら、どんな手でも使うというわけです。

 事実上の殺害予告でしたが、カウスガンマモンの活躍で未然に阻止されました。
 パブリモン自身は無謀な行動が祟り、墜落死という結末を迎えています。
 その常軌を逸した行動に、宙は改めてデジタルワールドという場所について
 どのような場所なのかという想いを馳せるのでした。

 
 
★全体印象
 
 45話です。今回から事実上の5クール目となりました。

 2年ものならこの時期の前後になんらかの山場がありそうなものだったんですが、
 相変わらずの通常運転です。ここからひとまず1年半、来年春までを予想してます。
 ただし何食わぬ顔で2年やる可能性も捨てきれないので、まだなんとも言えません。
 ぶっちゃけ、この構成だと年内に終わっても不思議じゃないんだよなぁ……

 さて内容的には、新デジモンであるパブリモンが登場。
 何者かと思いきや本当に新規デジモンだったんで、界隈が少しざわめいていました。
 これは、超久々に新デジモンの登場ラッシュ期がやってきたのでしょうか。
 毎週のように新顔のデーヴァが登場したテイマーズを思い出しますが、果たして……

 そんなパブリモンに対して、カウスガンマモンが大活躍しました。
 詳しいことは別途書きますが、ああいう状況で見せ場がなきゃウソでしょう。
 本作の良いところは事件を起こすのが強いデジモンとは限らず、これによって
 インフレが抑えられて今なお成熟期レベルでも見せ場が期待できることです。
 長丁場を狙っての構成だったわけだからペースが遅かったのも納得ですが。

 またパブリモンの常軌を逸した行動とその果ての死を目の当たりにした宙が
 後味の悪さとともにデジタルワールドへの関心を強めるなど、なんだかんだで
 本筋が動き出す予兆を積み重ねていってる気がします。
 究極体の噂もチラホラ聞こえてきたし、案外早く山が動くかもですね。

 脚本は森地夏実さん。
 空中戦ありきみたいな強引な舞台変更など、ああ作風だなと感じました。
 まあ、おかげでカウスガンマモンが活躍できたんですけどね。
 作画的には相変わらず良好です。本作の作画は本当に水準が高い。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・宙

 今回も彼ら自身にスポットが当たったわけじゃないですが、一番活躍してます。
 スカイダイビング時には清司郎組も同行してましたが、もしもの時空中でフォローをするには
 カウスガンマモン(またはカノーヴァイスモン)が最も適役だったでしょう。
 他のメンバーにも空を飛べる者はいるけど、直線のスピードなら一番でしょうし。

 ラスト近く、自滅したパブリモンに複雑な目を向けていました。
 今回のことは、彼にデジタルワールドを知りたいと強く思わせる原因を作ったようです。
 2年目最初のエピソードですし、進展を予感させる何かが必要だったのも確かでしょう。
 
 
 
・ガンマモン → カウスガンマモン

 D☆topicsのメンバーである杏奈と仲良くなり、宙たちが接触するキッカケを作りました。
 彼自身も杏奈に好感を抱いたのか、自分が守ると宣言しています。
 ひょっとしたら、気に入った子にいいとこ見せたかったのかもしれません。
 40話といい、自我が強まっているってことなのかも。

 後半のアクションパートでは、上述の通りカウスガンマモンとして活躍。
 終始にわたって宙を乗せたままバトルするという、珍しいパターンで魅せました。
 相手がたいして強くなかったとはいえ、近ごろ地味だったこの形態が面目躍如してます。
 下から狙い撃ってくるパブリモンから、宙と杏奈たちを守り抜きました。

 と同時に宙ともども、落下するパブリモンをも拾おうとしたのですが間に合いませんでした。
 ヤツの執拗な攻撃がなければ、追いついて助けることだってできたかもしれないものを。
 
 
 
・瑠璃組

 彼女たち自身はパブリニュースの被害を受けていません。
 しかしあらすじに書いた通り、瑠璃の親友・ミカが軽傷とはいえ被害を受けています。
 おまけにネタが割れてみれば、自作自演による殺人未遂も同然。
 瑠璃もパブリモンにはひとこと言ってやりたかったことでしょう。

 戦闘には関与しておらず、地上待機でしたがアンゴラモンは進化済でした。
 飛行能力に長けていないので念のため明日香と真由里のガードに回ったわけですが、
 いざという時には地上から宙たちのフォローもする予定だったのでしょう。
 結果的にどちらの必要もなくなったのは幸いと言えます。
 
 
 
・清司郎組

 清司郎が「あまりにお粗末な記事」とパブリニュースの批判をしてしまったため、
 被害を受けかけています。こちらも事実上の殺人未遂。

 直後は怯え切ってた清司郎ですが、再推しであるD☆topicsが狙われると知って奮起。
 地味ながら、前々回に続いてビビり体質をなんとか抑えて行動しております。
 彼も徐々にですが、自分を越えつつあるんじゃないでしょうか。知らんけど。

 アクションパートには序盤しか参加していません。
 もっとも、あの状況だと宙組以外が見せ場を挟めそうな余地は少ないのですが。
 でもジェリーモンの蹴りはなかなかキレが良かったです。
 
 
 
・エスピモン

 清司郎が狙われたところに通りがかり、得意のモットボムで救助しました。
 しかし事件への関与には相変わらず非協力的で、後半は出てきません。
 宙たちもドライというか最初から期待してないんでしょう、何も言いませんが。
 でも清司郎を助けたのは大金星といえますぞ。
 
 
 
・リュウダモン

 39話以来の登場。どうやら、時折遊びに来るようになったみたいです。
 新EDにもエスピモン共々出演してるので、準レギュラー位置を獲得したようですね。
 そのエスピモン同様、どんな役割があるのかまだよくわからんのですが。

 ノリがいい性格なのか、清司郎に布教されたD☆topicsにハマっている模様。
 振り付けまで完コピしているのには驚きました。
 
 
 
・コタロウ

 劇中被害者第1号。
 パブリニュースの内容を「つまんねぇ」と批判したことで標的にされてしまい、
 美術室でパブリモンに足を取られて転倒、大量のイーゼルの下敷きになり負傷しました。
 さいわい腕以外は大したことはなかったようですが、精神的ダメージの方が大きかった模様。

 前回で推しアイドルの限定グッズ(あとで消滅)を持っていたので、
 アレが今回の伏線みたいなものかと思ってましたが別にそんなことはありませんでした。
 深読みのしすぎですね。
 
 
 
・ミカ

 劇中被害者第2号。
 パブリニュースを「くだらない内容」と言ったことでやはり目をつけられてしまい、
 信号を狂わされたことと不安で注意力散漫になったことが重なったせいで
 記事どおり車にぶつかって怪我する羽目になりました。

 彼女も幸いなことに軽傷で済み、見舞ったアオイの方が参ってたぐらいでしたが
 一歩間違えれば重症、悪くしたら死んでた可能性を鑑みれば
 パブリモンの行動がいかに悪質かということがわかると思います。

 そのあとの清司郎に至ってはもはや殺意を隠そうともしてませんしね……
 
 
 
・D☆topics

 清司郎の最推しアイドルユニット。
 いわゆる声優ユニットでもあるのですが、人気のほどは実のところよくわかりません。
 収録当日、人が集まっていたのもパブリニュースの影響ですし……
 企画の規模を見るかぎり、かなり名は売れてると判断しても良さそうですが。

 さて、最年少の杏奈がパブリニュースのことを「バカみたい」と批判してしまったことで
 パブリモンに目をつけられ「突然死」なる事実上の殺害予告を書き立てられました。
 有名人ということで過激度が一気にエスカレートした形。

 悪いことに番組の罰ゲームが「高度4000mからのスカイダイビング」という
 ちょっと企画意図を疑うものだったため、これをまんまと利用される形となり
 杏奈がスタッフごとパラシュート無しで飛行機から落とされる憂き目に遭うのですが、
 カウスガンマモンの活躍によって危ういところで救出されました。

 記事どおりにはならずに済んだわけですが、杏奈はさぞ生きた心地がしなかったでしょう。
 とはいえ一度は罰ゲーム自体を再考する案もあったところ、ガンマモンを信頼して
 自分で挑む形でもあったのですが。

 ゲスト枠ながら柔和クール系の明日香、キャピ系の真由里、妹系の杏奈と
 キャラは立っており、前二人は出番も限定的でありながら印象に残りました。
 このうち杏奈がガンマモンを一発で気に入ったことはラッキーだったと言えます。

 中の人は明日香が前田愛さん、真由里が高野麻里佳さん、杏奈が大和田仁美さん。
 前二人についてはなんと新旧太刀川ミミです。やはり狙ったのでしょうか。
 なら杏奈は吉田仁美さんに担当してもらう手もあったかもですね……
 まさかそれが頓挫したから大和田”仁美”さんを呼んだわけじゃないでしょうけど。
  
 
 
・パブリモン

 成熟期の突然変異型デジモン。
 初登場にして映像デビューという、なかなかラッキーな経歴のデジモンです。
 どっちかというとアプモンっぽいイメージですけど。

 が、その性格は悪質そのもの。
 不幸を予測してその人に注意を促すというのなら理解はできるのですが、
 実際には未来予測などできず、書いた記事どおりになるように標的を陥れて
 危害を加え時には命まで狙うという、非常に危険な手合いです。
 記事を読んでもらうためには手段を選ばない、極めて自分本位な性格といえます。

 特にD☆topicsの杏奈を狙った際は注目度が高いのもあってその実現にこだわり、
 彼女を飛行機からスタッフごと突き落としたり助けに出た宙とカウスガンマモンを
 執拗に妨害したりなど、もはや悪質を通り越した行動に出ています。

 その一方でカウスガンマモンに距離を空けられたと知るや、自分からパラシュートを破り
 落下しながら攻撃してくるというキチガイじみた暴挙に出たりもしています。
 これ、たとえ奏功して記事内容が実現してもどのみち墜落死しかねないコースなんですが、
 そのことをまったく考慮していないのは狂気の沙汰としか表現のしようがありません。

 最終的には杏奈たちを拾ったカウスガンマモンを撃ち落とそうと躍起になるあまり
 自分の身を守ることを完全に度外視した結果、地表に激突して致命傷を受け消滅しました。
 設定によれば記事のためなら命さえ惜しまないそうですが、その性格が裏目に出た形。
 今回の場合は自業自得としか言いようがないのですが。

 そのイカれた死に様は宙を困惑の坩堝に落とし、こんなヤツが現れはじめた
 デジタルワールドとはどんなところなのだろう、と関心を強めています。
 ある意味では節目の立役者、なのかもしれません。

 中の人は山口勝平さん。過去にもたびたびシリーズに出演されているかたですね。
 :のジャンクモンはいろんな意味で記憶に新しいところ。
 
 
 
・ED

 koboreさんの歌う「STRAWBERRY」に差し変わりました。
 前期やその前よりもスローテンポな柔らかい感じの曲です。
 聞くほどに味が出てくるタイプかも。
 
 
 
・宙のデジモン調査ファイル

 今回も安定の寮長オチですが、パブリニュースの実態がアレすぎたせいで
 結構シャレになってなかったような気がしますね……
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「なんだよこれ。つまんねぇ〜」(コタロウ)
 
 パブリニュース9月29日号を見てのセリフ。
 このセリフが問題なのだと、演出でハッキリわかるようになっています。
 あと言い回しも印象的。

 
「おー! いもうと!」(ガンマモン)
 
 DトピことD☆topicsの振り付けをやろうとして。この時点で杏奈担当でした。
 どうやら「妹」しか覚えられなかったようですが、彼にとってはこの「妹」というのが
 けっこう重要なファクターになったように見えます。

 
「あー、なるほど」(宙)
 
 Dトピについての説明を受けて。死ぬほどどうでも良さそうです。
 杏奈たちの身の安全には気を配ってましたが、そういえばサインにもほぼ無反応でした。
 アイドルとしての彼女たちにはほとんど興味がないようです。

 
「そんなのダメだぁーー!
 Dトピのメンバーに危害が及ぶなど、世界の危機も同然! ぼくは行く!」(清司郎)

 
 そのDトピの誰かがパブリニュースのせいで死ぬかもしれない、と知って。
 いろんな意味でスイッチが入ってますが、入りすぎて猪突猛進になってます。

 
「アンナ! しんぱいか? おれ、アンナ守る!」(ガンマモン)
 
 危険な罰ゲームに当たってしまい、不安に苛まれる杏奈に。
 一応「これやめといた方がいいんじゃ」と検討はされてるんですが、
 このセリフを受けて杏奈は自分から立ち向かっています。
 それが結果的に、パブリニュースにまつわる元凶を炙り出す形となりました。

 
「でっち上げ違う! 一流の記者は未来さえ記事にする! 読者爆増!」
「ウヒヒヒヒ、センセーショナル! 有名人の記事、みんな読む!
 パブリニュース大人気!」(パブリモン)

 
 お前の記事はただのでっち上げだ、と宙に指摘されて。なおも杏奈を狙います。
 とりつく島が無いとはまさにこのことです。

 
「杏奈ーっ!」(カウスガンマモン)
 
 パブリモンの技でパラシュートを破られた杏奈を追って。
 最初に杏奈が落とされたときも宙の手を取って真っ先に後を追っていったし、
 指示なんてなくても動けるところを顕著に見せつつあります。

 
「ク…ヒ…… ボク、は… 一流、の……」(パブリモン)
 
 今際の際。無謀な行動に及んだ結果としての自滅でした。
 宙とガンマモンはその自分の命さえ顧みない行動を見て彼を捕まえようとするのですが、
 なんともやり切れない結末を迎えることになっています。もちろんコイツが悪いんですけど。

 
「他人を犠牲にしてまで自分の読者を増やしたいなんて、俺にはわからないよ……」(宙)
 
 パブリモンの自滅を受けてのセリフ。
 普通はそう考えるのでしょうが、承認欲求に取り憑かれるとああなってしまうのかもしれません。
 パブリモンとはまさに「承認欲求の怪物」だったと言えます。
 アンゴラモン曰く、デジタルワールドではあまり見ない類みたいですが。

 
「嘘から育つ真実あれども、記者のうそぶえは天が許さず…だね」(アンゴラモン)
 
 今回のアンゴラポエム。
 嘘だから悪いというわけではないけれど、真実を伝えるのが使命であるはずの記者が
 嘘や捏造を繰り返せばいつか天罰が下るだろう、ってところですね。
 そうだといいんだけど。

 
「ガンマモン… デジタルワールドって、ホント…どんなところなんだ?」(宙)
 
 ラストシーンのセリフ。
 あまりに色々なデジモンを見てきた彼は、そんなデジモンたちが普通に暮らしている世界が
 いったいどんなものなのか、これまで以上に気に掛かりはじめているのかもしれません。
 
 
 
★次回予告

 どうやらコタロウがまたまた災難に遭うみたいです。
 ラストカットの女性らしき姿は何者のものでしょうか?