赤目
脚本:山崎亮 絵コンテ:角銅博之/野呂彩芳 演出:野呂彩芳
作画監督:澤木巳登理/仁井宏隆/小澤誠/信実節子/大山康彦
総作画監督:仲條久美
★あらすじ
アメリカから清司郎の留学時代の友人、エマ・ヘインズがやってきます。
清司郎曰く、エマは世界一詮索好きな人物。
万一ガンマモンのことがバレたら大変ということで、宙たちに厳命が飛びます。
ところが、エマはその性格に目をつけたアイズモンに取り憑かれていました。
このデジモンは人を媒介に情報を集めさせることで情報を集め蓄積し、
自らのさらなる強大化をはかっていたのでした。
しかも、すでに何人もの人間が取り憑かれていたのです。
が、そういった人間の中から瑠璃に異常を知らせるメッセージが届き事態は急変。
エマも被害者のひとりであることがすぐに発覚します。
そこで宙たちはエマの身体中に現れているアイズモンの目を塞いだうえで
エマに視覚を遮断してもらい、アイズモンを燻り出して疑似デジタルフィールドに隔離。
しかし、影に隠れて移動するアイズモンは厄介な相手でした。
そこでカノーヴァイスモンが自身の特性を利用し、あたり一面に強い光を放ちます。
たまらず姿を曝したアイズモンは一斉攻撃を受け、文字通り見る影もなく弱体化。
エマはもちろん、他の取り憑かれていた人々も解放されるのでした。
災難に遭ったエマでしたが、詮索をしたがるその性格はどうにもなりませんでした。
ただ、清司郎への感情は劇的に変化を遂げたようで……?
★全体印象
43話です。今回のテーマは「目」。
目とはすなわち情報を得るために私たちが使う最も基本的な媒介であり、
と同時に監視や意志の発露など様々な意味がこめられたシンボルでもあります。
そして世の中には、見られたくないものまで見ようとする手合いはいるものです。
情報ツールの発達によって、そうした人々は水を得た魚のように活性化しています。
今回はそういう時代への、かなりわかりやすい風刺として構成されていました。
劇中では、エマよりもさらに極端な例が提示されています。
あのへんはエグすぎて、メインゲストに採用できなかったと考えるべきでしょうけど。
ただその肝心のエマの人物がそこまで立っておらず被害者ポジを出てないので、
清司郎に急接近するための立脚がいささか弱いと言わざるを得ません。
もっと言えば、あんまり好感度を稼げてなかったなという印象。
彼女自身よりも恐怖描写を見せる方に重点を置いた弊害でしょうか。
脚本は28話以来となる山崎亮さん。
ローテにはあまり絡んでおらず、登板もこれまでは20話代に集中してました。
軸足のメインはやはりワンピースの方ということでしょうか。
★キャラなど個別印象
・宙組
前回が前回なんで、全体的には脇に徹しています。
ただしアイズモンの能力を封じるために完全体進化を活用しており、
戦闘面での貢献度は非常に高いものがありました。
今回はウェズンガンマモンの登板。
アイズモンがあれこれブン投げてくるので、その撃墜のためですね。
・瑠璃組
アイズモンの被害者から通報を受け、すみやかに宙たちを招集しました。
前回での「チームりるるん」呼びといい、リーダーのつもりみたいです。
リーダーの人選はされてないし立候補者もいないため、じゃあ私が……
ってわけじゃないでしょうけど、この振る舞いに誰もツッコミを入れてません。
ただ基本的には、彼女らも脇に回った扱いです。
宙組のような目立った貢献もなく、一斉攻撃に加わったのみ。
・清司郎
エマがやってくるということで、異常に警戒していました。
留学時代の友人といいますが、黒歴史ノートを晒されるなどひどい目に遭った模様。
デジモンのことは絶対に知られないよう宙たちにも厳命していたのですが、
アイズモンのせいで結果的にはあっさりバラす流れになりました。
特筆すべきは、途中から冷静な振る舞いを保てていること。
恐怖が飽和して限凸状態になったわけではなく、自然にそうなっています。
深呼吸をするなどのルーチンを経て、パニックを抑えている感じでした。
アイズモンの能力を封じる策を提示したのも彼です。
徐々にこういった描写が増えていくかもしれませんね。知らんけど。
これは、旧友であるエマの危機に関係があるのでしょう。
もともと、自分より誰かのために底力を発揮するタイプです。
エマを助けようという強い気持ちが、恐怖を捩じ伏せていたのかも。
だから本質的にはエマのことを嫌っているというほどではないと思うのですが、
向こうからの好感度が爆上がりしたのは今回の活躍の影響でしょう。
他の回みたいにビビり倒していたら、ああはならなかった可能性もあります。
・ジェリーモン → テスラジェリーモン
エマへのジェラシーを隠そうともしていません。
最終的には清司郎の顔に素早く巻きついて、エマからのキスを阻止しています。
ふだん放置気味でも、清司郎を誰かに取られるのは嫌というわけですね。
彼女の場合、放置と過干渉のバランスがバグってる気がするけど。
戦闘では一斉攻撃の一翼として貢献。
カノーヴァイスモンの一撃だけでは決着をつけられなかったところへ、
分裂したアイズモンへジンバーアンゴラモンと共に攻撃、弱体化させています。
・エマ・ヘインズ
清司郎の留学時代の旧友。今回のゲストキャラ枠です。
明朗快活ですが人の詮索をするのが大好きな、ゴシップを好む人物。
個人的にはあんまりお近づきになりたくないタイプです。
あらすじ通り、その性格が災いしてアイズモンに取り憑かれてしまいました。
そのうえ時折部分的に記憶を消されてしまうため、人物描写が不安定気味で
もとの性格でいる時間が短く、かなり損をしている人物です。
事件後には清司郎に急接近してキスを見舞う(未遂だけど)描写があるのですが、
アレはもともと清司郎への好意という下地があったと考えた方が自然です。
わざわざ逢おうとしたのは、彼の影に謎の存在を感じ取ったからだけでなく
元から憎からず思っていたからと考えた方がしっくり来るかもしれません。
なんにせよ、いろいろ足りない感じがするキャラでした。
何か得意分野があるわけではないので、セミレギュラー化は望み薄。
ただ物理的距離はリモートである程度埋められるため、事件によっては
今後もちょくちょく顔ぐらいは見せるかもです。断言はできませんが。
中の人は井上麻里奈さん。
スッキリとよく通る声質で、気のいいお姉さん役を演じることが多いですが
男子役もたまに担当し主役経験もあるという人気声優さんです。
特に著名な役柄は「天元突破グレンラガン」のヨーコや「スマイルプリキュア!」
の緑川なお / キュアマーチ、「進撃の巨人」のアルミン。
デジモンでは言うまでもなく「クロスウォーズ」の明石タギル役で知られてますね。
・アイズモン
成熟期の魔竜型デジモン。
前作にあたる:が初出演の割と新顔の種です。
その際は偽の東京で主人公らを惑わしたり、様々な物を生成して攻防に活用してました。
設定によれば、情報を蓄積すればするほど強くなり完全体をも超えるほどになるとか。
だとすれば、情報を溜め込もうとするのはコイツの本能みたいなものなのでしょう。
それが高じて人間に取り憑き、記憶を操作しながら欲望を煽り立て続け
情報を集めるための媒介、または走狗に仕立て上げていました。
コイツに取り憑かれると目の色が赤くなり、さらに体中へ目が浮かび上がります。
この「目」は視覚がちゃんとあると思われ、加えて何らかの作用により
パソコンなどから情報を探ったり各所のカメラへ容易にアクセスできるようです。
描写を見る限り、ハッキングなどにも高いレベルで活用できそうですね。
しかし時間が経つと目の色が白目まで真っ赤になり、「目」が体中から張り出して
人間離れした姿になってしまいます。アイズモンからの侵蝕が強まったせいです。
そのまま放っておくと生命に関わるため、とうてい放置できる行動ではありません。
侵蝕のせいだけでなく、不眠不休で酷使されてしまうせいもあるのでしょう。
同時に複数の人間を操ることもできますが、本体はひとつだけの模様。
エマの体に現れた「目」を塞ぎ、さらにエマが目を閉じ視覚を遮断することによって
情報を得ることができなくなり、業を煮やして自ら本体を見せたところを
疑似デジタルフィールドに隔離されて対決に至りました。
それでも影に隠れて立ち回ったり、エマを介してのレーザー光線「邪念眼」や
蓄積されたデータを具現化して攻撃に使う「愚幻」を駆使して頑強に抵抗しますが、
カノーヴァイスモンの発した光で影に隠れることができなくなり「メテオルクス」に被弾。
分裂したところでテスラジェリーモン達の同時攻撃が決まり、ほぼ無力化されました。
最終的には昆虫レベルの大きさにまで縮んでしまい、虫カゴに閉じ込められます。
以後は、デジモン達のコミュニティ間で監視対象になった模様。
まったく懲りている様子がないため、もし逃げられたら厄介なことになりそうです。
誰か他のデジモンや悪党などと連携されたら非常に怖いタイプかもしれません。
中の人は中尾隆聖さん。言わずと知れた大ベテラン声優さんです。
宇宙の帝王フリーザからバイキンマンまで、その独特の演技で強い印象を残す個性派。
デジモンシリーズにおいては、ルーチェモンフォールダウンモードでよく知られてますね。
今回は完全にバイキンマン寄りの演技ですが。
本質的にはイケメンボイスですので、低音を活かした役ではそれを強く実感できます。
「聖闘士星矢」に登場した海闘士、クラーケンのアイザックなどは好例でしょう。
・宙のデジモン調査ファイル
今回はアイズモンから百々目鬼に繋げています。
というより、体に目が浮かぶという状況はそちらからの引用なのでしょう。
今日も今日とて寮長はオチ担当に余念なしですがそれは君、怒っていいやつだよ。
隠していた内容にもよりますけど。
★名(迷)セリフ
「あの慌てよう…やっぱり何か隠してる。 絶対に突き止めてやるわ!」(エマ)
エマの人となりを象徴するようなセリフです。
良くも悪くもジャーナリストが天職みたいなタイプですね。
「エマ・ヘインズ…いや、エマ・デビル・ヘインズだ!」(清司郎)
こちらは清司郎のエマ評を端的に表したセリフ。
嫌っているというのは言い過ぎでも、恐ろしく苦手にしているのは間違いありません。
「日本の漫画では、ここがデートスポットなんだ」(清司郎)
秋葉原にて。
宙のセリフじゃないですが、どこの漫画から仕入れた知識なんでしょう。
「いいぞ…! 気になることは、遠慮なく調べてやろうぜ…!
そのための”目”を、オレ様が増やしてやる!」(アイズモン)
暗躍中のセリフ。このデジモンの本質を端的に示しています。
でも人間側と結託してやってるならともかく(それはそれで問題ですが)、
頼まれもしてないのに勝手に人間を踏み台にする形で情報を集めているだけなので、
なんとも自分本位な行動といえるでしょう。
「オレの光は…次元を、超える!」(カノーヴァイスモン)
特性を最大限に発揮した場面。
カノーヴァイスモンの「限界を超越する力を引き出すと全身が白光に煌めき、
その光は別次元のDWからでも感知できるほど」という設定を活かしたシーンでしょう。
要は気を全開にしたようなものであって、攻撃ではありません。
しかしその光度はあらゆる影を一瞬消し去り、アイズモンの逃げ道を塞ぎました。
「ひどいぞお前ら!
オレは情報収集好きなヤツらに手を貸して、情報たくわえてただけなんだぞ!」(アイズモン)
虫カゴに閉じ込められて。まったく悪びれていません。監視を厳にしないといかんでしょう。
「何するさ! ダーリンはミーのものなのさ!」(ジェリーモン)
エマが清司郎の頬にキスしようとするのを阻止して。
時たま独占欲がダダ漏れします。この三人、先が思いやられますね……
「出物腫れ物めいわく千万。スズメの魂百まで忘れず」(アンゴラモン)
清司郎やジェリーモンとワチャワチャやってるエマを見て。今回のアンゴラポエムです。
「知られては困ることまで知ろうとするのは他人にとって迷惑この上ないけど、
言ってやめるぐらいなら苦労はしないんだよね」といったところ。
スズメというのは「おしゃべりな人」も指す言葉です。
ちょっぴり辛辣というか、彼の目から見ても処置なしってやつですね。
★次回予告
タイトル通り「赤錆」がテーマみたいですが、何者が絡むのかはさっぱりわかりません。
それっぽい能力を持っているのはラストティラノモンぐらいですが、まさかね……
あんなのが出てくるならもっと事件規模がでかくなりそうなのに、そんな感じはしないし。