嘆キノ迷宮
脚本:中山智博 絵コンテ:鈴木正男 演出:難波涼
作画監督:直井正博/武内昭/澤木巳登理/鳥山冬美/川口弘明/
信実節子/金久保典江/酒井夏海
総作画監督:西野文那
★あらすじ
瑠璃のネット仲間と共に、とある洞窟へやって来た宙たち。
最近ビルが丸ごと地中に呑み込まれ、また地上に戻ってくるという怪現象が多発しており
件の洞窟はそこから会社員が逃げ出してきたという噂がある場所でした。
果たして洞窟の闇の中、一人また一人と姿を消してゆきます。
さらには清司郎、瑠璃とジンバーアンゴラモンも何者かの手に落ちてしまいました。
謎を追う宙たちの前へ、明らかに自然のものではない構造物が現れます。
その合間にはなんと、瑠璃たち石にされた人々が延々と並べられていました。
そして清司郎も、宙たちの目の前で石にされてしまいました。
すべては、土を自在に操るギガスモンの仕業だったのです。
音を頼りに地中から襲い、宙たちをも石にしようとするギガスモン。
絶体絶命の状況を受け、カノーヴァイスモンが登場。
ギガスモンをうまく誘い出し、カウンターで一気に勝負を決めます。
ところが、ギガスモンの行動は映画の予告を見て人類が近いうちに滅ぶとカン違いし
デジタマに還ることもできない人類を哀れに思ってのものであるとわかりました。
そこで地下に墓を作り、拉致した人々は副葬品として並べていたのです。
やがて、戦いの衝撃により崩れかける洞窟。
皆を守ろうとする宙たちを見て、間違いを悟ったギガスモンは洞窟の破損を修復。
人々を元に戻して地上に還し、より見聞を深めるべく去ってゆくのでした。
終わってみれば今回もまた、カン違いによる盛大な空騒ぎだったのであります。
★全体印象
36話です。
今回のテーマは「地下迷宮・地下墓地」と「終末論」の合わせ技でした。
割と毎回そうですが、バトル的にはかなり不利な状況からのスタートとなっています。
メインゲストであるギガスモンの動機は派手に終末を謳いあげる映像その他に惑わされた
甚だハタ迷惑なものだったのですが、人外ゆえの素直?な性格であるためか
自分の間違いを認めてくれたというのも皮肉を重ねた顛末になってた気がします。
言葉が通じても話がまったく通じない手合いなんて、どこにでもいるわけですし……
34話と同じく、誰かにスポットを当てるような内容ではありません。
しかしその分、戦闘はかなり見応えがあります。
作監人数が多いあたりにもそれが反映されていたように見えますね。
脚本は中山智博さん。この方のホンだと自己完結してるデジモンが多い気がします。
その他、連名ながら信実節子さんが久々に登場。作監としてはアプモン以来の登板かも。
★キャラなど個別印象
・宙組
こういう回だとだいたい対処役が回ってくる方々。
ギガスモンが音を頼りにしていることを見抜き、敢えて大きな音を立てて誘い
相手の攻撃行動に合わせてカウンターを叩き込むなど戦い方は毎度ながら頭脳派寄り。
完全体進化のリミットを意識してましたが、ラモールモン達に制限はあるのでしょうか?
その行動でギガスモンに希望を与え、固執を突き崩す役回りも演じているのですが
かなり詰め込んだ演出のためバタバタ過ぎ去った感は否めませんでした。
・瑠璃組
瑠璃は今回の状況の発起人ですが、特に何もしないまま相方ともども石になりました。
しかし、彼女がノリノリで首を突っ込んだおかげで被害が止まったと言えなくもない。
・清司郎組
半ば被害者枠。寮長は毎度毎度なんだかんだノせられてますね……
警戒してないわけじゃないと思うから要するに人が良すぎるんでしょうけど。
でも今回はなんかとりわけ運が悪かったと思います。
ジェリーモンは成熟期のまま一応バトルに絡み、崩落阻止にも参加してますが
宙組に比べれば特筆すべきことはやってません。
・ネット友達の皆さん
瑠璃が洞窟探検に連れてきたネット仲間。初対面だそうです。
結論から言えば演出を盛り上げる水増し要員の域を出ない扱いなのですが、
なかなか濃い顔ぶれだったのでもう少しやり取りを見てみたかったかも。
・ギガスモン
鉱物型のハイブリッド体デジモン。
「デジモンフロンティア」では第一のボスとして猛威を振るった存在です。
TVシリーズに登場するのは実に20年ぶり。
石や鉱物の中であれば自由に移動でき、音を頼りに標的へ襲いかかります。
周囲が岩だらけの洞窟内では事実上どこからでも攻撃を仕掛けることができるため、
今回のような場所はこのデジモンを相手取るには極めて不利なロケーションでしょう。
スタンド能力で言えば「オアシス」が特性として近いでしょうか。
また単に潜るだけでなく、岩や石の類であれば自由に操れるので道を塞いだり、
その気になれば大規模な崩落でも止めたり、大質量を丸ごと動かしたりできます。
ビルを沈めたりまた地上へ戻したりしていたのもその一環。
こと「地形操作」にかけては右に出るものがいないほどの能力の持ち主でしょう。
人間やデジモンでさえ石に変えたり、また戻したりできます。
劇中では人を時には建物ごと攫って石に変え、洞窟の奥深くに作った墓に並べていました。
人類が滅んだときに備え、全員を収容できるだけの墓を作るつもりだったようです。
どれぐらい時間がかかるのか、考えただけで気が遠くなりそう。
人を石にしたのは長生きさせるつもりだったのかと最初は思ったのですけど、
どうやら埴輪なんかと同じ扱いのつもりだったようです。
弱点は地中に潜っている間、聴覚にしか頼れないこと。
相手がどんな音を立てているのかはわかっても、何を意図しているかまでは読み切れません。
このため、羽撃きで音を放ち攻撃を誘ったカノーヴァイスモンの策に引っかかり
「ガリアフィッシャー」と「ドラゴニア」の連続攻撃でダウンしました。
それでも動いて能力を発揮できる余力はあったので、かなりタフと言えます。
その動機は「人類が滅ぶ」という衝撃的な映像などを鵜呑みにしてのカン違いでしたが
私心はなく、宙たちの行動で考えを改めるなど見かけによらず頭もそんなに硬くないです。
もともとの行動が諦めから来ているものだったので、希望を見出した以上は
今のやり方に固執する必要はないということなのでしょう。恐ろしくハタ迷惑だったけど。
中の人は魚建(うお けん)さん。
活動開始は20年前ですが声優活動開始は30過ぎという、異色な経歴の持ち主。
基本的には脇を固める役柄が多いですが、ギガスモンには合ってる声質だと思います。
・OP
今回からラモールモンが加わり、最後のカットも変更されました。
グルスガンマモンもよりハッキリ登場しますが、上記ラストカットには出てません。
とはいえ、この第四の姿も本編再登場が近いのかもしれませんね。
・宙のデジモン調査ファイル
今回は瑠璃のセリフが多めでした。
寮長が締めるのは変わりませんが、今回は瑠璃というか昔の人へのツッコミなので
少しニュアンスが異なっていたと思います。
★名(迷)セリフ
「彼から、ものすごい負のオーラを感じるわ……」(ニコ)
ゲストから一献。
どこまで本気かわかりませんがこの子、なかなか勘が鋭そうです。
寮長がなんかいろいろ運が悪い件については「知ってた」としか言えません。
これだけの目に遭いつつ生還してるので、実は運がいいんじゃないかとも思いますが。
「あれ、ヒカリゴケか? 図鑑で見たぞ」(ベテルガンマモン)
ギガスモンが作った地下墓地が妙に明るい原因を見つけて。
普段なにかと図鑑を読んでる描写がありましたが、それが活きた場面です。
「オレ様は悲しくてやり切れねえ……
デジタマにも還らねえ人間のことを思うと……」(ギガスモン)
清司郎を石(というか埴輪)に変えた直後。
困ったことにたぶんこれ本気で言ってるんですよね。
この直後に撒いてきた粒子は、触れずとも対象を石にしてしまう剣呑なものですが
一定時間以上晒されていなければ影響がないっぽいのは幸いだったと言えましょう。
「いい心がけだ!」(ギガスモン)
石になった瑠璃たちへ影響が及ばないよう、場所を変えた宙たちに。
彼としても、供物を傷つけられるのは困ることが良くわかるセリフです。
やり方に問題はありすぎますが、根本は善意であることも伝わる場面。
「暗闇で獲物を捕らえるため、聴覚が発達した生き物がいるって図鑑にあった!」(ベテルガンマモン)
図鑑ネタ第2弾。今回はアピールが激しいですね。
「やっぱり、何かリミットがあるみたいだ……」(宙)
戦いが終わって割とすぐに成熟期へ戻ったカノーヴァイスモンを見て。
力を使っている最中に戻ったわけじゃないところをみると、やはり時間制限でしょうか?
「お前たちには、まだ…希望があるみたいだ……」(ギガスモン)
墓所の崩落を必死に止めようとする宙たちを助けて。良くも悪くも思い込みが激しいです。
この後、希望がないかもっと見て回ると言っていましたがその結果
「やっぱり希望はなかった!」とまたおかしなことを始めないか心配ではあります。
「埴輪備えど、憂いは消えず。泣くより笑えば、福来たるかも」(アンゴラモン)
今回のアンゴラポエムです。ツッコミ担当は珍しく清司郎でした。
ツッコミが入ること自体そんなに無いので、これはかなりレアと言えます。
★次回予告
骸骨が出てくるなど、かなり「死」の匂いが強い予感。
相手はレアモンかレアレアモンではないかという推測も見かけましたが、
だとすると話が通じるかどうかも怪しいところ。果たして……