壁這ウ者
脚本:山口宏 絵コンテ:谷東 演出:中村明博
作画監督:小澤誠/大西陽一/仁井宏隆/GU_BIN/QIAN_JIN_YI
総作画監督:仲條久美
★あらすじ
久しぶりに自宅へ戻って掃除をしていた宙とガンマモン。
ところがその晩、宙は天井を異様に這うヤモリ人間を目撃します。
すぐに退散したそいつは、宝石箱から母の結婚指輪を盗み出していました。
相手の特徴から、ヤモリ人間が元は旧友のナナミであると推測した宙は接触を試みます。
案の定、ナナミは一週間前から異常をきたしており親の手にも負えない状態でした。
同じ状態に陥った者は他にも大勢おり、しかも夜ごと何者かに誘導され
ダイヤを盗んで回っていることが判明。
宙の家を拠点に調査を本格化させようと備える一同でしたが、首謀者に先手を打たれ
瑠璃がヤモリ人間にされてしまいます。
が、東泉大学の実験に関わっていた清司郎が窮地を逆利用する手立てを考案。
この実験には大量のダイヤモンドが使用されることになっていたのです。
果たしてヤモリ人間たちが動き出し、ヤモリ人間となった瑠璃もまたこれに同調。
あとを追う宙たちは、一連の糸を引いていたのがサラマンダモンだと突き止めます。
炭素であるダイヤを体内に取り込み燃焼させ、エネルギーに変えていたのです。
ダイヤを得るため、人々をヤモリ人間に変えて集めさせていたのでした。
止めようとする宙たちですが、サラマンダモンはヤモリ人間たちを盾にする構え。
半分デジモンになっているせいか、疑似デジタルフィールドで隔離もできません。
テスラジェリーモンの策で全員を気絶させ凌いだものの、サラマンダモンは健在。
周囲から酸素を集め、抑えにかかったベテルガンマモンごと焼き尽くそうとします。
しかしその瞬間、ベテルガンマモンの機転に気づいた宙はソルブローを発動。
必殺技によって、サラマンダモンの炎は一瞬で吹き飛ばされました。爆風消火です。
力を失い、命乞いをするサラマンダモン。
ヤモリ人間たちを元に戻させ、ダイヤに関しては同じ炭素で作られている
鉛筆の芯で代用してもらうことで手打ちとなりました。
こうして事件は収まりましたが、瑠璃は不思議そうな顔をしていました。
ヤモリ人間にされていた間のことを、彼女はまったく覚えていなかったのです。
★全体印象
34話です。
今回のテーマを一言で言い表すなら「変異」あるいは「獣憑き」でしょうか。
見知った人間が両生類めいた姿になるという異様さがキモです。
サラマンダモンは一連の首謀者というだけで、そのキモからは外れた扱い。
そのサラマンダモンの目的自体はエネルギーを得るためであり、
直接に誰かを傷つけようというものではなかったのですが、そのためだけに
かなりの量のダイヤを食ってるので被害総額はとんでもないレベルと思われます。
ヤモリ人間の家族が被った身体的・精神的被害もバカにならんでしょう。
真相を知らない人々にとっては、いつの間にか収束している類の事件ばかり。
今回は刑事事件性も高いと思うのですが、警察とかはどういう認識でいるのかな。
例によって内々で手打ちにする流れでしたけど、いつまでこれで収められるのか……
ちなみに宙が久々に自宅へ戻るお話でもあるんですが、そこで何かを見つけたとか
そういう話の広げ方にはなっていません。ただしこれに関しては
「この前、家に戻ったときに見つけたんだけど…」と布石に使ってくる可能性もあり
判断を下すにはまだ時期尚早と考えます。知らんけど。
脚本は山口宏さん。前回の登板は31話と、これまでに比べ期間が短いです。
もしや、不正アクセスで被った休止期間を受けての調整が関係してるのでしょうか?
まあ私的推測にすぎない話ですが、影響は絶対に出てるはずなんですよね……
★キャラなど個別印象
・宙
上記の通り、自宅に戻って掃除をしているところを事件に遭遇しました。
ヤモリ人間がナナミであると気づいたり、ベテルガンマモンの意図を見抜いたりと
今回は特に咄嗟の機転と洞察力が強調されています。
爆風消火という概念も承知してるあたり、知識もなかなかのもんです。
今回は誰かにスポットを当てる感じの内容ではないので、ナナミとの関わりについては
「小学生のときの知り合い」以外の掘り下げはありませんでした。
また、自宅に戻ったことで何か新しい発見をするとかそういうのも無し。
これについては全体印象で書いた通り、まだなんとも言えない部分ですけど。
そういえば、お母さんの結婚指輪はサラマンダモンに食われたってことでいいのでしょうか。
誤魔化して先送りにしてましたが、いよいよとなったらどう説明する気でしょう。
「実はいろいろ被害も出てて、結婚指輪とか…」などと他に混ぜた感じで伝えるのかな。
まあ、この件について語られることは無いのでしょうが……
・ガンマモン → ベテルガンマモン
久しぶりにベテルで決まり手を取りました。
爆風消火を思いついたのは直感というか、本能に近いのかもしれないですが。
上ではああ書きましたが、宙が彼の意図に気づいたのは単に洞察だけじゃないのかも。
直後に頭へソルブローの宣言が浮かんでいるし、何かが伝わった可能性もあります。
ドラマ面ではこれというほどの特筆点なし。
・瑠璃組
瑠璃が中盤でヤモリ人間にされてしまったので、活躍を封じられた恰好。
たまたまアンゴラモンが調査などで目を離していたための被害です。
他の二人はパートナーが張り付いてたでしょうから、サラマンダモンも慎重を期した形。
ただ中途半端に手を出したため、瑠璃を介して宙たちが動向をトレースできています。
ある意味では怪我の功名かもしれません。本人が憶えていなかったのは不幸中の幸い。
写真に撮られた様子もないので、瑠璃本人がヤモリ人間だった時の自分の姿をを確かめる術は
たぶん無いと思います。たぶんですが。
それで良かったのでしょうね。見たら卒倒してたかもしれません。
・清司郎組
瑠璃がヤモリ人間にされて一時パニクった清司郎ですが、自分が噛んでいた実験を思い出し
これを利用して首謀者を確実に見つける策を見出しています。
ダイヤについてもガラス玉にすり替えるように一応手を打っていたのですが、
匿名での依頼だったために取り合ってもらえなかったようで、結局被害を防げませんでした。
発想は良かったけど詰めが甘いのは寮長らしいといえばらしい。
ジェリーモンについては、隔離できないヤモリ人間たちをタンク破壊による水散布からの
一瞬だけ電撃放出という手立てで気絶させるというファインプレーが特筆点。
そうとう手加減したらしく、元に戻ったナナミたちに後遺症はみられませんでした。
ただし、進化はしたものの戦闘そのものはベテルガンマモンに任せています。
・ナナミ
漢字では「七海」と書きます。七海やちよの七海。
宙の小学生のときの友達だそうですが、彼との間柄のほどはおろか
本人がどういう人物だったのかもほとんどわかっていません。
ご両親が宙のことを知ってたし、自宅へ遊びに行くぐらいには仲が良かったのでしょうが……
まあ、この子は本当にキッカケになってもらうだけの立場であって
それ以上でも以下でもないのでしょう。大勢いるヤモリ人間の一人というだけだし、
この子を掘り下げる流れじゃありませんでしたからね。
・サラマンダモン
両生類型のアーマー体。まさかのメス個体?です。
実は13話から出ており、シールズドラモンに暗殺される役回りでした。
つまり、今回登場したのは別個体ということになります。
宙たちはモニタモンを通して暗殺の現場を見ただけなんで、事実上ほぼ初対面の形。
炭素であるダイヤモンドを摂取することで、自らの炎をより燃えたたせることができると
経緯は不明ですが把握しており、人々をヤモリ人間に変えて集めさせていました。
スマホを通じて指令を出したり、自前でのネットアクセスをこなしているなど
見かけに反して人間界のテクノロジーをかなり使いこなしていることがわかります。
上に書いた通り目的は突き詰めれば「炭素が欲しい」というシンプルなものなのですが
宙たちが介入してくるとヤモリ人間たちを盾にしたり、それが無理だとわかると
巻き込むのも厭わず大爆発を起こそうとしたり、手段を選ばない面は確実にあります。
宙とベテルガンマモンの機転がなければ、人的被害が広がってしまったかもしれません。
一方で目的のために体を張るほどのモチベーションはさらさら無いようで、
力を失ったあとはすっかり弱気になって命乞いするまでに陥ってしまっていました。
常に燃えていないと気力ごとヘナヘナになってしまうのかもしれませんが。
邪悪になりきれないところも含め、典型的な小物というやつでしょう。
こういう小物でも1話作れるあたりは間違いなく本作の良いところなんですけどね。
中の人は渡辺美佐さん。
しわがれ声が目立つ演技でしたが、「ONE PIECE」のネフェルタリ・ビビや
「フレッシュプリキュア!」のノーザのように妙齢の女性の役もこなします。
「クロスウォーズ」のプレシオモンはいろんな意味で対照的な役柄。
・ヤモリ人間
サラマンダモンの体から滴るように落ちたエキス?の影響を受け、変異した人々。
こうなると人としての人格がなくなり、サラマンダモンの完全な下僕になってしまいます。
サラマンダモンがどのようにしてこの能力を得たのかは定かではありません。
劇中ではナナミやその他大勢に加え、瑠璃まで変化させられてしまいました。
その姿もヤモリそのものになり、壁や天井を自由に這うことができるばかりか
手から熱を発して窓ガラスぐらいなら溶かしてしまえるようになります。
加えて半分デジモンになっているからか、疑似デジタルフィールドで隔離もできません。
かなり厄介なのですが、サラマンダモンの特性を一部使えるようになっている以外は
普通の人間と大差ないため、テスラジェリーモンの電撃であっさり気絶してしまいました。
逆に言えば、彼女がいなかったらかなり不利な戦いを強いられていたってことですが……
・宙のデジモン調査ファイル
今回も寮長がオチ担当でした。
この流れはほぼ定番になってゆきそうですね。
★名(迷)セリフ
「やっぱり…! 七海(ナナミ)ちゃんだ!」(宙)
ヤモリ人間の特徴から受けた直感を頼りに、小学生のときのアルバムを見返して。
君よくあんだけで気づいたね、ってなるセリフ。しかも暗かったのに。
まあ、彼の観察力の高さはたびたび証明されていることですが……
逆にいうと、思い出してもらえる程度には宙とナナミが親しかったってことなんですけど
優人兄のことといい、このあたりはほとんど掘り下げられてません。
本作の方向性を示す事実かも。
「もう一週間……病院に連れて行こうとしても、嫌がって暴れて……」(ナナミの父)
ゲストから一献。別に名セリフってわけじゃないんですけど。
やり取りの間ずっと気になってたんですがお父さん、包帯してるだけで服がボロボロのままです。
一瞬「なんで??」と思いましたが、服装の方に気を回す余裕がないほど疲弊しているか
または服がすぐ破られてしまうので着られる間は着替えないようにしてるのかもしれません。
いずれにしてもロクな状況じゃない。
サラマンダモンはこの手の方々に土下座して回った方がいいと思います。
もっとも、体勢的にあれ以上平伏のしようが無いんですけど……(笑えねぇよ)
「その実験施設の制御プログラムを開発したのは、ぼくだからね」(清司郎)
実験施設にダイヤが集まることを把握している理由を問われて。ドヤ顔です。
地熱発電所といい、こういったことにかけては間違いなく天才だと良くわかるセリフ。
しかしその後が良くなかった。結果オーライにはなりましたけど。
「燃える…? じゃあ本物のダイヤじゃないかーっ!?」(清司郎)
すり替えておくつもりが全然すり替えられてなかったことにショックを受けて。
匿名で報せるほかになんか手はなかったんでしょうか……被害総額いくらになるのかなあ。
しかも叫んじゃったせいでサラマンダモンたちに気づかれてるし。
「爆弾を使って、油田の火災なんかを一瞬で消す方法さ」(宙)
サラマンダモンの炎をかき消した方法について。
ウルトラマンオーブがマガパンドンの炎を吹き飛ばしたのと同じ原理ですね。
ベテルガンマモンとのアイコンタクトがあったとはいえ、よく思いついたものです。
「ま、待って! 私が悪かったわ…! 謝るからこれ以上はカンベンして!」(サラマンダモン)
炎を失い、ベテルガンマモンに締め上げられて。
悪に徹するモチベーションも矜持もない、ただの小物だと良くわかるセリフです。
割に合わないとわかれば弱気になる反面、バーターできるならいくらでも妥協はできるタイプ。
こういう手合いは後ろ盾次第で心変わりしかねませんが、根は気弱そうだしある程度安心かな。
「けど今どき鉛筆?」(清司郎)
サラマンダモンにダイヤと同じ炭素でできた鉛筆を提供することを思いついた宙に。
時代が変わったな、としみじみ思わされるセリフですね。
でも手軽さとコスパなら今でもぶっちぎりで高いと思いますぞ。
「心頭滅却すれば火もまた涼し。
空腹絶頂なれば、鉛筆もまたうまし」(アンゴラモン)
今回のアンゴラポエムです。
内容より、ずーっと「?????」ってなってる瑠璃が味わい深い場面。
★次回予告
瑠璃組がメインと思われます。キービジュアルが更新されたし、いよいよ彼女らの番かも?
そしてタイトルが「人狼」ってことは、相手はもしかして……