死霊ノ囁キ

脚本:佐藤寿昭 演出:髙戸谷一歩
作画監督:村山綾音/澤木巳登理/Engene_Ayson/Noel_Añonuevo
総作画監督:二階堂渥志

★あらすじ

 ピッコロモンの過剰防衛がキッカケで、臨死体験のような夢を味わった清司郎。
 それからというもの、彼は謎の声に苛まれるようになってゆきます。
 そして周囲に次々と巻き起こる怪現象。明らかに命を狙われていました。

 その挙句、無人の車に撥ねられかけた清司郎はそのまま昏睡してしまいます。
 マミーモンによれば、まるで魂が抜けてしまったかのよう。
 果たして彼は生と死の狭間で、セピックモンに襲われていました。
 死者の魂としか友達になれないこのデジモンは先の騒動をキッカケに清司郎へ目をつけ、
 彼の命を奪って「友達」になろうとしていたのです。

 機転を利かせて宙たちに連絡を取る清司郎ですが、助けに行くのは至難の業。
 取れる手段はただひとつ、マミーモンの試作薬を使って仮死状態となり
 清司郎と同じ世界に乗り込んでゆくことだけ。
 宙を制して名乗りを上げたのは、パートナーであるジェリーモンでした。

 薬の副作用で謎の興奮状態へ陥ったジェリーモンは、三途の川をリアルで渡る寸前だった
 清司郎を救出。進化を遂げてセピックモンをKOすると、もろともに元の世界へ連れ出します。
 こうして事件は終わり、セピックモンは恐山へと送られました。
 霊場であるかの山ならば、彼にとってまたとない塒となることでしょう。
 
 
 
 
★全体印象
 
 33話です。
 今回のテーマは「臨死体験からの死への誘い」です。
 本作の中でも極めてホラーテイストの強めな味わい。

 そのためか清司郎は終始ビビリ倒しの逃げ続けで、連絡手段を確保した以外は
 基本的に良いところがありません。
 戦闘もどちらかというとジェリーモン主導かつ、ラスト数分に集中してます。
 場所が場所なんで仕方ないんですが、食い足りなさはあったかも。

 他のメンバーもベツモンのものすごく早い再登場以外は特記事項が少なく、
 ほぼホラー演出に全振りしてる回と言えるかもしれません。
 そういう作風でなら無理に強い敵を出さなくても話を作れる、というのは
 間違いなく本作の利点なんですけど…バトルとの兼ね合いがどうしても難しいですね。

 脚本は佐藤寿昭さん。
 一部を除くと、騒動を起こしたデジモンを強制送還か島流し(言い方)にする傾向が強めです。
 セピックモンの処遇はその中でも納得できる方ではありますが。
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・清司郎

 主役、なんですが限界突破することもなく、受身色が強いです。
 デジヴァイスを介して携帯(という概念)を利用、間の世界から連絡を入れたのはファインプレーですが
 それ以外は基本的に逃げ回る立場。相方がいないんじゃしょうがないんですけどね。
 今回はあんまり語るところがないかも。
 
 
 
・ジェリーモン → テスラジェリーモン

 珍しく? というべきか今回は割にマトモです。
 清司郎を救うため、試作薬を迷うことなく試すパートナーらしいところを見せました。
 その後のテンションMAX状態はある意味照れ隠しにも見えます。

 その試作薬で気力限界突破したおかげか、セピックモン相手にはほぼ一方的でした。
 まあ、普通の状態でもテティスモンを出すまでもない相手だったのは確かですが。
 
 
 
・宙組

 前回がガンマモン中心だったんで今回はほぼ脇。
 間の世界へ行ったのもジェリーモンだけなんで、戦闘の方の見せ場もありません。

 真っ先に試作薬の被検を名乗り出ようとするあたり、宙の感性はやはり少しズレてると感じますね。
 とはいえ本来デジモン用の薬、ヘタすっと戻ってこられない可能性はありました。
 ジェリーモンが止めに入ったのは本人の思惑は置いといて、賢明な判断だったと思います。
 
 
 
・瑠璃組

 宙組以上の脇。
 アンゴラモンについては知識・洞察において頼られていることが再確認できる描写がありました。
 そしてアンゴラポエムもちゃんとあります。意地でも出す方針と再確認。
 出してないのはレギュラー入りする前の2話までと、そんな場合じゃなかった26話だけですし。
 
 
 
・マミーモン

 23話以来の登場。すっかりセミレギュラーです。
 作っていた試作薬をわざわざ「デジモン用」と明言したり、改めて知識の深まりを感じました。
 2話での誤謬はずっと前に完全に乗り越え、その先に進み続けているのですね。
 清司郎が助かったのは事実上、彼のおかげと断言してもいいでしょう。
 直接行ったのはジェリーモンですが、あの試作薬がなかったらそれも不可能でしたから。
 
 
 
・ベツモン

 まさかの最速再登場。クロックモンに言われて派遣されてきたようです。
 声からみて、ガンマモンに化けていた個体と考えるべきですね。
 面倒ごとを起こすなと叩き込まれたあげく、あちこちで奉仕活動をさせられてるのでしょう。

 逆らったら時間を止められてしまうとあっては、やはり言うことを聞くしかないのでしょう。
 それで大人しくしている連中とも思えませんが……

 ガンマモンにはだいぶ警戒されてました。まあ無理もなし。
 
 
 
・ピッコロモン

 突然の再登場。今回の事件の遠因を作った存在です。
 ガンマモンにチョコの恨みで噛まれたことでビットボムによる過剰防衛に及び、
 これに清司郎が巻き込まれたことでセピックモンに目をつけられました。

 その後は登場しないので、本当にキッカケを作っただけです。
 そのうちまた何かやらかしそうですね、コイツ。
 
 
 
・セピックモン

 今回のメインゲスト。アーマー体の魔人型デジモンです。
 本作以前では「フロンティア」に出演した個体がもっとも有名でしょうか。
 「セイバーズ」にもバロモン麾下のモブとして出演しています。
 「テイマーズ」劇場版にも出てますが、単なるやられ役でした。

 清司郎にまとわりついては、事あるごとにその命を狙っていました。
 死者の魂としか友達がおらず、設定では密林の奥に住んでいるとされていましたが
 本作では何かの拍子に人間界に来てしまい、都会で孤独を味わっていたようです。

 死者の魂を友とするその設定からか、生と死の狭間でも自由に行動できる模様。
 そこから現実に影響を与えることもできるため、まともな手段では姿を捉えられません。
 清司郎組のように臨死体験をして送り込まれるしかないのです。
 本来の力とは関係ないところで、実に厄介な特性を備えていると言えるでしょう。

 ただし上記の通り強さ的には成熟期級としても微妙で、テンションMAX状態とはいえ
 成長期のジェリーモンに蹴り飛ばされて清司郎を奪還される有様。
 テスラジェリーモン相手にはスピリットブーメランで追撃をかけるものの、
 逆に打ち砕かれて返り討ちに遭いました。会敵さえできればなんとかなるわけです。

 その後清司郎と一緒に人間界へ引っ張り出され、宙たちに説教をくらいました。
 基本的には素直な性格なのか、畏まってこれを聞いていました。
 その後は霊場である恐山を紹介され、そこを塒に変えて楽しくやっているようです。
 逆に言えば野放し状態。説教をちゃんと理解していれば良いのですが……

 中の人は齋藤彩夏さん。22話のピロモンに続いての出演です。
 顔が仮面状になってるセピックモンの外見を生かしたギャップのある声質ですが、
 今回はピロモンと違って時折ゾクッとするほど冷徹な声音で楽しませてくれました。
 ああいう演技もできるんだなぁ……さすがはプロ。
 
 
 
・宙のデジモン調査ファイル

 急に始まった予告前のミニコーナー。
 要は前作で光子郎がやってたアレとか、ウルトラマンで毎回やってるアレです。
 セピックモンについての紹介画面は、本編からこちらに移っています。
 これから毎回こうなるんでしょうか?

 内容的には複数キャラの掛け合いになっており、割と聞き応えがあります。
 なんか清司郎がオチ担当になる率が高そうな気がするけど。
 
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「まだ未完成でな。投与すると、生きているか死んでいるかわからぬ状態になる。
 しかも、なぜか逆に極度に興奮して…フフフフフ……」(マミーモン)

 
 怪しげなセリフです。誰よりも本人が実証実験したがってる感じ。
 本来はモルフォモンの事例を鑑み、興奮したデジモンを落ち着かせる薬なのですが
 よく考えてみたら未完成だったおかげで役に立ったケースなのですね、これ。
 完成しちゃったら、下手すっと未完成状態を再現できなかった可能性があったわけだし。

 
「今日は帰さないよ……」(セピックモン)
 
 間の世界にて正体を目的を晒し、恐れをなして逃げ出した清司郎に。
 可愛い寄りの演技だったのがここで急激にトーンが落ちます。ゾクリと来る瞬間。

 
「フン! クロックモンに言われて来ただけだめんどくせぇー!」(ベツモン)
 
 看護士に化けて。どっからどう見ても嫌々ながらです。
 しかし手口が割れている以上、もう前回のような勝手はできない…はず。
 めんどくせぇー! が本当にめんどくさそうで割に最高。

 
「スピリットブーメラン」(セピックモン)
 
 逃げる清司郎に向けて。
 上のセリフも良いですが、こちらの淡々としたコールも良いですね。

 
「そうか! セピックモン!」(アンゴラモン)
 
 寝てるはずな清司郎からのまさかの連絡、その内容を受けて。
 瑠璃が真っ先に尋ねたあたり、その知識が頼りにされていることがよくわかります。
 専門?が近いからか、マミーモンの方がちょっと先に気づいたように見えますが。

 
「あれはデジモン用の薬さ。宙はここで、おとなしく待ってるさ」(ジェリーモン)
 
 試作薬の被験を買って出て。名乗り出ようとした宙を止めての行動です。
 清司郎のために迷いがありません。非常にパートナーらしいところを見せた瞬間です。
 人間である宙に比べたら成功率が高いのも事実ですし。

 
「ダーリンは全部、全部、ぜ〜んぶ、ミーのものさ♪」(ジェリーモン)
 
 セピックモンの手から清司郎を奪還して。ジェリーモンからもう一献。
 ドサクサに紛れてかなり恥ずかしいことを言ってますが、これも薬の副作用でしょーか。
 独占欲にあふれたセリフでもあるけど。

 
「人間15年、生死の狭間をさまよえば、これまさに夢幻のごとし。
 友は作りたし、命は推しし……」(アンゴラモン)

 
 今回のアンゴラポエムです。
 メインで写ってるのは恐山で鬼火と遊んでるセピックモンなので、アンゴラモン本人は
 ワイプというか、卒業写真の欠席の人状態です。
 どうしてもポエムで締めようとするとは、何がスタッフをそこまでさせるのでしょう。
 
 
 
 
★次回予告

 どうやらサラマンダモンがメインを張るようですね。
 このデジモンがここまで出張るのは確か初めて。
 シリーズが長く続くとこういうこともあるものですな。