悪夢

脚本:山崎亮 絵コンテ:池田洋子 演出:山崎響介 
作画監督:李少雷/佐藤敏明/武内昭/金澤龍/權容祥
総作画監督:仲條久美

★あらすじ

 ジェリーモンが発案した新しいビジネス、安眠桜療法。
 安眠をもたらすというデジモン、ピロモンの力で桜を愛でながら安眠に誘い、
 疲れた現代人に癒しを与えるというのが本来の狙いでした。

 ところが客が次々に苦しみはじめ、何者かに襲われたかのような傷までも受けて
 病院に運ばれるという異常事態が発生してしまいます。
 半ば強引に参加させられていた瑠璃とアンゴラモンも、この現象に巻き込まれる破目へ。

 その内容は、巨大なアンデッド型完全体・スカルグレイモンに追い回されるというもの。
 しかもコイツから離れすぎるとまた最初の地点に戻されるという無限ループでした。
 清司郎とジェリーモンも対処のため夢に飛び込みましたが、ループに翻弄されます。

 が、途中でこれが「明晰夢」と気づいた清司郎が逆に夢をコントロール。
 現実ではあり得ないパワーを得たパートナーたちが、スカルグレイモンを粉砕します。
 相手は何度でも甦ってくるためキリがありませんでしたが、ピロモンを見つけて
 これを覚醒させることで、一同はやっと夢の世界を脱出することができました。

 ピロモンは人間の夢を食べすぎて寝心地が悪くなり、スカルグレイモンに追い回された
 昔の悪夢を見てしまい、皆がそれに巻き込まれていたのでした。
 さんざんな春の眠りを味わった瑠璃たち。
 スマホが修理中だった宙とガンマモンが顛末を知ったのは、現場の外でのことでした。 
 
 
 
★全体印象
 
 22話です。
 外部からの不正アクセスという狼藉によって放映が一ヶ月以上も止まっていたため、
 このレビューも久しぶりとなります。直近回のデータが消えたりとかそういうことは
 表面上無かった感じなのは幸いですけど、今後に影響が出るのは間違いありません。
 いったいどこのど奴が、どういう目的でやったことなんでしょうね。

 前回とはまたまた打って変わり、悪意をもって行動していた者は誰もいない話でした。
 スカルグレイモンはあくまで夢の産物であり、本物というわけじゃありません。
 本物があれぐらい怖くて話が通じない相手だったのはたぶん変わらないでしょうけど。

 強いて言うなら不測の事態を招く遠因を作ったジェリーモンに責任があるのですが、
 バクモンの治療を受けさせてもらえない形でお仕置きを食らっています。
 連帯責任みたいな形になった清司郎は完全なトバッチリだったわけですけど、
 夢の中ということで「スイッチの入った自分」を認識できたように見えます。
 ギャグで流されてましたけど、これは意外に重要な布石かも。

 脚本は山崎亮さん。ここへ来ての新顔です。
 「One PIece」のワの国篇以降で何本も書いている以外の経歴はよくわかりません。
 作画監督の方にも新顔が見えますが、このうち川口弘明さんの方は
 80年代から活躍されているベテランのようですね。
 また演出の山崎響介さんも初登板で、新顔の目立つ一篇となっていました。
 
 
 
 
 
★キャラなど個別印象
 
 
・宙組

 ガンマモンがスマホを噛んでしまって修理中だったため連絡がつくのが遅れ、
 今回の事件には直接関わってません。バクモンをメールで送ったりはしていますが、
 アフターケア以外の貢献が精一杯というところでした。

 20、21話とメインを張ってたし、今回はひと休みってところですね。
 
 
 
・清司郎

 事態収拾の立役者。
 夢に飛び込むことも悪夢の世界にも腰が引けまくっていましたが、
 ループの途中で今見ているのが「明晰夢」、すなわち「夢だと認識できている夢」と気づき
 それならば通常の夢と違って「想像」で一定以上のコントロールができると看破。
 自ら海を割ってみせることで、この仮説を証明してみせました。

 このことで「認識」が他のメンバーにも伝わり、パートナー達が超パワーアップ。
 スカルグレイモンを一時的に粉砕し、逃げ腰のピロモンを確保する間隙ができました。
 彼の気付きが無かったら、もっと大変なことになっていたかもしれません。
 もちろん、自分たちから夢に飛び込んだことも理由として大きいのでしょうが。

 上記の通り、夢の中だったからか「スイッチの入った自分」を認識できた模様。
 もしかして徐々にビビリを抑え込んでゆけるようになるんでしょうか。
 失礼ながら見てて楽しい面もあるので、そうなると少しばかり寂しいかも。
 喜ぶべきことではあるでしょうし、別にそうなると決まったわけでもないけど。
 
 
 
・ジェリーモン → テスラジェリーモン →ジャイアントテスラジェリーモン(仮名)

 ピロモンを使っての安眠ビジネスを思いついたものの、その夢の内容が
 ピロモン次第であったことにまで考えが及んでいなかったせいで客が悪夢まみれになり、
 瑠璃や自分たちまでも大変な目に遭うことになりました。

 が、清司郎が自分たちからも夢をコントロールできると気づいたことによって
 巨大化という現実ではあり得ないパワーアップを遂げスカルグレイモンを圧倒。
 一時的にこれを退けましたが、さすがに無限に繰り返すというわけにはいかなかったでしょう。
 夢の世界はなんでもありですが、そのなんでもありを行使するには精神力が要るはず。

 今回のやらかしはタチが悪いというより浅はかと呼ぶべきものですが、
 事件を招いたお仕置きとして清司郎ともどもボロボロのまんま終わってます。
 本人はあんまり懲りてない風ですが……

 でも、今回のことが清司郎になんらかの変化を与えるキッカケになるとしたなら
 このやらかしも案外ムダじゃなかったって話になるのかもしれませんね。
 
 
 
・瑠璃組

 巻き込まれ枠。
 ジェリーモンに半ば強引に誘われ、ピロモンの泡で夢の世界に入ったのですが
 この時すでにこの泡が「悪夢の泡」になってしまっていたため大変な目に遭いました。
 途中で無限ループのカラクリに気づいたものの、清司郎組の合流でペースが乱れています。

 しかし清司郎が夢をコントロールしたのを「認識」したことで、ジンバーアンゴラモンに
 普段以上のパワーと分身しての手数爆増という現実ではあり得ないパワーが発動。
 スカルグレイモンを一度退けた間隙を縫い、ピロモンを確保するという功績を挙げました。

 それにしても瑠璃ちゃん、そのうちジェリーモンにマジギレしてもおかしくないですね…
 ガンマモンも爆弾持ち状態だし、安心できる相手はアンゴラモンだけかも。
 ただ次回予告を見る限り……
 
 
 
・バクモン

 13話以来の登場。
 延期の都合で前週がその13話の再放送だったので、ある意味ちょうど良いタイミングです。
 まあ、今回の展開を見越しての選定だったのでしょうけど。

 夢絡みということで絡んでくるかと思っていたら、やはり出てきましたね。
 ピロモンが人々にばら撒いてしまっていた悪夢を処置するのに大忙しだったようです。
 今回ではメールに乗って清司郎たちの夢の世界にお邪魔するという、
 かなりの離れ業をやってのけていました。成長期ながら只者じゃないっぷりを見せつけてます。

 また、ホーリーリングを介してある程度の治療もできるようですね。
 ボコモン先生の時のように、致命傷となるとさすがに無理みたいですが……
 ただし上記の通り、清司郎とジェリーモンはこの恩恵にあずかれていません。

 14話以降、宙とは顔をあまり合わせてないとのことでしたが距離は感じませんでした。
 彼自身の性格もありますが、まあ気持ちの整理に時間がかかっただけで宙たちがどうこう、
 というわけじゃない話でしたからね。
 
 
 
・ピロモン

 哺乳類型の成長期デジモン。クロスウォーズ終盤頃の公募デジモンでもあります。
 当時は世代が決まってなかったようですが、最近になって成長期に定められました。
 いつも眠りながらフワフワしており、その周辺に浮かぶ泡に触れた者はたちまち眠りに落ち
 心地の良い夢を見られると言われています。その夢はピロモンのエサにもなるのだとか。

 これだけ書くと人畜無害に見えますが、夢の内容はピロモン自身に左右されます。
 ピロモン自身の寝心地が悪く悪夢を見てしまうと黒い泡が発生し、これに触れた者も
 ピロモンと同じ悪夢を見てしまうという非常に危険な状態に陥ってしまうのです。
 しかも夢の中で受けた怪我などは現実に反映されるため、ヘタをすると命の危険があります。
 幸い、今回はそこまでの被害は出ていないようですが……

 でもこれは、見る限りピロモン自身にもどうにもならないことです。
 また悪夢をばら撒くようになってしまったのは人間の夢を過剰に食べすぎてしまったためで、
 でなければ普段はそうそう起こるようなことじゃないものと思われます。
 ジェリーモンも、ピロモン自身にも経験のないケースなので予想できなかったのでしょう。

 最終的にはピロモン自身が目を覚ますことにより、皆が悪夢から解放されました。
 普段と違い、他の者の精神も半ば強制的にピロモンの夢と接続されてしまうのかもしれません。
 夢という半ば無防備な精神状態において、濫用は極めて危険ということですね。
 
 中の人は齋藤彩夏さん。こういうキャラにはピッタリですね。
 デジモンシリーズでは前作にあたる「デジモンアドベンチャー:」のバーガモン役が
 記憶に新しいところですが、ニチアサ民的にはやはりモフルンの人でしょうか。
 
 
 
・スカルグレイモン

 ピロモンの悪夢の中に現れたアンデッド型完全体デジモン。
 ただし、ピロモンが昔このデジモンに追いかけ回された際の恐怖が原因で生まれた
 悪夢の産物なので「そういう姿をしているだけの別の何か」というべきでしょう。

 動きはそれほど早くないので人間だけならともかく、側にパートナーが控えていた
 瑠璃や清司郎はある程度逃げ回ることができるのですが、厄介なことに
 コイツから一定以上離れると元いた場所にループする仕掛けになっていました。
 ピロモン自身もきっと逃げ惑ううちに道に迷い、また襲われるという
 恐怖を繰り返していて、それが夢に反映されたんじゃないでしょうか。

 後半、清司郎が夢をコントロールし返した影響で一時的に粉砕されるのですが
 なにしろ夢の産物なので死ぬということがなく、何度でも復活してきます。
 骨だけの存在なので、絵面的にもハマりすぎていました。まさにアンデッド。

 おそらく、ピロモンが覚醒しない限り追い払うすべはないのでしょう。
 夢の中のピロモンを確保して覚醒を促したことで、やっと消え去りました。
 とはいえ、今度は清司郎たちがコイツの悪夢を見てしまいそうです。

 このスカルグレイモンは異常な強さと暗黒進化の象徴たるキャラクター性から、
 人気者ながらデジモンのモンスターたる怖さを再確認させる存在でもあります。
 言うなれば「みんなのトラウマ」です。「悪夢」には相応しい役者でしょう。

 中の人は江川央生さん。
 昔は無印版オーガモンのようにイキり倒した役が多かったのですが、
 当時からすでにムゲンドラモンのような冷徹な役回りもこなしていました。
 本作ではメタルファントモンとしても出てますが、あちらは判別困難。
 
 
 
・ED

 今回からBye-Bye-Handの方程式が歌う「ひかりあうものたち」に変わりました。
 本来なら4月頭、24話ぐらいから変わる予定だったものと思われます。
 曲調としてはゆったり目な、いかにもEDらしい仕上がり。

 最近出てこないコタロウが、やぶてん先生のイラストで登場してるのもポイントです。
 ただし完全体以降を思わせる絵はありません。
 
 
 
★名(迷)セリフ
 
 
「朽・チ・果・テ・ロ…!」(スカルグレイモン?)
 
 獲物を襲う際に決まって口走る、呪詛にも似た言葉。唯一のセリフです。
 字面に起こすとなんだか80年代のゲーム広告みたいですが、襲われると
 本当に死ぬ危険があるのでネタにしている場合ではありません。
 
 
「気を抜かないで。何かみょu」(アンゴラモン)
 
 夢の中で。
 スカルグレイモン?を撒いたと思ったらこのセリフの途中で急に暗転、
 枝垂れ桜の咲くどこか別の場所へ一瞬にして移っていました。

 視聴者としても「……え?」となる秀逸な演出です。
 私も思わず二度見しました。

 ところで前後の状況を確かめるに、ループするとはいっても
 距離などによってはまた別の場所に飛ぶことがあるようですね。
 
 
「現場視察は! ビジネスの鉄則さ!」(ジェリーモン)
 
 ピロモンの悪夢の泡で夢の世界への突入を試みながら。
 当然のように清司郎も巻き込まれています。
 彼女、色んな意味で行動力の権化ですね。女ねずみ男か???
 
 
「約束その3。スマホは噛まない」(宙)
 
 修理店にて。何があったかはこのセリフでよくわかります。
 そしてこのせいで、清司郎たちとは最初のうち連絡が取れませんでした。
 
 
「自分の夢にびびってどーすんの!」(瑠璃)
 
 夢の中、怯えてなかなか近づいてこないピロモンの様子に。
 しかしこの夢はピロモンの恐怖の産物、仕方ない面はあります。
 
 
「ジェリーモン様gspkfぽ」(清司郎のメール)
 
 修理を終えた宙のスマホに映し出された最後の文面。
 よほど必死だったのと途中で体勢が崩れたのでグダグダになっています。
 往年のネットスラング「もうだめぽ」を思い出しますね。
 
 
「これは明晰夢…! お前を倒す力だ!
 明晰夢とは! 夢だと気付きながら見る夢!
 本人が夢の内容をコントールできるという論文が多数ある!」(清司郎)

 
 ならば、自分たちの側からもコントロールは可能なはず。
 溺れそうになった末の唐突な気付きで、彼のスイッチまでもが入ったようです。
 裏付けがあるあたりも清司郎らしい発言です。
 
 
「さらなる強き力を!」(清司郎)
 
 このセリフとともに彼が指を鳴らすと、テスラジェリーモンがみるみる巨大化します。
 指パッチンともども無駄にかっこいい。
 
 
「さっきの…僕であって僕でないような感じはいったい…!
 もしかして、この身には本当にとんでもない力が…!」(清司郎)

 
 あー、そういえばこの人こういうキャラだっけ、と思い出させつつ
 ある意味正鵠を得ている発言、かもしれません。
 この右手の包帯そのものは伊達でも、これが外れる時には本当に
 何かしらの確変が起こるってことなのかも……?
 
 
「春眠…進むも地獄、退かぬも地獄の永劫の檻。
 されど、開かない檻はなし」(アンゴラモン)

 
 今回のアンゴラポエムです。割とそのまんまですが久々で嬉しくなりますね。
 
 
 
★次回予告

 何が起きているのでしょう。何が起こるのでしょう。わかりません。
 わかっているのは大ピンチということだけです。
 本当に、何が起こるんだ!?!?