不幸ノ手紙
脚本:中山智博 絵コンテ:鈴木正男 演出:武藤公春/佐藤道拓
作画監督:Noh_Gil-bo/原憲一/Lee_Jong_II
総作画監督:西野文那
★あらすじ
突然清司郎のもとに送りつけられた不幸の手紙ならぬ、不幸のメール。
彼がそれを削除すると突然、画面から多数の小さなホログラムゴーストが現れました。
瑠璃やその友人たち、その他大勢のスマホにも同じことが起こり、
街は大パニックに陥ってしまいます。
この無数のホログラムゴーストの正体はザッソーモン。
一体一体は弱いですが生存本能が強く、水を吸ってどんどん大きくなるのです。
放っておけば日本中、いや世界中に蔓延ることになってしまう──
突然やってきた危機に、宙たちは慄然となります。
が、仮想デジタル空間への隔離と水を求める性質を利用してザッソーモン達を集め、
さらに攻撃を加えると合体して生存しようとする性質を逆利用し数を減らすことに成功。
テスラジェリーモンに加え、ガンマモンの新たな進化・ウェズンガンマモンの登場で
あと一歩まで追い詰めることができました。
そこに突然、族長ザッソーモンが登場。
話相手として作った分身が逃げ出してしまい、大事に発展してしまったというのです。
ザッソーモン達は族長に連れられて姿を消しましたが、宙たちは不可解な心持ちでした。
族長が去り際に残した言葉には、どんな意味が込められていたのでしょう……
★全体印象
12話です。2021年最後のゴーストゲーム。
今回のモチーフは「不幸の手紙」です。
かつては「幸運の手紙」だったそうですが、戦後になってからどういうわけだか
「不幸の手紙」に変質し、子供たちの間で流行したと聞きます。
簡単に拡散できる分、むしろ現在の方が隆盛を誇っているイタズラかもしれません。
世の中、どこにでも趣味の悪い人はいるものです。
ポイントとして挙げたいのは、拡散されやすいこうしたチェーンメール紛いの代物に
どんどん増えて駆除が難しい雑草をモチーフに持つザッソーモンを充てがったところ。
その不気味さやしぶとさ、弱いけど数だけは多い厄介な特性などなど、
途絶えることのない害意や悪意をあらわすにはぴったりの存在だと言えるでしょう。
こうした中、多数の相手を撃破するためにウェズンガンマモンが初登場。
これでガンマモンの進化3種が揃ったことになります。
その一方アンゴラモンだけがまだ進化できず、取り残され感が否めません。
2クールめ早々での進化が望ましいですが、どうするつもりなんでしょうね。
オチとしてはデウスエクスマキナ気味に族長ザッソーモンが登場し、
事を収めて去ってゆくためいささか肩透かしというか寸止め感が強いです。
ベテルガンマモンもソルブローをなかなか使わなかったし、なんというか今更ながら
割に出し惜しみをする構成ですね。まともに「アルビオン」を使うのはいつやら。
敵のレベルが上がって使っても効かなくなっちゃってたら本末転倒なんですけど……
脚本は4話以来となる中山智博さん。
作画スタッフは:でもよく見た感じの顔ぶれですが、絵的にはやや微妙だったかも。
★キャラなど個別印象
・宙
メインキャラではある意味いちばんの被害者。
スマホをザッソーモンが増える媒介にされずには済みましたが、その代わり
完膚なきまでに破壊されてしまってます。壊したのはガンマモンですが、
状況が状況なので責めるわけにもいきません。踏んだり蹴ったりです。
奮闘するガンマモンを見て苦慮していましたが、開き直ったことで新たな進化が発動し
このことに自分で驚いています。前回もそうでしたが、まだ手探り状態なため
状況に応じて進化を使い分けるだけの自信がない段階なんですよね。
徐々に使いこなせるようにはなるのでしょうが、その頃には「上」が登場するのでしょう。
・ガンマモン
宙から「世界が滅んだらチョコを作る人がいなくなる」と聞き、やる気パワーMAX。
いつも以上に果敢にザッソーモンたちへ挑み、かつテスラジェリーモンのパワーを見たことや
そこに宙のテンションも乗っかったことで新たな進化を獲得しています。
どっちかというと世界よりチョコを守るために戦ったと言ってもいいのですが、
何かをしっかり守ろうとしたら結局より大きなものを守るのが早道、ではあるんですよね。
・ウェズンガンマモン
ガンマモンのやる気に引っ張られる形で進化した結果、登場した緑の成熟期。
ガンマモンの進化形態では唯一の四足歩行型で、ガッシリとした重心の低い姿をしています。
モチーフであるトリケラトプスというか、角竜に最も近い姿といえるでしょう。
ただし得意としているのは直接攻撃ではなく、砲身になっているツノを使っての砲撃です。
得意技の「セドナ」は連射が効くため、三つの形態の中では最大の広域殲滅能力を誇ります。
単純な攻撃力でも一番かもしれません。機動性についてはお察しでしょうけど。
パワーの高さから、砲身で殴るだけでも相当の威力がありそうです。
さらに、四肢を固定しての必殺技「アルビオン」もあります。
ボルグモンで言うなら「フィールドデストロイヤー」にあたる技ですね。
ただしこれは族長ザッソーモンの介入により、発射直前で中止されています。惜しい。
上にも書きましたが、これでガンマモンの成熟期三つが揃いました。
さらなる形態についてもすでに布石が打たれてますが、登場はいつになるでしょう。
このペースだとけっこう先かもしれませんが、果たして。
・瑠璃組
カフェでザッソーモンに巻き込まれましたが、瑠璃は友人や他の客と一緒に
これを追っ払うという剛気なところを見せました。
後半のバトルではこれといって目立ってません。進化が待たれます。
・清司郎
届いた不幸のメールを削除したせいでザッソーモンに襲われたあげく、
周囲の人物に軒並み拡散してしまって元凶ではないかと寮生たちに疑われるという
散々な目に遭っています。名誉挽回に燃えていたため、割にずっとスイッチが入り気味でした。
ザッソーモンの特性を見抜いたことでノリノリになり、進化を成功させています。
・ジェリーモン → テスラジェリーモン
前半珍しくザッソーモン相手にビビりまくっていましたが、その見かけ通り
体組成が人間以上に水分の塊なので、水分を吸うザッソーモンに苦手意識を持つのは当然、
ということらしいです。実体化していようがいまいがそこは変わらないのかもしれません。
その分やり返す気も満々で、後半ではテスラジェリーモンに進化して反撃に打って出ました。
この際の活躍がガンマモンを刺激し、ウェズンガンマモン登場に繋がっています。
・ボコモン
ザッソーモンの特性について助言をあれこれしてくれました。
もう完全にレギュラーですね。その分アンゴラモンの影が薄くなりがちですが。
・バクモン
今回は彼も登場しました。
ただ基本的にはボコモンの補佐に徹していたため、特筆すべきことはやってません。
・ザッソーモン
植物型の成熟期デジモン。アニメ第一作から登場しているベジーモンの色違いです。
明確にデザインも異なるレッドベジーモンとは違って純粋な?色違いなのがポイント。
系列的にはサイケモンやアルラウモン、ドクネモンなどに近い「色違い亜種」といえます。
ぱっと見知性などなさそうですが、そのやり口はかなり狡猾なもの。
不幸のメールを装った文書に潜み、受け取ったものがそれを削除したのをトリガーとして
その端末のOSを媒介に蔓延し、さらに現実世界へと進出するというものです。
「削除すると発動する」というのが実に厭らしい。
増えたうち、現実世界に溢れてきたものは水を求めて行動するようになります。
もともとこの「水」欲しさに現実の世界へ進出してきたようですね。
人間に接触するとその鋭い歯で噛み付くという非常に獰猛な行動を取るのですが、
ジェリーモンによればそれも水分を狙ってのことだそうです。
水分の枯渇が即命取りになりかねないジェリーモンにとっては天敵に近い存在です。
一体一体は弱く、出てきたばかりの時点では体も小さいため、その段階のうちは
人間でも追い払ってしまえますがとにかく数が多いのでキリがありません。
また傷つくと合体して生存しようとする上、その分だけ大きくなるので
退治しようとするとかなり手こずらされる手合いと言えるでしょう。
しかし本能的に水を求める側面や合体の特性を利用され、一箇所に集められて
最大の武器である「数」と「拡散」を奪われてしまいます。
そのまま「アルビオン」を撃ち込まれかけましたが、上記したように
族長ザッソーモンが介入したためそこで手打ちになりました。
結果的に、その族長に並ぶ巨体と大量の水を得たことになります。
果たして彼らの蔓延は、本当に族長の単なるミスだったのでしょうか……
・族長ザッソーモン
戦いの終盤、突如として割って入ってきた存在。
他のザッソーモンより年嵩な文字通りの「枯れた」雰囲気を纏っています。
しかしその巨体は、合体の果てに巨大化した他のザッソーモン達にも劣りません。
曰く、寂しさを紛らわすために作った分身が水を求めて逃げ出し、繁殖したそうです。
そして宙たちが呆気に取られている間に場を収め、さっさと帰ってしまいました。
「分身」たちは族長の言うことなら素直に聞くようで、残らず姿を消しています。
しかしその登場のタイミングの良さといい、含みのあるセリフ回しといい、
本当にミスだったのか疑わしいところがあります。
まあ最初は本当にミスだったのかもしれないけど、今まで出てこなかったあたり
手打ちの契機を図っていたとしか思えない節があるんですね。
結果として上記の通り、丸々と大きく育った分身を総取りした形になりました。
あるいは人間界の水を利用して分身を「育てていた」のかもしれません。
だとすれば、宙たちは潮時を見極めるための役としてまんまと利用されたことに……
真実は草の中、ならぬ藪の中ですが。
中の人は西村知道さん。好々爺、と見せかけて一癖ある役が多い方です。
デジモンへの出演では「フロンティア」のキャンドモン村長や
「クロスウォーズ」のアーケロモンと、村長や族長としての出演ばかりですが
今回はとりわけクセモノという雰囲気でした。
★名(迷)セリフ
「あああ… 先輩! 何が起きてるんですかぁ〜!?」(宙)
異常を感じ取ったガンマモンに破壊されたスマホを拾い上げ、涙目で。
なんか彼の芸風になりつつある気がします。
「あいつならやりかねない! 探せ!」(寮生)
ザッソーモンの騒動が寮長である清司郎にあるのではないかと疑っての発言。
いったいどーゆーイメージで見られてるんでしょう、清司郎って……
もしかして、あんまり人望ないんでしょうか。
特待生扱いで授業も受けてないし、よく思ってない生徒はいそうですが。
「この街、どうなっちゃうの…!」(瑠璃)
街のあちこちで暴れているザッソーモンを見やって。
実際、ここまでの大事になったケースは初めてだったりします。
初めて「暮らしている環境そのもの」への不安が頭をもたげた瞬間かも。
「不幸の手紙はワクチンプログラムを作って対抗するとして…
今はネットから街に出てきたヤツらを徹底駆除し… なんとしても…!
寮長の威厳を取り戻す!」(瑠璃)
仮想デジタル空間にザッソーモン達を隔離、行動を制限して。
宙には「そっちですか!?」とツッコミを入れられていましたが、彼にとっては
信頼というものが世界と同じぐらい大切ということなのでしょう。
それが威厳にも繋がるわけだし。
「ダーリン! ミーたちの出番なのさ!
これまでサンザンっぱらやられたぶん、倍にしてお返しするさ!」(ジェリーモン)
「攻略法がわかれば、完クリしたも同然!
僕に濡れ衣を着せた罪は重い…相応に償ってもらう!」(清司郎)
お互いいつになくノリノリです。
このやる気パワーがテスラジェリーモン発現に繋がっていきます。
「最強なくなるの、イヤだ!
この世界なくなるの、もっとイヤだ!
おれ、やる! テスラジェリーモンみたいにできないけど、おれガンバる!
ガンバるぞー!」(ガンマモン)
「…そうだよな… 迷ってる場合じゃないよな!」(宙)
このとき、二人の脳裡には
「多数の敵に対抗できる手があれば」という考えがあったに違いありません。
それがウェズンガンマモンの登場に繋がったわけですけど、
宙もまさかこの土壇場で新形態が出るとは予想もしていなかったようです。
「ゲオゲオゲオ。
もう面倒はかけないようにするよ…君らにはねぇ」(族長ザッソーモン)
去りゆく背後からブーイングを浴びせる清司郎たちに応えて。
なんとも意味深なセリフ回しです。今度は君らに出くわさないよう気をつけるよ、
とも受け取れます。宙は何かを感じ、慄然としていました。
「不幸の鎖を断ち切れば、雑草無常の響きあり……」(アンゴラモン)
今回のアンゴラポエムです。
彼も族長ザッソーモンに何かを感じ取った、のかもしれませんね。
★次回予告
今度の相手はゴリモン…と見せかけての、どうやら被害者ポジションのようです。
仮にも成熟期であるこのデジモンを易々と仕留めるとは、相当の手練ですね。
そのうえ処刑人とはまた大きく出たもので。展開が読めませんな。